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2 王立モスキュラード学園
2ー2 聖女の錫杖
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2ー2 聖女の錫杖
試験1日目の終わりに俺は、アンドレア王女と馬車停めで待ち合わせて馬車に乗り合わせて帰路についた。
俺は、思ったよりも筆記試験ができたような気がしてかなり気分が高揚していた。
だが反対にアンドレア王女の表情は、心なしかうかない様子で、俺は、彼女が心配になる。
「どうかされましたか?アンドレア様」
俺が思いきって問いかけるとアンドレア王女は、弱々しく微笑んだ。
「大丈夫です。ただ、明日の実技の試験のことが気になって…」
アンドレア王女は、ストーレイ騎士団長に剣を教わっている。
よっぽどのことがなければ実技で不合格になるとは思えない。
俺がそう言うとアンドレア王女がふぅっと嘆息する。
「そうなのですが…私は、実際に剣で他者と競ったことがないのです。ましてや魔道具では…」
「では、離宮に帰ってから俺がお相手をしましょう」
俺の提案にアンドレア王女は、ぱぁっと表情を明るくしてくれた。
離宮へ戻ると俺たちは、すぐに離宮の庭に出た。
「それがアンドレア様の魔道具なのですか?」
俺は、アンドレア様が手にしている錫杖を見た。
銀色に輝く大きな玉のついたアンドレア王女より背の高い錫杖を俺は、『魔眼』で見ると、その錫杖が『大地の聖女の錫杖』であることがわかる。
聖女。
俺は、アンドレア様に訊ねた。
「あなたは、普段、どのようにその錫杖を使っておられるのですか?」
俺の質問にアンドレア王女は、困ったような表情を見せる。
「この杖は、土の魔法の杖なのです。でも、恥ずかしいのですが小さな穴を掘るぐらいしか能力がないのです。だから、戦闘の訓練では、これをあまり使うことがないのです」
「もったいない!」
俺は、アンドレア王女に王女の持つ錫杖が何なのかを説明した。
「あなたの持つその錫杖は、『大地の聖女の錫杖』です。能力は、大地を通しての治癒能力、そして、強力な土魔法の付与がされています」
「治癒能力?」
アンドレア王女が驚いた顔をしている。
「これが聖女の錫杖?」
俺は、頷くと『魔眼』を発動させて俺の魔力をアンドレア王女と同調させていく。
アンドレア王女がはぅっと小さく呻いて体を固くするのがわかる。
王女の魔力が俺の魔力に浸潤されていき、王女が呼吸を乱す。
「呼吸を整えて。集中してください」
俺は、そっと手を伸ばしてアンドレア王女の錫杖を持つ手に触れた。
ぽぅっと錫杖の先端についている玉が輝きその光が辺りに溢れていく。
夕暮れで少し肌寒かった離宮の庭の空気がふわっと暖かくなったと思ったら俺とアンドレア王女を中心として緑が芽吹いていく。
「これ、は?」
あっという間に離宮の庭は、草むらに変化し、植生が枝を伸ばしあちこちに花が咲き乱れる。
俺は、じょじょにアンドレア王女に注ぐ自分の魔力を押さえていく。
アンドレア王女が自分の魔力のみで錫杖の力をコントロールできるようになると俺は、王女の手から手を離した。
辺りをおおっていた光が消えていき、夜の仄かな闇に包まれていく。
辺りには、花の甘い香りが漂っていた。
「こんな力がこの魔道具にあったなんて!」
試験1日目の終わりに俺は、アンドレア王女と馬車停めで待ち合わせて馬車に乗り合わせて帰路についた。
俺は、思ったよりも筆記試験ができたような気がしてかなり気分が高揚していた。
だが反対にアンドレア王女の表情は、心なしかうかない様子で、俺は、彼女が心配になる。
「どうかされましたか?アンドレア様」
俺が思いきって問いかけるとアンドレア王女は、弱々しく微笑んだ。
「大丈夫です。ただ、明日の実技の試験のことが気になって…」
アンドレア王女は、ストーレイ騎士団長に剣を教わっている。
よっぽどのことがなければ実技で不合格になるとは思えない。
俺がそう言うとアンドレア王女がふぅっと嘆息する。
「そうなのですが…私は、実際に剣で他者と競ったことがないのです。ましてや魔道具では…」
「では、離宮に帰ってから俺がお相手をしましょう」
俺の提案にアンドレア王女は、ぱぁっと表情を明るくしてくれた。
離宮へ戻ると俺たちは、すぐに離宮の庭に出た。
「それがアンドレア様の魔道具なのですか?」
俺は、アンドレア様が手にしている錫杖を見た。
銀色に輝く大きな玉のついたアンドレア王女より背の高い錫杖を俺は、『魔眼』で見ると、その錫杖が『大地の聖女の錫杖』であることがわかる。
聖女。
俺は、アンドレア様に訊ねた。
「あなたは、普段、どのようにその錫杖を使っておられるのですか?」
俺の質問にアンドレア王女は、困ったような表情を見せる。
「この杖は、土の魔法の杖なのです。でも、恥ずかしいのですが小さな穴を掘るぐらいしか能力がないのです。だから、戦闘の訓練では、これをあまり使うことがないのです」
「もったいない!」
俺は、アンドレア王女に王女の持つ錫杖が何なのかを説明した。
「あなたの持つその錫杖は、『大地の聖女の錫杖』です。能力は、大地を通しての治癒能力、そして、強力な土魔法の付与がされています」
「治癒能力?」
アンドレア王女が驚いた顔をしている。
「これが聖女の錫杖?」
俺は、頷くと『魔眼』を発動させて俺の魔力をアンドレア王女と同調させていく。
アンドレア王女がはぅっと小さく呻いて体を固くするのがわかる。
王女の魔力が俺の魔力に浸潤されていき、王女が呼吸を乱す。
「呼吸を整えて。集中してください」
俺は、そっと手を伸ばしてアンドレア王女の錫杖を持つ手に触れた。
ぽぅっと錫杖の先端についている玉が輝きその光が辺りに溢れていく。
夕暮れで少し肌寒かった離宮の庭の空気がふわっと暖かくなったと思ったら俺とアンドレア王女を中心として緑が芽吹いていく。
「これ、は?」
あっという間に離宮の庭は、草むらに変化し、植生が枝を伸ばしあちこちに花が咲き乱れる。
俺は、じょじょにアンドレア王女に注ぐ自分の魔力を押さえていく。
アンドレア王女が自分の魔力のみで錫杖の力をコントロールできるようになると俺は、王女の手から手を離した。
辺りをおおっていた光が消えていき、夜の仄かな闇に包まれていく。
辺りには、花の甘い香りが漂っていた。
「こんな力がこの魔道具にあったなんて!」
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