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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】
天罰覿面
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はっきり言おう。
私は、あの悍ましい拷問対決を見学して、少し不愉快さを感じた。これは、私1人だけではない。あの凶悪犯罪者達の詳しい事情を知っているのは、王妃様を含めた一部の人間だけ。私達家族やアッシュさん、メイドの方々は、あの場で説明されただけの情報しか知らない。そのため、私と同じ気持ちを持った人間も少なからずいる。一部の人は、トラウマを植付けられたかもしれない。
鳥啄み地獄の講義の件に関しては、私が国王陛下にお願いして、1日延期してもらった。拷問対決以降、王城全体の雰囲気がおかしくなっている。陛下もアッシュさんも、状況を逸早く察知していたので、すぐに了承してくれた。陛下がルルリア様を私室へ軟禁させ、アッシュさんはリリヤさんを連れて、周囲の観光へと出掛けていく。あの2人が王城内をウロウロしていると、周囲の人達があの拷問を思い浮かべてしまうからね。2人がいない間、お父様とお母様と私が、見学していた多くの人々に謝罪していった。リリヤさんの大きなやらかしにより、このまま放置すると、聖女や公爵家の評判が大きく低下するためだ。
私達の地位は公爵家、地位としては貴族の最高位となる。本来、そんな簡単に頭を下げるべきではないのだけど、そんな事を言っている場合ではない。幸い、皆があの記憶を一刻も早く消し去りたいのか、話題を私の天麩羅料理の方へと転換していったため、聖女や公爵家としての信頼は落ちていない。
一応誤解が起きないよう、《魔人族は【拷問プレイ】を好む人種ではない》ことを強く言っておいた。あくまで、本日行われたものは、リリヤさんとルルリア様専用であると、強く、強~~くアピールしておいた。全員が苦笑いを浮かべたままだったけど、とりあえず信用してもらえた……と思う。
そして、その日の夕食、私と城内にいる料理人達が協力し、【天麩羅料理】を皆に披露した。王族でもある国王陛下達は、王室専用の部屋で料理を食べ、私達はメイドや騎士達の集まる食堂にて、料理を食べていく。皆が料理の味に感動し喜びを爆発させているので、試しに5人のメイド達を構造解析したところ、拷問という忌まわしい記憶が浄化され、【天麩羅】という新たな料理の感想が、脳内にビッシリと埋めつくされていた。ただ、ルルリア様とリリヤさんの好感度を調査すると、拷問前より約8割程低下したままで、そこから回復していない。天麩羅料理で、拷問の不快感を相殺できたけど、好感度だけは自分達で回復させるしかない。食事中、私にとっても、1つ腹立たしいことがある。
【リリヤさんだけが、私達の苦労を知ることなく、私とカムイの隣で、のほほんと天麩羅料理をほおばっているのだ】
私達の周囲に人はおらず、明らかに避けられているのだけど、彼女は気づいていない。昼に執行された拷問の影響もあって、気分がハイテンションのままなのだろう。アッシュさんは私から状況を聞いたことで、かなり不味いと思ったのか、食事を摂らず、食堂内にいる騎士やメイド達に、必死に彼女や魔人族のことをフォローしている。周囲の人達も、彼が彼女の恋人なんだと理解したようで、複雑な面持ちとなっている。彼の必死なフォローのおかげもあって、魔人族全体の好感度は、拷問前とほぼ同じ数値に上昇してくれた。
これが私にとって、唯一の救いなんだけど、アッシュさんがあちこち食堂内を移動しているにも関わらず、リリヤさんは1人黙々と天麩羅を食べている。なんか、どんどん私の中のリリヤさんの好感度が下がっていくと同時に、怒りゲージが蓄積していく。普段の彼女なら、アッシュさんの気遣いに気づくはずだ。構造解析で、その原因もわかっているのだけど、私はこの後の展開のことも考え、あえて無視した。
……そして、私達は天麩羅料理を食べ終え、別邸へと戻ってきた。
今の私達にとって、ここからが重要だ。リビングへと移動し、全員が揃っている事を確認してから、私は状況を把握していないマリルとトキワさんに、今日起きた出来事、皆の抱えている不快感や好感度のことを全て話した。好感度に関しては、私やアッシュさん、カムイのことも含まれている。
「リリヤ様、あなた…な…なんてことを…」
マリルは彼女に対して、もっと言いたいことがあるのだろう。でも、口がピクピクと動いているだけで、必死に我慢している。それに対し、トキワさんは深く深く大きな溜息をつく。
「リリヤ、お前は馬鹿なのか? 魔人族のお前がそんな拷問を人前で見せたら、シャーロットが築いてきた【友好】という土台を根こそぎ破壊することになるぞ! しかも、お前は聖女シャーロットやエルバラン公爵家の客人として、ここに来ているんだ。公爵家の評判を地に堕とす気か! シャーロットの天麩羅料理や皆のフォローのおかげで相殺されたからいいものの、王城内において、リリヤ・マッケンジーという個人の好感度だけは、王妃と同じく、最低に落ち込んでいることは間違いない」
私達が暴露したことで、リリヤさんは自分の鳥啄み地獄で、人様にそこまでの影響を与えていたことを知り、ソファーに座ったまま、身体を強張らせ、カタカタと小さく震えだす。
「そんな……でも、王妃様の命令でやったことだし……」
「言い訳するな! 王妃の命令といえど、やっていいことと、悪いことがある!」
トキワさんからの厳しいお言葉、リリヤさんはそんなことを言われると思わなかったのか、ガックリとうなだれる。ただ、彼自身もガーランド法王国で大きくやらかしているため、それ以上怒ることを控えている。あとは、私達に任せるようだ。
「魔物である僕から見ても、あれは酷いよ。嘲り笑うルルリアとリリヤを見て、恐怖を感じたよ。よくあそこまで、人を弄べるよね。魔物でも、あそこまでやらないよ。あの大勢の中、2人の気持ちを理解できる人は、1人もいなかったね。シャーロットだって、ひいていたもん。それに、食事中の行為も最低だよ。アッシュが必死に君のことをフォローしているのに、君はそんな彼を無視して、普通に食べていたね? あれって、最低な行為じゃないの? 子供の僕でもわかるよ。リリヤ、見損なったよ」
カムイも私にしがみついて、ずっと震えていたもんね。食事中、カムイはリリヤさんを注意しようとしたけど、私が止めたんだ。あの状態のリリヤさんに話しかけても、通じないと思ったからだ。リリヤさんは、トキワさんとカムイに酷く叱られたせいで、どんどんショックを受けていく。
「ごめん…なさい」
「リリヤさん、あなたの行為は大きな誤解を招く可能性もありました。お父様達が動いてくれたことで、上手く鎮静化しましたが…最悪…魔人族は【拷問好き】と思われ、忌避感が復活していたかもしれない。あなたとルルリア様の仕出かした所業は、それだけ酷く印象に残るのです。私も、カムイと同じ気持ちです」
私からも、一言言っておかないとね。
「そんな…つもりは…ごめんなさい」
今更、反省しても遅い。失った信頼と好感度は、取り戻せない。そんな重苦しい雰囲気が漂う中、アッシュさんが口を開く。
「リリヤ、【鳥啄み地獄】をやるなとは言わない。でも、物事には限度というものがある。今日の拷問は、明らかにやりすぎだ。いくら奴隷販売や人殺しをした凶悪犯罪者でも、人権はあるんだ。彼らをあそこまで弄んではいけない。もし……また同じ様な人を人と思わない行動を繰り返すのなら、僕は……君と別れる!」
アッシュさんが、その言葉を発するとは……正直驚きだ。そこまで、リリヤさんの好感度が低下しているのか。彼女も【別れる】と聞いたからなのか、自分がとんでもない失態を犯したことにようやく真に理解したのか、両目から大粒の涙が溢れでてくる。
アッシュさんのこの言葉により、リリヤさんの心が折れたのだ。
「アッシュ、ごめん、ごめんなさい! 【別れる】なんて言わないで! 私の拷問に対して、初めて共感を持てる女性がいたから、つい調子に乗ったの。また、私があの拷問をやって、狂気に呑まれそうになったら、殴ってでもいいから私を止めて! 私はアッシュが大好きなの! アッシュと別れたくない! 皆さん、不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした! 本当に申し訳ありませんでした! 申し訳ありませんでした!」
彼女が深々と頭を下げる。そして、私達に何度も何度も謝罪を口にした。お父様も、彼女が真に反省していると思ったのか、ここで口を開く。
「今回の件は、リリヤよりも王妃様が全面的に悪い。だが、皆が言うように、君は調子に乗りすぎた。それを理解したのなら、明日王城に行った時、何をすればいいかわかるね」
仲間達が言いたい事を言ってくれたため、お父様はリリヤさんを怒らず、優しく諭す。
「はい。私も皆さんに謝罪します。エルバラン公爵家の皆さま、御迷惑をお掛けして、誠に申し訳ありませんでした」
リリヤさんの顔は、涙でボロボロとなっている。自分の拷問を否定されるわ、アッシュさんから別れを告げられるわ、精神的に酷い状態だ。
「エルバラン公爵、明日俺も王城に行き、国王陛下に謝罪したい。ここまで仲間が迷惑を掛けた以上、成人している俺が、別邸でのんびりしているわけにはいかない。謁見を頼めるだろうか?」
こうなった以上、トキワさんも王城に行って、みんなで謝罪した方がいいか。
魔人族の沽券に関わるよね。
「仕方ない…か。明日の朝、私がグローバル通信機で、国王陛下に連絡しておこう」
リリヤさんは憔悴しきったまま、自分にあてられた部屋と戻った。アッシュさんがその様子を心配そうにじっと見ていたのだけど、彼女の部屋へ行こうとしなかった。まったく、ルルリア様のせいで、チーム崩壊の危機に陥っている。何らかの天罰が下って欲しいよ。明日のうちに、天罰が下りなければ、私が簡易神人化して、屈辱的な称号を与えてやる。
○○○
翌日、私、アッシュさん、リリヤさん、トキワさんの4人は正装して王城に行き、謁見の間にて国王陛下や周囲に控える貴族達に謝罪した。お父様が陛下に連絡したところ、《リリヤ自身が皆に謝罪したいのなら、謁見の間の方がいいだろう》という意見に落ち着いたのだ。本当のところ、国王陛下が単独でトキワさんと会うことを極端に怖がっているだけで、この怖さを皆で共有したいという裏もある。トキワさんが自己紹介した時も、全員が極度に緊張していた。今回は、魔人族でもあるリリヤさんの謝罪という形で訪れているため、トキワさんもガーランド法王国のことには触れず、ただただ仲間の不手際について深く謝罪した。そのため、国王陛下や貴族達も、トキワ・ミカイツという人物を見直すこととなる。
「4人とも、頭を上げなさい。我々は、君達の謝罪を受け取ろう。リリヤを見れば、反省していることがわかる」
王と謁見するのであれば、子供であろうとも、薄く化粧が施される。しかし、リリヤさんだけは、どれだけ反省しているのかをわかってもらうため、何もしていない。彼女の顔は腫れており、現在でも憔悴しきった顔をしている。アッシュさんの言葉が、相当こたえたのだろう。
「昨日の件、元を正せば、我が妻ルルリアが悪い。王妃とあろう者が、あのような醜態を晒し、自分の愚かさに気づかなかった。あの後も、少しイザコザがあってね。その件も含めて、私も息子達も臣下達も、皆がルルリアに抗議したのだ」
イザコザ? 何が起きたのかな?
「彼女も、抗議する人数の多さに酷く驚いていた。我々もあの拷問の必要性を理解したが、共感する者は誰1人いなかった。私ですら、彼女と離縁する覚悟を持った程だ。私が【離縁】を口にし、息子達が【親子の縁を切る】と言われて、ルルリアもようやく気づいた」
リリヤさんと同じ状況だ! なんか思った以上に、事が大きくなっている!
「リリヤ、ルルリアと話し合いなさい。鳥啄み地獄を新たな拷問として加えるべきか、君達2人が判断するといい」
案に、その判断次第では、《離縁もやむなし》と聞こえる。
「はい…わかりました」
私達が謁見の間を離れ、ルルリア王妃のいる私室へ向かう途中、メイドや騎士達と何度もすれ違う度に、リリヤさんは謝罪を口にしていく。謝罪される側も、昨日までのリリヤさんの持つ雰囲気があまりにも違いすぎるため、酷く驚いている。そして、彼女が真摯に謝る姿を見て、皆も心を許していく。
ルルリア王妃様のいる私室を訪れ入室すると、彼女は歓迎してくれたのだけど、リリヤさんと同じく酷い顔色となっていた。トキワさんが挨拶を行い、私達はソファーへと腰を落ち着け、ルルリア様の口が開くのを静かに待つ。
「昨日は散々だったわ。夕食を食べた後、私は護衛を引き連れて、あの囚人2人組の牢屋に行ったの。ちょっとやりすぎたかな~と思って、あの2人組に魚の活け造りをプレゼントしたのよ。その後、魚の出所を明かしたのだけど……まあ、どうなったのかは、あなた達の想像に任せるわ」
その言葉を聞いて、私達は血の気が引いた。国王陛下の言っていたイザコザってこれか! そりゃあ、みんなが一致団結して抗議するわけだよ! ルルリア様の行動、王妃としておかしいでしょ! とりあえず、続きを聞こう。
「でもね、自分の私室に戻った後、ブライアンや息子達が牢屋の件を聞いたのか、ドアを乱暴に開け放ち、彼が…ブライアンが私を本気でビンタしたの。その時の彼の顔は、憤怒に囚われていた。いえ、彼だけじゃないわ。全員が、激怒していた」
当たり前だ。そんな行為を行えば、誰だって怒るよ。
王妃として、失格だ!
「そして、【犯罪者であっても、人権はある。今後も、君が人を踏みにじる行為を続けていくのなら、私は君と離縁する!】と言われたのよ。あの時の彼の目は、いつになく真剣だった。あの人が《離縁》を口にするとは思わなかったわ。あの時の私は、それだけ狂っていたのね」
国王陛下は相当な勇気を出して、ルルリア様に進言したのだろう。それ程のことを、彼女は実行したのだから。
「あの後、息子達にも《今後も、ああいった行為を人前で続けていくのなら、親子の縁を切ります》とまで言われたわ。私は……自分と同じ価値観を持つリリヤさんと出会えたことで嬉しかったの。今まで、私の隠し持つ狂気的な一面を理解してくれる者は、誰一人いなかった。だから、心がいつも以上に舞い上がっていたのね。彼らに怒られた後、私は自分の犯した過ちに気づき、今日の朝、王城にいる皆を集めてもらって、昨日の件を謝罪したわ」
さすがのルルリア様も、愛する夫と息子達にそこまで言われたこともあって、自分の犯したことが、どれだけ非人道的なものであったのかを理解したようだ。
「ルルリア様、国王陛下からの伝言です。《リリヤと共に、【鳥啄み地獄】を国の拷問として受け入れるか考えろ》とのことです」
「わかったわ」
私達はリリヤさんとルルリア様を残し、部屋をそっと出て行く。これは、2人が考えるべき案件だからね。
……1時間後
私達が貴族用の談話室にて、国王陛下と世間話などで楽しんでいた時、リリヤさんとルルリア様がノックをして部屋へ入って来た。2人はやつれているものの、真剣な表情をしていたこともあり、私達は2人の話を聞いた。
【鳥啄み地獄】
1) 最低でも4名に、このスキルを習得させる
2) 犯罪者限定に使用すること
3) 犯罪者が必要な情報を明かした時点で、即刻中止すること
4) 執行者1名だけでなく、必ず同伴として、審判者3名を連れていき、犯罪者1人を含めた合計5名だけで、拷問を執行すること
5) 審判者3名のうち、2名が執行者に問題ありと判断された場合に限り、執行者を同じ刑に処すこと。刑の執行時間は5分。身分を問わず、必ず実行される。
私達は、《2人の考えが正常である》と判断した。この内容であれば、国の拷問として正式に認めても問題ない。審判者が賄賂で執行者の味方とならないよう注意しないといけないけどね。国王陛下は、どう判断するかな?
「いいだろう。この案について、次の会議で話し合うこととする。皆が納得すれば、正式に新たな拷問として認めよう」
「陛下、この度はご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ありませんでした」
こんな儚く見えるルルリア様を見るのは初めてだ。
「陛下、ここで活動する際、魔人族の尊厳を損ねないよう、私はこの拷問を使用しないことを誓います」
ふむふむ、アッシュさんがいれば、きちんと見張ってくれるから問題ないでしょう。
「「あ!?」」
うん、どうしたのだろう?
ルルリア様とリリヤさんの顔色が、真っ青になっていき、身体も震えだした。この態度の変化は、明らかにおかしい。まさか………構造解析してみよう
ルルリア NEW 称号【拷問苛烈ババア】
リリヤ 変更 称号【拷問加虐の悪役女王】 →→→ 【拷問苛烈娘】
副次効果
拷問相手を屈服させることで、相手の持つ全情報を自分のステータス欄で閲覧できる。ただし、相手を屈服させて以降も、非人道的な拷問をやり続けた場合、24時間全ステータスが8割低下する。また、目撃者達の自分に対する好感度も、同じく8割低下する。ステータス異常は24時間後に回復するが、好感度に関しては回復しないので注意すること!
《追伸》 ※ルルリアのみ記載
シャーロット達は信用したようだが、私は君を信用していない。だから、君の心を試させてもらう。この称号には女性にとって、不名誉な言葉が含まれている。その単語を消したくば、2年間理不尽なお仕置きを控えること。約束を守れば、正当な言葉に変更しよう。
《追伸》 ※リリヤのみ記載
精霊からの通報で様子を見ていましたが、明らかにやりすぎです! この罰は昨日から執行済となっています。好感度を回復したくば、自分の行動を改めなさい! そもそもなんなんですか、この気持ち悪い称号名と副次効果は!? 同じ女として看過できません! 称号を変更しておきます! 私はあなたを信用していません! 今の時点で、裏人格の白狐童子の存在を抹消したいくらいです!
【代理神 ミスラテル】
国王陛下もアッシュさんも2人の様子に勘付いたので、一斉に問い詰めると、彼女達は素直に自白した。ルルリア様にとって、《ババア》という言葉は屈辱的なものだから、名称の変更を望むはずだ。そして、1度でも過度の拷問を実行したら、今まで築いてきた好感度が8割も低下する。
皆があの拷問の苛烈さを認識したけど、好意的に見た者は1人もいなかった。私達仲間や家族でさえも、嫌悪を浮かべる程だった。この副次効果を発揮させていたからこそ、誰1人味方する者がいなかったんだ。今回の件で、ルルリア様は離縁されそうになったし、リリヤさんはアッシュさんと別れる寸前まできている。あと1回同じ事をすれば、悲惨な未来が待ち受ける。
そして、この称号名と副次効果を聞いたことで、内心ほくそ笑んでいる人物が1人いる。それは、国王陛下だ。この称号がある以上、ルルリア様は理不尽なお仕置きやイタズラを実行できない。国王陛下や王太子様にとって、この称号は朗報といえる。
ミスラテル様はガーランド様と違い、厳格で優しい女性だ。こういった行為を毛嫌いするはず。だからこそ、2人に天罰を下したんだ。
ミスラテル様、ありがとうございます!
これで2人のSっ気のある性格も、多少矯正されると思います!
○○○作者からの一言
次回更新予定日は、2/16(土)10時40分となります。
私は、あの悍ましい拷問対決を見学して、少し不愉快さを感じた。これは、私1人だけではない。あの凶悪犯罪者達の詳しい事情を知っているのは、王妃様を含めた一部の人間だけ。私達家族やアッシュさん、メイドの方々は、あの場で説明されただけの情報しか知らない。そのため、私と同じ気持ちを持った人間も少なからずいる。一部の人は、トラウマを植付けられたかもしれない。
鳥啄み地獄の講義の件に関しては、私が国王陛下にお願いして、1日延期してもらった。拷問対決以降、王城全体の雰囲気がおかしくなっている。陛下もアッシュさんも、状況を逸早く察知していたので、すぐに了承してくれた。陛下がルルリア様を私室へ軟禁させ、アッシュさんはリリヤさんを連れて、周囲の観光へと出掛けていく。あの2人が王城内をウロウロしていると、周囲の人達があの拷問を思い浮かべてしまうからね。2人がいない間、お父様とお母様と私が、見学していた多くの人々に謝罪していった。リリヤさんの大きなやらかしにより、このまま放置すると、聖女や公爵家の評判が大きく低下するためだ。
私達の地位は公爵家、地位としては貴族の最高位となる。本来、そんな簡単に頭を下げるべきではないのだけど、そんな事を言っている場合ではない。幸い、皆があの記憶を一刻も早く消し去りたいのか、話題を私の天麩羅料理の方へと転換していったため、聖女や公爵家としての信頼は落ちていない。
一応誤解が起きないよう、《魔人族は【拷問プレイ】を好む人種ではない》ことを強く言っておいた。あくまで、本日行われたものは、リリヤさんとルルリア様専用であると、強く、強~~くアピールしておいた。全員が苦笑いを浮かべたままだったけど、とりあえず信用してもらえた……と思う。
そして、その日の夕食、私と城内にいる料理人達が協力し、【天麩羅料理】を皆に披露した。王族でもある国王陛下達は、王室専用の部屋で料理を食べ、私達はメイドや騎士達の集まる食堂にて、料理を食べていく。皆が料理の味に感動し喜びを爆発させているので、試しに5人のメイド達を構造解析したところ、拷問という忌まわしい記憶が浄化され、【天麩羅】という新たな料理の感想が、脳内にビッシリと埋めつくされていた。ただ、ルルリア様とリリヤさんの好感度を調査すると、拷問前より約8割程低下したままで、そこから回復していない。天麩羅料理で、拷問の不快感を相殺できたけど、好感度だけは自分達で回復させるしかない。食事中、私にとっても、1つ腹立たしいことがある。
【リリヤさんだけが、私達の苦労を知ることなく、私とカムイの隣で、のほほんと天麩羅料理をほおばっているのだ】
私達の周囲に人はおらず、明らかに避けられているのだけど、彼女は気づいていない。昼に執行された拷問の影響もあって、気分がハイテンションのままなのだろう。アッシュさんは私から状況を聞いたことで、かなり不味いと思ったのか、食事を摂らず、食堂内にいる騎士やメイド達に、必死に彼女や魔人族のことをフォローしている。周囲の人達も、彼が彼女の恋人なんだと理解したようで、複雑な面持ちとなっている。彼の必死なフォローのおかげもあって、魔人族全体の好感度は、拷問前とほぼ同じ数値に上昇してくれた。
これが私にとって、唯一の救いなんだけど、アッシュさんがあちこち食堂内を移動しているにも関わらず、リリヤさんは1人黙々と天麩羅を食べている。なんか、どんどん私の中のリリヤさんの好感度が下がっていくと同時に、怒りゲージが蓄積していく。普段の彼女なら、アッシュさんの気遣いに気づくはずだ。構造解析で、その原因もわかっているのだけど、私はこの後の展開のことも考え、あえて無視した。
……そして、私達は天麩羅料理を食べ終え、別邸へと戻ってきた。
今の私達にとって、ここからが重要だ。リビングへと移動し、全員が揃っている事を確認してから、私は状況を把握していないマリルとトキワさんに、今日起きた出来事、皆の抱えている不快感や好感度のことを全て話した。好感度に関しては、私やアッシュさん、カムイのことも含まれている。
「リリヤ様、あなた…な…なんてことを…」
マリルは彼女に対して、もっと言いたいことがあるのだろう。でも、口がピクピクと動いているだけで、必死に我慢している。それに対し、トキワさんは深く深く大きな溜息をつく。
「リリヤ、お前は馬鹿なのか? 魔人族のお前がそんな拷問を人前で見せたら、シャーロットが築いてきた【友好】という土台を根こそぎ破壊することになるぞ! しかも、お前は聖女シャーロットやエルバラン公爵家の客人として、ここに来ているんだ。公爵家の評判を地に堕とす気か! シャーロットの天麩羅料理や皆のフォローのおかげで相殺されたからいいものの、王城内において、リリヤ・マッケンジーという個人の好感度だけは、王妃と同じく、最低に落ち込んでいることは間違いない」
私達が暴露したことで、リリヤさんは自分の鳥啄み地獄で、人様にそこまでの影響を与えていたことを知り、ソファーに座ったまま、身体を強張らせ、カタカタと小さく震えだす。
「そんな……でも、王妃様の命令でやったことだし……」
「言い訳するな! 王妃の命令といえど、やっていいことと、悪いことがある!」
トキワさんからの厳しいお言葉、リリヤさんはそんなことを言われると思わなかったのか、ガックリとうなだれる。ただ、彼自身もガーランド法王国で大きくやらかしているため、それ以上怒ることを控えている。あとは、私達に任せるようだ。
「魔物である僕から見ても、あれは酷いよ。嘲り笑うルルリアとリリヤを見て、恐怖を感じたよ。よくあそこまで、人を弄べるよね。魔物でも、あそこまでやらないよ。あの大勢の中、2人の気持ちを理解できる人は、1人もいなかったね。シャーロットだって、ひいていたもん。それに、食事中の行為も最低だよ。アッシュが必死に君のことをフォローしているのに、君はそんな彼を無視して、普通に食べていたね? あれって、最低な行為じゃないの? 子供の僕でもわかるよ。リリヤ、見損なったよ」
カムイも私にしがみついて、ずっと震えていたもんね。食事中、カムイはリリヤさんを注意しようとしたけど、私が止めたんだ。あの状態のリリヤさんに話しかけても、通じないと思ったからだ。リリヤさんは、トキワさんとカムイに酷く叱られたせいで、どんどんショックを受けていく。
「ごめん…なさい」
「リリヤさん、あなたの行為は大きな誤解を招く可能性もありました。お父様達が動いてくれたことで、上手く鎮静化しましたが…最悪…魔人族は【拷問好き】と思われ、忌避感が復活していたかもしれない。あなたとルルリア様の仕出かした所業は、それだけ酷く印象に残るのです。私も、カムイと同じ気持ちです」
私からも、一言言っておかないとね。
「そんな…つもりは…ごめんなさい」
今更、反省しても遅い。失った信頼と好感度は、取り戻せない。そんな重苦しい雰囲気が漂う中、アッシュさんが口を開く。
「リリヤ、【鳥啄み地獄】をやるなとは言わない。でも、物事には限度というものがある。今日の拷問は、明らかにやりすぎだ。いくら奴隷販売や人殺しをした凶悪犯罪者でも、人権はあるんだ。彼らをあそこまで弄んではいけない。もし……また同じ様な人を人と思わない行動を繰り返すのなら、僕は……君と別れる!」
アッシュさんが、その言葉を発するとは……正直驚きだ。そこまで、リリヤさんの好感度が低下しているのか。彼女も【別れる】と聞いたからなのか、自分がとんでもない失態を犯したことにようやく真に理解したのか、両目から大粒の涙が溢れでてくる。
アッシュさんのこの言葉により、リリヤさんの心が折れたのだ。
「アッシュ、ごめん、ごめんなさい! 【別れる】なんて言わないで! 私の拷問に対して、初めて共感を持てる女性がいたから、つい調子に乗ったの。また、私があの拷問をやって、狂気に呑まれそうになったら、殴ってでもいいから私を止めて! 私はアッシュが大好きなの! アッシュと別れたくない! 皆さん、不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした! 本当に申し訳ありませんでした! 申し訳ありませんでした!」
彼女が深々と頭を下げる。そして、私達に何度も何度も謝罪を口にした。お父様も、彼女が真に反省していると思ったのか、ここで口を開く。
「今回の件は、リリヤよりも王妃様が全面的に悪い。だが、皆が言うように、君は調子に乗りすぎた。それを理解したのなら、明日王城に行った時、何をすればいいかわかるね」
仲間達が言いたい事を言ってくれたため、お父様はリリヤさんを怒らず、優しく諭す。
「はい。私も皆さんに謝罪します。エルバラン公爵家の皆さま、御迷惑をお掛けして、誠に申し訳ありませんでした」
リリヤさんの顔は、涙でボロボロとなっている。自分の拷問を否定されるわ、アッシュさんから別れを告げられるわ、精神的に酷い状態だ。
「エルバラン公爵、明日俺も王城に行き、国王陛下に謝罪したい。ここまで仲間が迷惑を掛けた以上、成人している俺が、別邸でのんびりしているわけにはいかない。謁見を頼めるだろうか?」
こうなった以上、トキワさんも王城に行って、みんなで謝罪した方がいいか。
魔人族の沽券に関わるよね。
「仕方ない…か。明日の朝、私がグローバル通信機で、国王陛下に連絡しておこう」
リリヤさんは憔悴しきったまま、自分にあてられた部屋と戻った。アッシュさんがその様子を心配そうにじっと見ていたのだけど、彼女の部屋へ行こうとしなかった。まったく、ルルリア様のせいで、チーム崩壊の危機に陥っている。何らかの天罰が下って欲しいよ。明日のうちに、天罰が下りなければ、私が簡易神人化して、屈辱的な称号を与えてやる。
○○○
翌日、私、アッシュさん、リリヤさん、トキワさんの4人は正装して王城に行き、謁見の間にて国王陛下や周囲に控える貴族達に謝罪した。お父様が陛下に連絡したところ、《リリヤ自身が皆に謝罪したいのなら、謁見の間の方がいいだろう》という意見に落ち着いたのだ。本当のところ、国王陛下が単独でトキワさんと会うことを極端に怖がっているだけで、この怖さを皆で共有したいという裏もある。トキワさんが自己紹介した時も、全員が極度に緊張していた。今回は、魔人族でもあるリリヤさんの謝罪という形で訪れているため、トキワさんもガーランド法王国のことには触れず、ただただ仲間の不手際について深く謝罪した。そのため、国王陛下や貴族達も、トキワ・ミカイツという人物を見直すこととなる。
「4人とも、頭を上げなさい。我々は、君達の謝罪を受け取ろう。リリヤを見れば、反省していることがわかる」
王と謁見するのであれば、子供であろうとも、薄く化粧が施される。しかし、リリヤさんだけは、どれだけ反省しているのかをわかってもらうため、何もしていない。彼女の顔は腫れており、現在でも憔悴しきった顔をしている。アッシュさんの言葉が、相当こたえたのだろう。
「昨日の件、元を正せば、我が妻ルルリアが悪い。王妃とあろう者が、あのような醜態を晒し、自分の愚かさに気づかなかった。あの後も、少しイザコザがあってね。その件も含めて、私も息子達も臣下達も、皆がルルリアに抗議したのだ」
イザコザ? 何が起きたのかな?
「彼女も、抗議する人数の多さに酷く驚いていた。我々もあの拷問の必要性を理解したが、共感する者は誰1人いなかった。私ですら、彼女と離縁する覚悟を持った程だ。私が【離縁】を口にし、息子達が【親子の縁を切る】と言われて、ルルリアもようやく気づいた」
リリヤさんと同じ状況だ! なんか思った以上に、事が大きくなっている!
「リリヤ、ルルリアと話し合いなさい。鳥啄み地獄を新たな拷問として加えるべきか、君達2人が判断するといい」
案に、その判断次第では、《離縁もやむなし》と聞こえる。
「はい…わかりました」
私達が謁見の間を離れ、ルルリア王妃のいる私室へ向かう途中、メイドや騎士達と何度もすれ違う度に、リリヤさんは謝罪を口にしていく。謝罪される側も、昨日までのリリヤさんの持つ雰囲気があまりにも違いすぎるため、酷く驚いている。そして、彼女が真摯に謝る姿を見て、皆も心を許していく。
ルルリア王妃様のいる私室を訪れ入室すると、彼女は歓迎してくれたのだけど、リリヤさんと同じく酷い顔色となっていた。トキワさんが挨拶を行い、私達はソファーへと腰を落ち着け、ルルリア様の口が開くのを静かに待つ。
「昨日は散々だったわ。夕食を食べた後、私は護衛を引き連れて、あの囚人2人組の牢屋に行ったの。ちょっとやりすぎたかな~と思って、あの2人組に魚の活け造りをプレゼントしたのよ。その後、魚の出所を明かしたのだけど……まあ、どうなったのかは、あなた達の想像に任せるわ」
その言葉を聞いて、私達は血の気が引いた。国王陛下の言っていたイザコザってこれか! そりゃあ、みんなが一致団結して抗議するわけだよ! ルルリア様の行動、王妃としておかしいでしょ! とりあえず、続きを聞こう。
「でもね、自分の私室に戻った後、ブライアンや息子達が牢屋の件を聞いたのか、ドアを乱暴に開け放ち、彼が…ブライアンが私を本気でビンタしたの。その時の彼の顔は、憤怒に囚われていた。いえ、彼だけじゃないわ。全員が、激怒していた」
当たり前だ。そんな行為を行えば、誰だって怒るよ。
王妃として、失格だ!
「そして、【犯罪者であっても、人権はある。今後も、君が人を踏みにじる行為を続けていくのなら、私は君と離縁する!】と言われたのよ。あの時の彼の目は、いつになく真剣だった。あの人が《離縁》を口にするとは思わなかったわ。あの時の私は、それだけ狂っていたのね」
国王陛下は相当な勇気を出して、ルルリア様に進言したのだろう。それ程のことを、彼女は実行したのだから。
「あの後、息子達にも《今後も、ああいった行為を人前で続けていくのなら、親子の縁を切ります》とまで言われたわ。私は……自分と同じ価値観を持つリリヤさんと出会えたことで嬉しかったの。今まで、私の隠し持つ狂気的な一面を理解してくれる者は、誰一人いなかった。だから、心がいつも以上に舞い上がっていたのね。彼らに怒られた後、私は自分の犯した過ちに気づき、今日の朝、王城にいる皆を集めてもらって、昨日の件を謝罪したわ」
さすがのルルリア様も、愛する夫と息子達にそこまで言われたこともあって、自分の犯したことが、どれだけ非人道的なものであったのかを理解したようだ。
「ルルリア様、国王陛下からの伝言です。《リリヤと共に、【鳥啄み地獄】を国の拷問として受け入れるか考えろ》とのことです」
「わかったわ」
私達はリリヤさんとルルリア様を残し、部屋をそっと出て行く。これは、2人が考えるべき案件だからね。
……1時間後
私達が貴族用の談話室にて、国王陛下と世間話などで楽しんでいた時、リリヤさんとルルリア様がノックをして部屋へ入って来た。2人はやつれているものの、真剣な表情をしていたこともあり、私達は2人の話を聞いた。
【鳥啄み地獄】
1) 最低でも4名に、このスキルを習得させる
2) 犯罪者限定に使用すること
3) 犯罪者が必要な情報を明かした時点で、即刻中止すること
4) 執行者1名だけでなく、必ず同伴として、審判者3名を連れていき、犯罪者1人を含めた合計5名だけで、拷問を執行すること
5) 審判者3名のうち、2名が執行者に問題ありと判断された場合に限り、執行者を同じ刑に処すこと。刑の執行時間は5分。身分を問わず、必ず実行される。
私達は、《2人の考えが正常である》と判断した。この内容であれば、国の拷問として正式に認めても問題ない。審判者が賄賂で執行者の味方とならないよう注意しないといけないけどね。国王陛下は、どう判断するかな?
「いいだろう。この案について、次の会議で話し合うこととする。皆が納得すれば、正式に新たな拷問として認めよう」
「陛下、この度はご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ありませんでした」
こんな儚く見えるルルリア様を見るのは初めてだ。
「陛下、ここで活動する際、魔人族の尊厳を損ねないよう、私はこの拷問を使用しないことを誓います」
ふむふむ、アッシュさんがいれば、きちんと見張ってくれるから問題ないでしょう。
「「あ!?」」
うん、どうしたのだろう?
ルルリア様とリリヤさんの顔色が、真っ青になっていき、身体も震えだした。この態度の変化は、明らかにおかしい。まさか………構造解析してみよう
ルルリア NEW 称号【拷問苛烈ババア】
リリヤ 変更 称号【拷問加虐の悪役女王】 →→→ 【拷問苛烈娘】
副次効果
拷問相手を屈服させることで、相手の持つ全情報を自分のステータス欄で閲覧できる。ただし、相手を屈服させて以降も、非人道的な拷問をやり続けた場合、24時間全ステータスが8割低下する。また、目撃者達の自分に対する好感度も、同じく8割低下する。ステータス異常は24時間後に回復するが、好感度に関しては回復しないので注意すること!
《追伸》 ※ルルリアのみ記載
シャーロット達は信用したようだが、私は君を信用していない。だから、君の心を試させてもらう。この称号には女性にとって、不名誉な言葉が含まれている。その単語を消したくば、2年間理不尽なお仕置きを控えること。約束を守れば、正当な言葉に変更しよう。
《追伸》 ※リリヤのみ記載
精霊からの通報で様子を見ていましたが、明らかにやりすぎです! この罰は昨日から執行済となっています。好感度を回復したくば、自分の行動を改めなさい! そもそもなんなんですか、この気持ち悪い称号名と副次効果は!? 同じ女として看過できません! 称号を変更しておきます! 私はあなたを信用していません! 今の時点で、裏人格の白狐童子の存在を抹消したいくらいです!
【代理神 ミスラテル】
国王陛下もアッシュさんも2人の様子に勘付いたので、一斉に問い詰めると、彼女達は素直に自白した。ルルリア様にとって、《ババア》という言葉は屈辱的なものだから、名称の変更を望むはずだ。そして、1度でも過度の拷問を実行したら、今まで築いてきた好感度が8割も低下する。
皆があの拷問の苛烈さを認識したけど、好意的に見た者は1人もいなかった。私達仲間や家族でさえも、嫌悪を浮かべる程だった。この副次効果を発揮させていたからこそ、誰1人味方する者がいなかったんだ。今回の件で、ルルリア様は離縁されそうになったし、リリヤさんはアッシュさんと別れる寸前まできている。あと1回同じ事をすれば、悲惨な未来が待ち受ける。
そして、この称号名と副次効果を聞いたことで、内心ほくそ笑んでいる人物が1人いる。それは、国王陛下だ。この称号がある以上、ルルリア様は理不尽なお仕置きやイタズラを実行できない。国王陛下や王太子様にとって、この称号は朗報といえる。
ミスラテル様はガーランド様と違い、厳格で優しい女性だ。こういった行為を毛嫌いするはず。だからこそ、2人に天罰を下したんだ。
ミスラテル様、ありがとうございます!
これで2人のSっ気のある性格も、多少矯正されると思います!
○○○作者からの一言
次回更新予定日は、2/16(土)10時40分となります。
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