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28.国王からのお願い
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「ソウタ、体は大丈夫?」
「起きた時はさすがにしんどかったけど、治癒魔法のおかげでばっちりだよ」
昨晩、俺とフェリクスは恋人としての一晩を過ごした。それはいい。俺も気持ちよかったし嬉しかったから。
ただ途中からフェリクスは容赦がなくなった。俺は初心者なのに、だ。
結局俺はいつの間にか眠っていて、起きた時は腰も股関節も痛いし喉はガラガラだった。これはいかんと自分に治癒魔法をかけるとようやく起き上がれるようになった。
「ふふ、よかった」
「……で、いつまで引っ付くつもりだ?」
「うーん……永遠?」
俺たちが起きたのは昼を大きく過ぎた時間だった。
治癒魔法で体が動けるようになって、着替えや食事を終わらせるなりフェリクスは俺を後ろから抱き込んだ。今はソファの上にいるのだが、かれこれ既に一時間は経過している。
侍女さんからは温かい目で見られ、恥ずかしくて穴に埋まりたいと思うものの、フェリクスを振りほどかずされるがままということはそういうことだ。
俺は転移魔法が使えるから、一瞬で離れようと思えば離れられるからな。
フェリクスもそれがわかっているからずーっとニマニマしっぱなしだ。
俺とフェリクスが昨晩一線を越えたことは、城の中で広まっていた。広めた犯人はフェリクス。
俺を誰にもやらないという牽制と、フェリクスが他の誰とも婚約しないという発表を兼ねていたそうだ。
それは別にいいのだが、できれば事前に一言教えてほしかった。侍女さんに会うなり「おめでとうございます」と言われた時は顔から火が出るかと思ったぞ……
「おはようございまっす、ソウタさん! もう夕方っすよ! 昨夜は随分とお楽しみだった――いてッ!」
「シャノン、そういうことを大声で言うものじゃないぞ」
「へへ。だって俺、嬉しくって!」
部屋でダラダラと過ごしていたら、シャノンとダグラスが部屋へ来てくれた。
シャノンは俺たちを見るなりニヤニヤしながら、俺とフェリクスが昨夜致してしまったことを口にするも、そこへダグラスの拳骨が落ちた。でも反省せずにニヤニヤしっぱなしだったけど。
「ソウタ殿は明日には向こうへ戻ると聞いたのだが、もう少しゆっくりできないのか?」
「うーん……時間指定ができるからそれでもいいんだけど、だからと言って甘えっぱなしだと仕事したくなくなるから」
明日の夜には向こうの世界へ帰ることになっている。せっかく魔王を倒したのだしゆっくりすればいいのにと言われているのだが、こっちにずっといると帰りたくなくなりそうで怖かった。また週末にはこっちに来るしね。
「って言ってるけど、ソウタは恥ずかしいんだよ。ここにいると、みんなに『おめでとう』って言われるから」
「悪いかよ! お前のせいだぞ!」
城のみんなに俺とフェリクスがイチャイチャしてたってバレてるのに、平気でいられるはずがないだろうが! 祝われるのが嫌なわけじゃないけど、いたたまれないんだこっちは!
本当は今夜にでも帰りたいところだが、夜は国王様に呼ばれている。どうしても話したいことがあるから時間を取ってほしいと言われたのだ。それで帰りを一日伸ばしている。
「あ、そうだ。シャノン、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
これ以上そのことについて言われるのは恥ずかしいのと、シャノンに相談したいこともあって話を逸らす。
フェリクスの腕は解けそうにもないし解いてくれなさそうなので、転移魔法でシャノンの側へと飛ぶ。そしてシャノンの腕を掴み城の屋上へと無理やり転移した。
「わっ! びっくりした! 急にどうしたんすか、ソウタさん?」
「いきなりごめん。他の人にあんまり聞かれたくないからさ……あの、さ。シャノンってモーリスくんと付き合ってるだろ? それで、その……夜の、ことなんだけどさ……」
初めて男同士でいやらしいことをして、まさかあんなに気持ちよくなれるとは思わなかった。まさかフェリクスが俺が知らない間に変な魔法を使ったのではと思い、モーリスくんはどうなのかを聞きたかったのだ。
こんなことをシャノンに聞いてもシャノンだって恥ずかしいことだと思うのだが、あっちの世界もこっちの世界も、こういったことを相談できる人がいないのだから仕方ない。
俺だって恥を忍んで聞いているのだ。
「まさかソウタさんからそんなこと聞かれるとは思わなかったっすけど……でも、本当に気持ちいいっすよね。俺、いっつもとろとろにされちゃいますもん……へへ」
「……ん?」
「モーリスってああ見えて情熱的っていうかぁ……魔法が上手くなってから治癒魔法でどんどん回復させられるしなかなか終わってくれなくて容赦ないんすけど……でもそんなところも好きっていうかぁ……うわぁぁぁぁぁ! 恥ずかしいっすよ!」
「ちょ、ちょっと待って? あの、シャノンってもしかして、抱かれる側……?」
「ん? そうっすよ?」
「え?」
「え?」
なんだと!? 俺はてっきりシャノンがモーリスくんを抱いているとばかり思っていたのに! まさかシャノンが抱かれる側だったとは!
だってモーリスくんってふわふわとした可愛い系で、最初会った時は追い詰められてたのもあったけど泣いてたし、シャノンがそんなモーリスくんを引っ張っていたからてっきり逆だと思ってた!
しかもシャノンの話では、可愛い系のモーリスくんは夜になると豹変するみたいだし……ひ、人は見かけによらないということだな。うん。
でもシャノンの話でもやっぱり気持ちよくなるらしく、モーリスくんが魔法を上手く使えない時からそうだったって話してくれた。俺が前後不覚になるほど気持ちよくなったのは間違いでも変なことでもなかったということか。安心した。
「でも男娼の話とか聞くと、相手によって気持ちよくないって聞いたことあるっす。相手がちゃんと気持ちよくさせてくれるっていうか、抱く相手に対しての愛情みたいなのがないと駄目だそうっすよ」
「……そういうものなのか」
「だからフェリクス様もモーリスも、俺たちのことが大好きってことっすよ! へへへ」
意外なことが判明したけど、抱かれる側の話を聞けたことは僥倖だ。容赦なく攻め立てられることはつらいものの、それだけ俺に対して気持ちがあるってことなのだ。
俺は幸せ者だと確信できた。
それからフェリクスたちのところへ戻ると何をしていたのかと問い詰められたが、シャノンと二人して笑いながら「秘密だ」と内容を話さなかった。
ちょっと不満げなフェリクスだったが仕方ないと諦めてくれたようだ。だけど最後に耳元で「今度、おしおきしなきゃね」とささやかれてゾッとしたけど。
そして夜。俺とフェリクスは国王様の元へと会いに行った。場所は以前もお邪魔した評議室。今日は国王様とスウェインの二人しかいないから随分と広く感じる。
「ソウタ殿。二度に渡る魔王討伐、心より感謝申し上げる」
「いえ、俺もこの世界に思い入れがあるのでお役に立ててよかったです」
国王様は座りながらではあったけど、俺に頭を下げてくれた。それで十分だ。
「それからソウタ殿。本題に入るのだが、どうかフェリクスと婚約してはもらえないか。後々、大々的に式を上げ、ぜひフェリクスの伴侶となってほしい」
「……え?」
伴侶になるって、つまりは俺とフェリクスが結婚するってこと……!?
え!? 話がいきなり飛びすぎてない!? 恋人になったばっかりなのに、結婚って……
――あ。
俺、浮かれていたからすっかり忘れていたけど、フェリクスって王太子なんだよな。
王太子ってことは次期国王様なんだよ。ということは跡継ぎが絶対必要で、この世界でも男同士では子どもは生まれない。
俺とフェリクスが結婚したとしても、フェリクスの子どもを産む人が必要になるんだ。
……ちょっとやばいかも。俺、フェリクスと誰かが結婚して子どもを作るなんて許せないと思う。想像しただけで胸の奥がぎゅって苦しくなって痛い。
でもフェリクスには必要なことで、俺にそれを拒否する権限なんてない。
国王様は俺とフェリクスの結婚を許してくれたけど、でもそれと同時に俺はフェリクスが他の誰かと子どもを作ることを許さないといけないんだ。
俺にそれができるのか? 今想像しただけでこんなに苦しいのに?
だけど俺ではフェリクスに子どもを作ってあげられない。フェリクスの家族を作ってあげられない。フェリクスが子どもを持つことを強く望んでいても、俺ではどうすることもできないのだ。
「起きた時はさすがにしんどかったけど、治癒魔法のおかげでばっちりだよ」
昨晩、俺とフェリクスは恋人としての一晩を過ごした。それはいい。俺も気持ちよかったし嬉しかったから。
ただ途中からフェリクスは容赦がなくなった。俺は初心者なのに、だ。
結局俺はいつの間にか眠っていて、起きた時は腰も股関節も痛いし喉はガラガラだった。これはいかんと自分に治癒魔法をかけるとようやく起き上がれるようになった。
「ふふ、よかった」
「……で、いつまで引っ付くつもりだ?」
「うーん……永遠?」
俺たちが起きたのは昼を大きく過ぎた時間だった。
治癒魔法で体が動けるようになって、着替えや食事を終わらせるなりフェリクスは俺を後ろから抱き込んだ。今はソファの上にいるのだが、かれこれ既に一時間は経過している。
侍女さんからは温かい目で見られ、恥ずかしくて穴に埋まりたいと思うものの、フェリクスを振りほどかずされるがままということはそういうことだ。
俺は転移魔法が使えるから、一瞬で離れようと思えば離れられるからな。
フェリクスもそれがわかっているからずーっとニマニマしっぱなしだ。
俺とフェリクスが昨晩一線を越えたことは、城の中で広まっていた。広めた犯人はフェリクス。
俺を誰にもやらないという牽制と、フェリクスが他の誰とも婚約しないという発表を兼ねていたそうだ。
それは別にいいのだが、できれば事前に一言教えてほしかった。侍女さんに会うなり「おめでとうございます」と言われた時は顔から火が出るかと思ったぞ……
「おはようございまっす、ソウタさん! もう夕方っすよ! 昨夜は随分とお楽しみだった――いてッ!」
「シャノン、そういうことを大声で言うものじゃないぞ」
「へへ。だって俺、嬉しくって!」
部屋でダラダラと過ごしていたら、シャノンとダグラスが部屋へ来てくれた。
シャノンは俺たちを見るなりニヤニヤしながら、俺とフェリクスが昨夜致してしまったことを口にするも、そこへダグラスの拳骨が落ちた。でも反省せずにニヤニヤしっぱなしだったけど。
「ソウタ殿は明日には向こうへ戻ると聞いたのだが、もう少しゆっくりできないのか?」
「うーん……時間指定ができるからそれでもいいんだけど、だからと言って甘えっぱなしだと仕事したくなくなるから」
明日の夜には向こうの世界へ帰ることになっている。せっかく魔王を倒したのだしゆっくりすればいいのにと言われているのだが、こっちにずっといると帰りたくなくなりそうで怖かった。また週末にはこっちに来るしね。
「って言ってるけど、ソウタは恥ずかしいんだよ。ここにいると、みんなに『おめでとう』って言われるから」
「悪いかよ! お前のせいだぞ!」
城のみんなに俺とフェリクスがイチャイチャしてたってバレてるのに、平気でいられるはずがないだろうが! 祝われるのが嫌なわけじゃないけど、いたたまれないんだこっちは!
本当は今夜にでも帰りたいところだが、夜は国王様に呼ばれている。どうしても話したいことがあるから時間を取ってほしいと言われたのだ。それで帰りを一日伸ばしている。
「あ、そうだ。シャノン、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
これ以上そのことについて言われるのは恥ずかしいのと、シャノンに相談したいこともあって話を逸らす。
フェリクスの腕は解けそうにもないし解いてくれなさそうなので、転移魔法でシャノンの側へと飛ぶ。そしてシャノンの腕を掴み城の屋上へと無理やり転移した。
「わっ! びっくりした! 急にどうしたんすか、ソウタさん?」
「いきなりごめん。他の人にあんまり聞かれたくないからさ……あの、さ。シャノンってモーリスくんと付き合ってるだろ? それで、その……夜の、ことなんだけどさ……」
初めて男同士でいやらしいことをして、まさかあんなに気持ちよくなれるとは思わなかった。まさかフェリクスが俺が知らない間に変な魔法を使ったのではと思い、モーリスくんはどうなのかを聞きたかったのだ。
こんなことをシャノンに聞いてもシャノンだって恥ずかしいことだと思うのだが、あっちの世界もこっちの世界も、こういったことを相談できる人がいないのだから仕方ない。
俺だって恥を忍んで聞いているのだ。
「まさかソウタさんからそんなこと聞かれるとは思わなかったっすけど……でも、本当に気持ちいいっすよね。俺、いっつもとろとろにされちゃいますもん……へへ」
「……ん?」
「モーリスってああ見えて情熱的っていうかぁ……魔法が上手くなってから治癒魔法でどんどん回復させられるしなかなか終わってくれなくて容赦ないんすけど……でもそんなところも好きっていうかぁ……うわぁぁぁぁぁ! 恥ずかしいっすよ!」
「ちょ、ちょっと待って? あの、シャノンってもしかして、抱かれる側……?」
「ん? そうっすよ?」
「え?」
「え?」
なんだと!? 俺はてっきりシャノンがモーリスくんを抱いているとばかり思っていたのに! まさかシャノンが抱かれる側だったとは!
だってモーリスくんってふわふわとした可愛い系で、最初会った時は追い詰められてたのもあったけど泣いてたし、シャノンがそんなモーリスくんを引っ張っていたからてっきり逆だと思ってた!
しかもシャノンの話では、可愛い系のモーリスくんは夜になると豹変するみたいだし……ひ、人は見かけによらないということだな。うん。
でもシャノンの話でもやっぱり気持ちよくなるらしく、モーリスくんが魔法を上手く使えない時からそうだったって話してくれた。俺が前後不覚になるほど気持ちよくなったのは間違いでも変なことでもなかったということか。安心した。
「でも男娼の話とか聞くと、相手によって気持ちよくないって聞いたことあるっす。相手がちゃんと気持ちよくさせてくれるっていうか、抱く相手に対しての愛情みたいなのがないと駄目だそうっすよ」
「……そういうものなのか」
「だからフェリクス様もモーリスも、俺たちのことが大好きってことっすよ! へへへ」
意外なことが判明したけど、抱かれる側の話を聞けたことは僥倖だ。容赦なく攻め立てられることはつらいものの、それだけ俺に対して気持ちがあるってことなのだ。
俺は幸せ者だと確信できた。
それからフェリクスたちのところへ戻ると何をしていたのかと問い詰められたが、シャノンと二人して笑いながら「秘密だ」と内容を話さなかった。
ちょっと不満げなフェリクスだったが仕方ないと諦めてくれたようだ。だけど最後に耳元で「今度、おしおきしなきゃね」とささやかれてゾッとしたけど。
そして夜。俺とフェリクスは国王様の元へと会いに行った。場所は以前もお邪魔した評議室。今日は国王様とスウェインの二人しかいないから随分と広く感じる。
「ソウタ殿。二度に渡る魔王討伐、心より感謝申し上げる」
「いえ、俺もこの世界に思い入れがあるのでお役に立ててよかったです」
国王様は座りながらではあったけど、俺に頭を下げてくれた。それで十分だ。
「それからソウタ殿。本題に入るのだが、どうかフェリクスと婚約してはもらえないか。後々、大々的に式を上げ、ぜひフェリクスの伴侶となってほしい」
「……え?」
伴侶になるって、つまりは俺とフェリクスが結婚するってこと……!?
え!? 話がいきなり飛びすぎてない!? 恋人になったばっかりなのに、結婚って……
――あ。
俺、浮かれていたからすっかり忘れていたけど、フェリクスって王太子なんだよな。
王太子ってことは次期国王様なんだよ。ということは跡継ぎが絶対必要で、この世界でも男同士では子どもは生まれない。
俺とフェリクスが結婚したとしても、フェリクスの子どもを産む人が必要になるんだ。
……ちょっとやばいかも。俺、フェリクスと誰かが結婚して子どもを作るなんて許せないと思う。想像しただけで胸の奥がぎゅって苦しくなって痛い。
でもフェリクスには必要なことで、俺にそれを拒否する権限なんてない。
国王様は俺とフェリクスの結婚を許してくれたけど、でもそれと同時に俺はフェリクスが他の誰かと子どもを作ることを許さないといけないんだ。
俺にそれができるのか? 今想像しただけでこんなに苦しいのに?
だけど俺ではフェリクスに子どもを作ってあげられない。フェリクスの家族を作ってあげられない。フェリクスが子どもを持つことを強く望んでいても、俺ではどうすることもできないのだ。
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