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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】
閑話 アッシュ一行、海の街ベルンを満喫する
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《戴冠式から半年後の話になります》
○○○ アッシュ視点
シャーロットの戴冠式が終わって以降、僕とリリヤとカムイはエルディア王国王都を活動拠点とし、冒険者活動を再開した。王都の人間達は、僕達を見ても蔑むことなく、周囲にいる人間達と同じように接してくれた。結局のところ、この大陸に住む4種族達も、自分の中に潜む欲望に負けなければ、ハーモニック大陸に住む魔人族や人間族達と同じなのかもしれない。
エルバラン公爵様はシャーロットを守ってくれた御礼として、公爵家専用メダルだけでなく、王都で活動するための生活資金を僕達に提供してくれた。各大陸で決められた大陸用通貨があるらしく、僕達の持つ通貨はハーモニック大陸用だ。国交も断絶状態であるため、現在のところアストレカ大陸とランダルキア大陸の両方で使用不可らしく、また両替もできないようだ。
そういえば、ガーランド法王国を訪れた際、カクさんも同じことを言っていた。しかも、生活資金は自分で工面しろだったから、アイテム類を売ったんだ。
当初、公爵様は1人金貨100枚を用意してくれたのだけど、シャーロットは僕達の命の恩人であって、僕達はその恩を返しただけだ。僕とリリヤはそういった事情をきちんと説明した上で、1/10である金貨10枚ずつを貰った。
まずはアストレカ大陸の生活に慣れるためにも、2ヶ月程王都の冒険者ギルドで依頼をこなし、時にはダンジョンにも潜って、ランクをCに引き上げた。装備に関しても、アストレカ大陸用の目立たない冒険者服に着替え、僕は武器を【ミスリルの剣→ミスリルの刀】へ、リリヤは【ホワイトコンパウンドボウ→ワイバーンの骨から作り出した弓】へと変更している。
この2ヶ月、僕はトキワさん直伝のトレーニングメニューをリリヤとこなしながら戦闘を繰り返していくうちに、身体に違和感を感じるようになる。色々と原因を探った結果、僕の戦闘スタイルは剣術よりも刀術に向いているらしく、普通の刀で戦闘した方が限界ギリギリの力を発揮できるようだ。現在は、魔刀【吹雪】を自在に扱えるよう、アダマンタイト製の刀で毎日素振りしている。
リリヤの場合、元々の武器がシャーロットお手製のため、攻撃力が異様に高過ぎた。そのため、全ての魔物をほぼ一撃で仕留めてしまう。現在の技量では手加減も無理だと判断し、今の自分に見合う武器を選んだ。
僕達は自分の戦闘スタイルを確立できたこともあって、そろそろ王都を旅立とうと決断し、観光名所の情報収集を行った。すると、現在王国一の観光名所と呼ばれているのは、エルバラン公爵様やシャーロットから聞いた【海の街ベルン】で、海鮮料理が特に有名らしい。
僕は、リリヤとカムイに次の目的地を【海の街ベルン】と言うと、即答で了解の返事をくれた。カムイは海鮮料理に興味があるようだけど、僕とリリヤにとって大切なのは【海】を見ることだ。ジストニス王国は内陸部にあって、海が存在しない。シャーロットとの旅の道中、一度も見たことがない。リリヤは、ゴムゴムロープで飛ばされている間1度上空から見ているはずなんだけど、移動速度が速すぎたため、殆ど記憶にないらしい。
今の僕達は行動を縛られていないため、訓練も兼ねて徒歩で海の街ベルンを目指す。多くの街に寄り道し、様々な人達を出会い、楽しく話し合いながら冒険を進めていく。4ヶ月間充実した冒険生活を進め、僕達は遂に目的地へと到着した。
現在位置は……【海の街ベルン】の海水浴場と呼ばれる砂浜だ。
「これが…海……なんて綺麗なんだ」
海の先は、まるで1つの線のようになっている。
あれが、学園の授業で聞いた【水平線】なのか。
静かな波がゆっくりと砂浜に近づき、僕のすぐ側までやって来る。この波の音が心地いい。目を閉じると、僕の心を洗い流しているかのような浮遊感を感じる。
「うわあ~、すっごく綺麗なところ! 見て見てこの砂! さっきまで見たものと何処か違うよ! こんな場所……生まれて初めてだ~」
リリヤの言う通りだ。海全てが青一色となって、透明度も高い。そして、砂浜で踊るリリヤも綺麗だ。この大陸に来た当初、拷問の件で色々とあったけど、現在では王妃様もリリヤも自分の力と向き合ったことで、己を制御できている。彼女は、1歩1歩着実に成長している。僕も、頑張らないといけない。ステータス数値500の限界突破の方法も、トキワさんから教わった。
まずは、【己の心と向き合え】だ!
「うわあ! ぺっぺっ! しょっぱ~~い。この水、何か入ってるよ!」
カムイは、海水を飲んだのか。
「カムイ、海水は川の水と違って、塩が含まれているんだ。この海水を汲み上げることで、料理に使う塩を抽出できるんだよ」
靴と靴下を脱ぎ、ズボンをあげてから海に少しだけ入ってみると……
「冷たい」
そういえば、街の人が《海開きはあと1ヶ月ほど先だよ》と言っていた。海開きっていうから、《海を割るのか!?》と疑問に思い質問したら笑われたっけ。あとで意味を聞いたけど、こうやって肌で感じるとわかる。この水温では寒くて泳げない。
「へえ~そうなんだ。あれ? アッシュも海を見るのは初めてなんでしょ? どうして知ってるの?」
「ロキナム学園の授業で習ったんだよ」
授業で習いはしたけど、《教科書で知る》と《実際に見る》とでは全然違う。
僕は生まれて初めて海を見たからか、身体が歓喜に震えている。
「あ~あ、海開きは1ヶ月先か~待ち遠しいな~泳ぎたいな~」
リリヤも靴と靴下を脱ぎ、足でバシャバシャと海水を蹴っている。
君の気持ちもわかるよ。
「なんで? 今、泳げるよ?」
「カムイは良いかもしれないけど、私もアッシュも、この水温じゃあ寒くて泳げないよ」
「そうなの? 人間や魔鬼族って不便だね」
そういえば、《海は天候次第で荒れ狂う》と習ったけど本当だろうか? 今の天気は快晴、波も穏やかだ。この優しげな海が、荒れ狂うなんて信じれないな。
「リリヤ、海を堪能するまでベルンに滞在しよう。しばらくの間、ここで冒険活動かな」
「賛成! 絶対泳ぎたいもん!」
「授業で聞いたことだけど、砂浜の側まで届いている波の中には、人を海底に引き摺り込む【離岸流】という波があるらしい」
「離岸流! 」
「離岸竜!!!」
2人が驚くのも無理ないのだけど、カムイだけ微妙な差異があるような気がする。
それにしても、最近リリヤの喜怒哀楽な表情を見ると、ついボ~ッとしてしまう。
これが【恋】なんだな。日が経つにつれて、この気持ちの感情が何なのかを深く理解できるようになってきた。
「僕自身、離岸流を見たことがない。今は足下にしか波が届いていないからわからないけど、ある一定の深さを超えたら、僕達の力でも陸に戻れないかもしれない。アルバート先生も、【海には魔物が潜んでいる】と言っていたからね」
リリヤは、僕以上に海を知らない。彼女を死なせたくない!
こんな穏やかな海の中にも、魔物は存在する。
海を理解しなかれば!
「魔物!? 海にもいるんだ」
「リリヤ、海開きまでに漁師さんから海の常識を教わろう。水の中だと、身体の動きも制限される。こんな服で泳いだら、海水が服に染み込んで碌に動けないと思う」
「うん、そうだね!」
1ヶ月の猶予があるのだから、一般常識や魔物の対処方法も身につけれるはずだ。
「ねえねえアッシュ、リリヤ、あっちの方向に大勢の漁師さんがいるよ。早速、聞いてみようよ」
カムイは常に空を飛んでいるから、周囲の状況をすぐに教えてくれる。
僕達としても、非常に助かる。
カムイの指示した方向には、海沿いの小道があったので道伝いを歩いていくと、漁師さん達が8人程いて、何やら話し込んでいる。すぐ近くには、網が置かれており、中には奇妙な物体が大量に入っていた。
「う! アッシュ、あのウネウネした生き物って何!? 凄く気持ち悪い!」
リリヤの言う生き物を観察すると……全体の色は赤黒く、頭は縦長で丸っぽい。
目が4つもあって、足が1…2…3………20本もあるのか!?
既に生き絶えているようだけど、気持ち悪いな。漁師さんは、これも食べるのか?
近くまで歩いていき、間近であの生き物を見ると、あまりの気持ち悪さで吐き気がしてくる。
全長は80cmくらいか?
「僕も見たことないよ」
「こんな時こそ、【真贋】だよね!」
「ああ、【真贋】」
え、海の生物【オクトキュラ】! 魔物じゃないのか!
「あ~~~これって蛸でしょ! シャーロットが描いた絵と、少し似てるよ! 見た目が気持ち悪いけど、料理の食材としてはすご~~~く美味しいって言ってたよ! 揚げ料理・刺身・たこ焼き、色んな料理が出来るんだって!」
マジか! こんな気持ち悪い生物が美味しいの!?
あ、カムイの声に反応して、漁師さんが一斉にこっちに走ってきた。
「君達、その話は本当か!?」
問いかけてきたのは、60歳くらいの男性だ。
漁師さんだからか、服装も撥水性や防水性に優れたものを着用している。
「本当だよ。あ、でも良く観察したら、形態が少し違う。目の数も足の数も、こっちの方が多い。それに…こいつ、体内に吸血袋を持っている。ちょっと形が違うけど、袋を除去すれば美味しいかもしれないよ」
吸血袋!?
カムイは見ただけで判断できるのか!?
「皆さんは、この生物は一体何なんですか?」
「こいつは【オクトキュラ】と言って、魚や人の血を吸い尽くし、肉を食べる海の残虐生物なんだ。3日程前から大量発生して、周囲の魚を食っているんだよ。お陰で、我々は大損害を被っている。私らにとって、こいつは魔物と変わらんよ。大きい奴は、2mにもなる。こんな気持ち悪い生物……本当に食べれるのか?」
その疑問は、僕にもわかる。
こんなヌメヌメして気持ち悪い魔物が、本当に美味いのか?
カムイの返答が気になる。
「それは、僕だってわからないよ。僕の聞いた蛸とこのオクトキュラ、少し形が違うもん。確か……外側のヌメリを水で除去すればいいはず。あとは……刺身に醤油と山葵をつけれて食べれば、アッサリした味わいで噛み締めれば噛み締めるほど、味が深くなって美味しいって言っていたかな?」
それは本当なのか? こいつの見た目から、全然判断できないぞ。
漁師達も、僕やリリヤと同じ気持ちで死んだオクトキュラを見ている。
「あ、寿司のネタにも利用できると言ってたよ」
「「「「なんだって!?」」」」
え、なんだ?
カムイが寿司と言った瞬間、漁師達の目の色が変わった?
「ねえアッシュ、【寿司】って何?」
「いや、知らない。僕も初めて聞いた」
漁師さん達が知っているということは、ここの名物料理なのか?
「君達は、アッシュ・パートン、リリヤ・マッケンジー、カムイの3人組で間違いないかね?」
「え、どうして僕達の名前を?」
あれ? 僕達の名前を確認すると、彼らの雰囲気が一気に柔らかくなったぞ。
「3ヶ月前、聖女シャーロット様と聖女代理フレヤ様がここを訪れてね。その際、【寿司】という新規料理を作ってくれたんだ。私も、シャーロット様やフレヤ様と一緒に寿司を堪能している時に、君達のことを聞いたんだよ」
シャーロットは、3ヶ月前に来ていたのか。そういえば、このマクレン領の領主マクレン伯爵の御令嬢と友達だと言っていたな。
「《ハーモニック大陸でお世話になったから、ここを訪れたら歓迎してあげて》と仰られていた。いや~お2人には驚いたよ。タリネに特殊なお酢を染み込ませ、そこに山で新しく発見された食材【山葵】を少し付け、魚の切り身を上に載せる。あれだけで、べらぼうに美味いときた! 料理人達も頻りに関心していた。今では、ベルンの名物料理だ」
シャーロット、帰還してからでも前世の知識をフル活用しているのか。
寿司…か、僕達も食べてみたい。
「そうだ。このオクトキュラについては、私達も詳しく知らないんだ。捌く過程を手伝ってくれたら、無償でお寿司をご馳走しよう」
「え、無償!?」「本当ですか!?」
捌く手伝い程度だけで、タダで頂いてもいいのか?
「ああ、君達はシャーロット様の命の恩人だ。構わんよ」
いや、命の恩人はむしろシャーロットの方なんだけど。
「アッシュ、リリヤ、手伝おうよ~。2人も真贋を持っているから構造解析程じゃなくても、簡単な説明くらいは書かれてるでしょ! 手伝おうよ~~」
カムイ、既に涎が出ているぞ。
でも、海の常識を知るにあたって良い機会かもしれない。
「わかりました、お手伝いします! あと……1ヶ月後の海開きで僕達も泳ぎたいのですが、海の常識について教えて頂けませんか?」
「あははは、その程度なら構わんよ。君達は内陸出身なんだろ? 海の知識がないのも無理ない。私達が教えよう」
やった! 寿司も頂けるし、海についても知ることができる!
早速、手伝わせてもらおう!
○○○
現在の時刻は夜9時、僕達3人は宿屋の部屋で床に寝そべり、ぼ~っとしている。
あの後、オクトキュラを捌き食べることになったのだけど、漁師全員が生のまま食すとは思わなかった。ジストニス王国では食当たりを避けるため、必ず《焼く》《蒸す》《煮る》のいずれかの工程を入れる。
ベルンでは、海産物自体が採れたて新鮮なものであるため、生で食しても大丈夫らしい。僕とリリヤはその言葉を信じ、オクトキュラを食べたのだけど、意外と美味しかった。海水で味が染み込んでいるのか、絶妙な塩加減、噛めば噛む程滲み出てくる深い味わい、こんな生物を食すのは初めてだった。それは、リリヤとカムイも同じだ。しかも、このオクトキュラはどういうわけか、個体によって味が違っている。濃厚なもの、アッサリ控えめなもの、実に多様にあった。話し合いの末、《個体によって別々の生物の血肉を食しているため、味が異なるのでは?》という見解に落ち着いた。漁師達の悩みの種であったオクトキュラが美味な食材とわかり、僕達は多くの人々からお礼を言われた。
そもそも、この発見に至ったのは全部カムイのおかげなんだけど。
そして、オクトキュラ以外の刺身も食べた。全ての魚がそれぞれ独自の味を出しているのだけど、その味を引き立たせている《ショウセ》と《マヨネーゼ》には驚いた。この2種類は、過去の貿易でアストレカからハーモニック大陸へ伝播されている。まさか、この組み合わせが魚独自の臭みを消し、味を引き立てているとは驚きだ。
夜には、念願のお寿司も頂いた。あの漁師さんが言ったように、タリネの上に魚の刺身を載せただけの料理が、こうも美味しいとは思わなかった。しかも、アッサリしているからか、いくらでも入る。僕は69貫、リリヤが58貫、カムイが42貫食べたせいで、宿屋に戻ってくるまでが一苦労だ。なんとか部屋に戻れたけど、そこで限界となり、床へ仰向けで寝そべっている。
「アッシュ~、お寿司、美味しかったね~」
「ああ、美味しかった。ちょっと食べ過ぎたけど」
「カムイの言った一言で、良い意味での騒ぎになったのは面白かったね~」
そうだ、カムイが……
『タリネの上に焼いた魔物肉を載せて、山葵の代わりにマヨネーゼや専用ダレを加えたら美味しいかもね~。肉が落ちてくるのなら、この海苔で周囲を覆えば良いんじゃない?』と冗談半分で言った瞬間、周囲の目の色が変わった。そして、新たな寿司ネタが誕生したんだ。
「みんなの覇気が凄いよ~。僕はちょっと言っただけなのに、すぐに試すんだもん」
「あ~、このお寿司がジストニス王国に伝播してほしいな~。貿易、再開してほしいな~」
貿易再開か、リリヤもカムイも気づいていないのか。
実は簡単な方法で、大陸間の行き来が可能となる。
【転移トラップを利用すればいい】
実際、ケルビウム大森林から王都までの移動を可能にしたんだ。少し実験し成功すれば、今からでも実現できる。シャーロットは、この件をアストレカ大陸の誰にも伝えていない。現在、転移トラップの有用性を理解しているのは、ジストニス王国の反乱軍に所属していた人達とケルビウム大森林に住む人達だけだ。僕自身がこの事に気づき、別れる間際シャーロットに相談した時、注意されたな。
『さすがですね。逸早く、その事に気づくとは。フランジュ帝国の帝王である以上、この機密事項を話すつもりはありませんよ。何故ならば、遥か昔この【転移】が原因で、一度全大陸の文明が崩壊したからです。アッシュさんも、言ってはいけませんよ』
その話を聞いた時、自分の耳を疑った。シャーロットは、【転移】を諸刃の剣と例えていた。便利すぎるが故に、戦争にも利用されやすい。だからこそ、まだ言えない。
「アッシュ~黙っているけど、どうしたの?」
「いや、当分の間ここに留まることを考えると、明日の食事が気になってね。リリヤも気になるだろ?」
「あ、わかる~」
シャーロットの情報は、ランダルキア大陸にも伝わっているはずだ。あの大陸の国々の王族達も、密偵から寄せられる彼女の情報を読んでも絶対信用しないだろう。何年か先、必ず動く。今は落ち着いているけど、いずれ大きな波が襲ってくる。
僕達はシャーロットの力になれるよう、ゆっくりと旅を続けながら強くなっていこう。
○○○ アッシュ視点
シャーロットの戴冠式が終わって以降、僕とリリヤとカムイはエルディア王国王都を活動拠点とし、冒険者活動を再開した。王都の人間達は、僕達を見ても蔑むことなく、周囲にいる人間達と同じように接してくれた。結局のところ、この大陸に住む4種族達も、自分の中に潜む欲望に負けなければ、ハーモニック大陸に住む魔人族や人間族達と同じなのかもしれない。
エルバラン公爵様はシャーロットを守ってくれた御礼として、公爵家専用メダルだけでなく、王都で活動するための生活資金を僕達に提供してくれた。各大陸で決められた大陸用通貨があるらしく、僕達の持つ通貨はハーモニック大陸用だ。国交も断絶状態であるため、現在のところアストレカ大陸とランダルキア大陸の両方で使用不可らしく、また両替もできないようだ。
そういえば、ガーランド法王国を訪れた際、カクさんも同じことを言っていた。しかも、生活資金は自分で工面しろだったから、アイテム類を売ったんだ。
当初、公爵様は1人金貨100枚を用意してくれたのだけど、シャーロットは僕達の命の恩人であって、僕達はその恩を返しただけだ。僕とリリヤはそういった事情をきちんと説明した上で、1/10である金貨10枚ずつを貰った。
まずはアストレカ大陸の生活に慣れるためにも、2ヶ月程王都の冒険者ギルドで依頼をこなし、時にはダンジョンにも潜って、ランクをCに引き上げた。装備に関しても、アストレカ大陸用の目立たない冒険者服に着替え、僕は武器を【ミスリルの剣→ミスリルの刀】へ、リリヤは【ホワイトコンパウンドボウ→ワイバーンの骨から作り出した弓】へと変更している。
この2ヶ月、僕はトキワさん直伝のトレーニングメニューをリリヤとこなしながら戦闘を繰り返していくうちに、身体に違和感を感じるようになる。色々と原因を探った結果、僕の戦闘スタイルは剣術よりも刀術に向いているらしく、普通の刀で戦闘した方が限界ギリギリの力を発揮できるようだ。現在は、魔刀【吹雪】を自在に扱えるよう、アダマンタイト製の刀で毎日素振りしている。
リリヤの場合、元々の武器がシャーロットお手製のため、攻撃力が異様に高過ぎた。そのため、全ての魔物をほぼ一撃で仕留めてしまう。現在の技量では手加減も無理だと判断し、今の自分に見合う武器を選んだ。
僕達は自分の戦闘スタイルを確立できたこともあって、そろそろ王都を旅立とうと決断し、観光名所の情報収集を行った。すると、現在王国一の観光名所と呼ばれているのは、エルバラン公爵様やシャーロットから聞いた【海の街ベルン】で、海鮮料理が特に有名らしい。
僕は、リリヤとカムイに次の目的地を【海の街ベルン】と言うと、即答で了解の返事をくれた。カムイは海鮮料理に興味があるようだけど、僕とリリヤにとって大切なのは【海】を見ることだ。ジストニス王国は内陸部にあって、海が存在しない。シャーロットとの旅の道中、一度も見たことがない。リリヤは、ゴムゴムロープで飛ばされている間1度上空から見ているはずなんだけど、移動速度が速すぎたため、殆ど記憶にないらしい。
今の僕達は行動を縛られていないため、訓練も兼ねて徒歩で海の街ベルンを目指す。多くの街に寄り道し、様々な人達を出会い、楽しく話し合いながら冒険を進めていく。4ヶ月間充実した冒険生活を進め、僕達は遂に目的地へと到着した。
現在位置は……【海の街ベルン】の海水浴場と呼ばれる砂浜だ。
「これが…海……なんて綺麗なんだ」
海の先は、まるで1つの線のようになっている。
あれが、学園の授業で聞いた【水平線】なのか。
静かな波がゆっくりと砂浜に近づき、僕のすぐ側までやって来る。この波の音が心地いい。目を閉じると、僕の心を洗い流しているかのような浮遊感を感じる。
「うわあ~、すっごく綺麗なところ! 見て見てこの砂! さっきまで見たものと何処か違うよ! こんな場所……生まれて初めてだ~」
リリヤの言う通りだ。海全てが青一色となって、透明度も高い。そして、砂浜で踊るリリヤも綺麗だ。この大陸に来た当初、拷問の件で色々とあったけど、現在では王妃様もリリヤも自分の力と向き合ったことで、己を制御できている。彼女は、1歩1歩着実に成長している。僕も、頑張らないといけない。ステータス数値500の限界突破の方法も、トキワさんから教わった。
まずは、【己の心と向き合え】だ!
「うわあ! ぺっぺっ! しょっぱ~~い。この水、何か入ってるよ!」
カムイは、海水を飲んだのか。
「カムイ、海水は川の水と違って、塩が含まれているんだ。この海水を汲み上げることで、料理に使う塩を抽出できるんだよ」
靴と靴下を脱ぎ、ズボンをあげてから海に少しだけ入ってみると……
「冷たい」
そういえば、街の人が《海開きはあと1ヶ月ほど先だよ》と言っていた。海開きっていうから、《海を割るのか!?》と疑問に思い質問したら笑われたっけ。あとで意味を聞いたけど、こうやって肌で感じるとわかる。この水温では寒くて泳げない。
「へえ~そうなんだ。あれ? アッシュも海を見るのは初めてなんでしょ? どうして知ってるの?」
「ロキナム学園の授業で習ったんだよ」
授業で習いはしたけど、《教科書で知る》と《実際に見る》とでは全然違う。
僕は生まれて初めて海を見たからか、身体が歓喜に震えている。
「あ~あ、海開きは1ヶ月先か~待ち遠しいな~泳ぎたいな~」
リリヤも靴と靴下を脱ぎ、足でバシャバシャと海水を蹴っている。
君の気持ちもわかるよ。
「なんで? 今、泳げるよ?」
「カムイは良いかもしれないけど、私もアッシュも、この水温じゃあ寒くて泳げないよ」
「そうなの? 人間や魔鬼族って不便だね」
そういえば、《海は天候次第で荒れ狂う》と習ったけど本当だろうか? 今の天気は快晴、波も穏やかだ。この優しげな海が、荒れ狂うなんて信じれないな。
「リリヤ、海を堪能するまでベルンに滞在しよう。しばらくの間、ここで冒険活動かな」
「賛成! 絶対泳ぎたいもん!」
「授業で聞いたことだけど、砂浜の側まで届いている波の中には、人を海底に引き摺り込む【離岸流】という波があるらしい」
「離岸流! 」
「離岸竜!!!」
2人が驚くのも無理ないのだけど、カムイだけ微妙な差異があるような気がする。
それにしても、最近リリヤの喜怒哀楽な表情を見ると、ついボ~ッとしてしまう。
これが【恋】なんだな。日が経つにつれて、この気持ちの感情が何なのかを深く理解できるようになってきた。
「僕自身、離岸流を見たことがない。今は足下にしか波が届いていないからわからないけど、ある一定の深さを超えたら、僕達の力でも陸に戻れないかもしれない。アルバート先生も、【海には魔物が潜んでいる】と言っていたからね」
リリヤは、僕以上に海を知らない。彼女を死なせたくない!
こんな穏やかな海の中にも、魔物は存在する。
海を理解しなかれば!
「魔物!? 海にもいるんだ」
「リリヤ、海開きまでに漁師さんから海の常識を教わろう。水の中だと、身体の動きも制限される。こんな服で泳いだら、海水が服に染み込んで碌に動けないと思う」
「うん、そうだね!」
1ヶ月の猶予があるのだから、一般常識や魔物の対処方法も身につけれるはずだ。
「ねえねえアッシュ、リリヤ、あっちの方向に大勢の漁師さんがいるよ。早速、聞いてみようよ」
カムイは常に空を飛んでいるから、周囲の状況をすぐに教えてくれる。
僕達としても、非常に助かる。
カムイの指示した方向には、海沿いの小道があったので道伝いを歩いていくと、漁師さん達が8人程いて、何やら話し込んでいる。すぐ近くには、網が置かれており、中には奇妙な物体が大量に入っていた。
「う! アッシュ、あのウネウネした生き物って何!? 凄く気持ち悪い!」
リリヤの言う生き物を観察すると……全体の色は赤黒く、頭は縦長で丸っぽい。
目が4つもあって、足が1…2…3………20本もあるのか!?
既に生き絶えているようだけど、気持ち悪いな。漁師さんは、これも食べるのか?
近くまで歩いていき、間近であの生き物を見ると、あまりの気持ち悪さで吐き気がしてくる。
全長は80cmくらいか?
「僕も見たことないよ」
「こんな時こそ、【真贋】だよね!」
「ああ、【真贋】」
え、海の生物【オクトキュラ】! 魔物じゃないのか!
「あ~~~これって蛸でしょ! シャーロットが描いた絵と、少し似てるよ! 見た目が気持ち悪いけど、料理の食材としてはすご~~~く美味しいって言ってたよ! 揚げ料理・刺身・たこ焼き、色んな料理が出来るんだって!」
マジか! こんな気持ち悪い生物が美味しいの!?
あ、カムイの声に反応して、漁師さんが一斉にこっちに走ってきた。
「君達、その話は本当か!?」
問いかけてきたのは、60歳くらいの男性だ。
漁師さんだからか、服装も撥水性や防水性に優れたものを着用している。
「本当だよ。あ、でも良く観察したら、形態が少し違う。目の数も足の数も、こっちの方が多い。それに…こいつ、体内に吸血袋を持っている。ちょっと形が違うけど、袋を除去すれば美味しいかもしれないよ」
吸血袋!?
カムイは見ただけで判断できるのか!?
「皆さんは、この生物は一体何なんですか?」
「こいつは【オクトキュラ】と言って、魚や人の血を吸い尽くし、肉を食べる海の残虐生物なんだ。3日程前から大量発生して、周囲の魚を食っているんだよ。お陰で、我々は大損害を被っている。私らにとって、こいつは魔物と変わらんよ。大きい奴は、2mにもなる。こんな気持ち悪い生物……本当に食べれるのか?」
その疑問は、僕にもわかる。
こんなヌメヌメして気持ち悪い魔物が、本当に美味いのか?
カムイの返答が気になる。
「それは、僕だってわからないよ。僕の聞いた蛸とこのオクトキュラ、少し形が違うもん。確か……外側のヌメリを水で除去すればいいはず。あとは……刺身に醤油と山葵をつけれて食べれば、アッサリした味わいで噛み締めれば噛み締めるほど、味が深くなって美味しいって言っていたかな?」
それは本当なのか? こいつの見た目から、全然判断できないぞ。
漁師達も、僕やリリヤと同じ気持ちで死んだオクトキュラを見ている。
「あ、寿司のネタにも利用できると言ってたよ」
「「「「なんだって!?」」」」
え、なんだ?
カムイが寿司と言った瞬間、漁師達の目の色が変わった?
「ねえアッシュ、【寿司】って何?」
「いや、知らない。僕も初めて聞いた」
漁師さん達が知っているということは、ここの名物料理なのか?
「君達は、アッシュ・パートン、リリヤ・マッケンジー、カムイの3人組で間違いないかね?」
「え、どうして僕達の名前を?」
あれ? 僕達の名前を確認すると、彼らの雰囲気が一気に柔らかくなったぞ。
「3ヶ月前、聖女シャーロット様と聖女代理フレヤ様がここを訪れてね。その際、【寿司】という新規料理を作ってくれたんだ。私も、シャーロット様やフレヤ様と一緒に寿司を堪能している時に、君達のことを聞いたんだよ」
シャーロットは、3ヶ月前に来ていたのか。そういえば、このマクレン領の領主マクレン伯爵の御令嬢と友達だと言っていたな。
「《ハーモニック大陸でお世話になったから、ここを訪れたら歓迎してあげて》と仰られていた。いや~お2人には驚いたよ。タリネに特殊なお酢を染み込ませ、そこに山で新しく発見された食材【山葵】を少し付け、魚の切り身を上に載せる。あれだけで、べらぼうに美味いときた! 料理人達も頻りに関心していた。今では、ベルンの名物料理だ」
シャーロット、帰還してからでも前世の知識をフル活用しているのか。
寿司…か、僕達も食べてみたい。
「そうだ。このオクトキュラについては、私達も詳しく知らないんだ。捌く過程を手伝ってくれたら、無償でお寿司をご馳走しよう」
「え、無償!?」「本当ですか!?」
捌く手伝い程度だけで、タダで頂いてもいいのか?
「ああ、君達はシャーロット様の命の恩人だ。構わんよ」
いや、命の恩人はむしろシャーロットの方なんだけど。
「アッシュ、リリヤ、手伝おうよ~。2人も真贋を持っているから構造解析程じゃなくても、簡単な説明くらいは書かれてるでしょ! 手伝おうよ~~」
カムイ、既に涎が出ているぞ。
でも、海の常識を知るにあたって良い機会かもしれない。
「わかりました、お手伝いします! あと……1ヶ月後の海開きで僕達も泳ぎたいのですが、海の常識について教えて頂けませんか?」
「あははは、その程度なら構わんよ。君達は内陸出身なんだろ? 海の知識がないのも無理ない。私達が教えよう」
やった! 寿司も頂けるし、海についても知ることができる!
早速、手伝わせてもらおう!
○○○
現在の時刻は夜9時、僕達3人は宿屋の部屋で床に寝そべり、ぼ~っとしている。
あの後、オクトキュラを捌き食べることになったのだけど、漁師全員が生のまま食すとは思わなかった。ジストニス王国では食当たりを避けるため、必ず《焼く》《蒸す》《煮る》のいずれかの工程を入れる。
ベルンでは、海産物自体が採れたて新鮮なものであるため、生で食しても大丈夫らしい。僕とリリヤはその言葉を信じ、オクトキュラを食べたのだけど、意外と美味しかった。海水で味が染み込んでいるのか、絶妙な塩加減、噛めば噛む程滲み出てくる深い味わい、こんな生物を食すのは初めてだった。それは、リリヤとカムイも同じだ。しかも、このオクトキュラはどういうわけか、個体によって味が違っている。濃厚なもの、アッサリ控えめなもの、実に多様にあった。話し合いの末、《個体によって別々の生物の血肉を食しているため、味が異なるのでは?》という見解に落ち着いた。漁師達の悩みの種であったオクトキュラが美味な食材とわかり、僕達は多くの人々からお礼を言われた。
そもそも、この発見に至ったのは全部カムイのおかげなんだけど。
そして、オクトキュラ以外の刺身も食べた。全ての魚がそれぞれ独自の味を出しているのだけど、その味を引き立たせている《ショウセ》と《マヨネーゼ》には驚いた。この2種類は、過去の貿易でアストレカからハーモニック大陸へ伝播されている。まさか、この組み合わせが魚独自の臭みを消し、味を引き立てているとは驚きだ。
夜には、念願のお寿司も頂いた。あの漁師さんが言ったように、タリネの上に魚の刺身を載せただけの料理が、こうも美味しいとは思わなかった。しかも、アッサリしているからか、いくらでも入る。僕は69貫、リリヤが58貫、カムイが42貫食べたせいで、宿屋に戻ってくるまでが一苦労だ。なんとか部屋に戻れたけど、そこで限界となり、床へ仰向けで寝そべっている。
「アッシュ~、お寿司、美味しかったね~」
「ああ、美味しかった。ちょっと食べ過ぎたけど」
「カムイの言った一言で、良い意味での騒ぎになったのは面白かったね~」
そうだ、カムイが……
『タリネの上に焼いた魔物肉を載せて、山葵の代わりにマヨネーゼや専用ダレを加えたら美味しいかもね~。肉が落ちてくるのなら、この海苔で周囲を覆えば良いんじゃない?』と冗談半分で言った瞬間、周囲の目の色が変わった。そして、新たな寿司ネタが誕生したんだ。
「みんなの覇気が凄いよ~。僕はちょっと言っただけなのに、すぐに試すんだもん」
「あ~、このお寿司がジストニス王国に伝播してほしいな~。貿易、再開してほしいな~」
貿易再開か、リリヤもカムイも気づいていないのか。
実は簡単な方法で、大陸間の行き来が可能となる。
【転移トラップを利用すればいい】
実際、ケルビウム大森林から王都までの移動を可能にしたんだ。少し実験し成功すれば、今からでも実現できる。シャーロットは、この件をアストレカ大陸の誰にも伝えていない。現在、転移トラップの有用性を理解しているのは、ジストニス王国の反乱軍に所属していた人達とケルビウム大森林に住む人達だけだ。僕自身がこの事に気づき、別れる間際シャーロットに相談した時、注意されたな。
『さすがですね。逸早く、その事に気づくとは。フランジュ帝国の帝王である以上、この機密事項を話すつもりはありませんよ。何故ならば、遥か昔この【転移】が原因で、一度全大陸の文明が崩壊したからです。アッシュさんも、言ってはいけませんよ』
その話を聞いた時、自分の耳を疑った。シャーロットは、【転移】を諸刃の剣と例えていた。便利すぎるが故に、戦争にも利用されやすい。だからこそ、まだ言えない。
「アッシュ~黙っているけど、どうしたの?」
「いや、当分の間ここに留まることを考えると、明日の食事が気になってね。リリヤも気になるだろ?」
「あ、わかる~」
シャーロットの情報は、ランダルキア大陸にも伝わっているはずだ。あの大陸の国々の王族達も、密偵から寄せられる彼女の情報を読んでも絶対信用しないだろう。何年か先、必ず動く。今は落ち着いているけど、いずれ大きな波が襲ってくる。
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