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しおりを挟む「若奥様、先ほどは申し訳ございませんでした」
執事長が戻ってくるなり、開口一番謝罪がきた。
「いいのよ。あなたが悪いわけではないのだから。…それにしても困ったわね。エリオット様がいない間、毎日のようにここへ来る気かしら。それとあなたをクビにするとかも平気で言っていたけど…」
「入り口に見張りの兵士をつけておきます。当主様が認めていないのです。もう二度とこちらへ立ち入ることはさせませんのでご安心くださいませ。
それと、今日のことですが当主様にお知らせいたします。流石にここまでのことは看過出来ませんから」
今までエリオットにそれとなく愛人について苦言を呈してきたが、想像通り全く話を聞かなかったらしい。だけど今回のことは流石に見過ごせないようで、伯爵家当主に知らせるとのことだ。さて、そのことで彼女はどうなるのかしら。ま、私の知ったことではないけれど。
それからは兵士のお陰で愛人がここへ入ってくることは出来なくなった。おかげで心穏やかに日々を過ごし1ヵ月後、エリオットが帰って来た。
もちろん本館へ来ることはない。真っ先に別館へと戻ったようだ。
あれから数日が経ち、執事長が私の元へとやってきた。
「若奥様…若旦那様には黙っておくよう言われましたがお伝えすべきだと思い、お話ししたいことがございます」
心痛な面持ちで話を始めた執事長。聞くと、莫大な財産を築いたエメラルド鉱山からエメラルドが採れなくなったというのだ。それもとうに1年が経っているらしい。収入がガタ落ちした今、贅沢以上の贅沢を知った彼らはこの現状を打破するために更に深く掘り進めていくことを決定したそうだ。
だが専門家が言うには採れたとしても微々たるものしかないだろうという。
「このままではいずれ、ここへ送られる資金もかなり減ってしまうことが予想されます。館を管理されている若奥様には知っていただいた方が良いかと…」
「…そうね。今まで館の維持費の為だけにしかお金を使ってこなかったから蓄えはあるはずよ。今からは出来るだけ質素倹約に務めます。食事もみんなと同じものを食べるわ。最悪なことを想定して骨董品などいつ売ることになってもいいように査定だけはしておいてちょうだい。そうならないことが一番だけど、わからないから準備だけはしておきましょう」
「そんな! 若奥様のお食事まで変える必要は…っ」
「いいのよ。私は元々没落寸前の貧乏時代を過ごしていたもの。質素な食事には慣れているわ。それに料理長の腕なら例え質素な食事でも美味しいはずだもの」
「若奥様…っ」と侍女と執事長が涙を流している。…本当に質素な食事でも全然平気だからそこまで悲しまなくても大丈夫なのに。
あとは愛人の浪費を抑えて欲しいところだけど、そこはエリオットが何とかするしかない。というか何とかしてほしい。だが恐らく無理だろう。今までのことを考えればあの愛人が言うことを聞くとは思えない。
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