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しおりを挟むそして伯爵邸へ来てから2か月後、侍女がお天気がいいので、と庭でお茶を薦めてきたのでそれを楽しんでいたら招かれざる客がやってきた。
「あなたね! エリオットの妻になったっていうのは!?」
全力疾走で近寄って来た見知らぬ女性。そして出てきたセリフ。この人が例の愛人だろう。……コレのどこが弱々しくて賢くて優しいのだろうか。
「……そうですが。あなたは?」
「あなた私のことを知らないわけ!? ばかじゃないの!? …はは~ん。エリオットに愛してもらえないからっていじわるしようって言うんでしょ?」
…いったい何を言っているんだか。お飾りなことを承知で嫁いできてますが何か。
というか確か彼女、平民よね? 平民で貴族に対してその言葉遣いと態度。使用人たちの言っていることが本当だったんだとわかる。
「ふん。かわいそうな人。顔はまぁまぁ綺麗だと思うけど、私の方が断然可愛いわね。それにエリオットに見向きもされないなんてさっさとここを出ていった方がいいんじゃない? みじめだわ」
いや、別に見向きもされなくていいんだけど。むしろそれが一番有難い。
ああ、側にいる侍女からも不穏な空気が流れている。早く帰ってほしい。
「大体なんで私が別館であんたみたいな見向きもされない女が本館にいるのよ!? さっさと出て行って私にその場所を譲りなさいよ!」
「……私にそれを言われても困るわ。愛しいエリオット様にそう言ったらどうかしら?」
「エリオットに言ってもそれは出来ないって言われたのよ! だからあなたに頼んでいるんでしょう!? なんでわからないのよ!?」
……ダメだ、これは。この人と話をする気にならない。というかエリオットはこの人の何がよかったんだろうか…。謎だ。生まれてから一番の謎だ。
それに初めにエリオットは、私がお飾りだということをしっかりと説明すると言っていたはず。彼女のこの様子だと何も伝わっていないことがわかる。
何やってんだよクソ野郎。……あら、またはしたないお言葉を。失礼。
はぁ…。ため息しか出ない。正直、貴族の中には愛人を迎えているところも結構多い。だけど正妻と愛人とでは立場が全く違う。正妻はある程度の権限があるけど愛人には全くそれがない。それを平民として育った彼女だからわからないのだろう。平民は愛人を迎えるなんてことはしないと聞く。まぁそこまでの財産がないというのが理由だと思うけど。
「…申し訳ないけれど、私の一存でどうこう出来る問題ではないのよ。あなたが私に対して不満に思うのは自由よ。でもそれはエリオット様に言ってくれるかしら?」
「だから!! エリオットは出来ないって言ったのよ! あなたが出ていけば……っ! ちょっと! どこへいくのよ! 話はまだ終わっていないわ!」
「申し訳ないけれど、エリオット様からあなたと会うことを禁じられているの。だから部屋へ戻らせていただくわ」
これ以上彼女のキャンキャン声を聞いていたくない私は、席を立って部屋へ戻ることにした。
「若奥様、申し訳ございません」
「いいのよ。あなた達のせいじゃないことくらいわかっているわ」
後ろに続く侍女から謝罪をされた。この人を相手に仕事をするのは苦痛でしょうね。ここの使用人たちがかわいそうだわ。
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