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7 崩壊する世界
7ー4 王宮にて
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7ー4 王宮にて
王都に入ると僕は、目を見張った。
かつての王都よりずっと賑わっている様子に驚かされる。
確かに、まだ街のあちこちにクーリアスの起こした内乱の跡が残されているけれど、それを上回る賑わいに僕は、改めてルーデニア兄上は、王の器なのだと確信せずにはいられなかった。
「すごいですね!まるで祭りのようです!」
ロナも驚きを隠せない。
僕らは、そのまま王宮へと向かった。
「また、ゆっくりと街を見て回ろうな、ヴェルデ」
僕がそう言ってヴェルデの手をそっと握るとヴェルデがふん、と鼻を鳴らす。
「人の街など興味はないがな。まあ、お前が行きたいなら付き合ってやってもいい」
そうなの?
僕は、思わず笑みが溢れた。
興味がないみたいなことを言ってるけど、ヴェルデの尻尾と耳がぴくぴくしているし!
絶対に興味がある筈。
考えてみればヴェルデは、神代の頃から魔境にあった神殿に封印されていたわけで。
人の営みなんて目にしたこともなかったのだろう。
僕は、ヴェルデをうんと甘やかしたいと思っていた。
ヴェルデに見たこともないものをいっぱい見せてやりたいし、美味しいものも食べさせてやりたい。
面白いものを見せてやりたい。
この世界がどんなに素晴らしいかを教えてやりたかった。
馬車が王宮につくと僕たちは、すぐに庭に面した日当たりのよいサロンに通された。
「しばらくお待ちくださいませ、マクシア殿下」
侍従に礼をとられて僕は、なんだか妙な気持ちになる。
今まで僕は、王宮でも殿下とかめったに呼ばれることがなかった。
というか王宮に来ること事態があまりなくて。
いつも騎士団の詰め所と自分の離宮の往復でそれ以外は許されなかった。
特にオメガになってからは、すぐに王宮を追われてしまったからなぁ。
しみじみしていると侍従がお茶をいれてくれた。
以前は、ロナ以外の誰かが僕にお茶をいれてくれることなんてなかった。
僕は、金色の香り高いお茶の入ったカップを手にしてため息をつく。
「何をため息をついているんだ?マクシア」
かっかっと靴音高くルーデニア兄上が部屋に入ってくる。
「ルーデニア兄上」
僕は、慌ててカップをテーブルに置いて立ち上がり騎士の礼をとる。
「この度はお招きいただきありがとうございます」
「かまわない。ここは、お前の家でもあるのだからな」
ルーデニア兄上が僕の正面の椅子に腰かけるとすぐに侍従がお茶を運んでくる。
兄上は、お茶のカップを手にとるとくん、と匂いを嗅いで微笑んだ。
「わかるか?マクシア。これは、ルドーから仕入れたお前の村で作られたお茶だ」
僕は、こくりと頷いた。
最近、僕の畑で作った花でお茶を調合してそれをルドーさんに売っている。
村の名産物になりつつあるお茶をルーデニア兄上が味わってくれていることが嬉しかった。
王都に入ると僕は、目を見張った。
かつての王都よりずっと賑わっている様子に驚かされる。
確かに、まだ街のあちこちにクーリアスの起こした内乱の跡が残されているけれど、それを上回る賑わいに僕は、改めてルーデニア兄上は、王の器なのだと確信せずにはいられなかった。
「すごいですね!まるで祭りのようです!」
ロナも驚きを隠せない。
僕らは、そのまま王宮へと向かった。
「また、ゆっくりと街を見て回ろうな、ヴェルデ」
僕がそう言ってヴェルデの手をそっと握るとヴェルデがふん、と鼻を鳴らす。
「人の街など興味はないがな。まあ、お前が行きたいなら付き合ってやってもいい」
そうなの?
僕は、思わず笑みが溢れた。
興味がないみたいなことを言ってるけど、ヴェルデの尻尾と耳がぴくぴくしているし!
絶対に興味がある筈。
考えてみればヴェルデは、神代の頃から魔境にあった神殿に封印されていたわけで。
人の営みなんて目にしたこともなかったのだろう。
僕は、ヴェルデをうんと甘やかしたいと思っていた。
ヴェルデに見たこともないものをいっぱい見せてやりたいし、美味しいものも食べさせてやりたい。
面白いものを見せてやりたい。
この世界がどんなに素晴らしいかを教えてやりたかった。
馬車が王宮につくと僕たちは、すぐに庭に面した日当たりのよいサロンに通された。
「しばらくお待ちくださいませ、マクシア殿下」
侍従に礼をとられて僕は、なんだか妙な気持ちになる。
今まで僕は、王宮でも殿下とかめったに呼ばれることがなかった。
というか王宮に来ること事態があまりなくて。
いつも騎士団の詰め所と自分の離宮の往復でそれ以外は許されなかった。
特にオメガになってからは、すぐに王宮を追われてしまったからなぁ。
しみじみしていると侍従がお茶をいれてくれた。
以前は、ロナ以外の誰かが僕にお茶をいれてくれることなんてなかった。
僕は、金色の香り高いお茶の入ったカップを手にしてため息をつく。
「何をため息をついているんだ?マクシア」
かっかっと靴音高くルーデニア兄上が部屋に入ってくる。
「ルーデニア兄上」
僕は、慌ててカップをテーブルに置いて立ち上がり騎士の礼をとる。
「この度はお招きいただきありがとうございます」
「かまわない。ここは、お前の家でもあるのだからな」
ルーデニア兄上が僕の正面の椅子に腰かけるとすぐに侍従がお茶を運んでくる。
兄上は、お茶のカップを手にとるとくん、と匂いを嗅いで微笑んだ。
「わかるか?マクシア。これは、ルドーから仕入れたお前の村で作られたお茶だ」
僕は、こくりと頷いた。
最近、僕の畑で作った花でお茶を調合してそれをルドーさんに売っている。
村の名産物になりつつあるお茶をルーデニア兄上が味わってくれていることが嬉しかった。
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