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第1話
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「こんにちは」
「今日はいい天気ですね」
「少し暑くて汗をかいてしまった」
「それはそれは。お店で涼んでいってくださいね」
悟は慣れた手つきでコーヒー豆を一杯分をスプーンで掬い、コーヒーミルに豆を入れる。ギュッと抑えながら豆を挽く。サーバーにペーパーフィルターをセットして挽いた豆を入れる。
「あんたはここに来てもう半年経つねえ」
「ええ、早いもので」
ペーパーフィルターにセットした豆にお湯を少し欠けて蒸らす。
「最近、雨が続いたからか、気分が落ち込みやすくていやだねえ」
ケトルで円を描くように珈琲粉にお湯をかけながら、
「ええ、暗い日が続くと気も滅入りやすいですよね」
「そうなのよ」
「コーヒーに心が晴れやかになる治癒を込めておきますね」
「本当に助かるわ。こうして元気に仕事ができているのはあなたのおかげよ」
「とんでもない、一介のバリスタですよ」
「こんな素敵なあなたなら、早くいい人が見つかると思うのよね」
「はいはい、珈琲ができましたよ」
珈琲は深煎りで濃いチョコレートのような味わいが特徴。
「いつ来ても完璧な珈琲の入れ具合よね。濃すぎず薄すぎず」
「毎日が精進です。ありがとうございます。そう言ってい頂けるととてもうれしい」
その常連は足取り軽く店を後にした。
マスターのアルデ爺さんが11時頃に出勤する。開店準備から夕方までが悟の働く時間だった。
「おはよう」
「おはようございます」
「調子はどうかね」
「すみません、来週ころにはお休みをいただきたいのですが」
「もうそろそろかとは思っていたから大丈夫だよ」
「毎回すみません」
「自然の摂理だよ。気にすることはない」
Ωである悟は月に一度、一週間ほどは発情期の関係で寝込まねばならなかった。
理解のあるマスターで良かった。悟はひそかに安堵した。オメガではあるが悟はそのことをマスター以外に公表はしていない。
男のΩは非常に珍しく、且つ男のオメガはアルファを生みやすいということで、出生して分かればすぐに貴族の養子にされることも多い。オメガのことを公表すると変な人に狙われやすい。容姿は華奢であることでバレやすいが病気がちで華奢なのだと公言している。
自分の容姿は控えめに言っても美少年である。肩に少しかかるくらいのはちみつ色の髪に、深緑の吸い込まれるような瞳。雪のように白い肌に、桃のような頬。本人は気づいていないが、巷で話題の美少年の店員として噂されている。
平和な日々がこれからも続くと思ったが、運命はそんなにもたやすくはなかったのだ。
「今日はいい天気ですね」
「少し暑くて汗をかいてしまった」
「それはそれは。お店で涼んでいってくださいね」
悟は慣れた手つきでコーヒー豆を一杯分をスプーンで掬い、コーヒーミルに豆を入れる。ギュッと抑えながら豆を挽く。サーバーにペーパーフィルターをセットして挽いた豆を入れる。
「あんたはここに来てもう半年経つねえ」
「ええ、早いもので」
ペーパーフィルターにセットした豆にお湯を少し欠けて蒸らす。
「最近、雨が続いたからか、気分が落ち込みやすくていやだねえ」
ケトルで円を描くように珈琲粉にお湯をかけながら、
「ええ、暗い日が続くと気も滅入りやすいですよね」
「そうなのよ」
「コーヒーに心が晴れやかになる治癒を込めておきますね」
「本当に助かるわ。こうして元気に仕事ができているのはあなたのおかげよ」
「とんでもない、一介のバリスタですよ」
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「はいはい、珈琲ができましたよ」
珈琲は深煎りで濃いチョコレートのような味わいが特徴。
「いつ来ても完璧な珈琲の入れ具合よね。濃すぎず薄すぎず」
「毎日が精進です。ありがとうございます。そう言ってい頂けるととてもうれしい」
その常連は足取り軽く店を後にした。
マスターのアルデ爺さんが11時頃に出勤する。開店準備から夕方までが悟の働く時間だった。
「おはよう」
「おはようございます」
「調子はどうかね」
「すみません、来週ころにはお休みをいただきたいのですが」
「もうそろそろかとは思っていたから大丈夫だよ」
「毎回すみません」
「自然の摂理だよ。気にすることはない」
Ωである悟は月に一度、一週間ほどは発情期の関係で寝込まねばならなかった。
理解のあるマスターで良かった。悟はひそかに安堵した。オメガではあるが悟はそのことをマスター以外に公表はしていない。
男のΩは非常に珍しく、且つ男のオメガはアルファを生みやすいということで、出生して分かればすぐに貴族の養子にされることも多い。オメガのことを公表すると変な人に狙われやすい。容姿は華奢であることでバレやすいが病気がちで華奢なのだと公言している。
自分の容姿は控えめに言っても美少年である。肩に少しかかるくらいのはちみつ色の髪に、深緑の吸い込まれるような瞳。雪のように白い肌に、桃のような頬。本人は気づいていないが、巷で話題の美少年の店員として噂されている。
平和な日々がこれからも続くと思ったが、運命はそんなにもたやすくはなかったのだ。
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