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第2章 再会と出会い
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「さて、と」
会議を終えて戻ってきたフェールがロゼを連れて出て行ったので、ティーセットを片付けようとルーチェはティーワゴンに手をかけた。
バタン!とノックもなく乱暴に扉が開かれた。
「フェールとロゼは?」
「———今しがた図書館へと向かわれました」
突然現れた赤髪の青年に、ルーチェは慌てて深く頭を下げた。
「ちっ、早い奴だな」
「殿下。戻りますよ」
「私も図書館へ行く」
「何言ってるんですか、仕事が溜まっているでしょう」
「そんなもの後でやればいいだろう」
「殿下!」
バタバタと二つの足音が遠ざかる音に、目線だけをそっと上げると青い髪の後ろ姿がちらと見えた。
———まあ、現実はこんなものよね。
思いがけない攻略対象との遭遇にため息をつくと、ルーチェは後片付けを再開した。
フェールとはロゼという存在のお陰で認識され、会話をする事が出来るが。
本来彼らとは視線が合うことすらない立場なのだ。
「…攻略なんて、しようがないっていうのよ」
それなのに、どうして…あの白いひとは私をこの世界に転生させたのだろう。
十八年前。
突然親友が行方不明になった事にひかりはショックを受けていた。
自ら姿を消すような心当たりもなく、事故や事件に巻き込まれた形跡もない。
探しようもなく、ただ時だけが過ぎていった。
雫が忽然と姿を消してから何をする気にもなれず無気力だったひかりは、ある日通りがかった本屋でふと足を止めた。
行方不明になる直前まで二人で遊んでいた乙女ゲームの、ファンブックが出ていたのだ。
その表紙の、雫に良く似た青年を見て思わず本を手に取っていた。
家に帰り本をめくる。
そこにはゲームでは描かれていなかった攻略対象たちの細かなエピソードなどが描かれていた。
その中の一つ、フェールのページでひかりの手が止まった。
彼が心を閉ざし氷の宰相と呼ばれるようになった原因、亡くなった妹の姿があったのだ。
幼いフェールと楽しそうにじゃれあう少女の姿は、行方不明になった親友の小さい頃にとても似ていた。
その笑い方もそっくりで…まるで彼女がそこにいるようだった。
「…雫———」
ぽたり、と少女のイラストの上に大粒の涙が落ちる。
次の瞬間、本が光に包まれた。
光は急激に大きくなり、眩しさにひかりは目を閉じた。
そしてその目を開くと、何故か周囲に何もない、真っ白な空間にいたのだ。
「え…何?どこここ」
周囲を見回した先に人の形をした白いものが見えた。
『ひかり』
白いものから声が聞こえた。
それは女性の声だった。
『あなたにお願いがあります』
「お願い?」
『この本の…ゲームの世界に、ルーチェ・ソレイユとして生まれ変わってもらいたいのです』
「は…?」
唐突な言葉にひかりは目を丸くした。
『光の乙女であるあなたに助けて欲しいのです』
———ああ、これは夢かな。
ひかりは思った。
ゲームの世界に転生する小説をよく読んでいたせいで夢に出てきてしまったか。
これが夢なら…どうせ醒めた所で雫はいないのだし。
「分かりました」
ひかりは白いひとに向かって答えた。
「私でいいのなら…」
『あなたにしか出来ないのです』
白いひとは言った。
『どうか〝彼女〟を…お願いします』
「彼女…?」
転生した時の事を思い出していたルーチェはふと呟いた。
「彼女って…もしかしてロゼ様の事?」
ひかりにとって一番大切な、親友の雫。
彼女がこの世界で生きていたと知った時は本当に嬉しかった。
そして雫がフェールの妹だと…あのファンブックに描かれていた少女が雫だったのだと知った時の驚き。
———そういえば、雫は学校帰りに突然白い光に包まれてこの世界に戻ってきたと言っていた。
もしもその白い光が、自分が転生した時の白い光と同じだったなら…
「———うん、頑張ろう」
ルーチェはぎゅっと手を握りしめた。
会議を終えて戻ってきたフェールがロゼを連れて出て行ったので、ティーセットを片付けようとルーチェはティーワゴンに手をかけた。
バタン!とノックもなく乱暴に扉が開かれた。
「フェールとロゼは?」
「———今しがた図書館へと向かわれました」
突然現れた赤髪の青年に、ルーチェは慌てて深く頭を下げた。
「ちっ、早い奴だな」
「殿下。戻りますよ」
「私も図書館へ行く」
「何言ってるんですか、仕事が溜まっているでしょう」
「そんなもの後でやればいいだろう」
「殿下!」
バタバタと二つの足音が遠ざかる音に、目線だけをそっと上げると青い髪の後ろ姿がちらと見えた。
———まあ、現実はこんなものよね。
思いがけない攻略対象との遭遇にため息をつくと、ルーチェは後片付けを再開した。
フェールとはロゼという存在のお陰で認識され、会話をする事が出来るが。
本来彼らとは視線が合うことすらない立場なのだ。
「…攻略なんて、しようがないっていうのよ」
それなのに、どうして…あの白いひとは私をこの世界に転生させたのだろう。
十八年前。
突然親友が行方不明になった事にひかりはショックを受けていた。
自ら姿を消すような心当たりもなく、事故や事件に巻き込まれた形跡もない。
探しようもなく、ただ時だけが過ぎていった。
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その表紙の、雫に良く似た青年を見て思わず本を手に取っていた。
家に帰り本をめくる。
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その中の一つ、フェールのページでひかりの手が止まった。
彼が心を閉ざし氷の宰相と呼ばれるようになった原因、亡くなった妹の姿があったのだ。
幼いフェールと楽しそうにじゃれあう少女の姿は、行方不明になった親友の小さい頃にとても似ていた。
その笑い方もそっくりで…まるで彼女がそこにいるようだった。
「…雫———」
ぽたり、と少女のイラストの上に大粒の涙が落ちる。
次の瞬間、本が光に包まれた。
光は急激に大きくなり、眩しさにひかりは目を閉じた。
そしてその目を開くと、何故か周囲に何もない、真っ白な空間にいたのだ。
「え…何?どこここ」
周囲を見回した先に人の形をした白いものが見えた。
『ひかり』
白いものから声が聞こえた。
それは女性の声だった。
『あなたにお願いがあります』
「お願い?」
『この本の…ゲームの世界に、ルーチェ・ソレイユとして生まれ変わってもらいたいのです』
「は…?」
唐突な言葉にひかりは目を丸くした。
『光の乙女であるあなたに助けて欲しいのです』
———ああ、これは夢かな。
ひかりは思った。
ゲームの世界に転生する小説をよく読んでいたせいで夢に出てきてしまったか。
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「分かりました」
ひかりは白いひとに向かって答えた。
「私でいいのなら…」
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———そういえば、雫は学校帰りに突然白い光に包まれてこの世界に戻ってきたと言っていた。
もしもその白い光が、自分が転生した時の白い光と同じだったなら…
「———うん、頑張ろう」
ルーチェはぎゅっと手を握りしめた。
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