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27話 嬉しい悲鳴 視点:光希
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お姉ちゃんと交流するようになってから、私にはとある日課がある。それは、起床してすぐにタブレットで『異世界交流』を開いて、お姉ちゃんに挨拶すること。
今は夏休みだから、私が早い時もあれば、お姉ちゃんが早い時もある。でも、今回異世界交流を開いたところで、私の手が止まる。
「え…あれ?」
異世界交流を開いたら、私とお姉ちゃんの絵が出現して、その下に現在の善行ポイントが表示されるのだけど、昨日の朝で39ポイントだった数値が1563になっていて、それが今も少しずつ増えていってる。
「なにこれ~~~」
あまりの衝撃で大声をあげちゃったせいか、隣にいるお兄ちゃんの部屋で大きな音がしたと思ったら、私の部屋の扉がバンと乱暴に開いた。
「光希、どうした!」
お兄ちゃんも起きたばかりなのか、お互いパジャマのままだ。
「お、お兄ちゃん、こ…これ」
私は、タブレットを見せる。
「は? 1571? 善行ポイントが? どうして…あ、まさか!? 光希、Yを開いて、昨日呟いた内容を出してくれ」
お兄ちゃんは思い当たる節があるのか、慌てて私に言ってくる。私は昨日呟いた画面を出すと……。
「なんか、数値が変だよ? リツイートが1090? いいねが1900? どんどん増えてるよ!?」
「なにがどうして、こうなった? 完全に、バズっているじゃないか」
バズる?
それって、みんなが私の自己紹介動画を気に入ってくれたってこと?
「ああ、やっぱりバズったのね」
お母さんが、私の部屋に入ってくる。
「優斗も光希も、自分たちの動画を過小評価していたってことよ」
「過小評価? でも、私、超新人だよ。なんで、自己紹介だけで…」
「俺たちは個人勢で、そこまで注目されないはず…どうして…」
そういえば、昨日お兄ちゃんが言ってたよね。
Vチューバーには、企業勢と個人勢があるって。
私とお兄ちゃんが考えていると、お母さんが答えを言ってくれた。
「企業とか個人とか関係ないわ。大勢の人たちが、光希のキャラと声を気に入ってくれたのよ。ここまでバズっているということは、【アヤナヒカリを推す】という意味でしょうね。光希、善行ポイントの方は?」
「え…と、1600超えたよ」
信じられない。
みんなが、私のキャラと声を気に入ってくれた?
みんながストレスを解消させるほど喜んでくれている?
だから、善行ポイントもバズっているの?
「優斗、あなたがちゃ~んと最後まで面倒を見てあげるのよ」
「ああ、わかってる」
みんなが、私に期待しているってこと?
なんか、プレッシャーが。
「光希、3Dアバターなんだから、あなたの好きにしていいのよ。面白ければ、登録数も増えるし、面白くないと減っていく。あなたの場合、生活がかかっているわけじゃないから、好きに行動していいの。プレッシャーなんか、感じる必要はないわ」
お母さんの一言で、身体の震えが消えた。
私だけが何も消費することなく、お兄ちゃんやその友人さんたちのおかげでデビューできた。今更、怖いから嫌だなんて言ったらダメだよ。みんなの思いが無駄になるもん。
それに、私の心がすっごくワクワクウキウキしている!
「わかった。私の好きなように行動する! とりあえず、お姉ちゃんの望むものをポイント交換しておくね」
「そうしてあげなさい」
「そうだな、頼むよ」
お母さんとお兄ちゃんが、部屋から出て行ったので、私は机に座り、ポイント交換欄を押す。そこには、色んな機能が盛り込まれたものがズラ~っと記載されている。そういえば、まだ私の交換可能な品物をきちんと見ていないよ。
「わ、色んなものがある!」
お姉ちゃんの話だと、使い捨て用、一定期間用、永続用の3タイプがあると言ってたけど、こういう意味だったのか。
【使い捨て用】には、『快癒』『解毒』『衝撃』『テレポート(往復分)』など。
【一定期間用】には、『病気安寧』『交通安全』『方除』『厄除け』『学力向上』など。
【永続用】には、『物質転送(小)(中)(大)』『画面転送』『霊感』『未来視』『予知夢』『陰陽師』『思考加速』『記憶力向上』『観察力向上』とかがある。
それ以外にも、検索欄に自分の望むものを入力すれば、アイテムとして表示される場合もあるらしい。
今の私に必要なのは……。
『画面転送』 300ポイント
『物質転送(小)』 500ポイント または 『物質転送(中)』 1000ポイント
小を選択したら、残りは…この短時間で1700になっているよ。
私の自己紹介だけで、なんで善行になるのかな?
え~と、この中で気になるのは、永続型の『未来視』と『予知夢』かな。
去年、私は12歳を迎えた。
12歳の誕生日、みんなが私を祝ってくれたけど、同時に涙を流していたのを今でもはっきりと覚えている。
お姉ちゃんが死んじゃったのも12歳。
だからこそ、この年は私たち家族にとって、節目の年となる。私はそれまでお姉ちゃんの死について、詳しく聞かされていなかったから、パーティーの最後に、勇気を振り絞って、死の真相を教えてほしいと願った。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも悲しい顔を浮かべたけど、私に全てを教えてくれた。
私は世の中の理不尽さを知り、突然襲う災害や事件が怖くなったことを覚えている。もし、未来を見通せる力があれば、世の中全ては無理でも、自分の知る範囲内で、理不尽に訪れる人の死を防げるかもしれない。
「一応、どんな能力か見てみよう」
永続型『未来視』 必要善行ポイント1000
※警告
《この能力を望む者に告げる。これは身近な者たちの近未来を、数日間隔で時間に関係なく見通せる力を有する。平々凡々な日々もあれば、その人物が犯罪に巻き込まれ、理不尽な死を迎えるその瞬間を見通す場合もある。取得したいのであれば、それ相応の覚悟を持つこと》
効果:
日中や就寝中に関係なく、身近な者たちの近未来を見通すことができる。能力者自身が何を望むのか次第で、ある程度の制御が可能となっている。
「身近な者たちの近未来…か。今は、みんなが私の3Dモデルを物珍しがっているから、善行ポイントを沢山貰えているけど、こういうのってすぐに飽きてしまうよね。デビューしても、登録者数が始めだけ増えて、1ヶ月経過したら停滞して、そこから減少なんて嫌だ」
他の人と同じ事をしても、誰も注目してくれない。ある程度の視聴者が欲しいと言っても、見ているみんなのストレスを解消させないと意味がない。
ある程度続ければ、視聴者たちも《身近な者》の該当者に入るだろうから、Live配信中に未来視を使って誰かの未来を見て、最後に『明日の占いコーナー』という和やかな雰囲気で、視聴者1人だけの今着ている服装を言って、その人の未来を言えばいいかな。その人にしかわからないけど、続けていけば、みんなも理解を示してくれるかもしれない。
問題は、家族をどう説得するかだよね。
とりあえず、今は『画面転送』『物質転送』を取得して、お姉ちゃんにあのお薬を転送してあげよう。
今は夏休みだから、私が早い時もあれば、お姉ちゃんが早い時もある。でも、今回異世界交流を開いたところで、私の手が止まる。
「え…あれ?」
異世界交流を開いたら、私とお姉ちゃんの絵が出現して、その下に現在の善行ポイントが表示されるのだけど、昨日の朝で39ポイントだった数値が1563になっていて、それが今も少しずつ増えていってる。
「なにこれ~~~」
あまりの衝撃で大声をあげちゃったせいか、隣にいるお兄ちゃんの部屋で大きな音がしたと思ったら、私の部屋の扉がバンと乱暴に開いた。
「光希、どうした!」
お兄ちゃんも起きたばかりなのか、お互いパジャマのままだ。
「お、お兄ちゃん、こ…これ」
私は、タブレットを見せる。
「は? 1571? 善行ポイントが? どうして…あ、まさか!? 光希、Yを開いて、昨日呟いた内容を出してくれ」
お兄ちゃんは思い当たる節があるのか、慌てて私に言ってくる。私は昨日呟いた画面を出すと……。
「なんか、数値が変だよ? リツイートが1090? いいねが1900? どんどん増えてるよ!?」
「なにがどうして、こうなった? 完全に、バズっているじゃないか」
バズる?
それって、みんなが私の自己紹介動画を気に入ってくれたってこと?
「ああ、やっぱりバズったのね」
お母さんが、私の部屋に入ってくる。
「優斗も光希も、自分たちの動画を過小評価していたってことよ」
「過小評価? でも、私、超新人だよ。なんで、自己紹介だけで…」
「俺たちは個人勢で、そこまで注目されないはず…どうして…」
そういえば、昨日お兄ちゃんが言ってたよね。
Vチューバーには、企業勢と個人勢があるって。
私とお兄ちゃんが考えていると、お母さんが答えを言ってくれた。
「企業とか個人とか関係ないわ。大勢の人たちが、光希のキャラと声を気に入ってくれたのよ。ここまでバズっているということは、【アヤナヒカリを推す】という意味でしょうね。光希、善行ポイントの方は?」
「え…と、1600超えたよ」
信じられない。
みんなが、私のキャラと声を気に入ってくれた?
みんながストレスを解消させるほど喜んでくれている?
だから、善行ポイントもバズっているの?
「優斗、あなたがちゃ~んと最後まで面倒を見てあげるのよ」
「ああ、わかってる」
みんなが、私に期待しているってこと?
なんか、プレッシャーが。
「光希、3Dアバターなんだから、あなたの好きにしていいのよ。面白ければ、登録数も増えるし、面白くないと減っていく。あなたの場合、生活がかかっているわけじゃないから、好きに行動していいの。プレッシャーなんか、感じる必要はないわ」
お母さんの一言で、身体の震えが消えた。
私だけが何も消費することなく、お兄ちゃんやその友人さんたちのおかげでデビューできた。今更、怖いから嫌だなんて言ったらダメだよ。みんなの思いが無駄になるもん。
それに、私の心がすっごくワクワクウキウキしている!
「わかった。私の好きなように行動する! とりあえず、お姉ちゃんの望むものをポイント交換しておくね」
「そうしてあげなさい」
「そうだな、頼むよ」
お母さんとお兄ちゃんが、部屋から出て行ったので、私は机に座り、ポイント交換欄を押す。そこには、色んな機能が盛り込まれたものがズラ~っと記載されている。そういえば、まだ私の交換可能な品物をきちんと見ていないよ。
「わ、色んなものがある!」
お姉ちゃんの話だと、使い捨て用、一定期間用、永続用の3タイプがあると言ってたけど、こういう意味だったのか。
【使い捨て用】には、『快癒』『解毒』『衝撃』『テレポート(往復分)』など。
【一定期間用】には、『病気安寧』『交通安全』『方除』『厄除け』『学力向上』など。
【永続用】には、『物質転送(小)(中)(大)』『画面転送』『霊感』『未来視』『予知夢』『陰陽師』『思考加速』『記憶力向上』『観察力向上』とかがある。
それ以外にも、検索欄に自分の望むものを入力すれば、アイテムとして表示される場合もあるらしい。
今の私に必要なのは……。
『画面転送』 300ポイント
『物質転送(小)』 500ポイント または 『物質転送(中)』 1000ポイント
小を選択したら、残りは…この短時間で1700になっているよ。
私の自己紹介だけで、なんで善行になるのかな?
え~と、この中で気になるのは、永続型の『未来視』と『予知夢』かな。
去年、私は12歳を迎えた。
12歳の誕生日、みんなが私を祝ってくれたけど、同時に涙を流していたのを今でもはっきりと覚えている。
お姉ちゃんが死んじゃったのも12歳。
だからこそ、この年は私たち家族にとって、節目の年となる。私はそれまでお姉ちゃんの死について、詳しく聞かされていなかったから、パーティーの最後に、勇気を振り絞って、死の真相を教えてほしいと願った。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも悲しい顔を浮かべたけど、私に全てを教えてくれた。
私は世の中の理不尽さを知り、突然襲う災害や事件が怖くなったことを覚えている。もし、未来を見通せる力があれば、世の中全ては無理でも、自分の知る範囲内で、理不尽に訪れる人の死を防げるかもしれない。
「一応、どんな能力か見てみよう」
永続型『未来視』 必要善行ポイント1000
※警告
《この能力を望む者に告げる。これは身近な者たちの近未来を、数日間隔で時間に関係なく見通せる力を有する。平々凡々な日々もあれば、その人物が犯罪に巻き込まれ、理不尽な死を迎えるその瞬間を見通す場合もある。取得したいのであれば、それ相応の覚悟を持つこと》
効果:
日中や就寝中に関係なく、身近な者たちの近未来を見通すことができる。能力者自身が何を望むのか次第で、ある程度の制御が可能となっている。
「身近な者たちの近未来…か。今は、みんなが私の3Dモデルを物珍しがっているから、善行ポイントを沢山貰えているけど、こういうのってすぐに飽きてしまうよね。デビューしても、登録者数が始めだけ増えて、1ヶ月経過したら停滞して、そこから減少なんて嫌だ」
他の人と同じ事をしても、誰も注目してくれない。ある程度の視聴者が欲しいと言っても、見ているみんなのストレスを解消させないと意味がない。
ある程度続ければ、視聴者たちも《身近な者》の該当者に入るだろうから、Live配信中に未来視を使って誰かの未来を見て、最後に『明日の占いコーナー』という和やかな雰囲気で、視聴者1人だけの今着ている服装を言って、その人の未来を言えばいいかな。その人にしかわからないけど、続けていけば、みんなも理解を示してくれるかもしれない。
問題は、家族をどう説得するかだよね。
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