魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない！～できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません！～

5 ダンジョン攻略と甘い生活

5ー9 知らんがな！

　５ー９　知らんがな！

　突然、ドアがノックされる。
　｢エドワード君、いる？｣
　エリュメの声だ！
　俺は、とっさに待つように、と答えようとしたが、俺が返事をする前にルカがドアを開けてしまった。
　｢えっ？｣
　エリュメの表情が強ばる。
　ルカに通されたエリュメが無言で部屋の中に進み入ってくる。
　気のせいか顔が怖い？
　ソファに腰を下ろしたエリュメにルカがお茶を出す。
　エリュメが一口飲む。
　｢おいしい！｣
　にこにこ笑いながらエリュメがルカを褒める。
　｢あなた、なかなかお茶を入れるのが上手ね｣
　｢恐れ入ります｣
　ぺこりと頭を下げるルカからエリュメの視線がぎぎっと俺の方へと移る。
　｢で？いつの間にこんな綺麗なメイドさんを雇ったのかしら？｣
　目が！
　怖いぃっ！
　というか。
　ルカは、俺の使い魔というか、魔道具だし！
　よく考えたら別に誰にも気を使わなくてはならないことなんてない筈だ！
　｢実は、この子は、その、ダンジョンで拾った魔道具なんだ｣
　俺が言うとエリュメがにこっと笑う。
　うん。
　いい感じに理解を得られた？
　エリュメは。
　手に持っていたカップをテーブルに叩きつけた。がちゃん、と音をたててカップが粉々に壊れる。
　｢どういうことか説明してくださるかしら？エドワード君｣
　全然目が笑ってない笑顔できくエリュメに俺は、もう一度、説明する。
　｢だから、この前のダンジョンで、ほら、ラズボスを討伐した時に！｣
　俺は、虚しさを感じながらエリュメに説明をする。
　｢実は、ドラゴンの巣の奥でこの魔道具を拾ってさ｣
　｢へぇ、そうなんだ｣
　エリュメがぜんぜんハイライトのない瞳で微笑む。
　いやっ！
　怖い怖いっ！
　結局、エリュメにわかってもらえるまで小一時間は、ちくちくと嫌みを言われた。
　というか、理解してもらえてからも！
　｢なんで、わたしたちに話してくれなかったの？｣
　だって！
　俺も白昼夢だと思ってたし！
　｢白昼夢？｣
　俺は、自分が造った魔道具である『時巡りの剣』の能力から説明させられた。
　｢…というわけで、時空に魔道具が働きかけたせいでこの子の本体が目覚めてしまい、俺を勝手にマスター認定しちゃったんだって！｣
　｢そうなんだ｣
　エリュメが納得した様子で頷いた。
　だが。
　最終的にエリュメは、俺に訊ねたのだった。
　｢なんでメイド？｣
　知らんがな！
　この子が勝手にメイドになってたんだし！