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第一章
49 《アルファード》
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「入れ。」
「失礼いたします。」
入ってきたのは何故かメイカだけだった。
メイカは俺の視線に気づき、不自然なほど清々しい笑みを浮かべる。
「クリスティーヌ殿下、失礼いたします。」
「ええ。」
メイカは妹の前に茶器を置き、そして、手際よくお茶…いや、ハーブティーを煎れる。
「兄上、先ほどのお話ですが。」
「俺としてはイザベラと平和に暮らせるのなら生活なんてどうでもいいけどな。」
「……つまりは未来の姉上には平民に堕ちても構わないという事ですか?」
ぐっと眉間にしわを寄せる妹に、正直俺はそれでもよかったし、多分、イザベラも同じ事を思っているだろう。
まあ、世間知らずのお嬢様だったら、そんな事は願い下げだろうがな。
自分たちとしてはさっさと見届けてゆっくりと余生を楽しみたい。
「何を黙っているのですか。」
「お前たちには分からないと思うが、俺たちは平和に暮らせるのなら辺境の地に飛ばされても幸せだと言える。」
「なっ!」
「どうせ、住めば都、その土地におのずと慣れていくだろう。」
根無し草の時代だってあった。
それでも、自分たちは自分たちで生きていけた。
下手に身分があったり、柵がある方が面倒だ。
いっそ根無し草の方が好き勝手に職業も土地も選べれるもんだ。
まあ、今はこの国の王子という立場があるから声にだしては決して言わないけどな。
「兄上は無謀すぎます、貴族の姫がいきなり平民に堕ちるなど屈辱のなにものでもありませんか。」
「普通の姫ならな。」
「……まるで姉上は違うとおっしゃるの?」
「ああ。」
険しい顔をする妹に俺は時計を見る。
「時間だ、それを飲んだら出て行け。」
「兄上、まだお話は終わっておりません。」
「結局のところ、王が選ぶんだ、俺たちがとやかく言ったところで何も変わらないだろう。」
「そうかもしれませんが、兄上が動けば。」
「だから、俺はその気はない。」
「……。」
「お前もないのなら大人しく見ていろ、それが嫌だったら自分で動け。」
「…………民がどうなってもいいのですか。」
「正直凡才の王ならば民に被害はでない。」
「…兄上はあれを凡才と評価するのですか?」
妹の言葉に俺は遠い目をする。
正直に言えば、あれは凡才ではない。
有能でもない。
方向性を間違えたアホでしかない。
だから、そのアホが何をしでかすかなんて凡才の自分では分からない。
「お前はどう見る。」
「……。」
妹はすごく嫌そうな顔をする。
多分、俺と同じ事を思っているのだろう。
「どうせ、まだ時間もある、何か思いついたのなら実行する前に俺に相談しろ、下手に動かれたらイザベラにまで被害に遭ってしまうかもしれない。」
「……兄上は変わられましたね。」
「ああ?」
妹はハーブティーを飲み切り、立ち上がる。
「昔はもっとすべての事に無関心でしたのに。」
「決まっているだろう、あいつに会ったからだ。」
「……あたくしも、そんな殿方にお会いしてみたい。」
まるで、会えるはずがないと、言うように妹は目を細め、寂し気に立ち去った。
そして、妹の気配が消えると俺の体にどっと疲れが押し寄せてきた。
「失礼いたします。」
入ってきたのは何故かメイカだけだった。
メイカは俺の視線に気づき、不自然なほど清々しい笑みを浮かべる。
「クリスティーヌ殿下、失礼いたします。」
「ええ。」
メイカは妹の前に茶器を置き、そして、手際よくお茶…いや、ハーブティーを煎れる。
「兄上、先ほどのお話ですが。」
「俺としてはイザベラと平和に暮らせるのなら生活なんてどうでもいいけどな。」
「……つまりは未来の姉上には平民に堕ちても構わないという事ですか?」
ぐっと眉間にしわを寄せる妹に、正直俺はそれでもよかったし、多分、イザベラも同じ事を思っているだろう。
まあ、世間知らずのお嬢様だったら、そんな事は願い下げだろうがな。
自分たちとしてはさっさと見届けてゆっくりと余生を楽しみたい。
「何を黙っているのですか。」
「お前たちには分からないと思うが、俺たちは平和に暮らせるのなら辺境の地に飛ばされても幸せだと言える。」
「なっ!」
「どうせ、住めば都、その土地におのずと慣れていくだろう。」
根無し草の時代だってあった。
それでも、自分たちは自分たちで生きていけた。
下手に身分があったり、柵がある方が面倒だ。
いっそ根無し草の方が好き勝手に職業も土地も選べれるもんだ。
まあ、今はこの国の王子という立場があるから声にだしては決して言わないけどな。
「兄上は無謀すぎます、貴族の姫がいきなり平民に堕ちるなど屈辱のなにものでもありませんか。」
「普通の姫ならな。」
「……まるで姉上は違うとおっしゃるの?」
「ああ。」
険しい顔をする妹に俺は時計を見る。
「時間だ、それを飲んだら出て行け。」
「兄上、まだお話は終わっておりません。」
「結局のところ、王が選ぶんだ、俺たちがとやかく言ったところで何も変わらないだろう。」
「そうかもしれませんが、兄上が動けば。」
「だから、俺はその気はない。」
「……。」
「お前もないのなら大人しく見ていろ、それが嫌だったら自分で動け。」
「…………民がどうなってもいいのですか。」
「正直凡才の王ならば民に被害はでない。」
「…兄上はあれを凡才と評価するのですか?」
妹の言葉に俺は遠い目をする。
正直に言えば、あれは凡才ではない。
有能でもない。
方向性を間違えたアホでしかない。
だから、そのアホが何をしでかすかなんて凡才の自分では分からない。
「お前はどう見る。」
「……。」
妹はすごく嫌そうな顔をする。
多分、俺と同じ事を思っているのだろう。
「どうせ、まだ時間もある、何か思いついたのなら実行する前に俺に相談しろ、下手に動かれたらイザベラにまで被害に遭ってしまうかもしれない。」
「……兄上は変わられましたね。」
「ああ?」
妹はハーブティーを飲み切り、立ち上がる。
「昔はもっとすべての事に無関心でしたのに。」
「決まっているだろう、あいつに会ったからだ。」
「……あたくしも、そんな殿方にお会いしてみたい。」
まるで、会えるはずがないと、言うように妹は目を細め、寂し気に立ち去った。
そして、妹の気配が消えると俺の体にどっと疲れが押し寄せてきた。
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