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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】
実技試験開始
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筆記試験の制限時間は60分、全50問、全てが5択形式の選択問題となっている。魔法やスキルの名称問題、文を組み合わせる文法問題、平民にも広く知れ渡っている一般常識問題など、問題が進むごとに、難易度も上がっていく。私の場合、家庭教師と精霊様から多くの分野を教わっていたこともり、40分で全問解いてしまった。
時間も余っているし、試験問題終盤にある2問の《記述ミス》を指摘しておこうかな。
全て、古代語に関する問題だ。
問題47~48《古代語で書かれている魔物の名称、正しいものを1つ示せ》。
そもそも、受験生が古代語を勉強しているかも怪しい。おそらく、全員誤答することも考えて、この問題を制作したのだろう。古代語の文字数も2~4文字と短いため、相当な勉強量をしていれば解答可能かもしれない。
この2問に用意されている選択肢……誰が書いたのか知らないけど、文字の形が歪で見にくい。これでは、誤認する人が続出してしまう。
選択肢の下に、古代語の1つ1つの単語を綺麗に正確に書いておけばいいよね。空欄が50問目の下にあるから、ここに【字は綺麗に書いてください!】とクレームをいれておこう。
筆記試験が終了すると、全員の緊張が解かれたのか、皆が周囲の人達と話し始める。周囲にいる受験生達は私とフレヤに対し、話す事自体に気後れしているようで、こちらをチラチラ見ているけど、誰も来てくれない。
あ、フレヤがこっちに来てくれた。
「フレヤ、どうだった?」
「大丈夫です。あれ以降、勉強に力を入れましたから、余裕を持って50問全てを埋めました」
彼女は笑顔で応えてくれた。
やせ我慢しているような素振りもない。
「良かった。私も全問埋めれたけど、50問中2問、問題文そのものに間違いがあったよね?」
私が言うやいなや、フレヤは困惑顔となる。
「え……間違い? あ…まさか47~48の2つですか?」
やっぱり、フレヤも【全言語理解】を持っているから気づいていたか。
「そう、その2つ。字が歪であまりにも汚いから、選択肢の下に正しい字を書いておいたの。あと、クレームも入れておいた」
あれ? フレヤは、複雑な面持ちとなって考え込んでいる。
「もしかしたらシャーロット様だけ、先生に呼び出されるかもしれません」
「え…どうして?」
何か、まずったかな?
「古い遺跡から出土された紙・石碑・石版などに刻まれている文字、それらが古代語指定されているのですが、出土された文字自体が欠けていたり歪なんです。現在出版されている古代語の本は、それらをまとめたものです。正確な文字については、極僅かしか判明されておりません。私自身も、古代語を解読できますが書けません」
嘘!?
う~ん、やらかした?
そうなると、試験に書いた文字全てが、新発見だよね。
教師達は、【聖女様は精霊様から古代語を教わっている!】と理解するだろう。
お~、近日中に呼び出されるわ~。
「まあ……間違ったことを書いていないし良いよね」
「いいんですか!?」
「この件に関しては、今日中に国王陛下とヘンデル様に相談しましょう。30分後には実技試験も始まるから、訓練場に移動しよう。実技試験に集中!」
ちょっとまずった展開になったけど、1人で対応せず、きちんと国王陛下やヘンデル様と相談すれば解決できる問題だ。焦らず、実技試験に望もう。
「あはは……はい(ある意味、解答を確認する先生が気の毒かも)」
次の実技試験は訓練場で行われる。
ただ、受験者の人数が多いので、朝と昼に振り分けて、受験番号1番から順に実施されていく。私は19番、フレヤは4番、オーキスは13番、リーラは9番のため、次の訓練場で会える。
私達は教室を出てマクスウェルと合流後、訓練場の方へ向かう。すると、オーキスとリーラが前方にいるけど、何やら同年代の金髪男子1人と話し合っている。う~ん、ちょっと険悪な雰囲気が漂っているから、何かイチャモンを付けられているのかな?
「彼女達とは只の幼馴染であって、そういった間柄では御座いません。私も平民のため、身分の違いを深く理解しております。ご安心ください」
ああ、そこを問われていたのか。3人の女子に1人の男子という組み合わせ、しかも私達は聖女、聖女代理、伯爵令嬢だから、目立って当然だ。
「貴族に対する礼節、言葉遣いも問題ない。さすが、《騎士団の秘蔵っ子》と言われているだけある。君に、一言釘を刺しておきたかった。今の対応で、皆も理解したようだ。マクレン伯爵家の御令嬢様、ご不快な思いをさせしまい申し訳ありませんでした」
金髪男子がオーキスから離れていったから、ここで声をかけておこう。
「2人とも何があったの?」
オーキスがこっちに気づくと、笑顔で手を振ってくれた。
「お2人ともお疲れ様です。先程の男子はアーバン・クディッチス様、クディッチス子爵家の御子息です。皆が私に注目していたため、私が自分の現状を理解できているのか、あの方に試されていたのです」
そうなると、あの男子はオーキスのことを考えて、忠告しただけなんだね。彼も正しい礼節で、身分の高い貴族と応対したことあって、周囲の受験生達も彼の人間性を理解したというわけか。
「オーキスに絡んできた時はどうなるかと思ったけど、良い人でよかった。彼のおかげで、周囲のオーキスを見る視線が優しくなったわ」
リーラの言う通り、周囲の人達から敵意を感じない。皆も納得したのだろう。ただ、次に行われる実技試験の内容次第で、オーキスの評価が大きく左右される。
「オーキス、リーラ、筆記試験はどうだった?」
「バッチリですよ!」
「なんとか…多分…大丈夫…かな?」
オーキスは自信満々だけど、リーラが怪しい。筆記試験が多少悪くても、実技試験の評価が良ければ合格可能と聞いている。
「リーラ様、次の実技試験で挽回すればいいですよ」
「……ドヤ顔のオーキスに言われると、腹が立つわ」
王国最高峰といえる学園の入学試験は、全て平等で行われる。貴族であろうとも、実力が伴わなければ不合格となる。私やフレヤとて、例外ではない。
「オーキス、リーラ、筆記試験のことは忘れて訓練場へ移動しましょう。実技試験に向けて、体調を整えないとね」
これまで実施してきた訓練の成果が、今試される。リーラ・オーキス・フレヤの3人が、どこまで成長したのか見させてもらおう。
○○○
受験番号1~50番の受験生達が、現在訓練場の中央にいる。ここの広さは、ジストニス王国のロキナム学園の訓練場と同じくらいだ。今日は試験日でもあるため、訓練している学生は誰一人いない。今の訓練場を見渡すと、2区画に分けられている。1つ目は、私達のいるところ。20メートル四方を白線で囲んでいるから、多分模擬戦用かな? 残る区画には、直径30メートルの円形の白線が描かれており、円周部には10個の砲台型魔導具が均等に配備されている。
試験時間5分前に、2人の試験官がやってきた。1人は40歳前後の眼鏡を掛けた男性、1人は20歳前半のショートカットの女性だ。男性は、青色の軽鎧を身に纏い、優しげな雰囲気を醸し出している。華奢な身体つきのように見えるが、よく見るとたゆまぬ努力で全ての筋力がバランス良く鍛えれているのがわかる。
女性は細い体格、全属性の魔法耐性がエンチャントされた法衣とスカート、服装から判断して、魔法を専門とするベテラン魔法使いだろう。
「1~50番の受験生の皆さん、揃っているかな~。私は実技担当のキョウラク・レッガード、こちらの女性は副官のヒーリア・リンドン」
なんか、顔の雰囲気と喋りが一致していない。もっと堅苦しい先生かなと思った。
「ヒーリア・リンドンよ、宜しくね」
紹介されたヒーリア先生が明るい笑顔で、私達に手を振ってくれた。
「毎年言っているけど、この学園は実力主義だ。規定の水準に達していない者は、貴族であろうとも去ってもらう。また、学園敷地内では身分に関係なく、平等がモットーとされている。全員が、同じ立ち位置にいると思いなさい。同じ受験生でもある聖女シャーロットと聖女代理フレヤにも臆さないようにね~~。それも合格判定に関わるかもね~~」
みんなが、私とフレヤに話しかけていいものなのかと悩んでいた。キョウラク先生のお墨付きがあれば、何人かは話しかけてくるかもしれない。
「あの…キョウラク先生、もう少し真剣に言ってください」
「あはは、ヒーリアちゃん、私はいつだって真剣だよ~」
《ちゃん》付け!? う~ん、調子狂うな。
「さて、本年度の実技試験は2種類ある。1つ目は能力判定、君達の右方には10台の砲台型魔導具に囲まれた直径30mの円がある。君達は1人ずつ円の中心に行ってもらい、試験を受けてもらう。ちなみに、受験願書に書いた特技をもとに試験を実施するからね~~」
受験願書を書く時点で、既に試験は始まっていたのね。自意識過剰に書いてしまうと、墓穴を掘る。あ、16歳くらいの男女合わせて10人が魔導具の所に行って、何か調整している。
「この10台の魔導具からは、ゴム製の球が射出される。近距離用は直径15cm、遠距離用は直径30cmの球となっている。ゴム製のため、直撃しても少し痛い程度だから心配いらない。君達はゴム球を破壊するだけでいいよ~。動ける範囲は、中心から半径1m以内だ。白線が描かれているから、その線から外に1歩でも出てしまった場合、警報が鳴り、その場で不合格となるからね~~」
キョウラク先生の話し方が面白い。ゆる~い話し方から急に真剣になったりするせいもあって、この緩急に戸惑う受験生もいるけど、そのおかげもあってか身体の緊張が解れていく。
「球の破壊方法に関しては、各自の自由だ。武器で斬ってもよし、魔法で破壊してもよし。ちなみに~、《斬る》《破壊》が出来ないようでは即不合格に繋がるからね~」
最低限の力量も決められているわけか。
「1分間に、合計30発のゴム球が射出される。この試験の満点は100点だが、私達も10歳の子供に全ての球を破壊できると思っていない。重要なのは、球を破壊するまでのプロセス……とだけ言っておこう」
1分間に30発か。近距離と遠距離、多分受験生の戦闘スタイルに合わせて、球が射出されるのだろう。特技に嘘を書いてしまったら、即不合格に繫がる。そして近距離と遠距離、どちらにおいても同レベルの試験が行われるはず。
ベテラン冒険者ならともかく、10歳の子供達が全てに対応できるとは思えない。だからこそ、【破壊するまでのプロセス】が問われる。点が多少悪くても、プロセスが良ければ合格の可能性もあるね。
破壊方法も、《自由》と宣言している。そうなると、自分にしか出来ない方法で破壊すれば、高得点に繋がるはずだ。私の場合、あの魔法で対処しようかな。
「全受験生は能力判定試験を終えるまで、この学園内に待機すること。全試験終了時刻は夕方5時頃だ。合図として拡大魔法による声が学園内に響くから、10分以内にこの訓練場に集合すること~」
試験は2つあると言っていたけど、夕方から2つ目を実施するのかな?
「2つ目の試験は模擬戦だよ~。ただし、1つ目の能力判定試験で一定の水準を満たしたものは受けなくて良い。全員がここに集合した後、私が番号を呼んでいくからね~」
番号を呼ばれた受験生は、不合格の1歩手前ということか。
「最後の機会だと思い真剣に望んでね~」
「キョウラク先生、アレを言い忘れています!」
ヒーリア先生が何か助言しているけど、アレって何?
「え~そのくらい自分で考えないとダメだよ~」
「受験生は10歳なんですよ! あまり考え込ませると、力を発揮できません」
「もう~ヒーリアちゃんは甘いね~。模擬戦の対戦形式だけど、《剣術のみ》《魔法のみ》《剣術と魔法》の3種類あるよ~。不公平にならないよう、きちんと対戦者を選ぶから気にしないでね~」
戦闘スタイルが似た受験生同士を対戦させるわけか。
それなら、消耗度も同程度かもしれない。
「能力判定試験を始める前に、まずは魔導具の試射を《近距離》《遠距離》《近遠両方》これら3つを1分間ずつお見せしよう。私達も、あの砲台魔導具の近くへ移動するよ~~」
私達が移動すると、試射がすぐに始まった。放たれた球の球速は、10歳の子供で対処可能なものだ。でも、球速が徐々に上がっていき、30秒経過すると変化球もついてきた。試射では2秒おきに球が射出されているけど、多分、本番ではこの間隔もバラバラだろう。
この試験、前半30秒はある程度の力量があれば対処可能だけど、後半30秒が問題だね。10歳の動体視力だけでは、対処も困難だろう。これまでに積み上げてきた基本スキルと魔法がものをいう。
しかも、問題はまだある。
《先生が何も言わない》ということは、自分達で気づけということか。
試射が終了し、円内に転がっているゴム球が全て回収された。
「それでは始めるよ~~。1番、君は剣主体の騎士を目指しているね。それなら、全てを近距離に設定だ。そこにある武具から好きなものを選択し、✖︎が付いている円の中心に行きなさい」
うわあ~1番の人は気の毒だ。
あの男の子は、服装から判断すると平民かな?
身体全体が、緊張でガチガチとなっている。
「お~い1番、そんなガチガチじゃあ、1発も破壊できないよ~~。ほれ、《氷よ》」
あ、キョウラク先生が、無詠唱で小さなアイスボールを出して、1番の頭に投げた。
「イッテ~~~、先生、何するんですか!?」
「そうそう、それでいい。緊張が少し解けただろ~~。今まで培ってきた訓練を無駄にしないようにね~~」
「あ……ありがとうございます!」
1番はお礼を言い、円の中心に向かう。
「シャーロット様、私は4番ですから、順番がすぐに来ます」
フレヤも、緊張しているようだ。
「大丈夫。この2年で、フレヤも強くなった。自信をもって! あなたの得意魔法で、球を破壊すればいい」
1番の試験が実施された。あの魔導具、かなり曲者だよ。日本のピッチングマシーンと同じで、球速を変化できるし、球種も数多くある。1番の男子も、初めの30秒は大きな問題もなく対処できているけど、30秒過ぎた途端、ボールが速くなり、ストレートと思った球がいきなり下に落ちた。俗に言う変化球の【フォーク】だ。1番は空振りしてしまい、その隙に次の球が射出される。そこから焦りが出てしまい、次々と射出される球に対応できず、闇雲に斬り裂こうとしている。
「なるほど、最高峰の学園だけあるね。試験開始30秒以降が問題だね。カーブ、シュート、ナックル、フォーク、あらゆる球種がランダムで襲いかかってくる。球速も大きく変化するから、全てに対応することは難しいかもね」
魔力循環などの3つの基本スキルを使用すれば、レベル1であろうとも、ある程度の成績を残せるかもしれない。
「シャーロット様、あれって冷静に対処すれば、多分誰にでも対処可能かもしれませんよ」
フレヤも、法則性に気づいたようだ。この実技試験、【魔力感知】の力が鍵となる。球にも少量の属性魔力が付与されており、各変化球の場合、1つ1つ異なる属性魔力が付与されている。それに気づけば、冷静に対処できる。
試射の時間も3分と長かったのは、最初の受験生のことを考慮してのことだろう。
「それまで~~」
なんだか、やる気のない《それまで》だ。1番の男子は、たった1分で息を大きく乱している。それだけ、無駄な動きが多いということを意味する。試験の結果、彼は30発中11発の球を破壊した。
そこから2番、3番と続けて行われ、遂にフレヤの出番がやってきた。
「4番は、聖女代理のフレヤか~~。君の回復魔法には、生徒達も世話になっている。《近距離》《遠距離》の両方だから、君の力がどれ程のものか見させてもらうよ~~」
「はい!」
フレヤは短剣を装備して、試験の場へと赴く。然程緊張していないようだし、あとは彼女の力次第だ。
「フレヤ、頑張って!」
「フレヤ様、頑張って下さい!」
「全部、破壊しちゃえ」
私・オーキス・リーラが、彼女を応援する。それ以外の受験生は、聖女代理の力を見極めようとじっと見つめている。
「所定の位置についたね。それでは、始め!」
1発目はフレヤの正面、ストレートの速球だ。! 彼女は短剣に水属性を付与させ、水の長剣へと変化させることで、難なく球を斬り裂く。
2発目はフレヤの背後の魔導具から射出された。射出角度は45度、彼女の左手側から横に8m、上空6m付近に到達したところで、短剣の水が蛇のように長くなり、彼女は振り向かないまま的を斬り裂く。そこから連続で近距離と遠距離用の球が全方位から少しずつ射出されていくものの、フレヤもそれに合わせて、円の中心で演舞を踊るかのように次々と球を斬り裂いてゆく。
見てるこちらも、見惚れるほどのレベルだ。
ただ、時間の経過と共に、球速が速くなってくるため、フレヤも対応仕切れないものがチラホラと現れる。それでも、彼女は決して焦らず、対処可能なものだけを確実に斬り裂いていく。
そして、29発目と30発目の球がフレヤの真正面に設置されている魔導具から、連続で放たれる。フレヤの視点から見れば、最後の球が29発目の真後ろにあるから、球筋を読めない。フレヤ、どうする?
「やあ!」
あ、水の鞭を球の下へ移動させ、そこから一気に振り上げた!
2発の球は変化する直前で、綺麗に両断された。
「そこまで! 凄いね~、10歳とは思えない程の力量だ~」
フレヤは、30発中26発の球を破壊した。この得点以上に、球を破壊するまでのプロセスが美しかった。受験生達も、笑顔で暖かな拍手を贈っている。彼女の見惚れるまでの優雅な動きが、みんなの緊張を解したようだ。
フレヤは息を切らしながら、私達のもとへ戻ってきた。
「はあ、はあ、はあ、シャーロット様、どうでしたか?」
「バッチリ! ミスをしても焦ることなく、自分に出来うる限りの球を破壊してた!」
「よかった。【海女】になったせいか、他の魔法に比べて、水や氷を扱う魔法がどんどん上達したから、水1本に絞ってやってみたんです」
なるほど! その策は成功のようだ。
「フレヤ、凄い! あんな魔法、知らないよ! 水だけで、あんな簡単に斬り裂けるものなの? ウニウニと動いていたわ!」
リーラも新魔法だと気づいたようだけど、その正体まではわからないか。
「私の開発した新魔法です。だから、詳細は秘密です」
「え~」
受験生達も聞き耳を立てていたようだけど、ちょっとガッカリしている。
フレヤの使った新魔法は、上級に位置する【ウォータージェット】。
水を高速回転、高密度、超高圧にさせることで、攻撃力を何十倍にも高める効果を持つ。やり方次第では、ミスリルだって斬り裂ける。この2年で、私と一緒に特訓したものだ。早速、その成果が現れたね。
フレヤは、間違いなく合格だろう。
○○○
試験が順調に行われていき、リーラの手前8番の獣人の女の子が終わったところで、1つの事件が起こる。
「こいつは凄い! まさか30発全部破壊するとはね~。しかも、そこに至るまでのプロセスがフレヤと同レベルで美しい! 期待の新人さんだね~~」
キョウラク先生も、彼女の存在は意外だったようだ。8番の女子は、ここにいる50人の受験生の中でも、異質な存在だ。種族は猫型の獣人、髪色は紫、長さはロングで、長い髪をゴムで1本にまとめていて、半袖・半ズボン、実に身軽な服装をしている。
私達と同じ10歳で可愛い顔立ちなのだけど、ずっと無表情でいるため、これまで周囲から避けされていた。そんな彼女が全く焦ることなく、近距離12発と遠距離18発の球を風魔法だけで、全部破壊したのだ。しかも、当人は涼しげな表情をしており、息を全く乱していない。
あの子、何者?
時間も余っているし、試験問題終盤にある2問の《記述ミス》を指摘しておこうかな。
全て、古代語に関する問題だ。
問題47~48《古代語で書かれている魔物の名称、正しいものを1つ示せ》。
そもそも、受験生が古代語を勉強しているかも怪しい。おそらく、全員誤答することも考えて、この問題を制作したのだろう。古代語の文字数も2~4文字と短いため、相当な勉強量をしていれば解答可能かもしれない。
この2問に用意されている選択肢……誰が書いたのか知らないけど、文字の形が歪で見にくい。これでは、誤認する人が続出してしまう。
選択肢の下に、古代語の1つ1つの単語を綺麗に正確に書いておけばいいよね。空欄が50問目の下にあるから、ここに【字は綺麗に書いてください!】とクレームをいれておこう。
筆記試験が終了すると、全員の緊張が解かれたのか、皆が周囲の人達と話し始める。周囲にいる受験生達は私とフレヤに対し、話す事自体に気後れしているようで、こちらをチラチラ見ているけど、誰も来てくれない。
あ、フレヤがこっちに来てくれた。
「フレヤ、どうだった?」
「大丈夫です。あれ以降、勉強に力を入れましたから、余裕を持って50問全てを埋めました」
彼女は笑顔で応えてくれた。
やせ我慢しているような素振りもない。
「良かった。私も全問埋めれたけど、50問中2問、問題文そのものに間違いがあったよね?」
私が言うやいなや、フレヤは困惑顔となる。
「え……間違い? あ…まさか47~48の2つですか?」
やっぱり、フレヤも【全言語理解】を持っているから気づいていたか。
「そう、その2つ。字が歪であまりにも汚いから、選択肢の下に正しい字を書いておいたの。あと、クレームも入れておいた」
あれ? フレヤは、複雑な面持ちとなって考え込んでいる。
「もしかしたらシャーロット様だけ、先生に呼び出されるかもしれません」
「え…どうして?」
何か、まずったかな?
「古い遺跡から出土された紙・石碑・石版などに刻まれている文字、それらが古代語指定されているのですが、出土された文字自体が欠けていたり歪なんです。現在出版されている古代語の本は、それらをまとめたものです。正確な文字については、極僅かしか判明されておりません。私自身も、古代語を解読できますが書けません」
嘘!?
う~ん、やらかした?
そうなると、試験に書いた文字全てが、新発見だよね。
教師達は、【聖女様は精霊様から古代語を教わっている!】と理解するだろう。
お~、近日中に呼び出されるわ~。
「まあ……間違ったことを書いていないし良いよね」
「いいんですか!?」
「この件に関しては、今日中に国王陛下とヘンデル様に相談しましょう。30分後には実技試験も始まるから、訓練場に移動しよう。実技試験に集中!」
ちょっとまずった展開になったけど、1人で対応せず、きちんと国王陛下やヘンデル様と相談すれば解決できる問題だ。焦らず、実技試験に望もう。
「あはは……はい(ある意味、解答を確認する先生が気の毒かも)」
次の実技試験は訓練場で行われる。
ただ、受験者の人数が多いので、朝と昼に振り分けて、受験番号1番から順に実施されていく。私は19番、フレヤは4番、オーキスは13番、リーラは9番のため、次の訓練場で会える。
私達は教室を出てマクスウェルと合流後、訓練場の方へ向かう。すると、オーキスとリーラが前方にいるけど、何やら同年代の金髪男子1人と話し合っている。う~ん、ちょっと険悪な雰囲気が漂っているから、何かイチャモンを付けられているのかな?
「彼女達とは只の幼馴染であって、そういった間柄では御座いません。私も平民のため、身分の違いを深く理解しております。ご安心ください」
ああ、そこを問われていたのか。3人の女子に1人の男子という組み合わせ、しかも私達は聖女、聖女代理、伯爵令嬢だから、目立って当然だ。
「貴族に対する礼節、言葉遣いも問題ない。さすが、《騎士団の秘蔵っ子》と言われているだけある。君に、一言釘を刺しておきたかった。今の対応で、皆も理解したようだ。マクレン伯爵家の御令嬢様、ご不快な思いをさせしまい申し訳ありませんでした」
金髪男子がオーキスから離れていったから、ここで声をかけておこう。
「2人とも何があったの?」
オーキスがこっちに気づくと、笑顔で手を振ってくれた。
「お2人ともお疲れ様です。先程の男子はアーバン・クディッチス様、クディッチス子爵家の御子息です。皆が私に注目していたため、私が自分の現状を理解できているのか、あの方に試されていたのです」
そうなると、あの男子はオーキスのことを考えて、忠告しただけなんだね。彼も正しい礼節で、身分の高い貴族と応対したことあって、周囲の受験生達も彼の人間性を理解したというわけか。
「オーキスに絡んできた時はどうなるかと思ったけど、良い人でよかった。彼のおかげで、周囲のオーキスを見る視線が優しくなったわ」
リーラの言う通り、周囲の人達から敵意を感じない。皆も納得したのだろう。ただ、次に行われる実技試験の内容次第で、オーキスの評価が大きく左右される。
「オーキス、リーラ、筆記試験はどうだった?」
「バッチリですよ!」
「なんとか…多分…大丈夫…かな?」
オーキスは自信満々だけど、リーラが怪しい。筆記試験が多少悪くても、実技試験の評価が良ければ合格可能と聞いている。
「リーラ様、次の実技試験で挽回すればいいですよ」
「……ドヤ顔のオーキスに言われると、腹が立つわ」
王国最高峰といえる学園の入学試験は、全て平等で行われる。貴族であろうとも、実力が伴わなければ不合格となる。私やフレヤとて、例外ではない。
「オーキス、リーラ、筆記試験のことは忘れて訓練場へ移動しましょう。実技試験に向けて、体調を整えないとね」
これまで実施してきた訓練の成果が、今試される。リーラ・オーキス・フレヤの3人が、どこまで成長したのか見させてもらおう。
○○○
受験番号1~50番の受験生達が、現在訓練場の中央にいる。ここの広さは、ジストニス王国のロキナム学園の訓練場と同じくらいだ。今日は試験日でもあるため、訓練している学生は誰一人いない。今の訓練場を見渡すと、2区画に分けられている。1つ目は、私達のいるところ。20メートル四方を白線で囲んでいるから、多分模擬戦用かな? 残る区画には、直径30メートルの円形の白線が描かれており、円周部には10個の砲台型魔導具が均等に配備されている。
試験時間5分前に、2人の試験官がやってきた。1人は40歳前後の眼鏡を掛けた男性、1人は20歳前半のショートカットの女性だ。男性は、青色の軽鎧を身に纏い、優しげな雰囲気を醸し出している。華奢な身体つきのように見えるが、よく見るとたゆまぬ努力で全ての筋力がバランス良く鍛えれているのがわかる。
女性は細い体格、全属性の魔法耐性がエンチャントされた法衣とスカート、服装から判断して、魔法を専門とするベテラン魔法使いだろう。
「1~50番の受験生の皆さん、揃っているかな~。私は実技担当のキョウラク・レッガード、こちらの女性は副官のヒーリア・リンドン」
なんか、顔の雰囲気と喋りが一致していない。もっと堅苦しい先生かなと思った。
「ヒーリア・リンドンよ、宜しくね」
紹介されたヒーリア先生が明るい笑顔で、私達に手を振ってくれた。
「毎年言っているけど、この学園は実力主義だ。規定の水準に達していない者は、貴族であろうとも去ってもらう。また、学園敷地内では身分に関係なく、平等がモットーとされている。全員が、同じ立ち位置にいると思いなさい。同じ受験生でもある聖女シャーロットと聖女代理フレヤにも臆さないようにね~~。それも合格判定に関わるかもね~~」
みんなが、私とフレヤに話しかけていいものなのかと悩んでいた。キョウラク先生のお墨付きがあれば、何人かは話しかけてくるかもしれない。
「あの…キョウラク先生、もう少し真剣に言ってください」
「あはは、ヒーリアちゃん、私はいつだって真剣だよ~」
《ちゃん》付け!? う~ん、調子狂うな。
「さて、本年度の実技試験は2種類ある。1つ目は能力判定、君達の右方には10台の砲台型魔導具に囲まれた直径30mの円がある。君達は1人ずつ円の中心に行ってもらい、試験を受けてもらう。ちなみに、受験願書に書いた特技をもとに試験を実施するからね~~」
受験願書を書く時点で、既に試験は始まっていたのね。自意識過剰に書いてしまうと、墓穴を掘る。あ、16歳くらいの男女合わせて10人が魔導具の所に行って、何か調整している。
「この10台の魔導具からは、ゴム製の球が射出される。近距離用は直径15cm、遠距離用は直径30cmの球となっている。ゴム製のため、直撃しても少し痛い程度だから心配いらない。君達はゴム球を破壊するだけでいいよ~。動ける範囲は、中心から半径1m以内だ。白線が描かれているから、その線から外に1歩でも出てしまった場合、警報が鳴り、その場で不合格となるからね~~」
キョウラク先生の話し方が面白い。ゆる~い話し方から急に真剣になったりするせいもあって、この緩急に戸惑う受験生もいるけど、そのおかげもあってか身体の緊張が解れていく。
「球の破壊方法に関しては、各自の自由だ。武器で斬ってもよし、魔法で破壊してもよし。ちなみに~、《斬る》《破壊》が出来ないようでは即不合格に繋がるからね~」
最低限の力量も決められているわけか。
「1分間に、合計30発のゴム球が射出される。この試験の満点は100点だが、私達も10歳の子供に全ての球を破壊できると思っていない。重要なのは、球を破壊するまでのプロセス……とだけ言っておこう」
1分間に30発か。近距離と遠距離、多分受験生の戦闘スタイルに合わせて、球が射出されるのだろう。特技に嘘を書いてしまったら、即不合格に繫がる。そして近距離と遠距離、どちらにおいても同レベルの試験が行われるはず。
ベテラン冒険者ならともかく、10歳の子供達が全てに対応できるとは思えない。だからこそ、【破壊するまでのプロセス】が問われる。点が多少悪くても、プロセスが良ければ合格の可能性もあるね。
破壊方法も、《自由》と宣言している。そうなると、自分にしか出来ない方法で破壊すれば、高得点に繋がるはずだ。私の場合、あの魔法で対処しようかな。
「全受験生は能力判定試験を終えるまで、この学園内に待機すること。全試験終了時刻は夕方5時頃だ。合図として拡大魔法による声が学園内に響くから、10分以内にこの訓練場に集合すること~」
試験は2つあると言っていたけど、夕方から2つ目を実施するのかな?
「2つ目の試験は模擬戦だよ~。ただし、1つ目の能力判定試験で一定の水準を満たしたものは受けなくて良い。全員がここに集合した後、私が番号を呼んでいくからね~」
番号を呼ばれた受験生は、不合格の1歩手前ということか。
「最後の機会だと思い真剣に望んでね~」
「キョウラク先生、アレを言い忘れています!」
ヒーリア先生が何か助言しているけど、アレって何?
「え~そのくらい自分で考えないとダメだよ~」
「受験生は10歳なんですよ! あまり考え込ませると、力を発揮できません」
「もう~ヒーリアちゃんは甘いね~。模擬戦の対戦形式だけど、《剣術のみ》《魔法のみ》《剣術と魔法》の3種類あるよ~。不公平にならないよう、きちんと対戦者を選ぶから気にしないでね~」
戦闘スタイルが似た受験生同士を対戦させるわけか。
それなら、消耗度も同程度かもしれない。
「能力判定試験を始める前に、まずは魔導具の試射を《近距離》《遠距離》《近遠両方》これら3つを1分間ずつお見せしよう。私達も、あの砲台魔導具の近くへ移動するよ~~」
私達が移動すると、試射がすぐに始まった。放たれた球の球速は、10歳の子供で対処可能なものだ。でも、球速が徐々に上がっていき、30秒経過すると変化球もついてきた。試射では2秒おきに球が射出されているけど、多分、本番ではこの間隔もバラバラだろう。
この試験、前半30秒はある程度の力量があれば対処可能だけど、後半30秒が問題だね。10歳の動体視力だけでは、対処も困難だろう。これまでに積み上げてきた基本スキルと魔法がものをいう。
しかも、問題はまだある。
《先生が何も言わない》ということは、自分達で気づけということか。
試射が終了し、円内に転がっているゴム球が全て回収された。
「それでは始めるよ~~。1番、君は剣主体の騎士を目指しているね。それなら、全てを近距離に設定だ。そこにある武具から好きなものを選択し、✖︎が付いている円の中心に行きなさい」
うわあ~1番の人は気の毒だ。
あの男の子は、服装から判断すると平民かな?
身体全体が、緊張でガチガチとなっている。
「お~い1番、そんなガチガチじゃあ、1発も破壊できないよ~~。ほれ、《氷よ》」
あ、キョウラク先生が、無詠唱で小さなアイスボールを出して、1番の頭に投げた。
「イッテ~~~、先生、何するんですか!?」
「そうそう、それでいい。緊張が少し解けただろ~~。今まで培ってきた訓練を無駄にしないようにね~~」
「あ……ありがとうございます!」
1番はお礼を言い、円の中心に向かう。
「シャーロット様、私は4番ですから、順番がすぐに来ます」
フレヤも、緊張しているようだ。
「大丈夫。この2年で、フレヤも強くなった。自信をもって! あなたの得意魔法で、球を破壊すればいい」
1番の試験が実施された。あの魔導具、かなり曲者だよ。日本のピッチングマシーンと同じで、球速を変化できるし、球種も数多くある。1番の男子も、初めの30秒は大きな問題もなく対処できているけど、30秒過ぎた途端、ボールが速くなり、ストレートと思った球がいきなり下に落ちた。俗に言う変化球の【フォーク】だ。1番は空振りしてしまい、その隙に次の球が射出される。そこから焦りが出てしまい、次々と射出される球に対応できず、闇雲に斬り裂こうとしている。
「なるほど、最高峰の学園だけあるね。試験開始30秒以降が問題だね。カーブ、シュート、ナックル、フォーク、あらゆる球種がランダムで襲いかかってくる。球速も大きく変化するから、全てに対応することは難しいかもね」
魔力循環などの3つの基本スキルを使用すれば、レベル1であろうとも、ある程度の成績を残せるかもしれない。
「シャーロット様、あれって冷静に対処すれば、多分誰にでも対処可能かもしれませんよ」
フレヤも、法則性に気づいたようだ。この実技試験、【魔力感知】の力が鍵となる。球にも少量の属性魔力が付与されており、各変化球の場合、1つ1つ異なる属性魔力が付与されている。それに気づけば、冷静に対処できる。
試射の時間も3分と長かったのは、最初の受験生のことを考慮してのことだろう。
「それまで~~」
なんだか、やる気のない《それまで》だ。1番の男子は、たった1分で息を大きく乱している。それだけ、無駄な動きが多いということを意味する。試験の結果、彼は30発中11発の球を破壊した。
そこから2番、3番と続けて行われ、遂にフレヤの出番がやってきた。
「4番は、聖女代理のフレヤか~~。君の回復魔法には、生徒達も世話になっている。《近距離》《遠距離》の両方だから、君の力がどれ程のものか見させてもらうよ~~」
「はい!」
フレヤは短剣を装備して、試験の場へと赴く。然程緊張していないようだし、あとは彼女の力次第だ。
「フレヤ、頑張って!」
「フレヤ様、頑張って下さい!」
「全部、破壊しちゃえ」
私・オーキス・リーラが、彼女を応援する。それ以外の受験生は、聖女代理の力を見極めようとじっと見つめている。
「所定の位置についたね。それでは、始め!」
1発目はフレヤの正面、ストレートの速球だ。! 彼女は短剣に水属性を付与させ、水の長剣へと変化させることで、難なく球を斬り裂く。
2発目はフレヤの背後の魔導具から射出された。射出角度は45度、彼女の左手側から横に8m、上空6m付近に到達したところで、短剣の水が蛇のように長くなり、彼女は振り向かないまま的を斬り裂く。そこから連続で近距離と遠距離用の球が全方位から少しずつ射出されていくものの、フレヤもそれに合わせて、円の中心で演舞を踊るかのように次々と球を斬り裂いてゆく。
見てるこちらも、見惚れるほどのレベルだ。
ただ、時間の経過と共に、球速が速くなってくるため、フレヤも対応仕切れないものがチラホラと現れる。それでも、彼女は決して焦らず、対処可能なものだけを確実に斬り裂いていく。
そして、29発目と30発目の球がフレヤの真正面に設置されている魔導具から、連続で放たれる。フレヤの視点から見れば、最後の球が29発目の真後ろにあるから、球筋を読めない。フレヤ、どうする?
「やあ!」
あ、水の鞭を球の下へ移動させ、そこから一気に振り上げた!
2発の球は変化する直前で、綺麗に両断された。
「そこまで! 凄いね~、10歳とは思えない程の力量だ~」
フレヤは、30発中26発の球を破壊した。この得点以上に、球を破壊するまでのプロセスが美しかった。受験生達も、笑顔で暖かな拍手を贈っている。彼女の見惚れるまでの優雅な動きが、みんなの緊張を解したようだ。
フレヤは息を切らしながら、私達のもとへ戻ってきた。
「はあ、はあ、はあ、シャーロット様、どうでしたか?」
「バッチリ! ミスをしても焦ることなく、自分に出来うる限りの球を破壊してた!」
「よかった。【海女】になったせいか、他の魔法に比べて、水や氷を扱う魔法がどんどん上達したから、水1本に絞ってやってみたんです」
なるほど! その策は成功のようだ。
「フレヤ、凄い! あんな魔法、知らないよ! 水だけで、あんな簡単に斬り裂けるものなの? ウニウニと動いていたわ!」
リーラも新魔法だと気づいたようだけど、その正体まではわからないか。
「私の開発した新魔法です。だから、詳細は秘密です」
「え~」
受験生達も聞き耳を立てていたようだけど、ちょっとガッカリしている。
フレヤの使った新魔法は、上級に位置する【ウォータージェット】。
水を高速回転、高密度、超高圧にさせることで、攻撃力を何十倍にも高める効果を持つ。やり方次第では、ミスリルだって斬り裂ける。この2年で、私と一緒に特訓したものだ。早速、その成果が現れたね。
フレヤは、間違いなく合格だろう。
○○○
試験が順調に行われていき、リーラの手前8番の獣人の女の子が終わったところで、1つの事件が起こる。
「こいつは凄い! まさか30発全部破壊するとはね~。しかも、そこに至るまでのプロセスがフレヤと同レベルで美しい! 期待の新人さんだね~~」
キョウラク先生も、彼女の存在は意外だったようだ。8番の女子は、ここにいる50人の受験生の中でも、異質な存在だ。種族は猫型の獣人、髪色は紫、長さはロングで、長い髪をゴムで1本にまとめていて、半袖・半ズボン、実に身軽な服装をしている。
私達と同じ10歳で可愛い顔立ちなのだけど、ずっと無表情でいるため、これまで周囲から避けされていた。そんな彼女が全く焦ることなく、近距離12発と遠距離18発の球を風魔法だけで、全部破壊したのだ。しかも、当人は涼しげな表情をしており、息を全く乱していない。
あの子、何者?
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