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第4章 もう一つの魔力
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「しかし出会って三回目でプロポーズねえ…」
再び寝転がると、ルーチェはため息をついた。
「ヴァイス様ってゲームと全然違うのね」
「そうなの?」
「一番難しい攻略対象で、心を開くまでが大変だったのよ。とにかく嫌いなものが多くて」
「嫌いなもの…?」
「まず女嫌いでしょ、あと貴族が嫌い、家族が嫌い」
家族と聞いて一瞬ロゼの脳裏にディオンの目が浮かんだ。
…確かにあの兄とは仲が良くなさそうだったけれど…
「…ヴァイス様のお父様とお会いしたけれど、嫌っているようには見えなかったわ」
街デートの翌日、父親のオーウェン・アルジェント将軍がヴァイスを伴ってノワール家を訪れた。
そして両家の間で改めて意思を確認し、仮婚約を結んだのだが、その時のヴァイスと父親のやり取りを見た限り———世話焼きの父親を鬱陶しいと思っている所はあるようだが、嫌っているようには見えなかった。
「そうなんだ。…そうね、他の公爵家の人たちとも仲は悪くなさそうだし…大丈夫かな」
「え?」
「ヴァイス様とゲームの事で気になっていた事があるんだけれど…ゲームはゲーム、今この現実とは関係ないのねきっと」
「…何の話?」
「あのねロゼ」
ルーチェは起き上がると座り直してロゼを見た。
「ロゼが向こうの世界からいなくなった後、ゲームのファンブックが出たの」
「ファンブック…って?」
「設定資料や描き下ろしのイラストなんかが載っている本よ。それでね、その中に各キャラの、ゲームには出てこないエンディングのストーリーが載ってたの」
「ゲームには出てこない?」
ロゼは首を傾げた。
「あのゲームには結ばれるハッピーエンドと友達で終わるノーマルエンド、好感度がないバッドエンドの三種類あるのは知ってるわよね」
「ええ」
「そのファンブックに載っている第四の〝革命エンド〟はね…ヒロインが光の乙女として活躍して、選んだ攻略対象が王になるストーリーなのよ」
「え?」
ロゼは慌てて起き上がるとルーチェの前に座り直した。
「どういう事?王になるって…」
「王太子以外の四人の場合は、王太子の横暴さに耐えかねて殿下を廃嫡したり追放して自分が王になるの」
ロゼの瞳を見つめてルーチェは言った。
「それでね、王太子の場合は…ヴァイス様がクーデターを起こすのを阻止して殿下が王位につくの」
ロゼは目を見開いた。
「クーデター…ヴァイス様…が…?」
「王政制度を廃止しようとするの…ロゼ?あくまでもファンブックの話だからね?」
見る間に青ざめたロゼをルーチェは慌てて抱きしめた。
「ごめんねロゼ、この世界のヴァイス様とは違うから…ね?」
「……ん…」
こくりと頷いたロゼの頭を撫でると魔力を込める。
ふわりとロゼの髪が淡い光に包まれた。
「……ルーチェ」
一つ息を吐いてからロゼはルーチェを見た。
「あなた…いつからそうやって魔法が使えるようになったの?」
「え…そういえば」
ルーチェは自分の手のひらを見た。
「———昼間、殿下が痛そうにしていたのを見て…無意識にやっていたのよね」
ランドに指摘されるまで自身に魔力がある事など知らなかったのに。
まるで昔から出来ていたかのように、自然に手を伸ばしていた。
「…ねえ、ファンブックの話だけど」
ロゼが言った。
「光の乙女として活躍するって、どういう事なの?」
「———光の乙女はね、ヒーローに癒しと勇気を与えるのよ。それぞれのトラウマを克服させるのはゲームと同じだけど、他に王太子の場合は改心させて王になる覚悟をつけさせて、他の人の場合は王太子を廃する覚悟ね」
「癒しって…ルーチェみたいに魔法を使えるの?」
「載っていたのはあらすじだから詳しくは書いてなかったけど…ヒロインは特別な魔法が使えると…あ」
ルーチェは目を見開いた。
「そういえば…〝二百年前の悲劇を繰り返さない〟って書いてあった…」
「二百年前…光の乙女の王妃様がいた時?」
二人は顔を見合わせた。
「…ランド様に相談してみる?」
「ゲームの事を話すの?」
「だって…考えたって分からないんだもの」
ロゼは緩く首を振った。
「ゲームやファンブックがこの世界と無関係とは思えないわ…」
名前や容姿など、あまりにも一致し過ぎているのだ。
「でもゲームの世界に入るとか、現実には…」
ルーチェは首を傾げた。
「いや、そうじゃなくて…この世界の事を元にゲームが作られた?」
「え……」
ロゼはルーチェの言葉に目を丸くした。
「その方がまだ自然じゃない?」
「でも…どうやって?」
「———ロゼが向こうの世界に飛ばされたのと関係あるんじゃないかな…」
「…私…どうなるんだろう…」
ロゼは手元へと視線を落とした。
幼い頃は魔力のせいでろくに動く事も出来ず、異世界に飛ばされて。
突然戻ってきて、大切な人が増えていくけれど…いつかまた消えてしまうのではないかという不安かいつもつきまとっている。
「ロゼ」
ルーチェはロゼの手を握りしめた。
「私が守るから。私だけじゃなくて…フェール様やヴァイス様もいるのだし」
「…うん…」
「大丈夫よ」
「ありがとう、ルーチェ」
笑顔を見せたロゼをルーチェはぎゅっと抱きしめた。
再び寝転がると、ルーチェはため息をついた。
「ヴァイス様ってゲームと全然違うのね」
「そうなの?」
「一番難しい攻略対象で、心を開くまでが大変だったのよ。とにかく嫌いなものが多くて」
「嫌いなもの…?」
「まず女嫌いでしょ、あと貴族が嫌い、家族が嫌い」
家族と聞いて一瞬ロゼの脳裏にディオンの目が浮かんだ。
…確かにあの兄とは仲が良くなさそうだったけれど…
「…ヴァイス様のお父様とお会いしたけれど、嫌っているようには見えなかったわ」
街デートの翌日、父親のオーウェン・アルジェント将軍がヴァイスを伴ってノワール家を訪れた。
そして両家の間で改めて意思を確認し、仮婚約を結んだのだが、その時のヴァイスと父親のやり取りを見た限り———世話焼きの父親を鬱陶しいと思っている所はあるようだが、嫌っているようには見えなかった。
「そうなんだ。…そうね、他の公爵家の人たちとも仲は悪くなさそうだし…大丈夫かな」
「え?」
「ヴァイス様とゲームの事で気になっていた事があるんだけれど…ゲームはゲーム、今この現実とは関係ないのねきっと」
「…何の話?」
「あのねロゼ」
ルーチェは起き上がると座り直してロゼを見た。
「ロゼが向こうの世界からいなくなった後、ゲームのファンブックが出たの」
「ファンブック…って?」
「設定資料や描き下ろしのイラストなんかが載っている本よ。それでね、その中に各キャラの、ゲームには出てこないエンディングのストーリーが載ってたの」
「ゲームには出てこない?」
ロゼは首を傾げた。
「あのゲームには結ばれるハッピーエンドと友達で終わるノーマルエンド、好感度がないバッドエンドの三種類あるのは知ってるわよね」
「ええ」
「そのファンブックに載っている第四の〝革命エンド〟はね…ヒロインが光の乙女として活躍して、選んだ攻略対象が王になるストーリーなのよ」
「え?」
ロゼは慌てて起き上がるとルーチェの前に座り直した。
「どういう事?王になるって…」
「王太子以外の四人の場合は、王太子の横暴さに耐えかねて殿下を廃嫡したり追放して自分が王になるの」
ロゼの瞳を見つめてルーチェは言った。
「それでね、王太子の場合は…ヴァイス様がクーデターを起こすのを阻止して殿下が王位につくの」
ロゼは目を見開いた。
「クーデター…ヴァイス様…が…?」
「王政制度を廃止しようとするの…ロゼ?あくまでもファンブックの話だからね?」
見る間に青ざめたロゼをルーチェは慌てて抱きしめた。
「ごめんねロゼ、この世界のヴァイス様とは違うから…ね?」
「……ん…」
こくりと頷いたロゼの頭を撫でると魔力を込める。
ふわりとロゼの髪が淡い光に包まれた。
「……ルーチェ」
一つ息を吐いてからロゼはルーチェを見た。
「あなた…いつからそうやって魔法が使えるようになったの?」
「え…そういえば」
ルーチェは自分の手のひらを見た。
「———昼間、殿下が痛そうにしていたのを見て…無意識にやっていたのよね」
ランドに指摘されるまで自身に魔力がある事など知らなかったのに。
まるで昔から出来ていたかのように、自然に手を伸ばしていた。
「…ねえ、ファンブックの話だけど」
ロゼが言った。
「光の乙女として活躍するって、どういう事なの?」
「———光の乙女はね、ヒーローに癒しと勇気を与えるのよ。それぞれのトラウマを克服させるのはゲームと同じだけど、他に王太子の場合は改心させて王になる覚悟をつけさせて、他の人の場合は王太子を廃する覚悟ね」
「癒しって…ルーチェみたいに魔法を使えるの?」
「載っていたのはあらすじだから詳しくは書いてなかったけど…ヒロインは特別な魔法が使えると…あ」
ルーチェは目を見開いた。
「そういえば…〝二百年前の悲劇を繰り返さない〟って書いてあった…」
「二百年前…光の乙女の王妃様がいた時?」
二人は顔を見合わせた。
「…ランド様に相談してみる?」
「ゲームの事を話すの?」
「だって…考えたって分からないんだもの」
ロゼは緩く首を振った。
「ゲームやファンブックがこの世界と無関係とは思えないわ…」
名前や容姿など、あまりにも一致し過ぎているのだ。
「でもゲームの世界に入るとか、現実には…」
ルーチェは首を傾げた。
「いや、そうじゃなくて…この世界の事を元にゲームが作られた?」
「え……」
ロゼはルーチェの言葉に目を丸くした。
「その方がまだ自然じゃない?」
「でも…どうやって?」
「———ロゼが向こうの世界に飛ばされたのと関係あるんじゃないかな…」
「…私…どうなるんだろう…」
ロゼは手元へと視線を落とした。
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ルーチェはロゼの手を握りしめた。
「私が守るから。私だけじゃなくて…フェール様やヴァイス様もいるのだし」
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「大丈夫よ」
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笑顔を見せたロゼをルーチェはぎゅっと抱きしめた。
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