悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ

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8 魔王と聖者と浄化の旅(2)

8ー8 安産ですか?

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 8ー8 安産ですか?

 僕らは、聖者とイグルト一行が街を出ていくとすぐにその後を追って出発した。
 街からグレーシアル湖までは目と鼻の先だ。
 湖の周囲には小さな村が点在している。
 ソドルの調べでは、そのうちの一つであるイーザの街に聖者たちは浄化の拠点を置くつもりなのだという。
 僕らは、旅人を装ってイーザの街へ入ることにした。
 そこは、小さな村だったが温泉がわいており湖観光で有名なところらしかった。
 僕らは、村の宿屋に部屋をとった。
 ここは、小さな村だったが村の中には宿屋がいくつかあった。
 聖者たちは、僕たちの泊まる宿屋のすぐそばにある村で一番大きな宿屋に宿泊するようだ。
 宿屋では、イグルトの配置した衛兵たちから取り調べを受けた。
 イグルトは、この村に滞在するすべての旅客を聴取しているのだという。
 魔王軍の強面の兵士たちの聴取に僕たちに緊張が走った。
 もし、ここで僕たちの正体がばれたら。
 ヤマトに会うことすらできなくなるかもしれない。
 青ざめている僕にロイがにこっと微笑んだ。
 「我々は、旅の商人でございます。この度は、イデの街まで商用で参りましたので、ついでにちょっと足を伸ばしてこのイーザまで来た次第で。何しろ妻が身重でして。このイーザの村の温泉は、たいそう体にいいそうで」
 ロイが代表して答えると、兵士たちは僕のことをチラリとみた。
 「兎族か。そりゃ、きっといい子が産まれるぞ。なにしろ、このイーザの温泉は安産にいいってことだしな」
 マジですか?
 僕は、兵士たちにねっとりした目付きで見られて顔を伏せた。
 兵士たちは、僕を覗き込むとニヤニヤと笑った。
 「なるほど。ほんとに美人だな。旦那のあんたが可愛がってるわけだ」
 はい?
 兵士たちのいやらしい笑いに僕は、頬が熱くなる。
 ロイが兵士と僕との間にわって入った。
 「あまりからかってやらんでくださいませんか。これは、恥ずかしがりやでして」
 「おお、すまんな」
 兵士たちは、ニヤニヤ笑いながらも僕を解放してくれた。
 「まあ、ゆっくりとしていくことだ」
 「ありがとうございます」
 
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