妹の身代りに生け贄にされたんだけどガチでマジ恋しちゃいました~世界にただ1人の男Ωは、邪神の激愛に絆される~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
15 / 86
2 狂愛の宴

2ー5 獣の名前

しおりを挟む
 2ー5 獣の名前

 何か、忘れているような気がする。
 僕は、はっと気付いた。
 「ロナ!」
 ロナは、どうなったんだ?
 僕は、獣のほっぺたを両手で引っ張る。
 「ロナは?」
 「ロナ?」
 獣が首を傾げる。
 「何だ?それは」
 僕は、諦めて獣の毛並みの中からなんとか抜け出そうとしたが、獣がそれを阻止しようとする。
 「ダメ、俺から離れる、いけない!」
 「でも!」
 僕は、獣に説明する。
 「僕の連れを探さないと!」
 「連れ?」
 獣がぱちぱちと瞬きをする。
 「もしかして、あの羽虫か?」
 羽虫?
 獣が長い尻尾で床を叩くと周囲を包み込んでいた霞が晴れる。
 「ロナ?」
 ロナがいた!
 ロナは、円形になった僕たちがいる広場の外で何もない空間を両手で叩いていた。
 「マクシア様!」
 「ロナ!」
 僕は、ホッとしていた。
 ロナも無事だったんだ!
 「ロナ、大丈夫?」
 「マクシア様!」
 ロナは、どうやら何かに阻まれてこちらに入ることができないようだった。
 たぶん、この獣が原因だろう。
 僕は、獣に頼んだ。
 「ロナと話をしたいんだ」
 「お前、他の誰かと話す必要、ない」
 獣がふん、と鼻を鳴らした。
 「お前、俺のもの」
 はいっ?
 僕は、獣の鼻先を拳で殴る。
 「僕は、誰のものでもないし!」
 「何?」
 衝撃を受けているらしい獣を尻目に僕は、彼のもとから抜け出してロナの方へと向かった。
 「待て!」
 獣が僕の後ろからついてくるが、僕は、それより服がないことをなんとかしたいと考えていた。
 僕が着ていたあの花嫁衣装は、いつの間にか獣の手でぼろぼろに破られ打ち捨てられていたのだ。
 僕は、獣の長いふさふさの尾を手に取るとそれで体を隠そうとした。
 うん。
 なんとか大事なところは隠れているし!
 「ロナ!」
 ロナは、獣の尾で体を隠している僕を見て目を丸くしている。
 それは、そうかも。
 僕は、頬が熱くなる。
 「マクシア様、ご無事だったのですね!」
 僕の姿に涙を流すロナ。
 僕は、さりげなく体に残った赤いアザやらなんやらを隠しながらロナに近づくとちょっと考えてからロナに獣を紹介することにした。 
 「ロナ、これは・・おい!名前は?」
 僕が尻尾を引っ張ると獣は、口ごもる。
 「俺、ナマエ、ない」
 「はぁっ?」
 僕は、信じられないという目で鴨のを見た。
 確か、神官たちや『古き魔女』たちは、こいつのことを『尊きお方』とか呼んでいたっけ?
 まあ、ルーデニア兄上は、『邪神』とも呼んでいたし、僕もこいつのことをそう、思っていた。
 でも。
 なんだか違うかも。
 僕は、この獣のことをなんと呼べばいいのか悩んでいた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

処理中です...