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14話 異世界交流、始めます《視点:光希》
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お姉ちゃんとお別れしてから1時間くらいが経過した。異世界交流が出来るとわかっているけど、私たちには気持ちの整理が必要だったし、この人数で10インチ程のタブレット端末を見るのは厳しいこともあって、気分転換も兼ねて、お兄ちゃんと大河君が大きなディスプレイをリビングに持ってきて、私のタブレットと接続出来るようセッティングしてくれた。
そして現在、私がテーブルに座ってタブレットを操作し、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、舞香さん、大河君はテレビ前にある大きなディスプレイを見ている。
「みんな~、アプリを起動させるね~」
リビングが緊張感に包まれている中、私は異世界交流をタップすると、お姉ちゃんのいる異世界ガルドマリアの風景が、実写で臨場感溢れる音楽もついて映し出され、ルウリの『ようこそ、異世界ガルドマリアへ』という声が聞こえてくる。みんなの感嘆する声でディスプレイの方を見ると…。
「すご…迫力が全然違う」
10インチと32インチだと、こんなにも迫力に差が出るんだ。
「これが…異世界ガルドマリア。姉さんがいる場所…風景が日本とかなり違う」
「お兄ちゃん、この世界ってどちらかと言うとヨーロッパ系かな?」
「そうだな。文明が、こちらとどの程度の開きがあるのか」
異世界なんだから、今の日本と同じレベルとは限らない。お姉ちゃんから聞いた話だと、魔石をエネルギー源とする列車もあるとか言ってたから、少なとも18~19世紀くらいの文明かな?
「光希、早速『異世界交流を開始します』を選んでくれないか?」
え、いきなりやるの?
「お兄ちゃん、ルールとか読まなくていいの?」
「交流である以上、どんなルールなのか、大凡察しが付く。とりあえず、姉さんと交流が可能かだけでも確認しよう」
「あ、そうだね」
お父さんもお母さんも先を見ようと、私に促してくる。
みんな、早くお姉ちゃんと交流したいんだね。
それは、私も同じだ。
『異世界交流を開始します』をタップすると、画面が変わって、左側に知らない女の子、右側には私、左右中心に位置する箇所に、青白い鳥がいる。私たちはその鳥を経由して、白く淡く輝く1本の太くて立派な縄で繋がっている。
まず、驚いたのは、画面に出ている私の服装だ。今日来ているものと、全く同じ。私、アプリと連動するようなこと、何もやっていないのに。
「凄いわね。さすが異世界だわ」
「右側に光希がいるという事は、あの左側の女の子が、今世のアヤナか。可愛い女の子じゃないか」
お母さんもお父さんも、まだ交流を始めてもいないのに感心しているわ。でも、今世のお姉ちゃん、外国の女の子のようで可愛いけど、何故か色がない。
「光希がカラー、姉さんはグレー表示。多分、まだアプリをオンにしていないってことかな。それなら、今のうちにルールを把握しておこう」
お兄ちゃんの意見に、皆が賛成のようで、私は今の画面を閉じて、《異世界交流を始めるにあたってのルール》をタップすると、交流する上での注意事項や善行特典といったものが表示されたので、私たちは1つ1つ見落としのないよう読んでいくことで、このアプリを扱う上でのルールを正確に把握した。
・交流当初は、チャットとメール(文章のみ)しか出来ない。
・私とお姉ちゃんが善行を重ねていけば、ポイントが加算されていき、そのポイントを消費することで、特典と交換する事が出来る。
・特典は、『快癒』『天罰』『転送』『音声通話』『ビデオ通話』など様々。
・善行と正反対の悪行を行うと、こちらもポイントが蓄積されていく。
・一定値を超えると、天罰が下される。酷い場合は、交流自体が断絶される。
・悪行の采配を握るのはルウリ、だから彼の機嫌を損ねてはいけない。
・このアプリの感度は、私とお姉ちゃんの魂の絆の強さを示す。
・不仲になるにつれ、感度が悪くなる。
ざっと読んで理解したけど、気になるのはルウリの機嫌かな。
「優斗さん」
「大河、どうした?」
「ルウリって、神鳥ですよね?」
「そうだな」
「素朴な疑問なんですけど、僕たち全員、その鳥を毎日バクバク食べていますけど?」
大河君、何を言うかと思えば……ルウリってルリルリでもあるから…まさかね。
「さすがに、それで断絶はないだろ」
『本当だよ。その程度のことで、悪行と判断しないよ』
交流画面が急に切り替わって、文章が表示された。あまりに突然のことで、みんなが驚きの声をあげる。
「お…お兄ちゃん…交流していいのかな?」
「多分、ルウリだ。送ってみるといい」
私は、恐る恐る交流を始める。
『ルウリなの?』
『そうだよ。突然文章が表示されたから驚いたってところかな?』
ま…まるで、今の私たちを見ているかのような内容だ。
そういえば、ルウリは異世界側から私たちを観察できると言ってたよね。
『う…うん』
『僕はこのアプリの総責任者だから、いつでも君たちと話し合えるのさ。今、アヤナもアプリのルールを読んでいるところ。交流まで、もう少し待ってね』
『わかった』
『それと、日本でもガルドマリアでも、人は生きるために、動物を食べる。これは自然の摂理だから、悪行にはならない。ただし、動物虐待は立派な悪行だからね』
『私はそんな事、絶対にしないよ!』
異世界交流、お姉ちゃんだけかと思ったら、まさかルリルリじゃなくて、ルウリともお話しできるなんて夢にも思わなかった。
転生したお姉ちゃんの声を聴きたいし、動く姿を見たい!
よ~し、いっぱい善行を重ねていこう!
そして現在、私がテーブルに座ってタブレットを操作し、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、舞香さん、大河君はテレビ前にある大きなディスプレイを見ている。
「みんな~、アプリを起動させるね~」
リビングが緊張感に包まれている中、私は異世界交流をタップすると、お姉ちゃんのいる異世界ガルドマリアの風景が、実写で臨場感溢れる音楽もついて映し出され、ルウリの『ようこそ、異世界ガルドマリアへ』という声が聞こえてくる。みんなの感嘆する声でディスプレイの方を見ると…。
「すご…迫力が全然違う」
10インチと32インチだと、こんなにも迫力に差が出るんだ。
「これが…異世界ガルドマリア。姉さんがいる場所…風景が日本とかなり違う」
「お兄ちゃん、この世界ってどちらかと言うとヨーロッパ系かな?」
「そうだな。文明が、こちらとどの程度の開きがあるのか」
異世界なんだから、今の日本と同じレベルとは限らない。お姉ちゃんから聞いた話だと、魔石をエネルギー源とする列車もあるとか言ってたから、少なとも18~19世紀くらいの文明かな?
「光希、早速『異世界交流を開始します』を選んでくれないか?」
え、いきなりやるの?
「お兄ちゃん、ルールとか読まなくていいの?」
「交流である以上、どんなルールなのか、大凡察しが付く。とりあえず、姉さんと交流が可能かだけでも確認しよう」
「あ、そうだね」
お父さんもお母さんも先を見ようと、私に促してくる。
みんな、早くお姉ちゃんと交流したいんだね。
それは、私も同じだ。
『異世界交流を開始します』をタップすると、画面が変わって、左側に知らない女の子、右側には私、左右中心に位置する箇所に、青白い鳥がいる。私たちはその鳥を経由して、白く淡く輝く1本の太くて立派な縄で繋がっている。
まず、驚いたのは、画面に出ている私の服装だ。今日来ているものと、全く同じ。私、アプリと連動するようなこと、何もやっていないのに。
「凄いわね。さすが異世界だわ」
「右側に光希がいるという事は、あの左側の女の子が、今世のアヤナか。可愛い女の子じゃないか」
お母さんもお父さんも、まだ交流を始めてもいないのに感心しているわ。でも、今世のお姉ちゃん、外国の女の子のようで可愛いけど、何故か色がない。
「光希がカラー、姉さんはグレー表示。多分、まだアプリをオンにしていないってことかな。それなら、今のうちにルールを把握しておこう」
お兄ちゃんの意見に、皆が賛成のようで、私は今の画面を閉じて、《異世界交流を始めるにあたってのルール》をタップすると、交流する上での注意事項や善行特典といったものが表示されたので、私たちは1つ1つ見落としのないよう読んでいくことで、このアプリを扱う上でのルールを正確に把握した。
・交流当初は、チャットとメール(文章のみ)しか出来ない。
・私とお姉ちゃんが善行を重ねていけば、ポイントが加算されていき、そのポイントを消費することで、特典と交換する事が出来る。
・特典は、『快癒』『天罰』『転送』『音声通話』『ビデオ通話』など様々。
・善行と正反対の悪行を行うと、こちらもポイントが蓄積されていく。
・一定値を超えると、天罰が下される。酷い場合は、交流自体が断絶される。
・悪行の采配を握るのはルウリ、だから彼の機嫌を損ねてはいけない。
・このアプリの感度は、私とお姉ちゃんの魂の絆の強さを示す。
・不仲になるにつれ、感度が悪くなる。
ざっと読んで理解したけど、気になるのはルウリの機嫌かな。
「優斗さん」
「大河、どうした?」
「ルウリって、神鳥ですよね?」
「そうだな」
「素朴な疑問なんですけど、僕たち全員、その鳥を毎日バクバク食べていますけど?」
大河君、何を言うかと思えば……ルウリってルリルリでもあるから…まさかね。
「さすがに、それで断絶はないだろ」
『本当だよ。その程度のことで、悪行と判断しないよ』
交流画面が急に切り替わって、文章が表示された。あまりに突然のことで、みんなが驚きの声をあげる。
「お…お兄ちゃん…交流していいのかな?」
「多分、ルウリだ。送ってみるといい」
私は、恐る恐る交流を始める。
『ルウリなの?』
『そうだよ。突然文章が表示されたから驚いたってところかな?』
ま…まるで、今の私たちを見ているかのような内容だ。
そういえば、ルウリは異世界側から私たちを観察できると言ってたよね。
『う…うん』
『僕はこのアプリの総責任者だから、いつでも君たちと話し合えるのさ。今、アヤナもアプリのルールを読んでいるところ。交流まで、もう少し待ってね』
『わかった』
『それと、日本でもガルドマリアでも、人は生きるために、動物を食べる。これは自然の摂理だから、悪行にはならない。ただし、動物虐待は立派な悪行だからね』
『私はそんな事、絶対にしないよ!』
異世界交流、お姉ちゃんだけかと思ったら、まさかルリルリじゃなくて、ルウリともお話しできるなんて夢にも思わなかった。
転生したお姉ちゃんの声を聴きたいし、動く姿を見たい!
よ~し、いっぱい善行を重ねていこう!
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