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第3章 ヒロイン
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「それは何?」
葛藤していると、殿下が袋の中を覗き込んできた。
「メロンパンです」
「メロン……パン?」
「うちの名物なんです」
シャルロットが胸を張って答えた。
「……庶民が食べるものをアンに食べさせるのか」
殿下は眉根を寄せた。
「私がお願いしたんです、どうしても食べたいって」
美味しいものに庶民も平民も関係ない。
私的には、庶民が食べるものの方が好きなくらいだ。
「しかし……」
「アルノーとは学生時代、よく庶民のお店で買って食べたりしてましたわ」
私の言葉に殿下は黙り込んだ。
王子様には難しいだろうけれど、アルノーだけでなくローズモンドとも放課後や休日に街に繰り出して庶民グルメを楽しんだのは楽しい思い出だ。
「いい匂いですね」
カミーユが殿下の反対側から紙袋を覗き込んできた。
見た目に反して、カミーユは甘いもの好きだ。
――そういえばゲームでもヒロインと親しくなるきっかけは、お昼に食べていたメロンパンだったのでは。
「カミーユも食べる? とっても美味しいのですって」
もしかしたらこれがきっかけでカミーユルートが始まるかもしれない。
そうひらめいて私はカミーユへ紙袋を差し出した。
「シャルロットのお家は甘い系のパンが充実しているそうよ」
「では昼にいただきましょう。――ところで」
カミーユは紙袋を受け取りながら、私とシャルロットを交互に見た。
「二人は親しくなったのですか?」
「……昨日お話ししたのよ」
シャルロットと顔を見合わせて私は答えた。
「昨日? すぐに帰ったのではないのですか」
「帰りがけに会ったから少し話をしたの、ね」
「はい」
私の言葉にシャルロットがこくりと頷く。
「何の話を?」
「シャルロットのことを聞いたらお家がパン屋だっていうから、どんなパンが有名なのか聞いたの。庶民のパン屋には私達が知らないパンがあるじゃない」
「そうなんですか」
「前はよく学園の近くのリンゴの看板があったパン屋さんに行っていたわ」
看板にもなっていた、リンゴを使ったパンが名物で、アップルパイが絶品だったのだ。
確か十年くらい前に閉店してしまったと聞いている。
「あ、多分その店、父が修行した店です」
シャルロットが言った。
「本当?!」
「そのパン屋にあったパンも何種類か作っていると聞きました」
「アップルパイは?」
「ありますよ」
「素敵! 今度お店に行っていい?」
またあのアップルパイが食べられるなんて!
私は思わずシャルロットの手を握りしめた。
「くっ、美少女の上目遣い……これが愛され妹キャラの実力……」
シャルロットが何かに耐えるような顔でぶつぶつ言っている。
妹キャラの実力って何? それと上目遣いなのは背が低いからよ?
リリアンもマリアンヌも……背が低いのだ。
ゲームでは背の低さがマリアンヌのコンプレックスとなっていた。
「アン」
シャルロットの手を握りしめていた手を殿下に取られると、今度は私が殿下に手を握りしめられた。
「街へ行くなら僕も行く」
「え……それは」
殿下が街へ行くとなると、警備をつけるなど大ごとになってしまう。
「お忍びで行けばいい。王子だと分からないよう変装もして」
それはそれで大変なのでは……
「殿下、パンが食べたいのなら買ってきますから」
「そういう事ではない」
握る手に力がこもる。
「でも…殿下」
「アルノー殿とは行くのに僕とは行かれないのか」
縋るような眼差しが私を見つめていた。
葛藤していると、殿下が袋の中を覗き込んできた。
「メロンパンです」
「メロン……パン?」
「うちの名物なんです」
シャルロットが胸を張って答えた。
「……庶民が食べるものをアンに食べさせるのか」
殿下は眉根を寄せた。
「私がお願いしたんです、どうしても食べたいって」
美味しいものに庶民も平民も関係ない。
私的には、庶民が食べるものの方が好きなくらいだ。
「しかし……」
「アルノーとは学生時代、よく庶民のお店で買って食べたりしてましたわ」
私の言葉に殿下は黙り込んだ。
王子様には難しいだろうけれど、アルノーだけでなくローズモンドとも放課後や休日に街に繰り出して庶民グルメを楽しんだのは楽しい思い出だ。
「いい匂いですね」
カミーユが殿下の反対側から紙袋を覗き込んできた。
見た目に反して、カミーユは甘いもの好きだ。
――そういえばゲームでもヒロインと親しくなるきっかけは、お昼に食べていたメロンパンだったのでは。
「カミーユも食べる? とっても美味しいのですって」
もしかしたらこれがきっかけでカミーユルートが始まるかもしれない。
そうひらめいて私はカミーユへ紙袋を差し出した。
「シャルロットのお家は甘い系のパンが充実しているそうよ」
「では昼にいただきましょう。――ところで」
カミーユは紙袋を受け取りながら、私とシャルロットを交互に見た。
「二人は親しくなったのですか?」
「……昨日お話ししたのよ」
シャルロットと顔を見合わせて私は答えた。
「昨日? すぐに帰ったのではないのですか」
「帰りがけに会ったから少し話をしたの、ね」
「はい」
私の言葉にシャルロットがこくりと頷く。
「何の話を?」
「シャルロットのことを聞いたらお家がパン屋だっていうから、どんなパンが有名なのか聞いたの。庶民のパン屋には私達が知らないパンがあるじゃない」
「そうなんですか」
「前はよく学園の近くのリンゴの看板があったパン屋さんに行っていたわ」
看板にもなっていた、リンゴを使ったパンが名物で、アップルパイが絶品だったのだ。
確か十年くらい前に閉店してしまったと聞いている。
「あ、多分その店、父が修行した店です」
シャルロットが言った。
「本当?!」
「そのパン屋にあったパンも何種類か作っていると聞きました」
「アップルパイは?」
「ありますよ」
「素敵! 今度お店に行っていい?」
またあのアップルパイが食べられるなんて!
私は思わずシャルロットの手を握りしめた。
「くっ、美少女の上目遣い……これが愛され妹キャラの実力……」
シャルロットが何かに耐えるような顔でぶつぶつ言っている。
妹キャラの実力って何? それと上目遣いなのは背が低いからよ?
リリアンもマリアンヌも……背が低いのだ。
ゲームでは背の低さがマリアンヌのコンプレックスとなっていた。
「アン」
シャルロットの手を握りしめていた手を殿下に取られると、今度は私が殿下に手を握りしめられた。
「街へ行くなら僕も行く」
「え……それは」
殿下が街へ行くとなると、警備をつけるなど大ごとになってしまう。
「お忍びで行けばいい。王子だと分からないよう変装もして」
それはそれで大変なのでは……
「殿下、パンが食べたいのなら買ってきますから」
「そういう事ではない」
握る手に力がこもる。
「でも…殿下」
「アルノー殿とは行くのに僕とは行かれないのか」
縋るような眼差しが私を見つめていた。
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