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2章 家族との別離(今世)
21話 咲耶の抱える正体不明の頭痛
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私たちは食事を終え、定食屋ガブリに戻ってきました。皆が客席に座ったところで、早速、フリードが内部侵入したことで得られた情報を披露してくれたのですが、アルドさんたちの顔色が悪い。当然です、深夜に襲撃してくることがわかっているのだから。
「ほほほ、心配することはありません。今日は、ベイツと咲耶もここで泊まりなさい。襲撃者に関しては、私とルウリで対処します。アルドとミントの味わった同じ苦痛を奴らにも味合わせ、心を完璧に折ったところでレストランの中へ放り込んでおきます」
あの大怪我を襲撃者に与えるんだ。2体なら心配ないと思うから、私はリットたちの心のケアをしてあげよう。まだ、居住エリアを片付けていないから、寝られる状態じゃないもの。
「ベイツ、いいのか? お前らまで狙われるぞ?」
アルドさんが心配してくれているようですが、ベイツさんは嫌な顔1つもしません。
「いいってことよ。アルドたちと店に行った時点で、巻き込まれる覚悟は、俺にも咲耶にもできている。それと、ルウリとフリードの強さは、俺と同等か、それ以上だ。襲撃者に関しては2体に任せて、お前たちはゆっくり眠るんだ。回復したとはいえ、病み上がりの身体なんだからな」
「ありがとう」「ありがとうございます」「みんな、ありがとう」
3人は私たちにお礼を言い、顔を上げると、そこには緊張感もなく、ただ感謝する表情だけが見てとれた。
「ほほほ、ここからは咲耶の出番ですよ。ほら、これらをご覧なさい。」
フリードが空中から何かを取り出したと思ったら、裁断された紙の束がどさどさっと大量に床へ落ちてきた。この中には食品偽装となる証拠があるようで、通常であれば復元不可だけど、私のスキル[原点回帰]を使用すれば、全てを元の資料に戻せるわ。早速、作業を実行し、1時間ずつ時間を巻き戻し、そこから復元されたものだけを取り除き、再度1時間巻き戻す。これを繰り返していくこと12回、魔力が48だけ消費したけど、身体に大きな疲労もない。
復元されたものには、食品偽装となる証拠資料だけでなく、襲撃人物リストなるものも発見できた。復元度があまりに高過ぎるせいで、アルドさんが感嘆した声を漏らす。
「このスキルは凄いな。裁断された資料が、全て完璧に復元されている。スキル[修繕]でも、ここまでの精密さはない」
「アルド、わかっていると思うが内密にな」
「当然だ、これが周囲に知れ渡れば、咲耶が悪人どもに誘拐されちまうよ」
ゆ、誘拐、それは嫌だな。
自分でも気づいてはいたけど、他人に言われてしまうと、どうしても怖くなってしまう。[原点回帰]の使用する際は、必ずベイツさんたちに相談してからだね。でも、もう1つのスキル[レシピ検索]、これに関しては気軽に使えるから楽だよ。
「ルウリ、フリード。私のスキル[レシピ検索]でも、資料に記載されている名称の食材が表示されたよ」
私が食べたのはハンバーグ定食、ハンバーグだけを対象に検索したら、とんでもない物が表示された。
料理名:劣化肉のハンバーグ
ラードオーク(養殖):ヘットカウ(養殖):フェルト牛《フェルト村産》を6.5:3:0.5の比率で混ぜ合わせたもの。
評価(満点10):星5つ
注意:2種の魔物の肉と脂を絶妙な比率で組み合わせ、そこに臭みをとる調味料と添加剤を大量に加えることで、味をかなり向上させている。しかし、養殖物のため、脂が大量に含まれており、また大量の添加物も混入されているので、頻繁に食べると、誰であろうと体調を壊す。
レシピ(1人前):ラードオーク………
正直、これを口にしたいけど、盗み聞きされる恐れがあるので、メモ帳に全内容を記載して、みんなに回していくと、読み終えた人は必ず顔色を悪くさせ、食を止めた。それを2体に説明すると……
「内部捜査に入って助かりましたよ。私が食べてきた中で、それらは一番大嫌いな物です」
「同感だね。僕も野生の奴を食べたことあるけど、脂身だらけで食えたもんじゃなかった」
2体揃って、激しい嫌悪感を表に出し魔物をディスってる。私たちの場合、食べた当初は美味しいと思い、私もリットもパクパクと口の中に入れて食べていたけど、途中から中身を知ったせいで、速度が途端に遅くなってしまった。なんとか我慢して完食したけど、もう2度と来たくないと思ってしまった。
「ねえねえお父さん、この証拠資料や襲撃リストだけで、クザンの連中を逮捕できるの?」
リットの疑問、それは私も感じたことだ。12店舗も展開しているクザンに対して、これらを内部告発として偽り訴えたとしても、フェルデナンド家という権力者がいる以上、どこかで握り潰されるような気がする。
「う~ん、この街の店にいる連中だけなら逮捕できると思うが、残り11店舗に関しては多少影響を与えるだけで、普通に営業するだろう」
「え~~~、クザン全てを潰せないの? このままだと、みんながお腹を壊しちゃうよ。ベイツさん、全部潰せないの?」
流石のベイツさんも、かなり困った顔をしているわ。
「全部潰すとなると、12店舗全てに関わる領主と協力関係を取らないといけないし、12店舗全ての証拠資料が必要になってくる。しかも、あのフェルデナンド家を敵に回すことになるから、おそらく嫌がる領主も必ず出てくる。不可能というわけではないが、かなりの年月を要することは間違いない」
私とリットが困っていると、ルウリとフリードが何やら怪しく睨みを効かし、急にニヤッとした笑みを浮かべる。
「ベイツ、良いアイデアを思いついたよ。上手くいけば、ガブリだけでなく、襲撃リストに記載されている人たち全員を救えるかもしれない」
「何!? それでそのアイデアというのは?」
「それは、明日話すよ。今日はもう遅いし、咲耶に居住エリアを修繕してもらってからゆっくり休んだほうがいい」
焼きそばとハンバーグ定食を食べたおかげで、私の魔力もかなり回復した。流石にエリア全体の修繕は無理でも、今の魔力量なら、居住エリアにある物品を個別で修繕できるわ。
友達の家でお泊まりか~。まさか、こんな形で実現するとは思わなかったけど、襲撃者に関することを除けば、楽しみでドキドキするよ。着替えに関しては、私は空間魔法[アイテムボックス]に、ベイツさんは自分用のマジックバッグにいつも入れてあるから問題ないから、休憩後に修繕に取り掛かればいいかな。
ルウリの思いついたアイデアが気になるところだけど、今は深く考えずに修繕に集中しよう。
「おほほほほ、そうですね。あなたたちは、何も気にすることなく眠りなさい。私とルウリで襲撃者の連中をボコり、色々と情報を吐かせておきます」
フリードが怖いことを言うから、私もリットも身震いしてしまった。
クザンの件が解決するまで、私たちで定食屋ガブリを守ろう。
○○○
私は、居住エリアの物品類をスキル[原点回帰]で、破壊される前の状態に戻していく。厨房エリアで空間全体を指定し実行した時は、全ての物品が綺麗に元の位置に戻ったのだけど、ここでは魔力消費を最小限に抑えるため、個別指定で行なっている。そのせいで、物品はその場で完全修復されるだけに留まり、元の位置に戻っていない。
だから、私たちは総出で、全ての物品類を片付けていった。全てが終わったのは午後11時、私もリットも眠気に襲われ、限界に近いことがわかった。アルドさんもミントもそれをわかってくれたのか、お布団を床に敷いていく。
深夜には、また襲撃者が現れる。ルウリとフリードがいるので、絶対安全なのはわかっているのだけど、それでも少し緊張してしまう。仮に、襲撃者たちを撃退させたとしても、相手はムキになって、何度もけしかけてくる可能性が高い。もし、店の営業を再開させ、お客様に迷惑を掛けてしまったら、アルドさんだって店を畳むことを考えるかもしれない。解決させるには、最低でもクザンの支店を潰すしかない。でも、それを実現出来たとしても、今度はフェルデナンド家が怒り、報復として私たちに何か仕掛けて……
「痛!?」
「咲耶、急にどうした?」
まただ、あの家のことを考えると、私の心が掻き乱され、身体に鳥肌が立つ。それをベイツさんに伝えると、彼は何やら考え込んでしまった。
「まさか…いや…ありえるな。時期的にも、かなり近い。まさかとは思うが…」
「ベイツさん?」
さっきから小声、何を呟いているのだろう?
「あ…ああ、いや大丈夫だ。【クザン】の件については、明日にでも、俺、ルウリ、フリードで話し合う。咲耶たちは、店の営業のことだけを考えていればいい」
私とリットでできることといえば、店のお手伝いくらいだ。
【クザン】の件に関しては、ベイツさん、ルウリ、フリードに任せるしかない。
「ほほほ、心配することはありません。今日は、ベイツと咲耶もここで泊まりなさい。襲撃者に関しては、私とルウリで対処します。アルドとミントの味わった同じ苦痛を奴らにも味合わせ、心を完璧に折ったところでレストランの中へ放り込んでおきます」
あの大怪我を襲撃者に与えるんだ。2体なら心配ないと思うから、私はリットたちの心のケアをしてあげよう。まだ、居住エリアを片付けていないから、寝られる状態じゃないもの。
「ベイツ、いいのか? お前らまで狙われるぞ?」
アルドさんが心配してくれているようですが、ベイツさんは嫌な顔1つもしません。
「いいってことよ。アルドたちと店に行った時点で、巻き込まれる覚悟は、俺にも咲耶にもできている。それと、ルウリとフリードの強さは、俺と同等か、それ以上だ。襲撃者に関しては2体に任せて、お前たちはゆっくり眠るんだ。回復したとはいえ、病み上がりの身体なんだからな」
「ありがとう」「ありがとうございます」「みんな、ありがとう」
3人は私たちにお礼を言い、顔を上げると、そこには緊張感もなく、ただ感謝する表情だけが見てとれた。
「ほほほ、ここからは咲耶の出番ですよ。ほら、これらをご覧なさい。」
フリードが空中から何かを取り出したと思ったら、裁断された紙の束がどさどさっと大量に床へ落ちてきた。この中には食品偽装となる証拠があるようで、通常であれば復元不可だけど、私のスキル[原点回帰]を使用すれば、全てを元の資料に戻せるわ。早速、作業を実行し、1時間ずつ時間を巻き戻し、そこから復元されたものだけを取り除き、再度1時間巻き戻す。これを繰り返していくこと12回、魔力が48だけ消費したけど、身体に大きな疲労もない。
復元されたものには、食品偽装となる証拠資料だけでなく、襲撃人物リストなるものも発見できた。復元度があまりに高過ぎるせいで、アルドさんが感嘆した声を漏らす。
「このスキルは凄いな。裁断された資料が、全て完璧に復元されている。スキル[修繕]でも、ここまでの精密さはない」
「アルド、わかっていると思うが内密にな」
「当然だ、これが周囲に知れ渡れば、咲耶が悪人どもに誘拐されちまうよ」
ゆ、誘拐、それは嫌だな。
自分でも気づいてはいたけど、他人に言われてしまうと、どうしても怖くなってしまう。[原点回帰]の使用する際は、必ずベイツさんたちに相談してからだね。でも、もう1つのスキル[レシピ検索]、これに関しては気軽に使えるから楽だよ。
「ルウリ、フリード。私のスキル[レシピ検索]でも、資料に記載されている名称の食材が表示されたよ」
私が食べたのはハンバーグ定食、ハンバーグだけを対象に検索したら、とんでもない物が表示された。
料理名:劣化肉のハンバーグ
ラードオーク(養殖):ヘットカウ(養殖):フェルト牛《フェルト村産》を6.5:3:0.5の比率で混ぜ合わせたもの。
評価(満点10):星5つ
注意:2種の魔物の肉と脂を絶妙な比率で組み合わせ、そこに臭みをとる調味料と添加剤を大量に加えることで、味をかなり向上させている。しかし、養殖物のため、脂が大量に含まれており、また大量の添加物も混入されているので、頻繁に食べると、誰であろうと体調を壊す。
レシピ(1人前):ラードオーク………
正直、これを口にしたいけど、盗み聞きされる恐れがあるので、メモ帳に全内容を記載して、みんなに回していくと、読み終えた人は必ず顔色を悪くさせ、食を止めた。それを2体に説明すると……
「内部捜査に入って助かりましたよ。私が食べてきた中で、それらは一番大嫌いな物です」
「同感だね。僕も野生の奴を食べたことあるけど、脂身だらけで食えたもんじゃなかった」
2体揃って、激しい嫌悪感を表に出し魔物をディスってる。私たちの場合、食べた当初は美味しいと思い、私もリットもパクパクと口の中に入れて食べていたけど、途中から中身を知ったせいで、速度が途端に遅くなってしまった。なんとか我慢して完食したけど、もう2度と来たくないと思ってしまった。
「ねえねえお父さん、この証拠資料や襲撃リストだけで、クザンの連中を逮捕できるの?」
リットの疑問、それは私も感じたことだ。12店舗も展開しているクザンに対して、これらを内部告発として偽り訴えたとしても、フェルデナンド家という権力者がいる以上、どこかで握り潰されるような気がする。
「う~ん、この街の店にいる連中だけなら逮捕できると思うが、残り11店舗に関しては多少影響を与えるだけで、普通に営業するだろう」
「え~~~、クザン全てを潰せないの? このままだと、みんながお腹を壊しちゃうよ。ベイツさん、全部潰せないの?」
流石のベイツさんも、かなり困った顔をしているわ。
「全部潰すとなると、12店舗全てに関わる領主と協力関係を取らないといけないし、12店舗全ての証拠資料が必要になってくる。しかも、あのフェルデナンド家を敵に回すことになるから、おそらく嫌がる領主も必ず出てくる。不可能というわけではないが、かなりの年月を要することは間違いない」
私とリットが困っていると、ルウリとフリードが何やら怪しく睨みを効かし、急にニヤッとした笑みを浮かべる。
「ベイツ、良いアイデアを思いついたよ。上手くいけば、ガブリだけでなく、襲撃リストに記載されている人たち全員を救えるかもしれない」
「何!? それでそのアイデアというのは?」
「それは、明日話すよ。今日はもう遅いし、咲耶に居住エリアを修繕してもらってからゆっくり休んだほうがいい」
焼きそばとハンバーグ定食を食べたおかげで、私の魔力もかなり回復した。流石にエリア全体の修繕は無理でも、今の魔力量なら、居住エリアにある物品を個別で修繕できるわ。
友達の家でお泊まりか~。まさか、こんな形で実現するとは思わなかったけど、襲撃者に関することを除けば、楽しみでドキドキするよ。着替えに関しては、私は空間魔法[アイテムボックス]に、ベイツさんは自分用のマジックバッグにいつも入れてあるから問題ないから、休憩後に修繕に取り掛かればいいかな。
ルウリの思いついたアイデアが気になるところだけど、今は深く考えずに修繕に集中しよう。
「おほほほほ、そうですね。あなたたちは、何も気にすることなく眠りなさい。私とルウリで襲撃者の連中をボコり、色々と情報を吐かせておきます」
フリードが怖いことを言うから、私もリットも身震いしてしまった。
クザンの件が解決するまで、私たちで定食屋ガブリを守ろう。
○○○
私は、居住エリアの物品類をスキル[原点回帰]で、破壊される前の状態に戻していく。厨房エリアで空間全体を指定し実行した時は、全ての物品が綺麗に元の位置に戻ったのだけど、ここでは魔力消費を最小限に抑えるため、個別指定で行なっている。そのせいで、物品はその場で完全修復されるだけに留まり、元の位置に戻っていない。
だから、私たちは総出で、全ての物品類を片付けていった。全てが終わったのは午後11時、私もリットも眠気に襲われ、限界に近いことがわかった。アルドさんもミントもそれをわかってくれたのか、お布団を床に敷いていく。
深夜には、また襲撃者が現れる。ルウリとフリードがいるので、絶対安全なのはわかっているのだけど、それでも少し緊張してしまう。仮に、襲撃者たちを撃退させたとしても、相手はムキになって、何度もけしかけてくる可能性が高い。もし、店の営業を再開させ、お客様に迷惑を掛けてしまったら、アルドさんだって店を畳むことを考えるかもしれない。解決させるには、最低でもクザンの支店を潰すしかない。でも、それを実現出来たとしても、今度はフェルデナンド家が怒り、報復として私たちに何か仕掛けて……
「痛!?」
「咲耶、急にどうした?」
まただ、あの家のことを考えると、私の心が掻き乱され、身体に鳥肌が立つ。それをベイツさんに伝えると、彼は何やら考え込んでしまった。
「まさか…いや…ありえるな。時期的にも、かなり近い。まさかとは思うが…」
「ベイツさん?」
さっきから小声、何を呟いているのだろう?
「あ…ああ、いや大丈夫だ。【クザン】の件については、明日にでも、俺、ルウリ、フリードで話し合う。咲耶たちは、店の営業のことだけを考えていればいい」
私とリットでできることといえば、店のお手伝いくらいだ。
【クザン】の件に関しては、ベイツさん、ルウリ、フリードに任せるしかない。
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