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3 契約しちゃいますか?
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こうして 俺は、アークこと王国の魔導師団長 アークラント・ダンクール伯爵と契約を結ぶことになったわけだった。
奴は、俺に無謀にも隷属の魔法を試みようとした。
本来、隷属の魔法とは、魔力が均衡、または、術者の方が強い場合に用いられる魔法だった。
だから、俺に対してアークがそれを用いることは無理があるのだが、俺は、それを受け入れることにした。
だが。
「な、なんだ!この魔力量は!」
俺たちは、狭苦しい宿屋の一室に居るのだが、その室内では、今、嵐が吹き荒れていた。
室内に置かれていた家具やら何やらが俺を中心にしておきている魔力の竜巻のようなものに巻き込まれて宙を舞っていた。
恐ろしい魔力の渦巻く音が辺りに響き渡って、軽く地面が揺れている。
「お客様、どうされましたか?」
ドアが開き、心配してやってきた宿の主が室内を覗き込もうとするのをクリスが止めた。
「大丈夫、だ。すぐにおさまるから。連れが少し、喧嘩して暴れているだけだ」
「しかし」
「壊したものは、後で弁償する」
クリスの有無を言わさぬ言葉に宿の主は、諦めたのか、ドアを閉めて立ち去っていった。
クリスは、アークに向かって怒鳴った。
「アーク!どうなっている?」
クリスの問いに答えることもできずに、アークは、なんとか術を掌握しようとしていたが、奴の力では、俺を無理矢理従わせることなど到底無理だった。
俺の力は、それほど強大なものだった。
一人の人間が容易く自由にできるものではないのだ。
アークは、なおも、無駄な足掻きを続けていた。
「こんな・・俺に制御できないほどの力、なんて!」
「隷属の魔法では、俺をあんたの支配下に置くことはできない」
俺は、アークに言った。
「俺と契約したいのなら、別の方法をとった方がいい」
隷属の魔法では、これだけの力の差がある俺をアークが支配することは、不可能と言えた。
俺は、あまりにも力の差がある俺たちが契約を結ぶための魔法を探した。
アークが俺の力を制御することができて、他人から容易く干渉されることのない魔法。
あれ、だ。
俺は、ふと、あの魔法を思い出した。
それは。
「アーク、婚姻の魔法は使えるか?」
俺の言葉にアークが荒れ狂う魔力の渦をなんとか押さえ込もうとしながら応じた。
「こんなときに、何、言ってる!」
「知っているのか、と聞いているんだよ」
「知っているさ。古代の精霊魔法の一種だろうが。確か、精霊と婚姻関係を結ぶことによって、その精霊の力を行使することが可能になるというものだった筈」
「それを、俺と結ぶんだよ」
「はい?」
俺の言葉にアークが一瞬、虚をつかれたような表情を浮かべたが、すぐに、顔をしかめた。
「なんだと?」
「俺と結婚しろ、アーク」
「へっ?」
気を抜いた瞬間に、アークの額に陶器のカップが激突し、音をたてて割れ散った。
わわっ!
俺は、びびっていた。
アークの額が陶器の破片で切れて、流血している。
このままこの術を続けるのは、危険過ぎる。
俺は、魔力の指揮権をアークから奪い取るとすぐさま、魔力を打ち消して術を終息させた。
ガタン。
大きな音がして、部屋の中を舞っていた家具が床に落下する。
アークは、その場にがくっと膝をつき額から流れ落ちる血を手で押さえた。
「アーク!大丈夫か?」
クリスがアークに駆け寄ろうとするのをアークは、片手で制すると、俺に向かって言った。
「その婚姻の魔法ならお前を俺のものにできるっていうのか?ユウ」
「ああ」
俺は、答えた。
「ただし、俺と、その、夫婦にならなきゃいけないけどな」
「・・いいだろう」
額から流れる血を拭いながら、アークは、凄絶な微笑みを浮かべた。
「お前の全てを俺のものにする」
クリスとアークは、嵐の吹き荒れた後の室内を片付けていた。
二つあったベッドの内の一つは、俺がのっかていたから無事だったけど、もう一つの方は、見る影もなく破壊されていた。
「まったく、無茶苦茶だな」
クリスが木片を片付けながらぶつぶつと文句を言った。
「こんなお前にすら制御できない力を手にいれたところでどうすることもできないんじゃないか?」
「ふん」
アークは、シャツを裂いて作った白い布で額をぐるぐる巻きにして血を押さえていたがみるみる内に白い布は赤くぐっしょりと染まっていった。
「こんな制御しきれないほどの圧倒的な力だからこそ、魔王を倒すにたるというものだ。それに」
アークは、獣の様なぎらついた目で俺を見た。
「あの古の大魔導師 エドランの残した叡知を手にすることができるんだ。魔導を探究するものならみすみす逃すことなどできないことだ」
俺は、アークの強い眼差しから目をそらすと素っ気なく言った。
「お前は、魔導師なのに傷も治せないのか?はやく血を止めろ。出血は、腐敗を産み、闇を呼び寄せるぞ」
「ああ?」
クリスがくすっと笑った。
「治癒の魔法は、アークには、無理だな。こいつ、魔導師団長とか言ってるが治癒の魔法は、からっきしだからな」
「人には、向き不向きがあるんだよ」
アークがベッドの前に辛うじて姿を保っている椅子を置いて腰かけると、ベッドの端に座っている俺に向かって言った。
「それで?俺は、どうすればいいんだ?偉大なる魔導書よ」
アークは、俺を食らいつくような目で見つめていた。
「どうすれば、お前を手に入れられる?」
俺は、どきん、と心臓が跳ね上がるのを感じていた。
傷ついたアークは、荒々しい雄の魅力に溢れていた。
俺は、ドキドキしながら目をそらして自分に言い聞かせていた。
しっかりしろ、俺。
俺は、男に抱かれるんじゃなくて、男を抱く男だ!
っていっても、まだ、童貞だけどな。
「それは」
俺は、アークに言った。
「誓いの言葉と、く、口づけで契約を結ぶことになる」
「それだけ、か?」
アークに聞かれた俺は、戸惑いを隠せなかった。
「それっだけ、って?」
「もっと強く、深く、絆を結ばなくてもいいのか?」
「つ、強く、深くって・・例えば?」
俺は、アークを見つめてきいた。アークは、俺の視線を捕らえて離そうとはしない。
「つまり、俺がお前のことを抱くってことだよ」
だ、抱く?
俺は、かぁっと頬が熱くなるのを感じた。
俺が、この男に抱かれるってか?
「こ、断る。俺の好みは、もっと、小柄な、小動物みたいにかわいい人だからな」
俺は、きっぱりと言った。そして、ぎくしゃくとアークの方へと手を伸ばした。
「お前、はやく、傷を治せ。さもないと悪いものを呼び寄せてしまうぞ」
俺は、身を乗り出すとアークの額にそっと触れた。
ぽぅっと優しい白い光がアークを包み込むと同時に、血の跡が消えていく。クリスが感嘆の声を漏らした。
「治癒魔法も使えるのか、ユウ」
俺は、クリスに向かって頷くと、立ち上がりアークの方へと近寄り、奴を覗き込んだ。
「俺の力を自分のものにしたければ、俺のものになるしかない」
俺は、アークのダークグリーンの瞳を見つめて言った。
「俺に、魂を寄越せ、アークラント・ダンクール」
「魂、だと?」
アークが俺の両手を捕らえて引き寄せて言った。
「どちらがどちらに魂を捧げるかは、俺次第だろう?ユウ」
アークは、俺を膝の上に抱き寄せて座らせると、項に口づけしながら囁いた。
「俺に魂を捧げさせてやる」
はい?
俺は、首筋を舐められ、びくん、と体を震わせた。
「なに、言ってる」
「無理するな。女も抱いたことがないようなガキのくせに」
アークが俺の耳朶を甘噛みしたので、俺の背筋をぞくぞくした感覚が走った。アークは、俺に言った。
「大人をからかうとどうなるか、教えておかないとな、ユウ」
「ちょ、ちょっと、待って」
俺は、抗ったがアークの腕からは逃れることができなかった。
な、何?
俺は、体から力が抜けていくのを感じていた。
なんか、変、だ。
俺、こんな、格下相手に、どうなってんの?
焦っている俺に向かって、アークがにやりと笑った。
「ああ、この術か。これは、魅了の術の一種だよ。抱きたい相手の心を虜にして欲情させる術、だ。俺も実際に使うのは初めてなんだが」
気がつくとアークの足元には、金色の魔方陣が展開されていた。
マジか?
こんな子供騙しな術に、俺が囚われるなんて。
あり得ない!
「クリス!」
俺は、アークの腕に抱きすくめられたまま、クリスに救いを求めたが、クリスは、溜め息をついて立ち上がると、俺たちに背を向け部屋を出ていこうとしていた。
「ちょ、ちょっと、待った!クリス!俺を見捨てる気か!」
俺は、クリスの背に向かって叫んだが、クリスは、冷たく言い放った。
「アークが珍しく魔術師団長として国のために働こうとしているんだ。俺が邪魔をするわけにはいかないだろう。それとも」
クリスは、にやっと笑った。
「見られてる方がいいのか?ユウは」
んなわけがねぇだろ!
俺が怒りにわなないている間に、クリスは、部屋から出ていった。
「さあ、邪魔者もいなくなったし、始めようか」
アークが俺を抱き上げて、俺を見つめて言ったので、俺は、恐る恐るきいた。
「な、何を?」
「婚姻の魔法、だ」
アークは、魅了の魔法にかかり、動けなくなっている俺を抱いてベッドの方へと運ぶと、そこにそっと下ろした。
「お前を強く、深く、どこまでも俺のものにしてやるよ、ユウ」
マジで?
俺は、ひきつった笑みを浮かべていた。
ピンチ、だ!
俺は、ベッドの上で横になって、アークを見上げた。
ヤバい!
このままじゃ、俺、こいつにやられる!
俺は、目を閉じて全力で祈っていた。
神様、俺のバックバージンを守って!
奴は、俺に無謀にも隷属の魔法を試みようとした。
本来、隷属の魔法とは、魔力が均衡、または、術者の方が強い場合に用いられる魔法だった。
だから、俺に対してアークがそれを用いることは無理があるのだが、俺は、それを受け入れることにした。
だが。
「な、なんだ!この魔力量は!」
俺たちは、狭苦しい宿屋の一室に居るのだが、その室内では、今、嵐が吹き荒れていた。
室内に置かれていた家具やら何やらが俺を中心にしておきている魔力の竜巻のようなものに巻き込まれて宙を舞っていた。
恐ろしい魔力の渦巻く音が辺りに響き渡って、軽く地面が揺れている。
「お客様、どうされましたか?」
ドアが開き、心配してやってきた宿の主が室内を覗き込もうとするのをクリスが止めた。
「大丈夫、だ。すぐにおさまるから。連れが少し、喧嘩して暴れているだけだ」
「しかし」
「壊したものは、後で弁償する」
クリスの有無を言わさぬ言葉に宿の主は、諦めたのか、ドアを閉めて立ち去っていった。
クリスは、アークに向かって怒鳴った。
「アーク!どうなっている?」
クリスの問いに答えることもできずに、アークは、なんとか術を掌握しようとしていたが、奴の力では、俺を無理矢理従わせることなど到底無理だった。
俺の力は、それほど強大なものだった。
一人の人間が容易く自由にできるものではないのだ。
アークは、なおも、無駄な足掻きを続けていた。
「こんな・・俺に制御できないほどの力、なんて!」
「隷属の魔法では、俺をあんたの支配下に置くことはできない」
俺は、アークに言った。
「俺と契約したいのなら、別の方法をとった方がいい」
隷属の魔法では、これだけの力の差がある俺をアークが支配することは、不可能と言えた。
俺は、あまりにも力の差がある俺たちが契約を結ぶための魔法を探した。
アークが俺の力を制御することができて、他人から容易く干渉されることのない魔法。
あれ、だ。
俺は、ふと、あの魔法を思い出した。
それは。
「アーク、婚姻の魔法は使えるか?」
俺の言葉にアークが荒れ狂う魔力の渦をなんとか押さえ込もうとしながら応じた。
「こんなときに、何、言ってる!」
「知っているのか、と聞いているんだよ」
「知っているさ。古代の精霊魔法の一種だろうが。確か、精霊と婚姻関係を結ぶことによって、その精霊の力を行使することが可能になるというものだった筈」
「それを、俺と結ぶんだよ」
「はい?」
俺の言葉にアークが一瞬、虚をつかれたような表情を浮かべたが、すぐに、顔をしかめた。
「なんだと?」
「俺と結婚しろ、アーク」
「へっ?」
気を抜いた瞬間に、アークの額に陶器のカップが激突し、音をたてて割れ散った。
わわっ!
俺は、びびっていた。
アークの額が陶器の破片で切れて、流血している。
このままこの術を続けるのは、危険過ぎる。
俺は、魔力の指揮権をアークから奪い取るとすぐさま、魔力を打ち消して術を終息させた。
ガタン。
大きな音がして、部屋の中を舞っていた家具が床に落下する。
アークは、その場にがくっと膝をつき額から流れ落ちる血を手で押さえた。
「アーク!大丈夫か?」
クリスがアークに駆け寄ろうとするのをアークは、片手で制すると、俺に向かって言った。
「その婚姻の魔法ならお前を俺のものにできるっていうのか?ユウ」
「ああ」
俺は、答えた。
「ただし、俺と、その、夫婦にならなきゃいけないけどな」
「・・いいだろう」
額から流れる血を拭いながら、アークは、凄絶な微笑みを浮かべた。
「お前の全てを俺のものにする」
クリスとアークは、嵐の吹き荒れた後の室内を片付けていた。
二つあったベッドの内の一つは、俺がのっかていたから無事だったけど、もう一つの方は、見る影もなく破壊されていた。
「まったく、無茶苦茶だな」
クリスが木片を片付けながらぶつぶつと文句を言った。
「こんなお前にすら制御できない力を手にいれたところでどうすることもできないんじゃないか?」
「ふん」
アークは、シャツを裂いて作った白い布で額をぐるぐる巻きにして血を押さえていたがみるみる内に白い布は赤くぐっしょりと染まっていった。
「こんな制御しきれないほどの圧倒的な力だからこそ、魔王を倒すにたるというものだ。それに」
アークは、獣の様なぎらついた目で俺を見た。
「あの古の大魔導師 エドランの残した叡知を手にすることができるんだ。魔導を探究するものならみすみす逃すことなどできないことだ」
俺は、アークの強い眼差しから目をそらすと素っ気なく言った。
「お前は、魔導師なのに傷も治せないのか?はやく血を止めろ。出血は、腐敗を産み、闇を呼び寄せるぞ」
「ああ?」
クリスがくすっと笑った。
「治癒の魔法は、アークには、無理だな。こいつ、魔導師団長とか言ってるが治癒の魔法は、からっきしだからな」
「人には、向き不向きがあるんだよ」
アークがベッドの前に辛うじて姿を保っている椅子を置いて腰かけると、ベッドの端に座っている俺に向かって言った。
「それで?俺は、どうすればいいんだ?偉大なる魔導書よ」
アークは、俺を食らいつくような目で見つめていた。
「どうすれば、お前を手に入れられる?」
俺は、どきん、と心臓が跳ね上がるのを感じていた。
傷ついたアークは、荒々しい雄の魅力に溢れていた。
俺は、ドキドキしながら目をそらして自分に言い聞かせていた。
しっかりしろ、俺。
俺は、男に抱かれるんじゃなくて、男を抱く男だ!
っていっても、まだ、童貞だけどな。
「それは」
俺は、アークに言った。
「誓いの言葉と、く、口づけで契約を結ぶことになる」
「それだけ、か?」
アークに聞かれた俺は、戸惑いを隠せなかった。
「それっだけ、って?」
「もっと強く、深く、絆を結ばなくてもいいのか?」
「つ、強く、深くって・・例えば?」
俺は、アークを見つめてきいた。アークは、俺の視線を捕らえて離そうとはしない。
「つまり、俺がお前のことを抱くってことだよ」
だ、抱く?
俺は、かぁっと頬が熱くなるのを感じた。
俺が、この男に抱かれるってか?
「こ、断る。俺の好みは、もっと、小柄な、小動物みたいにかわいい人だからな」
俺は、きっぱりと言った。そして、ぎくしゃくとアークの方へと手を伸ばした。
「お前、はやく、傷を治せ。さもないと悪いものを呼び寄せてしまうぞ」
俺は、身を乗り出すとアークの額にそっと触れた。
ぽぅっと優しい白い光がアークを包み込むと同時に、血の跡が消えていく。クリスが感嘆の声を漏らした。
「治癒魔法も使えるのか、ユウ」
俺は、クリスに向かって頷くと、立ち上がりアークの方へと近寄り、奴を覗き込んだ。
「俺の力を自分のものにしたければ、俺のものになるしかない」
俺は、アークのダークグリーンの瞳を見つめて言った。
「俺に、魂を寄越せ、アークラント・ダンクール」
「魂、だと?」
アークが俺の両手を捕らえて引き寄せて言った。
「どちらがどちらに魂を捧げるかは、俺次第だろう?ユウ」
アークは、俺を膝の上に抱き寄せて座らせると、項に口づけしながら囁いた。
「俺に魂を捧げさせてやる」
はい?
俺は、首筋を舐められ、びくん、と体を震わせた。
「なに、言ってる」
「無理するな。女も抱いたことがないようなガキのくせに」
アークが俺の耳朶を甘噛みしたので、俺の背筋をぞくぞくした感覚が走った。アークは、俺に言った。
「大人をからかうとどうなるか、教えておかないとな、ユウ」
「ちょ、ちょっと、待って」
俺は、抗ったがアークの腕からは逃れることができなかった。
な、何?
俺は、体から力が抜けていくのを感じていた。
なんか、変、だ。
俺、こんな、格下相手に、どうなってんの?
焦っている俺に向かって、アークがにやりと笑った。
「ああ、この術か。これは、魅了の術の一種だよ。抱きたい相手の心を虜にして欲情させる術、だ。俺も実際に使うのは初めてなんだが」
気がつくとアークの足元には、金色の魔方陣が展開されていた。
マジか?
こんな子供騙しな術に、俺が囚われるなんて。
あり得ない!
「クリス!」
俺は、アークの腕に抱きすくめられたまま、クリスに救いを求めたが、クリスは、溜め息をついて立ち上がると、俺たちに背を向け部屋を出ていこうとしていた。
「ちょ、ちょっと、待った!クリス!俺を見捨てる気か!」
俺は、クリスの背に向かって叫んだが、クリスは、冷たく言い放った。
「アークが珍しく魔術師団長として国のために働こうとしているんだ。俺が邪魔をするわけにはいかないだろう。それとも」
クリスは、にやっと笑った。
「見られてる方がいいのか?ユウは」
んなわけがねぇだろ!
俺が怒りにわなないている間に、クリスは、部屋から出ていった。
「さあ、邪魔者もいなくなったし、始めようか」
アークが俺を抱き上げて、俺を見つめて言ったので、俺は、恐る恐るきいた。
「な、何を?」
「婚姻の魔法、だ」
アークは、魅了の魔法にかかり、動けなくなっている俺を抱いてベッドの方へと運ぶと、そこにそっと下ろした。
「お前を強く、深く、どこまでも俺のものにしてやるよ、ユウ」
マジで?
俺は、ひきつった笑みを浮かべていた。
ピンチ、だ!
俺は、ベッドの上で横になって、アークを見上げた。
ヤバい!
このままじゃ、俺、こいつにやられる!
俺は、目を閉じて全力で祈っていた。
神様、俺のバックバージンを守って!
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