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《シャーロットが帝王となった場合のifルート》第2部 8歳〜アストレカ大陸編【ガーランド法王国
エピローグ 《お仕置き執行》と《アドルフ教皇の爆弾発言》
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トキワさんとアッシュさんの配慮により、王族達へのお仕置きは不発に終わったけれど、【ハンマーヘッド金的地獄】を王城内にいる獣人達に見せることで、私の怖さを理解してもらえたと思う。少々物足りない感が私の中に残っているものの、話し合いは滞りなく終了し、王族達は【国の滅亡】と【新たな国の建国】を各国に知らせるための準備に取り掛かる。
○○○
この話し合いの日から、時が慌ただしく流れていき、4日の日々が経過した。
ガーランド法王国王族達は、アストレカ大陸の各国から押し寄せてくる批難や損害賠償請求などを真摯に受け止め、その対応に日々追われている。
この4日間、私自身も大きく動いた。私は、20人程入る小さな会議室で、貴族達の取調べを執り行った。この会議室は、小学校や中学校の教室とよく似ている。地下に収監されている貴族達を適当に10人ずつ呼び出し、生徒側の椅子に座らせる。そして、私が教壇に立ち、トキワさんをその横に立たせておく。私がランダムで1人を構造解析した後、その者の名前を呼び問答無用で立たせる。
ここからが私の真骨頂である。
立たせた者の性格や弱点を正確に把握し、過去の経験と不正を丹念に丹念に、皆のいる前で暴いていく。取り調べ当初、私が子供だからか、舐めた態度をとる貴族も数人程いたが、少し威圧しながら本人にしかわからない不正を次々と暴露していき、その証拠の隠蔽場所の全てを暴いていくと、取り調べ中の獣人の顔色が次第に悪くなり、身体全体から異常な汗を掻き、最終的には本人自らが全ての罪を自白するに至る。
威圧に関しては、3人目以降行なっていないけど、呼び出した貴族全員の前で、取り調べ者の黒歴史《オネショ・男または女にフラれた・浮気・不倫・厨二病・ドM・ドSなど》や不正などを遠慮なく披露していくと、部屋全体の圧迫感が徐々に重くなっていき、待機中の貴族達が続々と気絶していった。その場で全員を回復魔法で復帰させているのだけど、この環境に耐えられないのか、自分の順番となった時点で、次々と不正を自白していき、中盤以降脅す必要もなくなったため、非常に楽であった。その分、内容を書面化させる書記官が大変だったけどね。
彼らの犯した罪の殆どが軽いものだけど、【国家予算を横領した者】、【宝物庫から宝石を盗み出し、闇のマーケットに売り捌いた者】、【魔人族を家畜扱いし、数十人近く惨殺した者】など、重罪を犯し処刑に値する貴族達も少なからずいた。
結局、重罪に値する者は全体の3割程と判明した。重罪を犯した連中の中でも、特に魔人族に対し大罪を働いたものだけを選別すると。、なんと13名もいた。
今日、王都でも有名な公園にて、選別した13名の男達へのお仕置きを執行することになる。
王族達は13名の元貴族を乗せた護送馬車3台と共に、広場へ向かっている。ちなみに、私、カムイ、トキワさん、アッシュさんは、風魔法【フライ】で、お仕置き執行広場上空に到着しており、準備が整うのを待っている。地上を見ると、大勢の獣人や人間、エルフ、ドワーフ達が集結しており、その近くにはベルナデットさんとネルエルさんを含めた隠れ魔人族達もいる。
ただ、法王の宣言から5日程しか経過していないため、4種族と魔人族との間には、見えない壁のような境界線を感じとれる。和解には程遠いけど、距離を開けながらも互いに話し合っている。両者の顔からは、複雑そうな想いを汲み取れる。今は、これでいい。時間の経過と共に、和解も少しずつ進んでいくだろう。
王族と話し合った後の翌日、私は隠れ魔人族の住処へ行き、長と会談した。
ベルナデットさんから、《長はダークエルフで200歳を軽く超えている》と聞いていたのだけど、本当に30歳くらいの妖艶美人さんだったから、正直驚いた。黒髪ロング、色香の漂う身体、アトカさんが彼女と知り合えていたら惚れるんじゃないかな?
彼女の身体は健康体であったものの、その原動力は『希望する魔人族達をハーモニック大陸に連れて帰るまでは死なん』という強い情念によって生まれている。そのため、この悲願が遂に達成されると自覚したからなのか、長は自分の寿命が残り少ないことを把握していた。私の目標でもある4種族との和解について話すと……
「4種族と和解? 聖女様御自身の目標に関して、妾がとやかく言う筋合いはない。だから、あなたの思うように進めばいい。ただ……妾の婚約者は、獣人の手により殺された。あろうことか……奴等は、婚約者や他の仲間達の死体を動物の餌にしおったのだ! この行為と記憶だけは、生涯消えん! 故に、【アストレカ大陸の獣人】とだけは、仲良くする気など毛頭無い! 悲願達成後、妾は故郷でもあるハーモニック大陸サーベント王国で、余生を過ごす」
と豪語していた。そんな長も他の魔人族と共に、この広場へ来ているのだけど、4種族の方を一切見ず、王族だけを憎しみを込めて睨んでいる。
「シャーロット、本当にあのお仕置きを実行するの?」
これから犯罪者達をお仕置きするのに、アッシュさんだけは浮かない顔をしている。
「アッシュさん、あの13名に関しては狂っています。奴等の全てを壊します」
「アッシュ、お前も犯罪の内容を聞いただろ? 全てが、胸糞悪くなるものばかりだ。ただ処刑するだけじゃあ、生温い。心を壊し、全てを食い尽くす!」
トキワさんは遠慮なくやれと言っているけど、アッシュさんは何を思って反対しているのかな?
「僕も、反対するつもりはないんだ。ただ、やり過ぎて、シャーロットの今後が心配なんだよ」
ああ、私の心配をしてくれていたのか。
「アッシュさん、フランジュ帝国の戴冠式も近いです。私自身がここで大きく動くことで、自分を戒めようと思っているんです。帝王となる以上、悪目立ちを控えないといけませんから」
そう言うと、アッシュさんはホッと顔を綻ばせた。
「そうか……シャーロットも、帝王としての自覚が芽生え始めているんだね」
ただ、心配事もある。やらかし回数の制約が無くなったとはいえ、ハーモニック大陸にいる彼らがやらかさないか心配だ。従魔達がやらかさないよう、教育を施さないといけない。
「アッシュ、シャーロット、お喋りもそこまでだ。王族達が到着したぞ」
地上を見ると、王族達が到着したせいか、空気が一気に険悪化した。全員の刺し殺すかのような鋭い視線が、王族達に集中している。犯罪者13名が護送馬車から降ろされるのを確認してから、私達は地上へ降り立つ。トキワさんとカムイがいるせいか、4種族と魔人族の視線に、少し怯えが混じる。私の声が皆に届くよう、拡声魔法を使おう。時間は午前10時ジャストだ。
「皆さん、おはようございます。聖女のシャーロット・エルバランです。ガーランド法王国が滅亡し、新たな国が建国されることになりました。現状、まだ体制が整っていませんので、皆さんはこれまで通りの生活をしていて下さい。詳細が決まり次第、連絡がいくでしょう。ちなみに、国が不安定だからといって、悪さをしてはいけませんよ。もし、悪さをしたら……私とカムイとトキワさんが黙っていませんからね」
私とカムイとトキワさんが周囲を軽く威圧すると、全員が息を飲む。私の気概が伝わったようだ。
「さて、今日ここで行うのは、魔人族の大人子供を惨たらしく殺した犯罪者達へのお仕置きです。彼らは死刑宣告を受けているのですが、その程度の処置では生温いと判断しました。そのため、この場にて……《聖女の鉄槌》を下します!」
私の言葉に、周囲が騒めく。
「【人を癒す】だけが、聖女の役割ではありません。【大罪を犯した者には、聖女の鉄槌を与える】、これも役割の一つなんです! この者達は魔人族達を差別し、大人子供合計で100名以上を拷問し惨殺してきました。今から、この者達の全てを壊します!」
ここで罰の執行者を発表しよう。
「罰の執行者は、精霊様達と私の従魔達です。4種族の皆さんは、この13人程ではないにしろ、少なからず魔人族に対し、何らかの差別を行なってきたはずです。ですから、罰を与える権利などありません。また、魔人族の皆様は、罰を与える権利こそありますが、見るだけにして下さい。その理由は、すぐにわかります」
私は、巨大な簡易神具、ハンマーヘッド金的地獄13台をマジックバッグから取り出し、所定の位置へと置いた。観客となる国民達から見て、全員が見れるよう、円形状となっている。これから何が行われるのか、これだけではわからないだろう。13名の犯罪者共を強制的に動かそうと思っていたところで、思わぬところから声が掛かった。
「聖女様、私もこのお仕置きをお受けします」
声の主は……法王だ。
「あなたは、既にお仕置きされていますよ?」
「私を含めた代々の法王達が、国民や各国を騙し、多大な御迷惑をお掛けしました。国民達も、我々王族を許さないでしょう。これは……私にとってもケジメなのです」
ふうむ、法王の目は本気だ。200年間、国民や国を騙してきた。勿論、このお仕置きを受けるだけで、その大罪が許されるものではないと、法王自身もわかっている。しかし、犯罪を犯した貴族達がお仕置きされる中、王族達はそれを悠々と眺める。国民達の視点から見れば、この行為は王族達の印象をより悪化させるだけだ。だからこそ、法王は自分から志願してきたのだろう。
「わかりました。あなたの心意気に免じ、お仕置きを【ハンマーヘッド金的地獄】から【封人台ランダムルーレット】へとランクアップしてあげましょう」
「ら…ランクアップ?」
法王や他の王族の目が点になっている。
「おいおいシャーロット! それは厄浄禍津金剛に使用した凶悪拷問具だろ! アレを使うつもりなのか!?」
トキワさんが珍しく、慌てている。あの時、その場にいなかったけど、精霊様と共にお仕置きシーンを見ていたから、どのくらい酷い拷問なのかを知っている。
「貴族と同じお仕置きをしても、印象が薄いです。貴族以上の拷問を受けることで、国民達は初めて王族を見てくれるでしょう」
「シャーロット…正論なんだが、奴の性格が変わるぞ?」
う~んそれも困る。
「法王、この拷問具は、神の性格さえも変化させる恐ろしいものです。あなたがこの拷問に耐えきれば、国民達も王族の見方を変えるかもしれません。執行を希望しますか?」
私達の言葉は、拡声魔法により、王都全土にまで聞こえるようにしてある。法王、今まさにあなたは試されているのです。
「聖女様の拷問を受けることこそが、罪を償っていくための始まりなのです!」
法王は、恐怖を抱いていない。なら、こちらも容赦しないよ!
「わかりました」
私は、13台のハンマーヘッド金的地獄によって囲まれた円の中心に移動し、マジックバッグから【封人台ランダムルーレット】を出した。厄浄禍津金剛の初号機を基に、人用を製作しておいてよかった。
「さあ皆さん、お仕置きの始まりです! 精霊様、おいでませ! 召喚【デッドスクリーム】【ドール軍団】」
私の掛け声と共に、30人の精霊様と私の従魔達が上空10メートル付近に、一斉に現れた。精霊と魔物が、これだけ混在しているのは世界初だろうね。日本人形や西洋人形だけでなく、○カちゃん人形もいるから、何処か異様な雰囲気を醸し出している。
「やった、やった! シャーロットがあのお仕置き器具を用意してくれた。見てる方も楽しいし、やる方も楽しいんだ! お~い、シャーロットの従魔達、この馬鹿どもを拷問器具に固定しようぜ~~~~~」
火の精霊様の指示で、皆が一斉に動き出す。法王はデッドスクリームに握り締められ、13人の犯罪者達はドール軍団と精霊様達に捕獲され、一斉に拷問器具へと移動させられ固定されてゆく。全員が固定された後、法王をより目立ちやすくさせるため、2倍ほど巨大化させた。その結果、5m程の【封人台ランダムルーレット】を中心に、13台の通常サイズ【ハンマーヘッド金的地獄】が私達の前に並べられている。う~ん、精霊様や魔物もいるからか、なんか悪魔を呼ぶ儀式のような不気味さを感じる。
「……」
「チビ共、私をここから降ろせ~~~」
「なんだこの人形は!? そんな目で俺を見るな!」
「たかが魔物の分際で、この私を~~~」
法王は覚悟を決めているため、何も言わないけど、13人の犯罪獣人達は完全にパニック状態となり、精霊様や従魔達に対し、罵詈雑言を浴びせている。これからお仕置きを開始する精霊様や従魔達にとって、それらの言葉が快感になるんだよね。
「トキワさん、このままお仕置きを始めると、壮観というか…気持ち悪いというか…これまでにない程の醜悪な絵面になるんですが?」
「アッシュ……俺も、同じことを思ったよ」
二人とも奇遇ですね。私も似たようなことを思いました。
「シャーロット~~~、金的地獄の方には、【囁き地獄】を私達からプレゼントしておくわね~~~~~」
光の精霊様が、私にウィンクしながら語りかけてくる。今更だけど、実行していいのだろうか? もう遅いか。
「それではお仕置き開始~~~~!!!」
私の合図と共に、カムイがルーレットを回した。
「やっほ~~~~い、何が出るかな、何が出るかな~~始めは、リリヤの鳥啄ばみ地獄だ~~~~法王、覚悟してね~~~~」
カムイ、ノリノリだね。
「鳥啄ばみ!? え、ちょっ…ギャボ…なんだこの小さく黄色い物体は?」
「法王、それは鳥達の餌だよ。さあ、召喚された鳥達~~~、みんなでこいつを~~啄もう!」
「「「「「こけけええぇぇぇぇーーーーー」」」」」
カムイの号令で、召喚された30羽の鳥達が一斉に法王を啄ばみ出した。
「コツコツコツコツ…ブチ…コツコツコツコツ…ブチ…コツコツコツコツコツコツコツコツ」
「あああぁぁぁぁ~~そこは~~あぎゃああぁぁーーー何処を啄ばんどるんだ~~口の中はダメ~~~~」
法王の絶叫が聞こえる。お仕置きの火蓋は切られた。13人の心が折れるまで、そのお仕置きは続く。果たして、耐えられるかな?
そして、13台のハンマーヘッド金的地獄の方も、精霊様達が一斉にハンマーを振り下ろす。
「キイイイィィィィーーーーーーーン」
「ぎゃっほ~~~~~」「ぐえええぇぇぇ~~~~~」
「ふぐおえぇぇぇぇぇ~~~~~~~」「あああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~」
13人の犯罪男獣人達が、痛みの声を荒げる。
これまで虐げてきた魔人族達の恨みを思い知るがいい!
「デッドスクリーム、ドール軍団のみんな~~~~、13人から滲み出る負の感情を全て食い尽くしなさい!」
「は!」「了解です!」
「カムイ~~~精霊様~~~、ルーレットを回す間隔は、通常より遅めにするんだよ~~~~。でないと、法王が壊れるから~~~~」
「は~~~~~い」
お仕置き執行者全員が、満面の笑みで拷問を加えていく。
「周囲のみんな、これが【聖女の鉄槌】です! 誰であろうとも、大罪を犯した奴等は許しません! あなた方も肝に銘じておきなさい!」
お仕置きの光景は……うん……地獄絵図だね。法王を除く王族達は膝から崩れ落ち、大口を開けながらポカ~ンと眺めている。4種族と魔人族達は、【聖女の鉄槌】に恐怖したのか、立ったまま微動だにしない。ネルエルさんもベルナデットさんも同様だ。すぐ近くにいるマデリンさんは、恐怖のせいか、ネルエルさんの身体にしがみ付いている。ここにいる見学者の中で、唯一声を荒げて喜んでいる人がいる。
それは、……隠れ魔人族の長だ!
「ははははは、聖女様、実に愉快だ。妾もあの者達を、殺したい程憎んでいた。生きたまま亡者共に喰わせようと思っていたのだが、クククク…全てを吸い尽くしてから処刑する…あの傲慢極まりない者達の最期として、実に相応しい! クククク、法王もいいざまだ! 他の連中も、あのお仕置きを喰らいたくなかろうて。あはははははは」
実に、いい笑いっぷりだよ。
「シャーロット、法王の様子が変なんだけど?」
アッシュさんが私に指摘してくれたので、法王を見ると……冷水地獄による
水攻めをくらっているようだ。
「封人台ランダムルーレット、理解したぞ~~~! ぐはあ…私は200年間の罪を償うと決めた! ぐはあ……これらのお仕置き……グボ……耐えてみせる! もっと…ぐはあ…来いや~~~~~~~!」
誰だよ、あれ? 性格変わるの早くない? しかも、なんて形相をしているんだ。我慢、悲しみ、傲慢、全ての感情が入り混じっているかの様に見える。
「まあ、ドMになってないだけマシです」
「ドM?」
アッシュさんは、理解しなくていいです。
ランダムルーレットのお仕置き内容
1) からし地獄 (液体系)
2) 灼熱蝋吹き矢地獄 (液体系)
3) 鳥啄ばみ地獄 (鳥系)
4) ピットリビー(蚊)吸血地獄 (虫系)
5) 精霊様金的フクロ叩き地獄 (精霊系)
6) 綺麗サッパリ冷水地獄 (ボーナス)
○○○
お仕置きは、41分13秒で終了した。私は全ての拷問具をマジックバッグに収納し、精霊様と従魔達に御礼を言ったのだけど、全員が《全てをやりきった》かのような、実に爽快な笑顔を浮かべ、カムイ以外が元の場所へと戻っていった。
13人の犯罪者獣人達は地面に倒れ伏し、全ての感情を吸いつくされたのか、目が虚となり、何も言えなくなっている。そして、法王は……服がボロボロ、頭や尻尾の毛を鳥達に啄まれ、半分禿げている状態であるものの、なんとか自我を保ち立っている。
「耐えた…耐えきった…私は…惨劇に打ち克ったのだーーーー!!!」
いやいや、惨劇なんか……起きているかな。
「あなた!」「お祖父様!」「父上」
王族達が、一斉に法王のもとへ駆け寄る。互いに涙を流し抱き合っている。
見学者達はというと、4種族の方はず~っと静かに見守っていたけど、魔人族の方は雰囲気に慣れたせいもあって、お仕置き開始5分程から14人に対し罵声を浴びせた。しかし、罰が余りに酷すぎるせいか、口数が次第に少なくなり、開始20分程で誰も何も言わなくなった。
そして今、法王達が抱き合っている場面を見て、何故か泣いている人間や獣人達がいた。魔人族の方は、長となにやら話し合っている。スキルで盗み聞きすると……
「13人の獣人共は、我々自身がこの手で殺したい程憎んでいる者達だ。今回、奴等の仕出かした事が、全て自分に返ってきただけだ。哀れむ必要はない。こういった残虐行為を行うと、執行者自身も心を蝕んでしまう。聖女様も、《見るだけにしろ》と言った意味が、お前達にもわかるだろう? あんな行為を直にしたら、我々も獣人族達と同じ立ち位置になってしまう。聖女様と精霊様は、この罰の執行を代行して下さったのだ。皆、この光景を生涯忘れるな!」
長の言葉に感銘を受けたのか、魔人族だけでなく、周囲にいる4種族達も涙を流す。
【亡者の大群を利用して、戦争に加担した国に混乱と混迷を与える】
私からすれば、この行為もかなりの残虐性を伴う。間接的ではあるものの、自分達が行おうとしていたことを理解して、ここで憎しみの連鎖を断ち切って欲しい。
「国民の皆様、聞いて欲しい」
お仕置きされた13人の犯罪者達が、騎士達により護送馬車に入れられた。広場の雰囲気が緩和されたことを見計らい、法王が拡声魔法を使用して、ゆっくりと喋り出す。
「新たな国が建国された後、我ら王族は伯爵位の貴族として残るが、200年間の罪を償うべく、誠心誠意を持って、国民のために働いていくことをここに誓いたい。そして、もし皆が私達を見て、どうしても許せないのであれば、殺してくれて構わない。ただ、せめて5年…いや3年でいい。私達のこれからの行いを見守ってくれないだろうか?」
法王の豹変ぶりに、4種族も魔人族も何も言えないでいる。この静けさの中、魔人族の長が王族達の前に出てきた。
「は、いいだろう! 新たな国で、王族達がどこまでの働きを見せてくれるのか、3年間だけ待ってやろうではないか! 我々は聖女様のおかげもあって、いつでも故郷に帰ることができる。私はここに残って、お前達の生き様を見させてもらう!」
この長の一言がキッカケとなり、魔人族側も4種族側も法王の懇願を了承した。あのお仕置きを受けなければ、皆も納得しなかっただろう。こうして13人のお仕置き執行は無事終了し、法王の緊急参加もあって、4種族と魔人族との確執が多少なりとも緩くなったところで、御開きとなった。
このお仕置きにおいて、私主導のもと、一人の人物が変装し、4種族側に紛れ込んでいたのだけど、誰も気づくことはなかった。
○○○
現在、私はとある客室に入り、ソファーに座っている。対面には、幽閉されていたエルディア支部のアドルフ教皇がいる。彼は、国王陛下と同い年と聞いているから四十歳中頃だ。ヘンデル様は少し目つきの悪い印象を受けたけど、アドルフ様からは人を惹きつける温もりや優しさを感じる。濃い青髪で、ダンディーなおじ様だ。さっき互いに挨拶した時、彼の声自体も女性をホォ~とさせるような印象を受けた。私が初めて王城に訪れた時、彼は離れた場所で、私をじっと見つめていたよね。
王族との話し合いが終わって以降、何度か彼とも話し合っている。新たな国の国王になってもらおうと思っているのだけど、今のところ保留状態だ。私の行おうとしていることの全てを見てもらおうと思い、13人のお仕置き執行日の前日、《変装してお仕置き執行を見学してはどうでしょう?》と促したのも私だ。
私が本気で動いていることを理解してもらえただろう。
「シャーロット…お仕置きというより……拷問を見させてもらった。ブライアンとヘンデルは……【我々の予期した行動の斜め上を行き過ぎるから、寿命が縮む。ストレスで禿げそうだ】と私に愚痴っていたよ」
「私って、そこまでストレスを与えていますか?」
アドルフ様はゆっくりと頷く。
「ヘンデルは、君に聖女としての自覚をもってもらおうと、教会としてのルールを教えた。そして、強大な力を無闇に振るわず、今後護衛騎士ともなる人間達への配慮を心掛けるよう求めた。つまり、君を【ガーランド教】という括りに縛りつけようとした」
ヘンデル枢機卿の立場から考えると、当たり前のことだ。
「ブライアンは国王でもあるため、国を第一に考えている。そのため、聖女を国のために利用している。その結果、君はエルディア王国とガーランド教の二つから常に見張られ、利用され、動きにくい環境となってしまった」
「その通りです。まあ、ハーモニック大陸でも似たような感じでした。挙げ句の果てには、この力のせいで、神にも利用されましたからね。その鬱憤は少し前に晴らしたので、今は怒りも溜まっていません。行動が制限されようとも、私はその裏をつき、思いのまま行動します」
これだけ強大な力があれば、権力者だったら誰だって利用するでしょう? 利用するという意味合いでは、ガーランド様が一番タチが悪い。自己管理の甘さから厄浄禍津金剛を引き寄せてしまい、私に捕縛させたからね。こっちは神に逆らえるわけもないので、死ぬ気で頑張ったよ。
でも、私だって、ただ利用されていたわけじゃない。裏には、大きな野望もあった。ガーランド様の意外な行動のおかげで、私の目論見は早くも達成できそうだ。
「シャーロットの場合、下手に行動を制限しない方がいい。君は、一国で飼われるような器ではない。下手に囲んでしまうと、その国が崩壊してしまう。今回の事件、行動を制限されながらも、君の機転でアストレカ大陸は救われた……が、余計な縛りがなければ、もっと迅速に解決できた」
そこは否定しません。事実、その通りだからね。
ただ、さっきから彼の言い方が引っかかる。
今後何かに縛られるということはなさそうだけど、何を言いたいのかな?
「色々と考えたが、君の案に俺も乗ろう。俺が新興国の国王となり、君の目標でもある【魔人族の差別撤廃と奴隷解放】、【大陸間の国交回復】、これらを優先的に動かす。……1ヶ月後、アストレカ大陸内にて、緊急大陸会議が開催されることが決定した。議題は、【聖女の目標を迅速に達成させる方法について】」
緊急大陸会議!?
しかも、議題は私の目標でもある差別撤廃や奴隷解放、大陸間の国交回復なの!
私の思っていた以上に、国々が早々に動いてくれるようだ。
「従魔とはいえ、君の力の一端が知れ渡った。君自身の力が知れ渡るのも、時間の問題だ。だから、その世界会議にて、ブライアンが各国の王に君の力を知らしめる(我々が彼女の目標達成について、本気で取り組んでいることを示せれば、シャーロットも一国の王として応対してくれるだろう)」
心の声で、《本気で取り組みますから、一個人として、これ以上介入しないでね》と言っている。きちんと対応してくれれば、私とて邪魔するつもりはない。ただ、気になる点もある。
「あの……そんなことをしたら、私の滞在するエルディア王国自体が恐れられるのでは?」
「そうならないよう、ある手段を考えている」
手段?
「この件に関しては、君の父であるエルバラン公爵と、現在協議中と聞いている。シャーロット、君はハーモニック大陸とアストレカ大陸両方にて、その存在感を知らしめた」
ハーモニック大陸の全ての国を訪れたわけではないけど、フランジュ帝国での件は既に伝わっているだろう。アストレカ大陸では従魔達によって、私の存在を伝えたよね。
「我々アストレカ大陸全国家は、今後君自身を、【エルディア王国の公爵令嬢】や【聖女】ではなく、【フランジュ帝国の帝王】として応対しようと思っている。エルディア王国は、あくまで君の生まれ故郷なだけであって、聖女として縛るような行為を一切行わないというものだ」
私への対応を、【帝王】という立場だけで考えるのか。
「出来れば、成人するまでは【公爵令嬢】、成人後は【帝王】として応対してほしいのですが?」
この年齢で王扱いされてしまったら、お父様達と離れ離れになる可能性が高いし、学園にも行けないよ。
「エルバラン公爵も、君と同じ意見だった。成人するまでは公爵令嬢として応対し、学園で多くの友と共に勉学に励ませる。おそらく、この案でまとまるだろう」
【聖女】という縛りが無くなるのなら、私としても動きやすい。
「その案ならば、私も納得できます。ただ、成人後の話ですけど、何か大きな災害が発生した場合は、どうなさるのですか?」
成人後となると、多分フランジュ帝国の方へ移動しているか、何処か好き放題に冒険しているかのどちらかの様な気がする。
「ブライアンは、【グローバル通信機】という簡易神具を持っている。そういった大災害が発生した場合、ブライアンを通して、君に通信が入る。ただ……できれば、自国または周辺国家で解決に導いていきたい。それでもダメな場合、君に連絡がいく」
極力私の手を借りず、各国で支援していくのね。
「大きな災害が発生しても、私に頼らず、自分達で解決していく。良い案だと思いますよ。私自身も、自由に動けますしね」
アドルフ教皇の心の声
(君の破天荒さが原因で、国が滅ぶことを私もブライアンも法王も怖れている。彼女の力を借りてはいけない。アストレカ大陸全国家が一致団結し、今後起こる災害を我々だけで防がねば!)
アドルフ教皇、あなたの心の内が、構造解析スキルにより丸わかりです。大陸の全国家が協力態勢に入るのなら、私からは何も言いません。
「君への対応に関しては、1ヶ月後の大陸会議にて、真っ先に討議される予定だ」
「私はフランジュ帝国の戴冠式もあるので、近いうちにここを離れます。この大陸で起きた出来事をハーモニック大陸の国々の王達に話しておきます。【魔人族達の奴隷解放】がハーモニック大陸側に伝われば、【4種族の奴隷解放】に繋がると思いますよ」
クロイス女王やサーベント王国の国王陛下に言っておけば、他の国々にも伝わる。互いの人種差別も大幅に緩和されると思う。
「正直に話してくれて構わない。先の話になるが、戦争に関わった国々の王族達が、ハーモニック大陸の全国家に謝罪したいと思っている(シャーロットが絡んでいる以上、我々も相手側も真摯に向き合っていかねば)」
私の力を怖れての謝罪か。
大陸間の軋轢を完全に瓦解させるには、私を経由するしかない。【シャーロット】という存在が、互いの平和を保つだろう。
出発点は、それで良い。
「真摯に向き合ってくださいね。数年間貿易関係で、何らかの優遇措置を与えてください」
「俺もそこを考慮しているが、それに関しては、大陸会議にて各国の王と議論する」
当然だよね。すぐに決められる事項ではない。ガーランド様の無茶な行動と私の破天荒な行動が、今の状況を生み出している。
今後、アストレカ大陸とハーモニック大陸の全国家の王族達が大きく動き出す。アストレカ大陸において、私の王としての地位が公に公表されるのは、成人後になると思うとから、それまではハーモニック大陸での大陸会議とかに出席することになるだろう。
「シャーロット、君はこれからどう行動したい?」
「う~ん、候補はあるのですが、現時点では話せません」
「何か行動を起こす時、必ずエルバラン公爵にだけは言ってほしい」
それは当然です。お父様やお母様に嫌われたくない。今後の私への対応次第で、ルートも大きく変化する。まずは、フランジュ帝国の戴冠式に向けて、私も準備を進めていこう。
○○○作者からの一言
これにて、【アストレカ大陸編】終了となります。
新章に関しては、来年1月中旬くらいに開始したいと思っています。
なお、本日お昼12時に漫画版第7話がUPされる予定です(^ω^)
○○○
この話し合いの日から、時が慌ただしく流れていき、4日の日々が経過した。
ガーランド法王国王族達は、アストレカ大陸の各国から押し寄せてくる批難や損害賠償請求などを真摯に受け止め、その対応に日々追われている。
この4日間、私自身も大きく動いた。私は、20人程入る小さな会議室で、貴族達の取調べを執り行った。この会議室は、小学校や中学校の教室とよく似ている。地下に収監されている貴族達を適当に10人ずつ呼び出し、生徒側の椅子に座らせる。そして、私が教壇に立ち、トキワさんをその横に立たせておく。私がランダムで1人を構造解析した後、その者の名前を呼び問答無用で立たせる。
ここからが私の真骨頂である。
立たせた者の性格や弱点を正確に把握し、過去の経験と不正を丹念に丹念に、皆のいる前で暴いていく。取り調べ当初、私が子供だからか、舐めた態度をとる貴族も数人程いたが、少し威圧しながら本人にしかわからない不正を次々と暴露していき、その証拠の隠蔽場所の全てを暴いていくと、取り調べ中の獣人の顔色が次第に悪くなり、身体全体から異常な汗を掻き、最終的には本人自らが全ての罪を自白するに至る。
威圧に関しては、3人目以降行なっていないけど、呼び出した貴族全員の前で、取り調べ者の黒歴史《オネショ・男または女にフラれた・浮気・不倫・厨二病・ドM・ドSなど》や不正などを遠慮なく披露していくと、部屋全体の圧迫感が徐々に重くなっていき、待機中の貴族達が続々と気絶していった。その場で全員を回復魔法で復帰させているのだけど、この環境に耐えられないのか、自分の順番となった時点で、次々と不正を自白していき、中盤以降脅す必要もなくなったため、非常に楽であった。その分、内容を書面化させる書記官が大変だったけどね。
彼らの犯した罪の殆どが軽いものだけど、【国家予算を横領した者】、【宝物庫から宝石を盗み出し、闇のマーケットに売り捌いた者】、【魔人族を家畜扱いし、数十人近く惨殺した者】など、重罪を犯し処刑に値する貴族達も少なからずいた。
結局、重罪に値する者は全体の3割程と判明した。重罪を犯した連中の中でも、特に魔人族に対し大罪を働いたものだけを選別すると。、なんと13名もいた。
今日、王都でも有名な公園にて、選別した13名の男達へのお仕置きを執行することになる。
王族達は13名の元貴族を乗せた護送馬車3台と共に、広場へ向かっている。ちなみに、私、カムイ、トキワさん、アッシュさんは、風魔法【フライ】で、お仕置き執行広場上空に到着しており、準備が整うのを待っている。地上を見ると、大勢の獣人や人間、エルフ、ドワーフ達が集結しており、その近くにはベルナデットさんとネルエルさんを含めた隠れ魔人族達もいる。
ただ、法王の宣言から5日程しか経過していないため、4種族と魔人族との間には、見えない壁のような境界線を感じとれる。和解には程遠いけど、距離を開けながらも互いに話し合っている。両者の顔からは、複雑そうな想いを汲み取れる。今は、これでいい。時間の経過と共に、和解も少しずつ進んでいくだろう。
王族と話し合った後の翌日、私は隠れ魔人族の住処へ行き、長と会談した。
ベルナデットさんから、《長はダークエルフで200歳を軽く超えている》と聞いていたのだけど、本当に30歳くらいの妖艶美人さんだったから、正直驚いた。黒髪ロング、色香の漂う身体、アトカさんが彼女と知り合えていたら惚れるんじゃないかな?
彼女の身体は健康体であったものの、その原動力は『希望する魔人族達をハーモニック大陸に連れて帰るまでは死なん』という強い情念によって生まれている。そのため、この悲願が遂に達成されると自覚したからなのか、長は自分の寿命が残り少ないことを把握していた。私の目標でもある4種族との和解について話すと……
「4種族と和解? 聖女様御自身の目標に関して、妾がとやかく言う筋合いはない。だから、あなたの思うように進めばいい。ただ……妾の婚約者は、獣人の手により殺された。あろうことか……奴等は、婚約者や他の仲間達の死体を動物の餌にしおったのだ! この行為と記憶だけは、生涯消えん! 故に、【アストレカ大陸の獣人】とだけは、仲良くする気など毛頭無い! 悲願達成後、妾は故郷でもあるハーモニック大陸サーベント王国で、余生を過ごす」
と豪語していた。そんな長も他の魔人族と共に、この広場へ来ているのだけど、4種族の方を一切見ず、王族だけを憎しみを込めて睨んでいる。
「シャーロット、本当にあのお仕置きを実行するの?」
これから犯罪者達をお仕置きするのに、アッシュさんだけは浮かない顔をしている。
「アッシュさん、あの13名に関しては狂っています。奴等の全てを壊します」
「アッシュ、お前も犯罪の内容を聞いただろ? 全てが、胸糞悪くなるものばかりだ。ただ処刑するだけじゃあ、生温い。心を壊し、全てを食い尽くす!」
トキワさんは遠慮なくやれと言っているけど、アッシュさんは何を思って反対しているのかな?
「僕も、反対するつもりはないんだ。ただ、やり過ぎて、シャーロットの今後が心配なんだよ」
ああ、私の心配をしてくれていたのか。
「アッシュさん、フランジュ帝国の戴冠式も近いです。私自身がここで大きく動くことで、自分を戒めようと思っているんです。帝王となる以上、悪目立ちを控えないといけませんから」
そう言うと、アッシュさんはホッと顔を綻ばせた。
「そうか……シャーロットも、帝王としての自覚が芽生え始めているんだね」
ただ、心配事もある。やらかし回数の制約が無くなったとはいえ、ハーモニック大陸にいる彼らがやらかさないか心配だ。従魔達がやらかさないよう、教育を施さないといけない。
「アッシュ、シャーロット、お喋りもそこまでだ。王族達が到着したぞ」
地上を見ると、王族達が到着したせいか、空気が一気に険悪化した。全員の刺し殺すかのような鋭い視線が、王族達に集中している。犯罪者13名が護送馬車から降ろされるのを確認してから、私達は地上へ降り立つ。トキワさんとカムイがいるせいか、4種族と魔人族の視線に、少し怯えが混じる。私の声が皆に届くよう、拡声魔法を使おう。時間は午前10時ジャストだ。
「皆さん、おはようございます。聖女のシャーロット・エルバランです。ガーランド法王国が滅亡し、新たな国が建国されることになりました。現状、まだ体制が整っていませんので、皆さんはこれまで通りの生活をしていて下さい。詳細が決まり次第、連絡がいくでしょう。ちなみに、国が不安定だからといって、悪さをしてはいけませんよ。もし、悪さをしたら……私とカムイとトキワさんが黙っていませんからね」
私とカムイとトキワさんが周囲を軽く威圧すると、全員が息を飲む。私の気概が伝わったようだ。
「さて、今日ここで行うのは、魔人族の大人子供を惨たらしく殺した犯罪者達へのお仕置きです。彼らは死刑宣告を受けているのですが、その程度の処置では生温いと判断しました。そのため、この場にて……《聖女の鉄槌》を下します!」
私の言葉に、周囲が騒めく。
「【人を癒す】だけが、聖女の役割ではありません。【大罪を犯した者には、聖女の鉄槌を与える】、これも役割の一つなんです! この者達は魔人族達を差別し、大人子供合計で100名以上を拷問し惨殺してきました。今から、この者達の全てを壊します!」
ここで罰の執行者を発表しよう。
「罰の執行者は、精霊様達と私の従魔達です。4種族の皆さんは、この13人程ではないにしろ、少なからず魔人族に対し、何らかの差別を行なってきたはずです。ですから、罰を与える権利などありません。また、魔人族の皆様は、罰を与える権利こそありますが、見るだけにして下さい。その理由は、すぐにわかります」
私は、巨大な簡易神具、ハンマーヘッド金的地獄13台をマジックバッグから取り出し、所定の位置へと置いた。観客となる国民達から見て、全員が見れるよう、円形状となっている。これから何が行われるのか、これだけではわからないだろう。13名の犯罪者共を強制的に動かそうと思っていたところで、思わぬところから声が掛かった。
「聖女様、私もこのお仕置きをお受けします」
声の主は……法王だ。
「あなたは、既にお仕置きされていますよ?」
「私を含めた代々の法王達が、国民や各国を騙し、多大な御迷惑をお掛けしました。国民達も、我々王族を許さないでしょう。これは……私にとってもケジメなのです」
ふうむ、法王の目は本気だ。200年間、国民や国を騙してきた。勿論、このお仕置きを受けるだけで、その大罪が許されるものではないと、法王自身もわかっている。しかし、犯罪を犯した貴族達がお仕置きされる中、王族達はそれを悠々と眺める。国民達の視点から見れば、この行為は王族達の印象をより悪化させるだけだ。だからこそ、法王は自分から志願してきたのだろう。
「わかりました。あなたの心意気に免じ、お仕置きを【ハンマーヘッド金的地獄】から【封人台ランダムルーレット】へとランクアップしてあげましょう」
「ら…ランクアップ?」
法王や他の王族の目が点になっている。
「おいおいシャーロット! それは厄浄禍津金剛に使用した凶悪拷問具だろ! アレを使うつもりなのか!?」
トキワさんが珍しく、慌てている。あの時、その場にいなかったけど、精霊様と共にお仕置きシーンを見ていたから、どのくらい酷い拷問なのかを知っている。
「貴族と同じお仕置きをしても、印象が薄いです。貴族以上の拷問を受けることで、国民達は初めて王族を見てくれるでしょう」
「シャーロット…正論なんだが、奴の性格が変わるぞ?」
う~んそれも困る。
「法王、この拷問具は、神の性格さえも変化させる恐ろしいものです。あなたがこの拷問に耐えきれば、国民達も王族の見方を変えるかもしれません。執行を希望しますか?」
私達の言葉は、拡声魔法により、王都全土にまで聞こえるようにしてある。法王、今まさにあなたは試されているのです。
「聖女様の拷問を受けることこそが、罪を償っていくための始まりなのです!」
法王は、恐怖を抱いていない。なら、こちらも容赦しないよ!
「わかりました」
私は、13台のハンマーヘッド金的地獄によって囲まれた円の中心に移動し、マジックバッグから【封人台ランダムルーレット】を出した。厄浄禍津金剛の初号機を基に、人用を製作しておいてよかった。
「さあ皆さん、お仕置きの始まりです! 精霊様、おいでませ! 召喚【デッドスクリーム】【ドール軍団】」
私の掛け声と共に、30人の精霊様と私の従魔達が上空10メートル付近に、一斉に現れた。精霊と魔物が、これだけ混在しているのは世界初だろうね。日本人形や西洋人形だけでなく、○カちゃん人形もいるから、何処か異様な雰囲気を醸し出している。
「やった、やった! シャーロットがあのお仕置き器具を用意してくれた。見てる方も楽しいし、やる方も楽しいんだ! お~い、シャーロットの従魔達、この馬鹿どもを拷問器具に固定しようぜ~~~~~」
火の精霊様の指示で、皆が一斉に動き出す。法王はデッドスクリームに握り締められ、13人の犯罪者達はドール軍団と精霊様達に捕獲され、一斉に拷問器具へと移動させられ固定されてゆく。全員が固定された後、法王をより目立ちやすくさせるため、2倍ほど巨大化させた。その結果、5m程の【封人台ランダムルーレット】を中心に、13台の通常サイズ【ハンマーヘッド金的地獄】が私達の前に並べられている。う~ん、精霊様や魔物もいるからか、なんか悪魔を呼ぶ儀式のような不気味さを感じる。
「……」
「チビ共、私をここから降ろせ~~~」
「なんだこの人形は!? そんな目で俺を見るな!」
「たかが魔物の分際で、この私を~~~」
法王は覚悟を決めているため、何も言わないけど、13人の犯罪獣人達は完全にパニック状態となり、精霊様や従魔達に対し、罵詈雑言を浴びせている。これからお仕置きを開始する精霊様や従魔達にとって、それらの言葉が快感になるんだよね。
「トキワさん、このままお仕置きを始めると、壮観というか…気持ち悪いというか…これまでにない程の醜悪な絵面になるんですが?」
「アッシュ……俺も、同じことを思ったよ」
二人とも奇遇ですね。私も似たようなことを思いました。
「シャーロット~~~、金的地獄の方には、【囁き地獄】を私達からプレゼントしておくわね~~~~~」
光の精霊様が、私にウィンクしながら語りかけてくる。今更だけど、実行していいのだろうか? もう遅いか。
「それではお仕置き開始~~~~!!!」
私の合図と共に、カムイがルーレットを回した。
「やっほ~~~~い、何が出るかな、何が出るかな~~始めは、リリヤの鳥啄ばみ地獄だ~~~~法王、覚悟してね~~~~」
カムイ、ノリノリだね。
「鳥啄ばみ!? え、ちょっ…ギャボ…なんだこの小さく黄色い物体は?」
「法王、それは鳥達の餌だよ。さあ、召喚された鳥達~~~、みんなでこいつを~~啄もう!」
「「「「「こけけええぇぇぇぇーーーーー」」」」」
カムイの号令で、召喚された30羽の鳥達が一斉に法王を啄ばみ出した。
「コツコツコツコツ…ブチ…コツコツコツコツ…ブチ…コツコツコツコツコツコツコツコツ」
「あああぁぁぁぁ~~そこは~~あぎゃああぁぁーーー何処を啄ばんどるんだ~~口の中はダメ~~~~」
法王の絶叫が聞こえる。お仕置きの火蓋は切られた。13人の心が折れるまで、そのお仕置きは続く。果たして、耐えられるかな?
そして、13台のハンマーヘッド金的地獄の方も、精霊様達が一斉にハンマーを振り下ろす。
「キイイイィィィィーーーーーーーン」
「ぎゃっほ~~~~~」「ぐえええぇぇぇ~~~~~」
「ふぐおえぇぇぇぇぇ~~~~~~~」「あああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~」
13人の犯罪男獣人達が、痛みの声を荒げる。
これまで虐げてきた魔人族達の恨みを思い知るがいい!
「デッドスクリーム、ドール軍団のみんな~~~~、13人から滲み出る負の感情を全て食い尽くしなさい!」
「は!」「了解です!」
「カムイ~~~精霊様~~~、ルーレットを回す間隔は、通常より遅めにするんだよ~~~~。でないと、法王が壊れるから~~~~」
「は~~~~~い」
お仕置き執行者全員が、満面の笑みで拷問を加えていく。
「周囲のみんな、これが【聖女の鉄槌】です! 誰であろうとも、大罪を犯した奴等は許しません! あなた方も肝に銘じておきなさい!」
お仕置きの光景は……うん……地獄絵図だね。法王を除く王族達は膝から崩れ落ち、大口を開けながらポカ~ンと眺めている。4種族と魔人族達は、【聖女の鉄槌】に恐怖したのか、立ったまま微動だにしない。ネルエルさんもベルナデットさんも同様だ。すぐ近くにいるマデリンさんは、恐怖のせいか、ネルエルさんの身体にしがみ付いている。ここにいる見学者の中で、唯一声を荒げて喜んでいる人がいる。
それは、……隠れ魔人族の長だ!
「ははははは、聖女様、実に愉快だ。妾もあの者達を、殺したい程憎んでいた。生きたまま亡者共に喰わせようと思っていたのだが、クククク…全てを吸い尽くしてから処刑する…あの傲慢極まりない者達の最期として、実に相応しい! クククク、法王もいいざまだ! 他の連中も、あのお仕置きを喰らいたくなかろうて。あはははははは」
実に、いい笑いっぷりだよ。
「シャーロット、法王の様子が変なんだけど?」
アッシュさんが私に指摘してくれたので、法王を見ると……冷水地獄による
水攻めをくらっているようだ。
「封人台ランダムルーレット、理解したぞ~~~! ぐはあ…私は200年間の罪を償うと決めた! ぐはあ……これらのお仕置き……グボ……耐えてみせる! もっと…ぐはあ…来いや~~~~~~~!」
誰だよ、あれ? 性格変わるの早くない? しかも、なんて形相をしているんだ。我慢、悲しみ、傲慢、全ての感情が入り混じっているかの様に見える。
「まあ、ドMになってないだけマシです」
「ドM?」
アッシュさんは、理解しなくていいです。
ランダムルーレットのお仕置き内容
1) からし地獄 (液体系)
2) 灼熱蝋吹き矢地獄 (液体系)
3) 鳥啄ばみ地獄 (鳥系)
4) ピットリビー(蚊)吸血地獄 (虫系)
5) 精霊様金的フクロ叩き地獄 (精霊系)
6) 綺麗サッパリ冷水地獄 (ボーナス)
○○○
お仕置きは、41分13秒で終了した。私は全ての拷問具をマジックバッグに収納し、精霊様と従魔達に御礼を言ったのだけど、全員が《全てをやりきった》かのような、実に爽快な笑顔を浮かべ、カムイ以外が元の場所へと戻っていった。
13人の犯罪者獣人達は地面に倒れ伏し、全ての感情を吸いつくされたのか、目が虚となり、何も言えなくなっている。そして、法王は……服がボロボロ、頭や尻尾の毛を鳥達に啄まれ、半分禿げている状態であるものの、なんとか自我を保ち立っている。
「耐えた…耐えきった…私は…惨劇に打ち克ったのだーーーー!!!」
いやいや、惨劇なんか……起きているかな。
「あなた!」「お祖父様!」「父上」
王族達が、一斉に法王のもとへ駆け寄る。互いに涙を流し抱き合っている。
見学者達はというと、4種族の方はず~っと静かに見守っていたけど、魔人族の方は雰囲気に慣れたせいもあって、お仕置き開始5分程から14人に対し罵声を浴びせた。しかし、罰が余りに酷すぎるせいか、口数が次第に少なくなり、開始20分程で誰も何も言わなくなった。
そして今、法王達が抱き合っている場面を見て、何故か泣いている人間や獣人達がいた。魔人族の方は、長となにやら話し合っている。スキルで盗み聞きすると……
「13人の獣人共は、我々自身がこの手で殺したい程憎んでいる者達だ。今回、奴等の仕出かした事が、全て自分に返ってきただけだ。哀れむ必要はない。こういった残虐行為を行うと、執行者自身も心を蝕んでしまう。聖女様も、《見るだけにしろ》と言った意味が、お前達にもわかるだろう? あんな行為を直にしたら、我々も獣人族達と同じ立ち位置になってしまう。聖女様と精霊様は、この罰の執行を代行して下さったのだ。皆、この光景を生涯忘れるな!」
長の言葉に感銘を受けたのか、魔人族だけでなく、周囲にいる4種族達も涙を流す。
【亡者の大群を利用して、戦争に加担した国に混乱と混迷を与える】
私からすれば、この行為もかなりの残虐性を伴う。間接的ではあるものの、自分達が行おうとしていたことを理解して、ここで憎しみの連鎖を断ち切って欲しい。
「国民の皆様、聞いて欲しい」
お仕置きされた13人の犯罪者達が、騎士達により護送馬車に入れられた。広場の雰囲気が緩和されたことを見計らい、法王が拡声魔法を使用して、ゆっくりと喋り出す。
「新たな国が建国された後、我ら王族は伯爵位の貴族として残るが、200年間の罪を償うべく、誠心誠意を持って、国民のために働いていくことをここに誓いたい。そして、もし皆が私達を見て、どうしても許せないのであれば、殺してくれて構わない。ただ、せめて5年…いや3年でいい。私達のこれからの行いを見守ってくれないだろうか?」
法王の豹変ぶりに、4種族も魔人族も何も言えないでいる。この静けさの中、魔人族の長が王族達の前に出てきた。
「は、いいだろう! 新たな国で、王族達がどこまでの働きを見せてくれるのか、3年間だけ待ってやろうではないか! 我々は聖女様のおかげもあって、いつでも故郷に帰ることができる。私はここに残って、お前達の生き様を見させてもらう!」
この長の一言がキッカケとなり、魔人族側も4種族側も法王の懇願を了承した。あのお仕置きを受けなければ、皆も納得しなかっただろう。こうして13人のお仕置き執行は無事終了し、法王の緊急参加もあって、4種族と魔人族との確執が多少なりとも緩くなったところで、御開きとなった。
このお仕置きにおいて、私主導のもと、一人の人物が変装し、4種族側に紛れ込んでいたのだけど、誰も気づくことはなかった。
○○○
現在、私はとある客室に入り、ソファーに座っている。対面には、幽閉されていたエルディア支部のアドルフ教皇がいる。彼は、国王陛下と同い年と聞いているから四十歳中頃だ。ヘンデル様は少し目つきの悪い印象を受けたけど、アドルフ様からは人を惹きつける温もりや優しさを感じる。濃い青髪で、ダンディーなおじ様だ。さっき互いに挨拶した時、彼の声自体も女性をホォ~とさせるような印象を受けた。私が初めて王城に訪れた時、彼は離れた場所で、私をじっと見つめていたよね。
王族との話し合いが終わって以降、何度か彼とも話し合っている。新たな国の国王になってもらおうと思っているのだけど、今のところ保留状態だ。私の行おうとしていることの全てを見てもらおうと思い、13人のお仕置き執行日の前日、《変装してお仕置き執行を見学してはどうでしょう?》と促したのも私だ。
私が本気で動いていることを理解してもらえただろう。
「シャーロット…お仕置きというより……拷問を見させてもらった。ブライアンとヘンデルは……【我々の予期した行動の斜め上を行き過ぎるから、寿命が縮む。ストレスで禿げそうだ】と私に愚痴っていたよ」
「私って、そこまでストレスを与えていますか?」
アドルフ様はゆっくりと頷く。
「ヘンデルは、君に聖女としての自覚をもってもらおうと、教会としてのルールを教えた。そして、強大な力を無闇に振るわず、今後護衛騎士ともなる人間達への配慮を心掛けるよう求めた。つまり、君を【ガーランド教】という括りに縛りつけようとした」
ヘンデル枢機卿の立場から考えると、当たり前のことだ。
「ブライアンは国王でもあるため、国を第一に考えている。そのため、聖女を国のために利用している。その結果、君はエルディア王国とガーランド教の二つから常に見張られ、利用され、動きにくい環境となってしまった」
「その通りです。まあ、ハーモニック大陸でも似たような感じでした。挙げ句の果てには、この力のせいで、神にも利用されましたからね。その鬱憤は少し前に晴らしたので、今は怒りも溜まっていません。行動が制限されようとも、私はその裏をつき、思いのまま行動します」
これだけ強大な力があれば、権力者だったら誰だって利用するでしょう? 利用するという意味合いでは、ガーランド様が一番タチが悪い。自己管理の甘さから厄浄禍津金剛を引き寄せてしまい、私に捕縛させたからね。こっちは神に逆らえるわけもないので、死ぬ気で頑張ったよ。
でも、私だって、ただ利用されていたわけじゃない。裏には、大きな野望もあった。ガーランド様の意外な行動のおかげで、私の目論見は早くも達成できそうだ。
「シャーロットの場合、下手に行動を制限しない方がいい。君は、一国で飼われるような器ではない。下手に囲んでしまうと、その国が崩壊してしまう。今回の事件、行動を制限されながらも、君の機転でアストレカ大陸は救われた……が、余計な縛りがなければ、もっと迅速に解決できた」
そこは否定しません。事実、その通りだからね。
ただ、さっきから彼の言い方が引っかかる。
今後何かに縛られるということはなさそうだけど、何を言いたいのかな?
「色々と考えたが、君の案に俺も乗ろう。俺が新興国の国王となり、君の目標でもある【魔人族の差別撤廃と奴隷解放】、【大陸間の国交回復】、これらを優先的に動かす。……1ヶ月後、アストレカ大陸内にて、緊急大陸会議が開催されることが決定した。議題は、【聖女の目標を迅速に達成させる方法について】」
緊急大陸会議!?
しかも、議題は私の目標でもある差別撤廃や奴隷解放、大陸間の国交回復なの!
私の思っていた以上に、国々が早々に動いてくれるようだ。
「従魔とはいえ、君の力の一端が知れ渡った。君自身の力が知れ渡るのも、時間の問題だ。だから、その世界会議にて、ブライアンが各国の王に君の力を知らしめる(我々が彼女の目標達成について、本気で取り組んでいることを示せれば、シャーロットも一国の王として応対してくれるだろう)」
心の声で、《本気で取り組みますから、一個人として、これ以上介入しないでね》と言っている。きちんと対応してくれれば、私とて邪魔するつもりはない。ただ、気になる点もある。
「あの……そんなことをしたら、私の滞在するエルディア王国自体が恐れられるのでは?」
「そうならないよう、ある手段を考えている」
手段?
「この件に関しては、君の父であるエルバラン公爵と、現在協議中と聞いている。シャーロット、君はハーモニック大陸とアストレカ大陸両方にて、その存在感を知らしめた」
ハーモニック大陸の全ての国を訪れたわけではないけど、フランジュ帝国での件は既に伝わっているだろう。アストレカ大陸では従魔達によって、私の存在を伝えたよね。
「我々アストレカ大陸全国家は、今後君自身を、【エルディア王国の公爵令嬢】や【聖女】ではなく、【フランジュ帝国の帝王】として応対しようと思っている。エルディア王国は、あくまで君の生まれ故郷なだけであって、聖女として縛るような行為を一切行わないというものだ」
私への対応を、【帝王】という立場だけで考えるのか。
「出来れば、成人するまでは【公爵令嬢】、成人後は【帝王】として応対してほしいのですが?」
この年齢で王扱いされてしまったら、お父様達と離れ離れになる可能性が高いし、学園にも行けないよ。
「エルバラン公爵も、君と同じ意見だった。成人するまでは公爵令嬢として応対し、学園で多くの友と共に勉学に励ませる。おそらく、この案でまとまるだろう」
【聖女】という縛りが無くなるのなら、私としても動きやすい。
「その案ならば、私も納得できます。ただ、成人後の話ですけど、何か大きな災害が発生した場合は、どうなさるのですか?」
成人後となると、多分フランジュ帝国の方へ移動しているか、何処か好き放題に冒険しているかのどちらかの様な気がする。
「ブライアンは、【グローバル通信機】という簡易神具を持っている。そういった大災害が発生した場合、ブライアンを通して、君に通信が入る。ただ……できれば、自国または周辺国家で解決に導いていきたい。それでもダメな場合、君に連絡がいく」
極力私の手を借りず、各国で支援していくのね。
「大きな災害が発生しても、私に頼らず、自分達で解決していく。良い案だと思いますよ。私自身も、自由に動けますしね」
アドルフ教皇の心の声
(君の破天荒さが原因で、国が滅ぶことを私もブライアンも法王も怖れている。彼女の力を借りてはいけない。アストレカ大陸全国家が一致団結し、今後起こる災害を我々だけで防がねば!)
アドルフ教皇、あなたの心の内が、構造解析スキルにより丸わかりです。大陸の全国家が協力態勢に入るのなら、私からは何も言いません。
「君への対応に関しては、1ヶ月後の大陸会議にて、真っ先に討議される予定だ」
「私はフランジュ帝国の戴冠式もあるので、近いうちにここを離れます。この大陸で起きた出来事をハーモニック大陸の国々の王達に話しておきます。【魔人族達の奴隷解放】がハーモニック大陸側に伝われば、【4種族の奴隷解放】に繋がると思いますよ」
クロイス女王やサーベント王国の国王陛下に言っておけば、他の国々にも伝わる。互いの人種差別も大幅に緩和されると思う。
「正直に話してくれて構わない。先の話になるが、戦争に関わった国々の王族達が、ハーモニック大陸の全国家に謝罪したいと思っている(シャーロットが絡んでいる以上、我々も相手側も真摯に向き合っていかねば)」
私の力を怖れての謝罪か。
大陸間の軋轢を完全に瓦解させるには、私を経由するしかない。【シャーロット】という存在が、互いの平和を保つだろう。
出発点は、それで良い。
「真摯に向き合ってくださいね。数年間貿易関係で、何らかの優遇措置を与えてください」
「俺もそこを考慮しているが、それに関しては、大陸会議にて各国の王と議論する」
当然だよね。すぐに決められる事項ではない。ガーランド様の無茶な行動と私の破天荒な行動が、今の状況を生み出している。
今後、アストレカ大陸とハーモニック大陸の全国家の王族達が大きく動き出す。アストレカ大陸において、私の王としての地位が公に公表されるのは、成人後になると思うとから、それまではハーモニック大陸での大陸会議とかに出席することになるだろう。
「シャーロット、君はこれからどう行動したい?」
「う~ん、候補はあるのですが、現時点では話せません」
「何か行動を起こす時、必ずエルバラン公爵にだけは言ってほしい」
それは当然です。お父様やお母様に嫌われたくない。今後の私への対応次第で、ルートも大きく変化する。まずは、フランジュ帝国の戴冠式に向けて、私も準備を進めていこう。
○○○作者からの一言
これにて、【アストレカ大陸編】終了となります。
新章に関しては、来年1月中旬くらいに開始したいと思っています。
なお、本日お昼12時に漫画版第7話がUPされる予定です(^ω^)
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