江ノ島の小さな人形師

sohko3

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熱帯植物園

ガタガタエレベーター

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「は、葉織くん……
なんだかこのエレベーター、ちょっと、怖い……」

「え、そお? 何が怖い?」

「ちゃんとしたエレベーターっていうより、おもちゃみたいっていうか、遊具みたいっていうか……
鉄骨だっていっぱい錆びてて、ガチャガチャ音もして、落っこちたらどうしようって」

 心配性の羽香奈にとっては「万が一」が感じられる要素がてんこ盛りだ。

 羽香奈は震えて、葉織の腕にしがみついた。

 高所からの眺めを楽しんでいたけど、どんな場所だって平気ってわけじゃなかったんだな。

 羽香奈だけの問題ならこの後、怯える彼女に手を貸してゆっくり下りていけばいいんだけど、この後は黒い靄の持ち主も探さなければならない……

なぜだか帰りはエレベーターに乗らず階段で下りるのが基本らしいので、ふたりを無事に下ろすのは大変かもしれない……

いや、素直に「怖いです」って訴えれば乗せてもらえるんじゃないかとは思うけど。

 考えていたら葉織もちょっと混乱してきて、「落ち着け~」と胸の内で自分に言い聞かせる。


 エレベーターを降りてもそこは最上階ではなかった。

 葉織はひとりで柵に手を着き、下を覗き込む。

 柵はあまり高さがなく、葉織が落ちてしまいそうに見えたのか、背後から羽香奈が小さく悲鳴を上げたのが聞こえた。

「下にはいなさそうだから、オレは上を見に行くよ。
羽香奈はここで待ってる?」

「う……ううん、一緒に、行きたい。
足引っ張っちゃうかもしれない、けど」

「怖くないの?」

「怖いけど……でも……
『春子さん』って人も、ひとりぼっちで心細いかもしれないから。
助けてあげたくて」

 先ほどの、「春子」を小ばかにしていた三人組の声が、表情が。

 羽香奈にも思うところがあったらしい。

「わかった、一緒に行こ。
大丈夫だよ。パッと見ボロそうな木の床に見えるけど、今まで抜け落ちたとか誰か落ちたとか聞いたことないし。
近所のお兄ちゃんなんか友達何人かと一緒にジャンプしたけど平気だったって。
係の人に怒られたらしいけど」

「それは怒るよ……」

 心配性の人にとって、「今までは大丈夫だった」は何の慰めにもならないのだが。

 その「最初のひとり」に自分が見舞われるのを危惧してしまうからこその心配性なのだ。

 が、せっかく葉織が受け入れてくれたのだから余計なことを言うまいと羽香奈は覚悟する。

「さっきみたいに掴まっててもいいよ」

「……うんっ」

 階段もさして広くはないが、小学生のふたりだから、くっついて歩いてもまだ余裕があった。


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