元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?

冬野月子

文字の大きさ
22 / 66
第4章 黒魔術

01

しおりを挟む
(フレデリク視点)


彼女だ、と思った。

祖母が持っていた一枚の絵姿。
そこに描かれていた『彼女』を見た瞬間の――その衝撃をどう表現したらいいだろう。

可愛らしい女性の絵だった。
こちらを見つめる、青空のような明るい青い瞳から目が離せなかった。
艶やかな黒髪に、弧を描いた赤い唇に触れたい――幼心に宿った初めての衝動に戸惑いながらも、僕は確信した。

彼女だ。
僕は、彼女がいい。


「どうしたの? この絵が気に入ったの?」
絵を見つめたまま動かない僕に祖母が声をかけた。

「……このひとは誰?」
「私の親友のリリアンよ」
「リリアン……」
そっと口にしたその可愛らしい響きが胸にくすぐったかった。


「お祖母さま。僕はこのひとと結婚したい」
そう告げると祖母は驚いたように目を見開いた。

「フレデリク……それは無理よ」
「どうして?」
「その絵は十代の姿だけれど、実際のリリアンは私と同じ歳なのよ」
「それだとどうして結婚できないの?」
「――それにね、リリアンはもう結婚していて、あなたと同じ歳の孫もいるのよ」

彼女が結婚している。
それは僕にとって衝撃だった。

祖母曰く、リリアンとその夫は幼馴染で、結婚して何十年経った今でもとても仲が良いのだという。
彼らが別れることはないし、年齢が離れ過ぎている僕との結婚はありえないと。

それでも諦められなくて、祖母と会った時はいつもリリアンの話をねだった。
彼女は見た目も性格も可愛らしく、優しくて、初めて会った時から身分が低い祖母のことを厭うこともなく、王太子であった祖父との仲も積極的に応援してくれたのだという。


祖母から話を聞くたびにリリアンへの想いは募るばかりだった。
たとえ年齢差があろうとも関係なかった。
彼女に会いたいと願ったけれど、社交界から引退し王都から遠く離れた領地で暮らす彼女と会うことは叶わなかった。

そんな僕の心など知る由もない周囲から、そろそろ婚約者を決めようという声が上がりはじめた十歳のある日、リリアンの孫であるマリアンヌと会った。
後から思えば、それは年齢も家柄も合う彼女との『お見合い』だったのだろう。

マリアンヌは髪色こそ栗色だけれど、その顔立ちといい、空色の瞳も唇の形も絵姿のリリアンにとてもよく似ていた。

だから僕は。
思わず父に伝えてしまったのだ。
――マリアンヌを婚約者にしたいと。

十歳の子供が決めたとはいえ――その判断は間違いだった。


血が繋がっていて顔も良く似ていたけれど、マリアンヌの中身はリリアンとは似ても似つかなかった。
気の強いマリアンヌは何かと僕と張り合おうとする。
時にキツくなるその顔立ちは、リリアンとは全く違うものだった。

それでも婚約者となった以上、友好的に接しなければならない。
そう思い、マリアンヌと仲良くしようとし――それなりに親しくしてきたのだが。

十四歳の時、リリアンが亡くなったという知らせが届いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。 兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。 ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。 私も脳筋ってこと!? それはイヤ!! 前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。 ゆるく軽いラブコメ目指しています。 最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。 小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

処理中です...