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「ルー」
お腹を撫でていた手を止めると、エドは私を両腕に閉じ込めるように抱きしめた。
「ありがとう」
「え?」
「俺に家族をくれて」
首を捻り、エドと視線を合わせる。
「俺は家族を持つのが怖かった。血筋のこともあるし、母親も生きるために働いてばかりで、それで死んでしまって。家族がどういうものか分からなかったし、俺には必要ないと思っていた。だがルーと出会った時に、この娘を守りたいと思って――これが家族を持つということなんだと分かったんだ」
「エド……」
「だからもう義賊はやめようと思う」
「え?」
「最近貴族の不正が暴かれることが多くなってきて俺の仕事が減ってきているのもあるんだが。いつ捕まるか分からない不安をルーに抱かせたくないんだ。今ひとつ手がけている所があるから、それが終わればもうやめるよ」
「本当に?」
「ああ。この村で、畑を耕して狩りをして、それで親子三人で暮らそう」
「ええ……ええ、そうね。それがいいわ」
弓が得意なエドは元々この村に現れる獣を倒してはその肉を村人たちと分け合っていた。
その狩りをもっと本格的にやって町に売りにいけばいい仕事になるのにとダリアも言っていた。
本当は、義賊なんてやめて欲しいと思っていた。
相手が後ろめたいことをしているとはいえ人のものを盗むのは良くないし、何より貴族相手なのだ。
もしも捕まってしまえば……その場で斬られてもおかしくない。
私と出会う前、エドは貴族への恨みを糧に生きてきたという。
そんな彼の気持ちを思うと、やめて欲しいとは言いづらかった。
「盗人の子じゃあこの子も可哀想だしな」
再び腹を撫でると、エドは私の手を取った。
「ドレスも宝石も買ってやれない生活からは抜け出せないが」
「いらないわ。ドレスなんて苦しいだけだし、この指輪があれば十分よ」
私の指にはかつてエドの母親が大公様から貰ったという指輪が輝いている。
結婚式の日、これしか装飾品がないんだと言ってくれたものだ。
エドの過去と生い立ちを秘めたこの指輪は私たちの宝物だ。
「早く生まれてくるといいな」
「そうね、でもまだあと半年以上かかるそうよ」
「男……いや、女の子がいいかな」
「どうして?」
「きっとルーに似た可愛い子だろうから」
「あら、じゃあ男の子だったらエドみたいな格好良い子になるのね」
「俺は別に格好良くなんかないぞ」
「私にとっては、世界一格好良くて素敵な旦那様だわ」
「――そうか」
嬉しそうに顔を綻ばせると、エドは私に口づけた。
柔らかなその温もりに触れるたびに、心が満たされる。
「エド……愛しているわ」
私に沢山の愛をくれる人。
この人と出会えて、夫婦となれて、本当に幸せだと思う。
「ああ。愛しているよルー」
この幸せが、これからもずっと続く。
この時私は心からそう信じていた。
お腹を撫でていた手を止めると、エドは私を両腕に閉じ込めるように抱きしめた。
「ありがとう」
「え?」
「俺に家族をくれて」
首を捻り、エドと視線を合わせる。
「俺は家族を持つのが怖かった。血筋のこともあるし、母親も生きるために働いてばかりで、それで死んでしまって。家族がどういうものか分からなかったし、俺には必要ないと思っていた。だがルーと出会った時に、この娘を守りたいと思って――これが家族を持つということなんだと分かったんだ」
「エド……」
「だからもう義賊はやめようと思う」
「え?」
「最近貴族の不正が暴かれることが多くなってきて俺の仕事が減ってきているのもあるんだが。いつ捕まるか分からない不安をルーに抱かせたくないんだ。今ひとつ手がけている所があるから、それが終わればもうやめるよ」
「本当に?」
「ああ。この村で、畑を耕して狩りをして、それで親子三人で暮らそう」
「ええ……ええ、そうね。それがいいわ」
弓が得意なエドは元々この村に現れる獣を倒してはその肉を村人たちと分け合っていた。
その狩りをもっと本格的にやって町に売りにいけばいい仕事になるのにとダリアも言っていた。
本当は、義賊なんてやめて欲しいと思っていた。
相手が後ろめたいことをしているとはいえ人のものを盗むのは良くないし、何より貴族相手なのだ。
もしも捕まってしまえば……その場で斬られてもおかしくない。
私と出会う前、エドは貴族への恨みを糧に生きてきたという。
そんな彼の気持ちを思うと、やめて欲しいとは言いづらかった。
「盗人の子じゃあこの子も可哀想だしな」
再び腹を撫でると、エドは私の手を取った。
「ドレスも宝石も買ってやれない生活からは抜け出せないが」
「いらないわ。ドレスなんて苦しいだけだし、この指輪があれば十分よ」
私の指にはかつてエドの母親が大公様から貰ったという指輪が輝いている。
結婚式の日、これしか装飾品がないんだと言ってくれたものだ。
エドの過去と生い立ちを秘めたこの指輪は私たちの宝物だ。
「早く生まれてくるといいな」
「そうね、でもまだあと半年以上かかるそうよ」
「男……いや、女の子がいいかな」
「どうして?」
「きっとルーに似た可愛い子だろうから」
「あら、じゃあ男の子だったらエドみたいな格好良い子になるのね」
「俺は別に格好良くなんかないぞ」
「私にとっては、世界一格好良くて素敵な旦那様だわ」
「――そうか」
嬉しそうに顔を綻ばせると、エドは私に口づけた。
柔らかなその温もりに触れるたびに、心が満たされる。
「エド……愛しているわ」
私に沢山の愛をくれる人。
この人と出会えて、夫婦となれて、本当に幸せだと思う。
「ああ。愛しているよルー」
この幸せが、これからもずっと続く。
この時私は心からそう信じていた。
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