悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ

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9 魔王と聖者と浄化の旅(3)

9ー11 待っている

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 9ー11 待っている

 徐々にヤマトの触れている水面が青く澄んでいくのがわかった。
 音もなく浄化の光が拡がっていく。
 だけど。
 ヤマトは、青ざめて苦しそうに顔を歪めていた。
 僕は、そっと手を伸ばしてヤマトの頬に触れる。
 「ヤマト」
 僕は、思いを込めてそっとヤマトの唇にキスをした。
 いろんなことがあったけど、やっぱりヤマトは僕の大切な人だ。
 唇を通して僕の魔力をヤマトへと注ぎ込んでいく。
 最初は、ゆっくり、おずおずと。
 だが、だんだんとそれは激しく深くなっていく。
 「はっ・・・」
 舌を絡めあいお互いの唾液を交換していく。
 僕の体が熱く火照っていくのを感じて、僕は、身じろぎした。
 昨夜のイグルトとの交わりの余韻に疼く体が過剰に反応して僕は、もう中心が固く芯を持ってきているのがわかった。
 「ラムダ・・」
 「はっん・・だいじょぶ、続けて、ヤマト」
 僕は、ヤマトについばむようなキスを繰り返した。
 その間も常に魔力を流し込むことはやめない。
 「ふぁ・・・」
 僕は、ヤマトの舌を求めて自分の舌を絡ませていく。
 ヤマトは、僕の魔力を使って湖をどんどん浄化していった。
 もう少し。
 僕は、呼吸を乱しながらもヤマトへと魔力を注ぎ込み続けた。
 「ヤマト・・」
 僕は、熱い吐息を漏らした。
 触れて欲しい。
 もっと。
 感じさせて。
 僕をめちゃくちゃにして。
 「これ、が終わったら・・」
 「わかってる」
 ヤマトが僕を抱く手に力を込めた。
 「たっぷりとかわいがってやる」
 「うん」
 僕は、涙目で微笑んだ。
 湖は、青く澄みわたっていく。
 僕らは、水面に浮かんで抱き合っていた。
 愛している。
 いっぱい嫌なこともされたけど。
 それでも、僕は、ヤマトを愛している。
 僕の意識は、遠く遠くへと拡がっていく。
 この湖を超えて。 
 街を越えて。
 ロイたちがヤマトの仲間たちを救出するのが見えた。
 僕は、ほっと安堵した。
 これで、ヤマトを縛るものは何もなくなった。
 僕の意識は、さらに拡がっていき、世界の果てまでも届いていく。
 そこには。
 ああ。
 愛しい彼の人が微笑んでいる。
 ヴァルナム。
 僕は、待っているよ。
 あなたに会える時がくることを。
 あなたに。
 愛される時がくる時を。
 待っている。
 
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