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第二章
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城の扉が勝手に開く。
昔見たゲームのようだった。
だけど、これは現実で、本当に嫌な事ばかり起こってしまう。
神はどうして、人に試練を与えるのか、成長させるため?藻掻く姿を楽しむだけ?
分からないけれども、それでも、結局のところ操られたとしても、選ぶのはどうしても、自分だ。
だから、この光景を受け止めるしかないのだ。
「……。」
言葉が出ない。
どうして。
何で。
やっぱり。
色々な言葉がぐるぐると私の中で巡り、結局、言葉なんて出ない。
肩に温かなものが触れる。
そちらを見ると、いつも私を守る多いな手だった。
顔を上げ、そこには心配そうな色をする目と常と変わらない表情をした彼が居た。
手遅れだけど、彼女をどうにか出来るのは私しかいない。
「……。」
私は意を決し、彼女に向き合う。
美しい彼女は漆黒の鎧をまとい、そして、細い剣を携え、空ろな瞳でこちらを見ていた。
彼女の名を呼びたかった、だけど、今ここに居る私は「ミナ」であり、彼女は――。
「お嬢様。」
ようやく私はこの言葉を紡ぐ。
「去りなさい。」
抑揚のない声が大広間に響く。
「そうすれば、命だけは考えましょう、ですが、去らないというのなら…。」
彼女は細剣を構える。
「その命もらい受けましょう。」
私は目を伏せる。
もう手遅れだ。
彼女の核は手の施しようがないほど汚染されている。
私の様子で察したのか、彼はポンと私の頭を叩く。
「もうダメなんだな…。」
もう一人の彼も察したのか、そう呟く。
そして、私は答える。
「はい、もう…私の手では…。」
「そうか…。」
真っすぐに口を噤み、そして、彼はゆっくりと剣を抜く。
「愛している人を斬る事になるなんて、本当に…。」
怖いほどの真剣な目をする彼、でも、その表情は今にも泣きそうに私には見えた。
「誰も手を出すなよっ!」
そう言って、彼は飛び出した。
彼女は手をかざし、水の槍で彼を攻撃する。
しかし、彼は避けたり、切ったりして、着実に彼女に近づく。
「た、助けなくちゃ。」
「いや、だが…。」
外野が何か言っているが、実際に手を出す事はないだろう。
だって、彼と彼女の攻撃は外野の私とあの人以外のレベルを超えているのだから。
もし、飛び出していったのなら確実に死ぬだろう。
それが分かっているから、手を出す人はいないだろう。
私は外野を無視して、美しくも、悲しいこの戦いを見ていた。
彼を近づかせないために牽制する彼女だったが、彼の方が一枚上手だった。
彼女に近づいた彼は確実に殺すために剣を振るう。
しかし、相手は彼女だ。
彼女は彼の剣を受け止める。
「やっぱり防ぐか。」
「……。」
無表情で彼女は剣を受け止めているが、その攻撃が重かったのか、手が震えていた。
力ではなく、技によって、彼の剣を弾き飛ばす。
「お前はこんなものなのか?」
「……。」
「違うだろう、お前の技はもっと綺麗だ。」
「……。」
「何度見惚れたか、なのに、今のお前は中途半端だ。」
「……。」
「悲しくて仕方ない。」
「……。」
剣がぶつかる度、彼は彼女に語り掛ける。
だけど、彼女の心には届いていないのか、ただただ、無言で彼女はそれを受け止め、弾く。
私とあの人だけにははっきりと彼の口が「ミナ」と動いたのが見えた。
「好きだ、愛している。」
「……。」
「最後に、お前に会いたかった、でも、もう、無理なんだな…。」
「……。」
「少しでも、長引かしたらと思ったが、もう…、本当に…。」
「……………か。」
もう本当に諦めないといけないかと、思った彼だったが、彼女が最後の意地を見せた。
「………い…か…げん……しな…いよ。」
「えっ?」
声の方を見れば、息を荒くして彼を睨む彼女が居た。
「もう、手遅れ、なの、だから…はやく…。」
「だが……。」
彼はここにきて初めて動揺した。
当然だろう、愛おしい、彼女がようやく自分を見てくれたのだから。
でも、もう、本当にギリギリなのだろう。
私は弓に矢を番える。
彼が倒さないのなら、やるのは私しかいないだろう。
ごめんね、不甲斐ない主で。
そう思いながら、私は矢を放つ。
真っすぐに放たれた矢は背中から彼女の心臓を射抜くはずだった。
「手を出すなっ!」
そういうと、私の矢から彼は彼女を庇った。
何をやっているのだと、いう雰囲気なっているが、私、あの人、彼は当然だろうと思った。
もし、私がミナの立場なら、出来れば終わらせてもらうのはあの人がいい。
そして、あの人だって私を殺すのは自分じゃなきゃダメだと思っているだろう。
だから、発破をかけたのだ。
彼が殺さないのなら、私がやる。
そして、それが嫌のなら彼女の願いを叶えなさいと。
葛藤があるのは分かる。
でも、ここは戦場だ。
ゲームならば邪魔されないかもしれないが、ここは現実だ。
何が起こっても可笑しくない。
それが分かっているから、私もあの人も警戒を怠らない。
彼女と彼の戦いを見ている外野は本当に未熟としか言えない。
これで、ここで殺されても当然としか言えないだろう。
敵陣地にいるのに警戒を怠る人が悪いのだから。
でも、私は自分勝手なので、自分の目の前であっけなく死なれるのは嫌だ。
だから、怪我はさせたとしても、死なせるつもりはなかった。
「愛している。」
ようやく彼は覚悟を決めたのか、辛うじて自分の体の制御を自分のものにしている彼女の胸に剣を突き刺す。
「ばか……きらいじゃ、なかった……。」
崩れ落ちる体。
だけど、彼がそれを許さず、彼女を抱きとめる。
彼女はゆっくりと手を伸ばし、彼の頬に触れる。
「たぶん……すき…。」
そっと己の唇を彼の唇に押し当てる。
そして、満足そうに微笑む彼女は死んでいた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
獣のような咆哮が彼から発せられた。
昔見たゲームのようだった。
だけど、これは現実で、本当に嫌な事ばかり起こってしまう。
神はどうして、人に試練を与えるのか、成長させるため?藻掻く姿を楽しむだけ?
分からないけれども、それでも、結局のところ操られたとしても、選ぶのはどうしても、自分だ。
だから、この光景を受け止めるしかないのだ。
「……。」
言葉が出ない。
どうして。
何で。
やっぱり。
色々な言葉がぐるぐると私の中で巡り、結局、言葉なんて出ない。
肩に温かなものが触れる。
そちらを見ると、いつも私を守る多いな手だった。
顔を上げ、そこには心配そうな色をする目と常と変わらない表情をした彼が居た。
手遅れだけど、彼女をどうにか出来るのは私しかいない。
「……。」
私は意を決し、彼女に向き合う。
美しい彼女は漆黒の鎧をまとい、そして、細い剣を携え、空ろな瞳でこちらを見ていた。
彼女の名を呼びたかった、だけど、今ここに居る私は「ミナ」であり、彼女は――。
「お嬢様。」
ようやく私はこの言葉を紡ぐ。
「去りなさい。」
抑揚のない声が大広間に響く。
「そうすれば、命だけは考えましょう、ですが、去らないというのなら…。」
彼女は細剣を構える。
「その命もらい受けましょう。」
私は目を伏せる。
もう手遅れだ。
彼女の核は手の施しようがないほど汚染されている。
私の様子で察したのか、彼はポンと私の頭を叩く。
「もうダメなんだな…。」
もう一人の彼も察したのか、そう呟く。
そして、私は答える。
「はい、もう…私の手では…。」
「そうか…。」
真っすぐに口を噤み、そして、彼はゆっくりと剣を抜く。
「愛している人を斬る事になるなんて、本当に…。」
怖いほどの真剣な目をする彼、でも、その表情は今にも泣きそうに私には見えた。
「誰も手を出すなよっ!」
そう言って、彼は飛び出した。
彼女は手をかざし、水の槍で彼を攻撃する。
しかし、彼は避けたり、切ったりして、着実に彼女に近づく。
「た、助けなくちゃ。」
「いや、だが…。」
外野が何か言っているが、実際に手を出す事はないだろう。
だって、彼と彼女の攻撃は外野の私とあの人以外のレベルを超えているのだから。
もし、飛び出していったのなら確実に死ぬだろう。
それが分かっているから、手を出す人はいないだろう。
私は外野を無視して、美しくも、悲しいこの戦いを見ていた。
彼を近づかせないために牽制する彼女だったが、彼の方が一枚上手だった。
彼女に近づいた彼は確実に殺すために剣を振るう。
しかし、相手は彼女だ。
彼女は彼の剣を受け止める。
「やっぱり防ぐか。」
「……。」
無表情で彼女は剣を受け止めているが、その攻撃が重かったのか、手が震えていた。
力ではなく、技によって、彼の剣を弾き飛ばす。
「お前はこんなものなのか?」
「……。」
「違うだろう、お前の技はもっと綺麗だ。」
「……。」
「何度見惚れたか、なのに、今のお前は中途半端だ。」
「……。」
「悲しくて仕方ない。」
「……。」
剣がぶつかる度、彼は彼女に語り掛ける。
だけど、彼女の心には届いていないのか、ただただ、無言で彼女はそれを受け止め、弾く。
私とあの人だけにははっきりと彼の口が「ミナ」と動いたのが見えた。
「好きだ、愛している。」
「……。」
「最後に、お前に会いたかった、でも、もう、無理なんだな…。」
「……。」
「少しでも、長引かしたらと思ったが、もう…、本当に…。」
「……………か。」
もう本当に諦めないといけないかと、思った彼だったが、彼女が最後の意地を見せた。
「………い…か…げん……しな…いよ。」
「えっ?」
声の方を見れば、息を荒くして彼を睨む彼女が居た。
「もう、手遅れ、なの、だから…はやく…。」
「だが……。」
彼はここにきて初めて動揺した。
当然だろう、愛おしい、彼女がようやく自分を見てくれたのだから。
でも、もう、本当にギリギリなのだろう。
私は弓に矢を番える。
彼が倒さないのなら、やるのは私しかいないだろう。
ごめんね、不甲斐ない主で。
そう思いながら、私は矢を放つ。
真っすぐに放たれた矢は背中から彼女の心臓を射抜くはずだった。
「手を出すなっ!」
そういうと、私の矢から彼は彼女を庇った。
何をやっているのだと、いう雰囲気なっているが、私、あの人、彼は当然だろうと思った。
もし、私がミナの立場なら、出来れば終わらせてもらうのはあの人がいい。
そして、あの人だって私を殺すのは自分じゃなきゃダメだと思っているだろう。
だから、発破をかけたのだ。
彼が殺さないのなら、私がやる。
そして、それが嫌のなら彼女の願いを叶えなさいと。
葛藤があるのは分かる。
でも、ここは戦場だ。
ゲームならば邪魔されないかもしれないが、ここは現実だ。
何が起こっても可笑しくない。
それが分かっているから、私もあの人も警戒を怠らない。
彼女と彼の戦いを見ている外野は本当に未熟としか言えない。
これで、ここで殺されても当然としか言えないだろう。
敵陣地にいるのに警戒を怠る人が悪いのだから。
でも、私は自分勝手なので、自分の目の前であっけなく死なれるのは嫌だ。
だから、怪我はさせたとしても、死なせるつもりはなかった。
「愛している。」
ようやく彼は覚悟を決めたのか、辛うじて自分の体の制御を自分のものにしている彼女の胸に剣を突き刺す。
「ばか……きらいじゃ、なかった……。」
崩れ落ちる体。
だけど、彼がそれを許さず、彼女を抱きとめる。
彼女はゆっくりと手を伸ばし、彼の頬に触れる。
「たぶん……すき…。」
そっと己の唇を彼の唇に押し当てる。
そして、満足そうに微笑む彼女は死んでいた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
獣のような咆哮が彼から発せられた。
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