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05 新しい家族
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「お帰りなさい、クリスティナ」
「ただ今帰りました」
家に帰るとお母様が出迎えてくれた。
「ふふ、今日はプレゼントがあるのよ」
「プレゼント?」
「あなたに弟ができたの」
「……弟?」
一瞬『懐妊』という言葉が頭に浮かんだが……お母様が示した先に一人の少年が立っていた。
ミルクをたっぷり使ったキャラメルのようなくせのある髪色に、透明感のある水色の瞳。
(可愛い……!)
え、なにこの可愛い子? 天使? 女の子じゃなくて男の子なの?!
(あ……もしかして、この子があのゲームに出てくる……)
私は思い出した。
ゲームに出てくるクリスティナには弟がいた。
弟といっても年齢は同じで、バリエ侯爵家の後継として親戚から養子に迎えられた、義理の弟だ。
ゲームでは口が悪くて少し不良っぽいところのあるキャラクターだけれど……目の前にいる彼は私よりも背も小さくて。幼い時はこんなに可愛いの?!
「名前はエディー。今日から家族になるのよ」
「……初めまして」
緊張気味に、少し上目づかいで私を見つめながらエディーは口を開いた。
「か……可愛い!」
思わず私は駆け寄るとその手を握りしめた。
「やだ可愛い! 弟?! 妹じゃなくて?!」
「……は?」
その瞬間、その可愛い顔には似合わない、ドスの効いた声がその可愛らしい口から聞こえた。
「俺は男だ!」
「怒った顔も可愛い!」
「はあ?!」
「手もちっちゃくて女の子みたい!」
「なっ離せよ!」
「……クリスティナ」
抵抗しようとするエディーの手を握りしめていると、背後からため息と共にお父様の声が聞こえた。
「男に可愛いと言ってはダメだよ」
「……だって可愛いじゃない」
「それでもダメだよ。ほら手も離しなさい」
お父様に言われて渋々手を離す。
「ごめんなさいね」
お母様がエディーに向かって言った。
「この子、気に入ったものを目の前にすると少しおかしくなってしまうの。きっとあなたのことも気に入ったのね」
(……おかしくなるって、何?)
思わずお母様を見上げると、どこか残念そうなものを見るような目で私を見た。
「エディーは分家の子で、バリエ家の後継になるのよ。そのつもりで接しなさいね」
そのつもりというと……。
「姉として面倒を見ろということね」
「面倒なんか見てもらう必要はない」
「やだもう反抗期? なのに可愛い!」
「はあ?」
「睨んだ目も可愛い……」
「クリスティナ……」
「ふふ、賑やかになりそうね」
お父様がまたため息をついた隣でお母様が楽しそうに笑った。
お母様の言ったように、屋敷は賑やかになった。
エディーは、ゲームでは主人公の恋の相手の一人。口が悪いけれど、心を開いた相手には優しいキャラだ。
ゲームのイラストは背が高くてクールな見た目だけれど、今のエディーはまだ私よりも背が低くて、髪も長めでどこから見ても女の子だ。あまりにも可愛くて、つい愛でたくなってしまう。
そうしてその度にエディーに怒られて……それでも可愛いのだから仕方がない。
弟ってこんな可愛い存在だったろうか。
前世の弟は……頭が良くて、ちょっと生意気だったけれど、でも意外と姉思いで優しいところもあって……あ、可愛かったわ。うん、弟は可愛いものなのね。
それにしても、このエディーってば……。
「何しても可愛いなんて、天使なの?」
「……お前バカだろ」
家族とのティータイム。エディーがお茶を飲んだりお菓子を食べる仕草が可愛くて呟いたら氷の眼差しで睨まれた。
「悪口も冷たい目も全部可愛い……」
「――そんなバカで、よく王太子の婚約者になれたな」
「ふふ。クリスティナはね、外ではちゃんとしてるのよ」
お母様が言った。
「王妃様や教師の方にも褒められているの。でも家族の前では気が緩んでしまうのよね」
確かに王宮では王太子の婚約者としてちゃんと振る舞わなくてはという意識があるけど……というか。
「え、王妃様が褒めてくれたの?」
「ええ、いつも頑張っているし結果もしっかり出していて偉いって」
「嬉しい!」
王妃様に褒められるなんて!
「……そんなに喜ぶことか?」
エディーは呆れたような顔を見せた。
「だって王妃様はとても綺麗で仕草も完璧なのよ。そんな方に褒められるなんて幸せだわ」
「ふふ、クリスティナは本当に王妃様が好きね」
「だって初めてお会いしたときからずっと私にとって憧れの女神様だもの」
王宮へ通っているのになかなかお会いできないのが残念だけれど。
「……ふうん」
理解できないのか、少し怒ったような顔でエディーはお茶を飲んだ。
「ただ今帰りました」
家に帰るとお母様が出迎えてくれた。
「ふふ、今日はプレゼントがあるのよ」
「プレゼント?」
「あなたに弟ができたの」
「……弟?」
一瞬『懐妊』という言葉が頭に浮かんだが……お母様が示した先に一人の少年が立っていた。
ミルクをたっぷり使ったキャラメルのようなくせのある髪色に、透明感のある水色の瞳。
(可愛い……!)
え、なにこの可愛い子? 天使? 女の子じゃなくて男の子なの?!
(あ……もしかして、この子があのゲームに出てくる……)
私は思い出した。
ゲームに出てくるクリスティナには弟がいた。
弟といっても年齢は同じで、バリエ侯爵家の後継として親戚から養子に迎えられた、義理の弟だ。
ゲームでは口が悪くて少し不良っぽいところのあるキャラクターだけれど……目の前にいる彼は私よりも背も小さくて。幼い時はこんなに可愛いの?!
「名前はエディー。今日から家族になるのよ」
「……初めまして」
緊張気味に、少し上目づかいで私を見つめながらエディーは口を開いた。
「か……可愛い!」
思わず私は駆け寄るとその手を握りしめた。
「やだ可愛い! 弟?! 妹じゃなくて?!」
「……は?」
その瞬間、その可愛い顔には似合わない、ドスの効いた声がその可愛らしい口から聞こえた。
「俺は男だ!」
「怒った顔も可愛い!」
「はあ?!」
「手もちっちゃくて女の子みたい!」
「なっ離せよ!」
「……クリスティナ」
抵抗しようとするエディーの手を握りしめていると、背後からため息と共にお父様の声が聞こえた。
「男に可愛いと言ってはダメだよ」
「……だって可愛いじゃない」
「それでもダメだよ。ほら手も離しなさい」
お父様に言われて渋々手を離す。
「ごめんなさいね」
お母様がエディーに向かって言った。
「この子、気に入ったものを目の前にすると少しおかしくなってしまうの。きっとあなたのことも気に入ったのね」
(……おかしくなるって、何?)
思わずお母様を見上げると、どこか残念そうなものを見るような目で私を見た。
「エディーは分家の子で、バリエ家の後継になるのよ。そのつもりで接しなさいね」
そのつもりというと……。
「姉として面倒を見ろということね」
「面倒なんか見てもらう必要はない」
「やだもう反抗期? なのに可愛い!」
「はあ?」
「睨んだ目も可愛い……」
「クリスティナ……」
「ふふ、賑やかになりそうね」
お父様がまたため息をついた隣でお母様が楽しそうに笑った。
お母様の言ったように、屋敷は賑やかになった。
エディーは、ゲームでは主人公の恋の相手の一人。口が悪いけれど、心を開いた相手には優しいキャラだ。
ゲームのイラストは背が高くてクールな見た目だけれど、今のエディーはまだ私よりも背が低くて、髪も長めでどこから見ても女の子だ。あまりにも可愛くて、つい愛でたくなってしまう。
そうしてその度にエディーに怒られて……それでも可愛いのだから仕方がない。
弟ってこんな可愛い存在だったろうか。
前世の弟は……頭が良くて、ちょっと生意気だったけれど、でも意外と姉思いで優しいところもあって……あ、可愛かったわ。うん、弟は可愛いものなのね。
それにしても、このエディーってば……。
「何しても可愛いなんて、天使なの?」
「……お前バカだろ」
家族とのティータイム。エディーがお茶を飲んだりお菓子を食べる仕草が可愛くて呟いたら氷の眼差しで睨まれた。
「悪口も冷たい目も全部可愛い……」
「――そんなバカで、よく王太子の婚約者になれたな」
「ふふ。クリスティナはね、外ではちゃんとしてるのよ」
お母様が言った。
「王妃様や教師の方にも褒められているの。でも家族の前では気が緩んでしまうのよね」
確かに王宮では王太子の婚約者としてちゃんと振る舞わなくてはという意識があるけど……というか。
「え、王妃様が褒めてくれたの?」
「ええ、いつも頑張っているし結果もしっかり出していて偉いって」
「嬉しい!」
王妃様に褒められるなんて!
「……そんなに喜ぶことか?」
エディーは呆れたような顔を見せた。
「だって王妃様はとても綺麗で仕草も完璧なのよ。そんな方に褒められるなんて幸せだわ」
「ふふ、クリスティナは本当に王妃様が好きね」
「だって初めてお会いしたときからずっと私にとって憧れの女神様だもの」
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