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「リア!」
「フェル様……」
俺はついにリアに追いついた。振り向いたリアの目からは大粒の涙がすでにこぼれ落ちていた。俺はそのまま止まらずにリアを抱きしめた。運が良いことに、自習室にはだれもいなかった。もしかしてこれが、真の愛の力!
「違うんだ、違うんだよ、リア」
「フェル様」
「違うんだ、リア。だから俺は生徒会役員になど、なりたくなかったんだ」
「ちょ、ちょっと、フェル!?」
俺はついに泣き出してしまった。
リアを泣かせてしまった。あれだけ警戒していたのに、俺はリアとの間にヒビを入れてしまった。恐ろしかった。このまま見えない力によってリアと引き離されてしまうんじゃないかと思うと。
このままゲームに流されて、多くの人を殺し、国を滅ぼすことになってしまうんじゃないかと思うと怖かった。
そんな情けない俺を胸に抱くと、リアは何度も何度も優しく頭を撫でてくれた。
「落ち着かれましたか?」
俺たちは今、イスを並べて座っていた。相変わらずリアは俺の頭を優しく撫でてくれている。それがとても心地良かった。
「すみません。お見苦しいところを見せてしまって」
「うふふ、気にしておりませんわ。ですが、どうか人前ではやめて下さいましね?」
慌てて周囲を見渡したが、相変わらず人気はなかった。どうやらこの自習室を使う生徒はあまりいないようである。ちょっともったいない気もするが、今はそれがありがたかった。
段々と落ち着いてきた。そしてそれと共に恥ずかしさがこみ上げてきた。だがすでに手遅れである。リアは気にしていないと言っていたが、心のどこかで俺のことを失望してしまったのではないだろうか?
リアの目を見るのが怖い。必死に目を背けているとリアの両手が俺のほほを覆う。そのままグイとリアの方に向けられた。いつかおとぎ話で読んだ、美しい森の緑のように輝く瞳がそこにはあった。そこに失望の色は一片たりともなかった。ただただ、俺の姿だけが映り込んでいる。
「リア……」
「フェル……」
リアの唇がそっと俺の唇に触れた。その途端、俺の体の中を激しい幸福感が貫いた。まるで血液の流れが分かりそうなほどの奔流が駆け巡っている。時間にして一秒も満たなかっただろう。それほど一瞬だったというのに。
「今回は、これで許して差し上げますわ」
全身を真っ赤なバラのように染め上げたリアがさえずるように言った。思わず我慢ができなくなってリアを両腕で捕まえた。それから合計三回ほど口づけを交わしてようやく俺たちは落ち着きを取り戻した。
「もう、フェルは強引過ぎますわよ!」
「ごめん。反省している。今度からはリアの許可をもらってから口づけするよ」
「そういうことではありませんわ!」
俺は生徒会室で何があったのかを事細かに話した。同じ失敗は二度とするまい。そのためにも、そのことについて、一切リアに隠し事をするつもりはなかった。
「それで俺は『生徒会役員をやめる』って言って出てきたんだよ。前言撤回するつもりはこれっぽっちもない」
「呆れましたわ。生徒会役員をやめるだなんて、前代未聞ですわよ。籍を置いたまま足を運ばないのが通例ですのに。殿下のことはどうするおつもりですか?」
なるほど、幽霊部員になるのが正解だったのか。栄えある王立学園の生徒会役員をやめることは醜聞になるってか? 知るか、そんなもん!
殿下には愛想を尽かされてしまったかも知れないな。もしかすると、秘密結社オズを首になるかも知れない。そうなると、もう殿下には関わることもなくなるわけで……そうなるわけで。
まてよ、それって俺の負担がなくなるわけで、俺の人生バラ色じゃん!
「殿下との縁もこれまでかも知れないな。まあ、仕方ないよね!」
「どうしてそんなにうれしそうなのですか……」
リアはおでこに手を当てた。頭が痛そうである。
まあ、ここで考えても仕方がない。俺は鳥かごから外へと解き放たれたのだ。ならばやることはただ一つ。
「リア、デートしよう。今から」
「い、今からですの!?」
善は急げ。俺は驚き戸惑っているリアの手を引いて停車場へと向かった。
俺たち二人の目の前には、新鮮な果物が詰め込まれた、宝石箱のようなパフェが並んでいる。この世界ではまだ珍しいチョコレートが良いアクセントとなり、白と黒のコントラストを添えている。アイスは南方の島国から最近輸入され始めたというバニラビーンズが入っている。とても懐かしい香りだ。
「いつの間にこのようなお店を……」
「フッフッフ、こんなこともあろうかと、殿下と共に下見しておいたのだよ!」
「フェル様、言葉遣いが」
「おっと失礼。少し気持ちが高ぶり過ぎましたかな?」
リアの目がちょっと死んでいるのが気になるが、俺は元気です。軽い、体が軽い! まるで鎖から解き放たれたかのようだ!
最上階のテラス席から見下ろす下界は素晴らしい眺めだった。見ろ、あの罪深き人間たちを! ワッハッハッハ。
パフェを堪能しながら、ゆっくりとリアと一緒に時間を過ごした。そういえば王立学園に入学してから、二人だけでゆったりと過ごしたことはなかったな。やはり生徒会は魔境だったか。
「それにしても、よくこの席が空いておりましたわね?」
「当然ですよ。この席は殿下が二年先まで予約済みの席ですからね」
「良いのですか、そのような席を勝手にお借りして……」
「なあに、退職金の代わりですよ」
ハッハッハと機嫌良く笑う俺の耳に、呆れたような声が聞こえてきた。
「何が退職金の代わりだ。フェルナンドを首にした覚えはないぞ」
げえっ! 殿下! なぜここに? それにどうして隣に殿下の婚約者のマリーナ様もいらっしゃるのですか? 聞いてないよ!
「あー、殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう……」
「あ、そういうのいいから」
そう言って二人は俺たちの隣に座った。殿下が予約済みの最上階のテラスは四人がけ。それが仇となった形である。気の迷いで「ダブルデート用にどうですか?」と言ったのがまずかった。
「あの、殿下、どうしてここへ?」
通常なら、この時間帯はまだ生徒会室にいる時間帯である。特にすることがなくても、見栄のために無駄に生徒会室にいるのだ。本当に時間の無駄である。それでもまあ、チェスやダーツをして過ごすので、まったくの無駄というわけではないが。いや、無駄か。
「どうしてだと? 決まっているだろう。俺も生徒会をやめてきたからだ」
「な、何だってー!?」
想定外の出来事に思わず叫んでしまった。テラス席にいた人たちがこちらに注目している。それを護衛の三銃士が肉壁となって遮断した。さすがはディフェンスに定評があるアーノルドにシュワルツにネッガー。たくましい後ろ姿だ。
「驚くこともないだろう? フェルナンドと同じことをしただけだ。俺だけではないぞ? 俺に続いて大半の女子生徒がやめていった。あのときの生徒会長の顔。フェルナンドにも見せてやりたかったな」
ワッハッハとうれしそうに笑う殿下。マリーナ様もそこまでは聞いていなかったのか、頭を抱えていた。殿下はそれを気にすることもなく、店員に俺たち二人と同じものを頼んでいた。もちろん、マリーナ様にもだ。
後々大変なことになりそうなことをやらかしたのに、まったく気にしない様子。なかなか大物だな、殿下。
再び体が鎖につながれていくような嫌な感触。それと同時にクモの糸に絡め取られたかのような絶望感。マリーナ様からは「今さらお前だけ逃げようとするな」という無言の圧力を感じた。何だこのプレッシャーは。マリーナ様は化け物か!
「フェル様……」
俺はついにリアに追いついた。振り向いたリアの目からは大粒の涙がすでにこぼれ落ちていた。俺はそのまま止まらずにリアを抱きしめた。運が良いことに、自習室にはだれもいなかった。もしかしてこれが、真の愛の力!
「違うんだ、違うんだよ、リア」
「フェル様」
「違うんだ、リア。だから俺は生徒会役員になど、なりたくなかったんだ」
「ちょ、ちょっと、フェル!?」
俺はついに泣き出してしまった。
リアを泣かせてしまった。あれだけ警戒していたのに、俺はリアとの間にヒビを入れてしまった。恐ろしかった。このまま見えない力によってリアと引き離されてしまうんじゃないかと思うと。
このままゲームに流されて、多くの人を殺し、国を滅ぼすことになってしまうんじゃないかと思うと怖かった。
そんな情けない俺を胸に抱くと、リアは何度も何度も優しく頭を撫でてくれた。
「落ち着かれましたか?」
俺たちは今、イスを並べて座っていた。相変わらずリアは俺の頭を優しく撫でてくれている。それがとても心地良かった。
「すみません。お見苦しいところを見せてしまって」
「うふふ、気にしておりませんわ。ですが、どうか人前ではやめて下さいましね?」
慌てて周囲を見渡したが、相変わらず人気はなかった。どうやらこの自習室を使う生徒はあまりいないようである。ちょっともったいない気もするが、今はそれがありがたかった。
段々と落ち着いてきた。そしてそれと共に恥ずかしさがこみ上げてきた。だがすでに手遅れである。リアは気にしていないと言っていたが、心のどこかで俺のことを失望してしまったのではないだろうか?
リアの目を見るのが怖い。必死に目を背けているとリアの両手が俺のほほを覆う。そのままグイとリアの方に向けられた。いつかおとぎ話で読んだ、美しい森の緑のように輝く瞳がそこにはあった。そこに失望の色は一片たりともなかった。ただただ、俺の姿だけが映り込んでいる。
「リア……」
「フェル……」
リアの唇がそっと俺の唇に触れた。その途端、俺の体の中を激しい幸福感が貫いた。まるで血液の流れが分かりそうなほどの奔流が駆け巡っている。時間にして一秒も満たなかっただろう。それほど一瞬だったというのに。
「今回は、これで許して差し上げますわ」
全身を真っ赤なバラのように染め上げたリアがさえずるように言った。思わず我慢ができなくなってリアを両腕で捕まえた。それから合計三回ほど口づけを交わしてようやく俺たちは落ち着きを取り戻した。
「もう、フェルは強引過ぎますわよ!」
「ごめん。反省している。今度からはリアの許可をもらってから口づけするよ」
「そういうことではありませんわ!」
俺は生徒会室で何があったのかを事細かに話した。同じ失敗は二度とするまい。そのためにも、そのことについて、一切リアに隠し事をするつもりはなかった。
「それで俺は『生徒会役員をやめる』って言って出てきたんだよ。前言撤回するつもりはこれっぽっちもない」
「呆れましたわ。生徒会役員をやめるだなんて、前代未聞ですわよ。籍を置いたまま足を運ばないのが通例ですのに。殿下のことはどうするおつもりですか?」
なるほど、幽霊部員になるのが正解だったのか。栄えある王立学園の生徒会役員をやめることは醜聞になるってか? 知るか、そんなもん!
殿下には愛想を尽かされてしまったかも知れないな。もしかすると、秘密結社オズを首になるかも知れない。そうなると、もう殿下には関わることもなくなるわけで……そうなるわけで。
まてよ、それって俺の負担がなくなるわけで、俺の人生バラ色じゃん!
「殿下との縁もこれまでかも知れないな。まあ、仕方ないよね!」
「どうしてそんなにうれしそうなのですか……」
リアはおでこに手を当てた。頭が痛そうである。
まあ、ここで考えても仕方がない。俺は鳥かごから外へと解き放たれたのだ。ならばやることはただ一つ。
「リア、デートしよう。今から」
「い、今からですの!?」
善は急げ。俺は驚き戸惑っているリアの手を引いて停車場へと向かった。
俺たち二人の目の前には、新鮮な果物が詰め込まれた、宝石箱のようなパフェが並んでいる。この世界ではまだ珍しいチョコレートが良いアクセントとなり、白と黒のコントラストを添えている。アイスは南方の島国から最近輸入され始めたというバニラビーンズが入っている。とても懐かしい香りだ。
「いつの間にこのようなお店を……」
「フッフッフ、こんなこともあろうかと、殿下と共に下見しておいたのだよ!」
「フェル様、言葉遣いが」
「おっと失礼。少し気持ちが高ぶり過ぎましたかな?」
リアの目がちょっと死んでいるのが気になるが、俺は元気です。軽い、体が軽い! まるで鎖から解き放たれたかのようだ!
最上階のテラス席から見下ろす下界は素晴らしい眺めだった。見ろ、あの罪深き人間たちを! ワッハッハッハ。
パフェを堪能しながら、ゆっくりとリアと一緒に時間を過ごした。そういえば王立学園に入学してから、二人だけでゆったりと過ごしたことはなかったな。やはり生徒会は魔境だったか。
「それにしても、よくこの席が空いておりましたわね?」
「当然ですよ。この席は殿下が二年先まで予約済みの席ですからね」
「良いのですか、そのような席を勝手にお借りして……」
「なあに、退職金の代わりですよ」
ハッハッハと機嫌良く笑う俺の耳に、呆れたような声が聞こえてきた。
「何が退職金の代わりだ。フェルナンドを首にした覚えはないぞ」
げえっ! 殿下! なぜここに? それにどうして隣に殿下の婚約者のマリーナ様もいらっしゃるのですか? 聞いてないよ!
「あー、殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう……」
「あ、そういうのいいから」
そう言って二人は俺たちの隣に座った。殿下が予約済みの最上階のテラスは四人がけ。それが仇となった形である。気の迷いで「ダブルデート用にどうですか?」と言ったのがまずかった。
「あの、殿下、どうしてここへ?」
通常なら、この時間帯はまだ生徒会室にいる時間帯である。特にすることがなくても、見栄のために無駄に生徒会室にいるのだ。本当に時間の無駄である。それでもまあ、チェスやダーツをして過ごすので、まったくの無駄というわけではないが。いや、無駄か。
「どうしてだと? 決まっているだろう。俺も生徒会をやめてきたからだ」
「な、何だってー!?」
想定外の出来事に思わず叫んでしまった。テラス席にいた人たちがこちらに注目している。それを護衛の三銃士が肉壁となって遮断した。さすがはディフェンスに定評があるアーノルドにシュワルツにネッガー。たくましい後ろ姿だ。
「驚くこともないだろう? フェルナンドと同じことをしただけだ。俺だけではないぞ? 俺に続いて大半の女子生徒がやめていった。あのときの生徒会長の顔。フェルナンドにも見せてやりたかったな」
ワッハッハとうれしそうに笑う殿下。マリーナ様もそこまでは聞いていなかったのか、頭を抱えていた。殿下はそれを気にすることもなく、店員に俺たち二人と同じものを頼んでいた。もちろん、マリーナ様にもだ。
後々大変なことになりそうなことをやらかしたのに、まったく気にしない様子。なかなか大物だな、殿下。
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