【完結】「お前を愛することはない」と言われましたが借金返済の為にクズな旦那様に嫁ぎました

華抹茶

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 そしてその日の夜、エリオットが私の部屋へとやって来た。

「アメリア。ジェニーに接触しないよう言っていたはずだ。契約書も交わしている。なのになぜジェニーと会ったりしたんだ? あまつさえ彼女をいじめたというのはどういうことだ!?」

「は?」

 一体この人は何を言っているんだろうか。私が愛人と会ったことは間違いない。だが、私からではなく彼女からやって来たのだ。しかもいじめた? むしろいじめられたのは私の方だと思うけど…。

「…エリオット様。仰っている意味がわかりませんわ。確かに今日、彼女とお会い致しました。ですが私から会いに行ったのではなく彼女の方からお見えになったのです」

「なんだと? ジェニーが嘘をついているとでも言うつもりか!?」

「その様子を侍女も見ております。それに私は彼女をいじめてなどおりませんわ」

 後ろに控える侍女に視線を送れば「間違いございません、別館にいる侍女にも確認をしていただければ」と言ってくれた。彼女がいてくれて良かった。私1人の証言じゃ信じて貰えなかっただろうから。

「それとエリオット様。確認したいことがございます。一番初めに、私はただのお飾りだとしっかりと説明すると仰っておりましたわよね? それにあの人はとても賢く優しい人だとも。ですが、本日私はあの方よりさっさとここを出て自分に正妻の座を渡せと仰いましたわ。それを受けて私はエリオット様に申し上げるよう伝えました。ですがエリオット様はそれは出来ないと仰るから私のところへ来たのだと。
 私も困っておりますの。私から接触せずにいたとしても、彼女の方から来るのであればどうしようもございませんわ。エリオット様からしっかりと説明していただけませんこと? それにエリオット様はしっかりと説明すると仰ったのですからちゃんと実行していただかなければ困ります」

 私は言いたいことを一気に言ってやった。私が全て悪いみたいな言い方されたんじゃ流石に許せない。

 確かに私は借金返済のために、条件を呑んで嫁いできた。だけどやってもいないことを責められる筋合いはない。私はきちんと契約書通り、彼女との接触も不当な扱いも一切していないのだ。

「……わかった。もう一度確認をとる」

 一言そう言ってエリオットは部屋を出ていった。

「なんですかあれは! あれが次期当主様だなんて…。若奥様は何も悪くはございません。私たちは皆、若奥様の味方ですわ」

「ありがとう」

 使用人のみんなが優しくて本当に良かった。それだけが救いだわ。もしそうじゃなかったら……。考えただけでもぞっとする。


 それから私は天気のいい日に庭でお茶をすることを止めた。また彼女が突撃してくる可能性を考えた結果だ。
 おかげであれから私は直接彼女に会ってはいない。だが、本館まで足繫く通っているようで入り口で執事長にあしらわれているようだ。

 全くエリオットは何をやっているんだか。ちゃんと説明すると言っていたのに。


 それから使用人たちのお陰で、愛人と会うこともなく日々は過ぎていった。

 私は屋敷の中を花で飾ってみたり、眠っていたアンティークの家具を引っ張り出して模様替えしたり自分が過ごしやすいよう手入れを行ったりして過ごしていた。

「若奥様、たまにはドレスや宝石など買われてはいかがです? 屋敷の備品ばかり購入されてご自分のは何も買っていらっしゃらないじゃないですか」

「ああ、いいのよ。ここへ来た初めにドレスとかいろいろ購入したので間に合っているから。最低限のものがあればそれでいいのよ」

「ですが、あの別館の愛人は高価なドレスや宝石をいつも旦那様に強請って買っているようです。正妻である若奥様が何も買わないのは…」

 本当にここの使用人たちは優しい。それだけで私は何とか精神的に助かっているのだ。
 愛人はエリオットに何でも買ってもらっているらしい。私は一応正妻だから使えるお金はある。だけど自分の為に使うことはしない。そんなことをすれば何を言われるかわからないからだ。だから使うのは屋敷の維持費や使用人達中心で使うことにしている。

 ニコラーク家は大富豪だ。エリオットは騎士だがその給金だけで愛人のドレスや宝石を買うことは出来ない。給金は少ないわけじゃないけれど、話を聞く限り購入している物を考えたらあっという間に破産する。
 エリオットが嫡男であることと、伯爵家当主からここへ資金が送られているのだろう。だけど当主様はそのお金のほとんどを愛人に使っていることをご存知なのだろうか。

 …それは私が考えることではないか。私が何を言ったところでどうにもならないことなのだから。


 そしてたまにある社交で当主の代わりにエリオットが出席する時は、私も彼と共に出席した。その時は契約書の内容通り仲睦まじい夫婦を演じていた。だけど、その翌日は決まって蕁麻疹が出るようになった。相当なストレスを感じているということだ。

 そして出席したパーティーはレイモンド様も出席されていた。その時は軽く挨拶を交わすだけにとどめておいた。お飾りの正妻だとバレていないといいのだけど。
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