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エピローグ
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月日がたつのは早い。
国内は徐々に、落ち着きを取り戻す。
父はあちこち旅をしているらしい。
時々手紙が届く。
『そろそろ、孫の顔が見たいものだ』
ですって。
カル様も私も、いつもの日常に戻っていく。
朝は互いに目覚めて見つめ合い、夜は二人丸まって眠る。
聖女の御力によって、カル様の古傷は治癒した。
こればかりは聖女セルーフェ様に感謝だわ。
カル様は冷え性も改善し、ガウンを脱いでベッドに入る。
はだけた胸元に私は、ちょっとドキっとするの。
夕暮れ時は手を繋ぎ、邸の庭園を二人歩く。
最近部署換えがあったようで、カル様は後宮担当から、古文書担当になった。
「他国も含めて、歴史は興味深いね」
古い魔術や呪術の本なども、古文書館に置いてあるそうだ。
私もいずれ読んでみたい。やらなくて済むならやりたくないけど、「祓戸」の力は磨いておきたいから。
王宮の混乱から二年たった。
それは初雪が降った朝だった。
目覚めたカル様が「あっ」と声を出す。
「どうしました?」
カル様の顔が赤い。
熱かしら?
「いや、ええと、その、なんだ」
背を向けてカル様がぼそりと言う。
「あ、朝だから、その勃って……」
「え? 勃ったって、チン……「言うな! それ以上言うなあ!」
カル様の身体の不具合は、聖女の技と呪いの解除で大分良くなったみたい。
最近聖女セルーフェは、治癒能力の高さで有名になっている。
カル様の真っ赤な頬に、私はキスをする。
「これからも、白い結婚で構わないですわ、私」
「え? ああ……」
二人一緒に生きていられるなら、それで幸せなのだ。
国内は徐々に、落ち着きを取り戻す。
父はあちこち旅をしているらしい。
時々手紙が届く。
『そろそろ、孫の顔が見たいものだ』
ですって。
カル様も私も、いつもの日常に戻っていく。
朝は互いに目覚めて見つめ合い、夜は二人丸まって眠る。
聖女の御力によって、カル様の古傷は治癒した。
こればかりは聖女セルーフェ様に感謝だわ。
カル様は冷え性も改善し、ガウンを脱いでベッドに入る。
はだけた胸元に私は、ちょっとドキっとするの。
夕暮れ時は手を繋ぎ、邸の庭園を二人歩く。
最近部署換えがあったようで、カル様は後宮担当から、古文書担当になった。
「他国も含めて、歴史は興味深いね」
古い魔術や呪術の本なども、古文書館に置いてあるそうだ。
私もいずれ読んでみたい。やらなくて済むならやりたくないけど、「祓戸」の力は磨いておきたいから。
王宮の混乱から二年たった。
それは初雪が降った朝だった。
目覚めたカル様が「あっ」と声を出す。
「どうしました?」
カル様の顔が赤い。
熱かしら?
「いや、ええと、その、なんだ」
背を向けてカル様がぼそりと言う。
「あ、朝だから、その勃って……」
「え? 勃ったって、チン……「言うな! それ以上言うなあ!」
カル様の身体の不具合は、聖女の技と呪いの解除で大分良くなったみたい。
最近聖女セルーフェは、治癒能力の高さで有名になっている。
カル様の真っ赤な頬に、私はキスをする。
「これからも、白い結婚で構わないですわ、私」
「え? ああ……」
二人一緒に生きていられるなら、それで幸せなのだ。
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