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第1章 誘拐騒動ともふもふとの出会い
5話 囚われたアキトとリリアナ
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う…ここ何処?
僕は、お父さんの職場の見学会に行っていたはずなのに。
目を開けると、リリアナが心配そうな目で、僕を見てる。
「よかった、目が覚めたのね」
「ここは?」
手足を動かそうとしたら、縄で縛られていて、動けそうにない。ここは物置部屋なのか、荷物があちこちに置かれていて、周囲は窓のない壁に覆われている。
出入り口は、1つの扉だけか。
「多分、何処かの空家だと思うわ。私も目覚めたばかりで、よくわからないの。誰かが、私たちを誘拐したようね」
茂みから出てきた4つの手か!?
「大人の男たちの声が、外から複数聞こえてきたわ。奴等は身代金目的で、私を誘拐したのよ。あなたは、それに巻き込まれただけ」
誘拐!? あの時に見た手は、そういう事だったのか。少し離れた場所には、大人たちだっているのに、大胆な行動をとる人たちだ。
「リリアナ、怪我は?」
「大丈夫よ。それより、巻き込んでしまってごめんね」
「そんな悲しそうな顔をしないで。僕は怒ってなんかいないから」
「でも、私のせいで…」
僕は込み上げてくる恐怖を必死に抑えつけ、リリアナを安心させる。ここにいるのは僕たちだけ、ここで僕が泣き叫べば、彼女もおかしくなってしまう。こういう時こそ、男の僕がしっかりしないといけないんだ。今、僕たちは手足を縛られ、逃げられない状態だから、せめて外にいる大人たちの声を聞いて、ここが何処かだけでも把握したい。
僕は芋虫のような動きをしながら、入口のある扉に行き、耳を澄ませると、言い争っているかのような声が聞こえてくる。
「ここ、俺らの休憩場所ってこと理解してくれたか?」
「わかったから待ってくれ!! 仲間の慇懃な対応には謝る!! 今すぐに、荷物を持って家から出て…」
「その必要はねえ」
え? 何、どういうこと?
会話が途切れたと思ったら、そこから何も聞こえなくなった。
会話の内容が気になったから、耳を扉につけようとした瞬間、扉が開く。
黒い覆面を被る2人の男たちと、目が合う。
どう考えても、僕たちを助けにきてくれた騎士や冒険者じゃない。
「ち、今度はガキか。無事にミントスに入れて、ようやく休めると思ったのに、肝心の休憩場所が占領されてるってありえねえだろ。こいつらも、さっさと殺してその鞄に入れるぞ」
1人の男が、僕に剣を振りかぶる。
僕は怖くて動けず、咄嗟に目を閉じる。
「ちょい待ち」
「なんで止める?」
ふと目を開けると、もう1人の仲間の左腕が僕の目の前にあり、何故か止めていた。
「よく見ろ。奥にいる女の子は、どう見ても貴族令嬢だ。何かあった時のために、人質として連れていくべきだ。取り引きが終わり次第、始末すればいい」
「たしかに…目的地までまだかなりあるし、連れていくべきか。リーダーと相談してくる」
助かったの? 1人が出ていくと、残った男が僕に話しかけてきた。
「お前ら、もしかして誘拐されたくちか?」
素直に答えた方が無難だよね。
「はい」
「あちゃああ~~、これは想定外。俺らは、その現場に遭遇したのか。お前は……巻き込まれただけの平民?」
う、服装だけで、そこまでわかるものなんだ。
「はい。あ…あの僕たちを誘拐した人たちは?」
「ああ、ここ」
ここと言った覆面の男性は、自分の鞄の中を指す。
「子供が、この意味を知る必要はない。俺の任務に支障が出ないよう、君らをどうにかしないとな」
ちらっとリリアナを見ると、彼女は全身を震わせており、話せる状況じゃないと一目でわかる。ここは、僕がしっかりしないと。
「おじさん、僕たちを助けてよ。なんでもするから」
「そうしたいのは山々なんだが、君らの存在が他の連中にバレている以上、俺も下手に動けない。俺の任務が終わるまで、殺されないよう仕向けるから大人しくしていろ」
助けてくれるってこと?
さっきの人と違って、この人は信用できるのかな?
この人たちの抱えている任務って何だろう?
覆面の男性は外に戻り、仲間の人と何か相談し合い、話し合いを終えると、またここに入ってきた。
「なんとか生かす方向にまとまったが、当分の間は目隠しをさせてもらう」
「え?」
彼は、僕の目に何かを巻き付けていく。視界が真っ暗闇になって、不安感が急速に増していく。
「目隠しをとるなよ。俺らの素顔を見た瞬間、殺されると思え」
死にたくないので、僕は慌てて首を縦に振る。
「今からお前たちを持ち上げて、馬車内へ移動させるから、大きな声をたてるな。奴らは任務のせいで、神経を尖らせてるからな」
僕は死にたくないので、馬車に入れられるまでは黙り込むことにした。優しく抱き上げられると、そのまま移動していき、馬の声が聞こえたと思ったら、そっと何処かに置かれた。その後、何かを持ってきて、僕の横にそっと置かれる。
多分、これはリリアナだ。
「アキト…私たち…これからどうなるの?」
「わからない。誘拐犯たちが消えたと思ったら、今度は別の人たちに誘拐されたようだけど」
「安心しろ。俺の任務が終わり次第、解放してやる。予定通り進めば、あと3日で終わるはずだ。それまでの間、不安で窮屈と思うが我慢してくれ」
なんか変だ。
あの人たちの任務と、この人の任務って同じなのかな? 近くに仲間がいるからなのか、必要なことしか言わないので、イマイチ信用できない。
「おっと、忘れるところだった。長時間不安に晒されると、精神に異常をきたすかもしれないから、2日程眠っていてくれ。食事やトイレを必要としない分、奴らの意識を逸らせる」
「あ…」
男がそう言うと、リリアナの声が聞こえ、何かが倒れるような音がした。
「リリアナに、何かしたの?」
「安心しろ、クロロっていう眠り粉を軽く吸わせただけだ。人を強制的に長期間睡眠させる効果がある。ほら」
「あ…」
「出来れば、俺の任務が終わるまで、眠っていてほしいね。まあ、目覚めても、あいつがいるからフォローしてくれるだろ」
鼻と口に何かつけられると、僕はそのまま意識を失った。
僕は、お父さんの職場の見学会に行っていたはずなのに。
目を開けると、リリアナが心配そうな目で、僕を見てる。
「よかった、目が覚めたのね」
「ここは?」
手足を動かそうとしたら、縄で縛られていて、動けそうにない。ここは物置部屋なのか、荷物があちこちに置かれていて、周囲は窓のない壁に覆われている。
出入り口は、1つの扉だけか。
「多分、何処かの空家だと思うわ。私も目覚めたばかりで、よくわからないの。誰かが、私たちを誘拐したようね」
茂みから出てきた4つの手か!?
「大人の男たちの声が、外から複数聞こえてきたわ。奴等は身代金目的で、私を誘拐したのよ。あなたは、それに巻き込まれただけ」
誘拐!? あの時に見た手は、そういう事だったのか。少し離れた場所には、大人たちだっているのに、大胆な行動をとる人たちだ。
「リリアナ、怪我は?」
「大丈夫よ。それより、巻き込んでしまってごめんね」
「そんな悲しそうな顔をしないで。僕は怒ってなんかいないから」
「でも、私のせいで…」
僕は込み上げてくる恐怖を必死に抑えつけ、リリアナを安心させる。ここにいるのは僕たちだけ、ここで僕が泣き叫べば、彼女もおかしくなってしまう。こういう時こそ、男の僕がしっかりしないといけないんだ。今、僕たちは手足を縛られ、逃げられない状態だから、せめて外にいる大人たちの声を聞いて、ここが何処かだけでも把握したい。
僕は芋虫のような動きをしながら、入口のある扉に行き、耳を澄ませると、言い争っているかのような声が聞こえてくる。
「ここ、俺らの休憩場所ってこと理解してくれたか?」
「わかったから待ってくれ!! 仲間の慇懃な対応には謝る!! 今すぐに、荷物を持って家から出て…」
「その必要はねえ」
え? 何、どういうこと?
会話が途切れたと思ったら、そこから何も聞こえなくなった。
会話の内容が気になったから、耳を扉につけようとした瞬間、扉が開く。
黒い覆面を被る2人の男たちと、目が合う。
どう考えても、僕たちを助けにきてくれた騎士や冒険者じゃない。
「ち、今度はガキか。無事にミントスに入れて、ようやく休めると思ったのに、肝心の休憩場所が占領されてるってありえねえだろ。こいつらも、さっさと殺してその鞄に入れるぞ」
1人の男が、僕に剣を振りかぶる。
僕は怖くて動けず、咄嗟に目を閉じる。
「ちょい待ち」
「なんで止める?」
ふと目を開けると、もう1人の仲間の左腕が僕の目の前にあり、何故か止めていた。
「よく見ろ。奥にいる女の子は、どう見ても貴族令嬢だ。何かあった時のために、人質として連れていくべきだ。取り引きが終わり次第、始末すればいい」
「たしかに…目的地までまだかなりあるし、連れていくべきか。リーダーと相談してくる」
助かったの? 1人が出ていくと、残った男が僕に話しかけてきた。
「お前ら、もしかして誘拐されたくちか?」
素直に答えた方が無難だよね。
「はい」
「あちゃああ~~、これは想定外。俺らは、その現場に遭遇したのか。お前は……巻き込まれただけの平民?」
う、服装だけで、そこまでわかるものなんだ。
「はい。あ…あの僕たちを誘拐した人たちは?」
「ああ、ここ」
ここと言った覆面の男性は、自分の鞄の中を指す。
「子供が、この意味を知る必要はない。俺の任務に支障が出ないよう、君らをどうにかしないとな」
ちらっとリリアナを見ると、彼女は全身を震わせており、話せる状況じゃないと一目でわかる。ここは、僕がしっかりしないと。
「おじさん、僕たちを助けてよ。なんでもするから」
「そうしたいのは山々なんだが、君らの存在が他の連中にバレている以上、俺も下手に動けない。俺の任務が終わるまで、殺されないよう仕向けるから大人しくしていろ」
助けてくれるってこと?
さっきの人と違って、この人は信用できるのかな?
この人たちの抱えている任務って何だろう?
覆面の男性は外に戻り、仲間の人と何か相談し合い、話し合いを終えると、またここに入ってきた。
「なんとか生かす方向にまとまったが、当分の間は目隠しをさせてもらう」
「え?」
彼は、僕の目に何かを巻き付けていく。視界が真っ暗闇になって、不安感が急速に増していく。
「目隠しをとるなよ。俺らの素顔を見た瞬間、殺されると思え」
死にたくないので、僕は慌てて首を縦に振る。
「今からお前たちを持ち上げて、馬車内へ移動させるから、大きな声をたてるな。奴らは任務のせいで、神経を尖らせてるからな」
僕は死にたくないので、馬車に入れられるまでは黙り込むことにした。優しく抱き上げられると、そのまま移動していき、馬の声が聞こえたと思ったら、そっと何処かに置かれた。その後、何かを持ってきて、僕の横にそっと置かれる。
多分、これはリリアナだ。
「アキト…私たち…これからどうなるの?」
「わからない。誘拐犯たちが消えたと思ったら、今度は別の人たちに誘拐されたようだけど」
「安心しろ。俺の任務が終わり次第、解放してやる。予定通り進めば、あと3日で終わるはずだ。それまでの間、不安で窮屈と思うが我慢してくれ」
なんか変だ。
あの人たちの任務と、この人の任務って同じなのかな? 近くに仲間がいるからなのか、必要なことしか言わないので、イマイチ信用できない。
「おっと、忘れるところだった。長時間不安に晒されると、精神に異常をきたすかもしれないから、2日程眠っていてくれ。食事やトイレを必要としない分、奴らの意識を逸らせる」
「あ…」
男がそう言うと、リリアナの声が聞こえ、何かが倒れるような音がした。
「リリアナに、何かしたの?」
「安心しろ、クロロっていう眠り粉を軽く吸わせただけだ。人を強制的に長期間睡眠させる効果がある。ほら」
「あ…」
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鼻と口に何かつけられると、僕はそのまま意識を失った。
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