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第二章
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大きな城門の前に立ち私とメイヤ、メイカ以外の人は自分たちの得物に手を掛ける。
「い、いよいよだね。」
「……。」
「ここに姉上が。」
「……。」
「長かったな。」
「……。」
「最後の正念場ですね。」
「……。」
もし、ゲームとかならば盛り上がっているのだが、こちらとしては何で分かっている事をいちいち言うのか分からない。
それにこんな堂々と敵陣地にただ立っているなんて、狙ってくださいと言っているようなものだ。
幸いにも敵はこちらを狙う様子もないので、放っている。
メイカもメイヤもかなり呆れたような顔をしている。
自分に酔いしれている人たちを放っておいてさっさと中に侵入したい。
というか、何で正面から堂々と入らないといけないんだろう。
闇夜に乗じてさっさと中に入ればいいのに、本当にこの人たちの頭は大丈夫なのでしょうか。
こっそりとため息を零す。
「もう、もっとちゃんとしてくださいよ。」
プリプリと怒る彼女に私はすまし顔を浮かべる。
「ちゃんとしておりますが?」
「全然ちゃんとしてませーん。」
「……。」
イラっとする喋り方に私の顔が引きつる。
「そうでしょうか?」
「ええ、こういう時はさもっとさー、お嬢様どうかご無事でとかさ、なんかあるでしょ?」
「……。」
「何よ、何か文句ある訳?」
私の表情に何か不服なのか彼女は怒りの表情を私に向ける。
「お好きなさればよろしいかと。」
「本当に、いけ好かない女ね。」
唾棄する彼女に私以上に彼の方が限界だった。
「自分に酔っているのはいいが、分かっているんだろうな。」
メイカが彼女だけでなく、私の弟たちも睨む。
「ここは敵地だ。」
「……。」
「死にたいのなら勝手にやっていろ、こっちはこっちでやる事をやる、お荷物はいらない。」
「……なっ!」
「行くぞ。」
怒りで顔を真っ赤にさせている彼女を無視してメイカは進む。
そして、その後をメイヤと私もついて行く。
「何よ、あんたなんて、さっさと絶望しなさいよっ!」
「……。」
自称主人公の言葉じゃない。
私は一つため息を零す。
「な、何よ。」
「人を呪うのは止めておきなさい。」
「なっ!」
わなわなと震える彼女は顔を怒りで真っ赤に染めている。
「人を呪えば必ず自分に返って来る。」
私はそういう人を何にも見てきた。
特に力を持つ人の言葉は強力だ。
未熟でも力を持っていれば必ず、呪詛は自分にも降りかかる。
そうやって悲惨な死を遂げる人を見てきた。
彼女は分かっていない。
自分の言葉でどれほど人を呪い、そして、自分を呪ってきたのか。
人をうらやむ事は人間だからしょうがない事だろう。
だけど、それをどうするかは自分次第だ。
それをバネにして努力する人もいるだろう。
それを心のまま人をうらやみ、そして、自分の努力を怠り、腐る人間だっている。
どうするかは結局は本人次第。
自分だってかつては人をうらやみ、自分を呪った。
どうして、自分だけ。
どうして、あの人だけは。
結局は自分で気づくしかないのだ。
どうすれば自分の望むものを手に入れれるのか。
どうすればよりよい未来にたどり着けるのか。
ぶつぶつと恨み言ばかり言っていたらそこで終わりだ。
せっかく考える頭も、健康な体もあるのに。
無駄にしているのは本人なのだ。
休みたければ休めばいい。
でも、人を引っ張り堕落させるのは間違っている。
だから、私は、私たちは彼女たちを放っておく。
いくら彼女たちに私たちが何かを言ったところで、彼女たちは耳を傾けないだろう。
たとえ、あの時言ってくれたらと、先の未来で言われたとしても、今の彼女たちが助言をして聞き入れてくれなければ意味がない。
私たちは聖人君主じゃないのだから。
「自分を不幸せにしているのは他人じゃない、自分よ。」
「なっ!」
私の言葉に彼女は何か言おうとしたが、私はこれ以上聞きたくないので、脚を動かす。
「無視すればよかったのに。」
「……ついね。」
メイヤがポツリと私の耳元に呟き、私もこっそり言葉を返す。
イラついてしまう。
自分が不幸だと思って、そう酔いしれている。
まるでかつての私だ。
嫌な事が立て続けに起きて、どうして、自分だけと嘆いていた。
でも、実際は違う。
その時辛かったのは私だけじゃなかった。
メイヤも。
マヒルも。
皆色んな悩みを抱えていた。
なのに、彼らはそんな弱さを見せる事はなかった。
つい、八つ当たりをしてしまった。
メイヤは黙ってそれを受け止め。
マヒルは怒鳴った。
本当に子どもだった私は気づきもしなかったんだ。
今だったら違う決断をしていたかもしれない。
でも、後悔はしていない。
だって、あの時の私は自分で必死に考えてその道を進んだのだ。
それを間違いだとは思いたくなかった。
彼女も気づけばいい。
自分の目で見て。
耳で聞いて。
肌で感じて。
そして、考えればいい。
自分がどうしたいか、どうなりたいのか。
呪うくらいなら、そうした方が、きっといい結果になるはずだ。
でも、私は何も言わない。
自分で気づくしかないのだ。
それに、私は私でするべきことがあるのだ。
あの子を助けに行かないといけない。
手遅れかもしれない。
でも、間に合うのなら、助けたいのだ…。
「い、いよいよだね。」
「……。」
「ここに姉上が。」
「……。」
「長かったな。」
「……。」
「最後の正念場ですね。」
「……。」
もし、ゲームとかならば盛り上がっているのだが、こちらとしては何で分かっている事をいちいち言うのか分からない。
それにこんな堂々と敵陣地にただ立っているなんて、狙ってくださいと言っているようなものだ。
幸いにも敵はこちらを狙う様子もないので、放っている。
メイカもメイヤもかなり呆れたような顔をしている。
自分に酔いしれている人たちを放っておいてさっさと中に侵入したい。
というか、何で正面から堂々と入らないといけないんだろう。
闇夜に乗じてさっさと中に入ればいいのに、本当にこの人たちの頭は大丈夫なのでしょうか。
こっそりとため息を零す。
「もう、もっとちゃんとしてくださいよ。」
プリプリと怒る彼女に私はすまし顔を浮かべる。
「ちゃんとしておりますが?」
「全然ちゃんとしてませーん。」
「……。」
イラっとする喋り方に私の顔が引きつる。
「そうでしょうか?」
「ええ、こういう時はさもっとさー、お嬢様どうかご無事でとかさ、なんかあるでしょ?」
「……。」
「何よ、何か文句ある訳?」
私の表情に何か不服なのか彼女は怒りの表情を私に向ける。
「お好きなさればよろしいかと。」
「本当に、いけ好かない女ね。」
唾棄する彼女に私以上に彼の方が限界だった。
「自分に酔っているのはいいが、分かっているんだろうな。」
メイカが彼女だけでなく、私の弟たちも睨む。
「ここは敵地だ。」
「……。」
「死にたいのなら勝手にやっていろ、こっちはこっちでやる事をやる、お荷物はいらない。」
「……なっ!」
「行くぞ。」
怒りで顔を真っ赤にさせている彼女を無視してメイカは進む。
そして、その後をメイヤと私もついて行く。
「何よ、あんたなんて、さっさと絶望しなさいよっ!」
「……。」
自称主人公の言葉じゃない。
私は一つため息を零す。
「な、何よ。」
「人を呪うのは止めておきなさい。」
「なっ!」
わなわなと震える彼女は顔を怒りで真っ赤に染めている。
「人を呪えば必ず自分に返って来る。」
私はそういう人を何にも見てきた。
特に力を持つ人の言葉は強力だ。
未熟でも力を持っていれば必ず、呪詛は自分にも降りかかる。
そうやって悲惨な死を遂げる人を見てきた。
彼女は分かっていない。
自分の言葉でどれほど人を呪い、そして、自分を呪ってきたのか。
人をうらやむ事は人間だからしょうがない事だろう。
だけど、それをどうするかは自分次第だ。
それをバネにして努力する人もいるだろう。
それを心のまま人をうらやみ、そして、自分の努力を怠り、腐る人間だっている。
どうするかは結局は本人次第。
自分だってかつては人をうらやみ、自分を呪った。
どうして、自分だけ。
どうして、あの人だけは。
結局は自分で気づくしかないのだ。
どうすれば自分の望むものを手に入れれるのか。
どうすればよりよい未来にたどり着けるのか。
ぶつぶつと恨み言ばかり言っていたらそこで終わりだ。
せっかく考える頭も、健康な体もあるのに。
無駄にしているのは本人なのだ。
休みたければ休めばいい。
でも、人を引っ張り堕落させるのは間違っている。
だから、私は、私たちは彼女たちを放っておく。
いくら彼女たちに私たちが何かを言ったところで、彼女たちは耳を傾けないだろう。
たとえ、あの時言ってくれたらと、先の未来で言われたとしても、今の彼女たちが助言をして聞き入れてくれなければ意味がない。
私たちは聖人君主じゃないのだから。
「自分を不幸せにしているのは他人じゃない、自分よ。」
「なっ!」
私の言葉に彼女は何か言おうとしたが、私はこれ以上聞きたくないので、脚を動かす。
「無視すればよかったのに。」
「……ついね。」
メイヤがポツリと私の耳元に呟き、私もこっそり言葉を返す。
イラついてしまう。
自分が不幸だと思って、そう酔いしれている。
まるでかつての私だ。
嫌な事が立て続けに起きて、どうして、自分だけと嘆いていた。
でも、実際は違う。
その時辛かったのは私だけじゃなかった。
メイヤも。
マヒルも。
皆色んな悩みを抱えていた。
なのに、彼らはそんな弱さを見せる事はなかった。
つい、八つ当たりをしてしまった。
メイヤは黙ってそれを受け止め。
マヒルは怒鳴った。
本当に子どもだった私は気づきもしなかったんだ。
今だったら違う決断をしていたかもしれない。
でも、後悔はしていない。
だって、あの時の私は自分で必死に考えてその道を進んだのだ。
それを間違いだとは思いたくなかった。
彼女も気づけばいい。
自分の目で見て。
耳で聞いて。
肌で感じて。
そして、考えればいい。
自分がどうしたいか、どうなりたいのか。
呪うくらいなら、そうした方が、きっといい結果になるはずだ。
でも、私は何も言わない。
自分で気づくしかないのだ。
それに、私は私でするべきことがあるのだ。
あの子を助けに行かないといけない。
手遅れかもしれない。
でも、間に合うのなら、助けたいのだ…。
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