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2 王立モスキュラード学園
2ー4 剣と鏡
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2ー4 剣と鏡
王立モスキュラード学園の入学試験2日目は、広い訓練場における魔道具を使用した対戦形式での実技試験だ。
昨日の筆記に比べたら俺は、気持ちに余裕があった。
アンドレア王女も。
俺たちは、お互いの手をそっと繋いで試験会場へと向かった。
会場に入るとき、一瞬、俺たちは、足を止めるとお互いを見つめあった。
「いきましょう、アンドレア様」
「はい!」
試験は、いくつかのグループにわかれて行われる。
俺とアンドレア王女は、別々のグループだった。
俺たちは、手を離してお互いの試験のグループへと別れた。
1グループがおよそ100人ぐらいで、それが10か所にわかれてそれぞれ実技の試験を受ける。
俺は、周囲を見回す。
ざっと見たところ、ほとんどの受験者が剣のような魔道具を持っていた。
「お前、魔道具はどうした?」
背後から声をかけられて俺は、後ろを振り向いた。
そこには、金色の短髪の青い瞳をした背が高い、彫りの深い美青年が立っていた。
俺は、『魔眼』で青年を見た。
『アントニー・フォン・ステイクス(17)
ステイクス伯爵家の3男。騎士を目指している。魔道具は、『炎の剣』』
俺は、青年が腰に下げている剣の魔道具をちらっと見た。
豪奢な鞘に納められたその魔道具は、長剣の形をしている。
俺は、アントニーと向き合うと上着の内ポケットから取り出した簡易版『魔法書』を見せる。
大きい本の形だと扱いづらいので普段は、薄い本の形に変化させているのだ。
アントニーは、俺の『魔法書』を見て眉をしかめる。
「なんだ?それは」
「本だ」
俺は、『魔法書』をアントニーがよく見えるように胸元に掲げて見せた。
「すごい!本の形の魔道具だなんて!」
アントニーの背後から小柄な長い黒髪のメガネをかけた少女が顔を出した。
少女は、その黒いつぶらな瞳を輝かせて俺の手元の『魔法書』を見つめていた。
「見せていただいてもいいですか?あ、わたしは、クレア。クレア・ミルドレッドです。魔道具は、この鏡です」
俺は、少女に『魔眼』を向けた。
『クレア・ミルドレッド(16)
工房の娘。魔道具技師の力を持つ。所持している魔道具は、『変化の鏡』』
俺は、クレアの差し出した鏡を見た。
それは、丸い変哲のないただの鏡のようだった。
だが。
この鏡は、油断できない、と俺の『魔眼』が告げていた。
王立モスキュラード学園の入学試験2日目は、広い訓練場における魔道具を使用した対戦形式での実技試験だ。
昨日の筆記に比べたら俺は、気持ちに余裕があった。
アンドレア王女も。
俺たちは、お互いの手をそっと繋いで試験会場へと向かった。
会場に入るとき、一瞬、俺たちは、足を止めるとお互いを見つめあった。
「いきましょう、アンドレア様」
「はい!」
試験は、いくつかのグループにわかれて行われる。
俺とアンドレア王女は、別々のグループだった。
俺たちは、手を離してお互いの試験のグループへと別れた。
1グループがおよそ100人ぐらいで、それが10か所にわかれてそれぞれ実技の試験を受ける。
俺は、周囲を見回す。
ざっと見たところ、ほとんどの受験者が剣のような魔道具を持っていた。
「お前、魔道具はどうした?」
背後から声をかけられて俺は、後ろを振り向いた。
そこには、金色の短髪の青い瞳をした背が高い、彫りの深い美青年が立っていた。
俺は、『魔眼』で青年を見た。
『アントニー・フォン・ステイクス(17)
ステイクス伯爵家の3男。騎士を目指している。魔道具は、『炎の剣』』
俺は、青年が腰に下げている剣の魔道具をちらっと見た。
豪奢な鞘に納められたその魔道具は、長剣の形をしている。
俺は、アントニーと向き合うと上着の内ポケットから取り出した簡易版『魔法書』を見せる。
大きい本の形だと扱いづらいので普段は、薄い本の形に変化させているのだ。
アントニーは、俺の『魔法書』を見て眉をしかめる。
「なんだ?それは」
「本だ」
俺は、『魔法書』をアントニーがよく見えるように胸元に掲げて見せた。
「すごい!本の形の魔道具だなんて!」
アントニーの背後から小柄な長い黒髪のメガネをかけた少女が顔を出した。
少女は、その黒いつぶらな瞳を輝かせて俺の手元の『魔法書』を見つめていた。
「見せていただいてもいいですか?あ、わたしは、クレア。クレア・ミルドレッドです。魔道具は、この鏡です」
俺は、少女に『魔眼』を向けた。
『クレア・ミルドレッド(16)
工房の娘。魔道具技師の力を持つ。所持している魔道具は、『変化の鏡』』
俺は、クレアの差し出した鏡を見た。
それは、丸い変哲のないただの鏡のようだった。
だが。
この鏡は、油断できない、と俺の『魔眼』が告げていた。
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