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第五章
『ゴーレム重機のデモンストレーション』
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王都での用事と調整を終えた俺はアンドラ領に来ていた。
といっても領町のアンドラサスではなく、比較的南西部にある山野以外は何も無い場所である。
そこにアンドラの郷士たちとバルガス同胞団の王都詰めメンバーが居た。
「ゴルビー男爵。お願いします」
「了解した。代官殿の要請に従い、ゴーレムで開墾を行う」
「「……」」
王領代官であるアレクセイの要請で作業用ゴーレムを動かした。
治水に回していたストーンゴーレムが戻って来たので、三機が稼働することであっと言う間に作業の一つが終了した。土が荒く掘り起こされて、端っこにある木々やそこそこの大きさの岩がまとめて片付けられていく姿は壮観だ。
観衆が驚くのも無理はない。たったこれだけで四角四面の畑が出来上がるのだから。
「作業工程の一つ目を終えた。二つ目である、作業道と用水路を敷く作業に移行する。間に居る者は移動してくれ」
「ああ……」
見学人に注意を出しつつ二つの工程に移る。
一機目のゴーレムは畑の脇にある場所をゆっくり踏み固めて行き、二機目は穴を掘って用水路として使う場所に穴を掘り始めた。共に直線であり、間にある石や木の根っこなんか気にせずに作業して行く。三機目は穴を掘らせることで、溜め池として使う場所を低く掘り下げていくのだ。
基本的にはこれで終了。この時代の価値観であれば、明日から作業が出来るだろう。
「もう作業が終わったぞ……」
「作業工程の二つ目を終えた。三つ目である用水路と溜め池の貫通は、実際に使う者が決めるものとする。だがせっかくだ、田起こしもついでにやって置こう」
「起こしたばかりの土があんなに舞って……凄いな」
水を調整する閘門や適正な段差が出来てないので此処まで。
しかしそれだけではもったいないので、木製の作業用ゴーレムにはアタッチメントを付けて土を混ぜ合わせさせた。普通は空気や山の肥沃な土を混ぜ合わせるために、人間が丹念にやる作業である。
いずれにせよ、彼らの常識では既に新規開墾としては十分な場所に成ったわけだ。
「見ての通り簡単に作業が終わります」
「ここは代官所が経営する畑になりますが、要請次第で皆さんの所でも行います」
「それともう一つ……見ての通り、用水路が簡単に掘れ、道が作れました」
「つまり、既存の畑を整理して、道と用水路を整えた畑に作り直せるという事です。見ての通り、田起こしも簡単ですので、今までの様に『栄養のある土だから』と畑の移動を嫌がる必要もないでしょう」
全て終わった所でアレクセイが解説を始める。
デモンストレーションを見た為か、反発していた郷士たちも特に口は開いていない。驚きの声も上がらないのは、きっと驚き過ぎて信じられないからだろう。そこを見計らってアレクセイは区画整理を提案する。普通は手作業で根気よくみんなで畑を拓く為、小さな畑が林立するなんてことはよくあるのだ。その結果、みんなで手助けするのはまだ良いが、効率的にはあまりよろしくない畑に成る訳である。
いずれせによ、アンドラ領での収穫は上向いて行くだろう。
「まさか一日仕事とは。信じてもらえるか怪しい程ですよ」
「ならここで一仕事しないか? 領境を行き来して、見晴らしの問題を確認してくれ。もちろん、こないだ言った討伐部位や薬草を判別できるなら金を払うぜ。そこを均して見張り台なり柵を作って、魔物を食い止められるようにしたいんだ。先に発見して壁際で待てば大抵の魔物は簡単だからな」
バルガス同胞団の詰め所に居た男がやって来ている。
彼はバルガス河流域で開墾する際に、どれほどの作業が出来るのかを確認してあの大女に報告するのだろう。場合によってはバルガス伯爵家にも報告する筈で、その辺りの情報やら護衛料金として彼らは手を組みあの辺りを開墾するものと思われた。伯爵家は金を別の事に仕えるし、貴重な情報だってもらえてウハウハだ。代わりに同胞団も金を使わずに土地(それも暫くは納税免除された)がもらえる。
そして俺はそれだけでは済ませるつもりはないので、彼らに次いで依頼を発注する訳だ。
「領境に関所……いや、防衛拠点を作るんですかい?」
「今は南で魔物が良く出るだろ? 開墾のついでに領境を整えておけば二重の意味で役に立つ。守り易くなって安全になるし、安全になれば商人だって通り易くなる。通行税を上げなくても、そのうちに元が取れる筈だ」
彼は自分達で置き換えているので、実に良い判断をしてくれる。
魔物が出たら危険だということもあるし、おそらくは実入りが少なそうな場所か、あるいは危険地帯が彼らに易く割り当てられるはずだ。それを考えておけば、防衛にも考慮したここでの作業は関心が高いに違いない。
納得顔の彼に、もう一つ付け加えて説明をする
「それとここは代官所の経営で賦役だったり、難民にやらせて集団で作業するんだ。その間の食い物を負担する代わりに収穫は代官所の取り分だが……みんなで分け合う形ならお前さんのところでも出来る筈だぞ。付け加えるなら、普通の畑と防衛任務を持たされた半農の兵士じゃまるで意味が変って来る」
「確かにそうですね……。気合を入れて探ってきまさあ!」
説明したのは集団的自営農業と屯田兵だな。
みんなで作業するというという点では、公営も自営もない。その収穫を得る権利が誰なのか、その間の食い物を調達して配るのが誰に成るかの差でしかない。あとは良く働いたグループや個人には、そこそこのボーナスと表彰があっても良いだろう。
その事を理解した彼らは、依頼であるが自分たちの予行演習とばかりに奮起するだろう。
「男爵様。いずれユーリ様を娶られた伯爵になるのだとか。お子の御一人をこの地の領主に為される気はありませんかな? それは無理でも……その、この地にゴーレムの騎士団を設営されるとか?」
「ゴーレム騎士団には憧れるがどっちも無理だ」
アンドラで郷士をやっている者の一人が目ざとくやって来た。
初めて会ったばかりの俺に対して忠誠心やら期待など抱いているわけはないので、言葉通りゴーレムによる開拓を今後もやってくれるかというのを確認に来たのだろう。その気ならば自分の所を頼み、無理ならその旨を仲間内に高く売りつける。こういう情報は早ければ早い方が良いだけだし、『後もう少し』なら何かしらの条件を積む気なのだろう。
ただ、重機としての能力を発揮し、僅か一日で畑を作ってしまうゴーレムを特別な目で見ていること自体は判るのだ。俺もそのセールスにやってきたようなものだしな。
「まず遊牧民と仲が良くなったばかりで刺激する筈がない」
「次に警戒するのは少なくとも三十年から四十年は先だ」
「現状で彼らが命懸けでゴルビーを奪う価値が無いからな」
「その四十年後に砂漠と荒野ばかりのゴルビーが肥沃とは言わないがまともになったとして、仮にも地方と名前が付く場所を一貴族で抑えているんだぞ? この上、アンドラまで渡しすなんてのはありえない。さらに言えばゴーレムを作れる俺が勝手に作ってる可能性もあるのに、縁故のあるこの場所へ騎士団はともかくゴーレムってのは無いな」
ゴルビー地方はとても広いが収益は底辺である。
広いのに新興の男爵に任されるのは、砂漠と荒野で何も無いからだ。耕作地だってたかが知れるし、街が一つに後は寒村が幾つか。そんな地方だからこそ将来は伯爵になる可能性があるとはいえ、ただの貴族が領有して居られるのである。もちろん遊牧民が攻めて来て守り切れないとなったら、王国は容赦なく取り上げるだろう。領地防衛は貴族の義務なのだから(領民は義務に入っていない)。
とはいえ正論だけでは面白くないよな。
せっかくユーリ姫が繋いで縁故である。ここは少しくらい協力してやる事にしよう。
「ただ、そうだな。今は魔物が再活発化している話もある」
「それに、ここの代官であるアレクセイとは一緒に仕事をした仲だ」
「彼の要請で開墾だけではなく、防衛込みで手を課す事はあるだろ」
「そして暫くはアンドラの援助を兼ねて、アレクセイを通して木材や岩を買い取るつもりだ。もちろん、この辺りの相場よりは少し高くね。その量を少し殖やすってのはどうだ? その中には……そう、あそこに並べている木の様だ。ただ、何時までも必要でもないし、沢山要るわけでもない」
自分の所を都合よくやってくれなんて話は通らない。
もちろんその敷地で魔物が活動してるとか洪水が起きてて、そこをなんとかしないと困るなら話は別だが。だから取引に応じるなら協力すると言ってやる訳だが、それにしたってアレクセイとの契約が上に来るのは当然だろう。彼の紹介でもないのに、差し置いて良い待遇にはできない。
要するに、この話を集約するとこいつには『木材の価格次第』でゴーレムを使ってもらえるというチャンスがあるわけだ。それはアレクセイの進める計画とは+@。思ったほどに協力してもらえないとか、他の郷士より後回しにされるという可能性は無くなるだろう。
「ははは。男爵様は商売上手ですな。もちろん木の代金などで私も設けようなどとは思いませんとも。是非ともうちの畑をお願いします」
「判った。後でアレクセイと話すから、名簿の上に載せてもらっておこう」
どうせ空中庭園や塩田で木材は幾らでも必要なのだ。
材料を安く手配できるなら、数日協力するくらいは良いだろう。彼と彼の友人を含めても十日ほどというところだ。どの道、バルガス河流域で探索と魔物退治を兼ねた移動が始まれば、ここでも魔物の可能性が減るのだ。それまでの付き合いとなれば長くはあるまい。
とりあえずゴルビー地方から離れてあの地に何もしていない事もあり、その分の収益を確保したというところか。
(やっぱりゴーレムを活かした話を進める方がアイデアもまとまり易いな)
(商売のタネとか他にない事もないが、ゴーレム中心に絞るとして何がある?)
(とりあえず空中庭園には遊園地みたいな機能も持たせれば喜んでくれるだろ)
(冒険者ギルドも魔物の素材を集めてフレッシュゴーレムを作るカモフラージュになれば良いとして、経営は他の連中に任せるとしよう。ひとまず次の目標は、ゴルビーからバルガスまでの街道敷設だな)
こうして俺は今回の魔物騒ぎですべきことをまとめて行った。
あちこちで木材やら岩を手配し、それで空中庭園の造営をそろそろ始める。その運搬とゴルビーで政務を行うためにも、まずは新街道を作ることにしたのである。
王都での用事と調整を終えた俺はアンドラ領に来ていた。
といっても領町のアンドラサスではなく、比較的南西部にある山野以外は何も無い場所である。
そこにアンドラの郷士たちとバルガス同胞団の王都詰めメンバーが居た。
「ゴルビー男爵。お願いします」
「了解した。代官殿の要請に従い、ゴーレムで開墾を行う」
「「……」」
王領代官であるアレクセイの要請で作業用ゴーレムを動かした。
治水に回していたストーンゴーレムが戻って来たので、三機が稼働することであっと言う間に作業の一つが終了した。土が荒く掘り起こされて、端っこにある木々やそこそこの大きさの岩がまとめて片付けられていく姿は壮観だ。
観衆が驚くのも無理はない。たったこれだけで四角四面の畑が出来上がるのだから。
「作業工程の一つ目を終えた。二つ目である、作業道と用水路を敷く作業に移行する。間に居る者は移動してくれ」
「ああ……」
見学人に注意を出しつつ二つの工程に移る。
一機目のゴーレムは畑の脇にある場所をゆっくり踏み固めて行き、二機目は穴を掘って用水路として使う場所に穴を掘り始めた。共に直線であり、間にある石や木の根っこなんか気にせずに作業して行く。三機目は穴を掘らせることで、溜め池として使う場所を低く掘り下げていくのだ。
基本的にはこれで終了。この時代の価値観であれば、明日から作業が出来るだろう。
「もう作業が終わったぞ……」
「作業工程の二つ目を終えた。三つ目である用水路と溜め池の貫通は、実際に使う者が決めるものとする。だがせっかくだ、田起こしもついでにやって置こう」
「起こしたばかりの土があんなに舞って……凄いな」
水を調整する閘門や適正な段差が出来てないので此処まで。
しかしそれだけではもったいないので、木製の作業用ゴーレムにはアタッチメントを付けて土を混ぜ合わせさせた。普通は空気や山の肥沃な土を混ぜ合わせるために、人間が丹念にやる作業である。
いずれにせよ、彼らの常識では既に新規開墾としては十分な場所に成ったわけだ。
「見ての通り簡単に作業が終わります」
「ここは代官所が経営する畑になりますが、要請次第で皆さんの所でも行います」
「それともう一つ……見ての通り、用水路が簡単に掘れ、道が作れました」
「つまり、既存の畑を整理して、道と用水路を整えた畑に作り直せるという事です。見ての通り、田起こしも簡単ですので、今までの様に『栄養のある土だから』と畑の移動を嫌がる必要もないでしょう」
全て終わった所でアレクセイが解説を始める。
デモンストレーションを見た為か、反発していた郷士たちも特に口は開いていない。驚きの声も上がらないのは、きっと驚き過ぎて信じられないからだろう。そこを見計らってアレクセイは区画整理を提案する。普通は手作業で根気よくみんなで畑を拓く為、小さな畑が林立するなんてことはよくあるのだ。その結果、みんなで手助けするのはまだ良いが、効率的にはあまりよろしくない畑に成る訳である。
いずれせによ、アンドラ領での収穫は上向いて行くだろう。
「まさか一日仕事とは。信じてもらえるか怪しい程ですよ」
「ならここで一仕事しないか? 領境を行き来して、見晴らしの問題を確認してくれ。もちろん、こないだ言った討伐部位や薬草を判別できるなら金を払うぜ。そこを均して見張り台なり柵を作って、魔物を食い止められるようにしたいんだ。先に発見して壁際で待てば大抵の魔物は簡単だからな」
バルガス同胞団の詰め所に居た男がやって来ている。
彼はバルガス河流域で開墾する際に、どれほどの作業が出来るのかを確認してあの大女に報告するのだろう。場合によってはバルガス伯爵家にも報告する筈で、その辺りの情報やら護衛料金として彼らは手を組みあの辺りを開墾するものと思われた。伯爵家は金を別の事に仕えるし、貴重な情報だってもらえてウハウハだ。代わりに同胞団も金を使わずに土地(それも暫くは納税免除された)がもらえる。
そして俺はそれだけでは済ませるつもりはないので、彼らに次いで依頼を発注する訳だ。
「領境に関所……いや、防衛拠点を作るんですかい?」
「今は南で魔物が良く出るだろ? 開墾のついでに領境を整えておけば二重の意味で役に立つ。守り易くなって安全になるし、安全になれば商人だって通り易くなる。通行税を上げなくても、そのうちに元が取れる筈だ」
彼は自分達で置き換えているので、実に良い判断をしてくれる。
魔物が出たら危険だということもあるし、おそらくは実入りが少なそうな場所か、あるいは危険地帯が彼らに易く割り当てられるはずだ。それを考えておけば、防衛にも考慮したここでの作業は関心が高いに違いない。
納得顔の彼に、もう一つ付け加えて説明をする
「それとここは代官所の経営で賦役だったり、難民にやらせて集団で作業するんだ。その間の食い物を負担する代わりに収穫は代官所の取り分だが……みんなで分け合う形ならお前さんのところでも出来る筈だぞ。付け加えるなら、普通の畑と防衛任務を持たされた半農の兵士じゃまるで意味が変って来る」
「確かにそうですね……。気合を入れて探ってきまさあ!」
説明したのは集団的自営農業と屯田兵だな。
みんなで作業するというという点では、公営も自営もない。その収穫を得る権利が誰なのか、その間の食い物を調達して配るのが誰に成るかの差でしかない。あとは良く働いたグループや個人には、そこそこのボーナスと表彰があっても良いだろう。
その事を理解した彼らは、依頼であるが自分たちの予行演習とばかりに奮起するだろう。
「男爵様。いずれユーリ様を娶られた伯爵になるのだとか。お子の御一人をこの地の領主に為される気はありませんかな? それは無理でも……その、この地にゴーレムの騎士団を設営されるとか?」
「ゴーレム騎士団には憧れるがどっちも無理だ」
アンドラで郷士をやっている者の一人が目ざとくやって来た。
初めて会ったばかりの俺に対して忠誠心やら期待など抱いているわけはないので、言葉通りゴーレムによる開拓を今後もやってくれるかというのを確認に来たのだろう。その気ならば自分の所を頼み、無理ならその旨を仲間内に高く売りつける。こういう情報は早ければ早い方が良いだけだし、『後もう少し』なら何かしらの条件を積む気なのだろう。
ただ、重機としての能力を発揮し、僅か一日で畑を作ってしまうゴーレムを特別な目で見ていること自体は判るのだ。俺もそのセールスにやってきたようなものだしな。
「まず遊牧民と仲が良くなったばかりで刺激する筈がない」
「次に警戒するのは少なくとも三十年から四十年は先だ」
「現状で彼らが命懸けでゴルビーを奪う価値が無いからな」
「その四十年後に砂漠と荒野ばかりのゴルビーが肥沃とは言わないがまともになったとして、仮にも地方と名前が付く場所を一貴族で抑えているんだぞ? この上、アンドラまで渡しすなんてのはありえない。さらに言えばゴーレムを作れる俺が勝手に作ってる可能性もあるのに、縁故のあるこの場所へ騎士団はともかくゴーレムってのは無いな」
ゴルビー地方はとても広いが収益は底辺である。
広いのに新興の男爵に任されるのは、砂漠と荒野で何も無いからだ。耕作地だってたかが知れるし、街が一つに後は寒村が幾つか。そんな地方だからこそ将来は伯爵になる可能性があるとはいえ、ただの貴族が領有して居られるのである。もちろん遊牧民が攻めて来て守り切れないとなったら、王国は容赦なく取り上げるだろう。領地防衛は貴族の義務なのだから(領民は義務に入っていない)。
とはいえ正論だけでは面白くないよな。
せっかくユーリ姫が繋いで縁故である。ここは少しくらい協力してやる事にしよう。
「ただ、そうだな。今は魔物が再活発化している話もある」
「それに、ここの代官であるアレクセイとは一緒に仕事をした仲だ」
「彼の要請で開墾だけではなく、防衛込みで手を課す事はあるだろ」
「そして暫くはアンドラの援助を兼ねて、アレクセイを通して木材や岩を買い取るつもりだ。もちろん、この辺りの相場よりは少し高くね。その量を少し殖やすってのはどうだ? その中には……そう、あそこに並べている木の様だ。ただ、何時までも必要でもないし、沢山要るわけでもない」
自分の所を都合よくやってくれなんて話は通らない。
もちろんその敷地で魔物が活動してるとか洪水が起きてて、そこをなんとかしないと困るなら話は別だが。だから取引に応じるなら協力すると言ってやる訳だが、それにしたってアレクセイとの契約が上に来るのは当然だろう。彼の紹介でもないのに、差し置いて良い待遇にはできない。
要するに、この話を集約するとこいつには『木材の価格次第』でゴーレムを使ってもらえるというチャンスがあるわけだ。それはアレクセイの進める計画とは+@。思ったほどに協力してもらえないとか、他の郷士より後回しにされるという可能性は無くなるだろう。
「ははは。男爵様は商売上手ですな。もちろん木の代金などで私も設けようなどとは思いませんとも。是非ともうちの畑をお願いします」
「判った。後でアレクセイと話すから、名簿の上に載せてもらっておこう」
どうせ空中庭園や塩田で木材は幾らでも必要なのだ。
材料を安く手配できるなら、数日協力するくらいは良いだろう。彼と彼の友人を含めても十日ほどというところだ。どの道、バルガス河流域で探索と魔物退治を兼ねた移動が始まれば、ここでも魔物の可能性が減るのだ。それまでの付き合いとなれば長くはあるまい。
とりあえずゴルビー地方から離れてあの地に何もしていない事もあり、その分の収益を確保したというところか。
(やっぱりゴーレムを活かした話を進める方がアイデアもまとまり易いな)
(商売のタネとか他にない事もないが、ゴーレム中心に絞るとして何がある?)
(とりあえず空中庭園には遊園地みたいな機能も持たせれば喜んでくれるだろ)
(冒険者ギルドも魔物の素材を集めてフレッシュゴーレムを作るカモフラージュになれば良いとして、経営は他の連中に任せるとしよう。ひとまず次の目標は、ゴルビーからバルガスまでの街道敷設だな)
こうして俺は今回の魔物騒ぎですべきことをまとめて行った。
あちこちで木材やら岩を手配し、それで空中庭園の造営をそろそろ始める。その運搬とゴルビーで政務を行うためにも、まずは新街道を作ることにしたのである。
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