193 / 730
第193話 恋する乙女
しおりを挟む
ケントと一緒に会える。
その約束が、またひとつ出来て……嬉しいんだけど。
「……どう思われているんだろ」
あんな風に、気前良い感じで誘ったとは言え……ケントは本当に良いのか、最初は遠慮がちだった。
シェリーには、ポーションパンでめちゃくちゃ助けたって意味では恩人であるから……彼女は意気込んでいたけど。
あたしだって、そう思ったし……大勢で騒ぎたいのは本音ではある。
だけど、でも。
パン作り以外だと、意外にも控えめな態度が多いケントだから……ほんとは迷惑だったんじゃないかって。
あたしは……彼に恋してるから、余計に臆病になっているのだ。
「……そんなことないと思うけど」
「そうだよね?」
今、あたしは。
『シリウスの風』が滞在している宿屋の、女部屋に来ている。ただしそこには、シェリー以外にトラディスもいるわ。宿屋のルールとして、メンバーや許可された男性であればこっち部屋にも来れるの。
それはいいとして。
「……だって。ちょっと困ってた感じだったから」
「僕は居合わせていなかったけど……そんな気にしなくていいと思うよ?」
「うんうん。ケントさんらしいと思うけど」
「……そうかなあ?」
ちなみに、トラディスにはあたしがケントを好きなのは知られていた。あたしが自覚する前からわかってたみたい。ほんと……観察眼鋭い男だわ。
「自信満々がいつものエリーさんらしくないと思うよ? ちゃんと伝えた方がいいと思うけど」
「……早く言えたら。こんな……悩んでない」
「けど、トラディスさんの言う通りよ? ケントさん、ラティストさんほどじゃないけど……結構人気じゃない」
そう。シェリーが言った理由も実はある。
あたしも、自覚する前から感心はしてたけど。
創始の大精霊である……ラティストのような美貌には劣るが。
それなりに、整った顔立ちで常にお客には笑顔を忘れないケントは……裏では、女共に結構人気があるのだ。
ラティストの親衛隊も……一部はケントに乗り換えってるって噂があるくらいだし!!
あたしなんか、豪族でそこそこ顔良い程度じゃ……ケントに想いが受け止められるか自信がないのよぉ!!
「んー。けど、当たって砕けるもよくないけど」
悩んでいると、トラディスがぽんと手を叩いたわ。
「トラディス?」
「トラディスさん、何か思いついた?」
「いっそ、打ち上げの最後にエリーさんが告白しちゃえばいいんだよ」
「おお!」
「なんでよ!?」
なんで、そんな公開告白しなくちゃいけないわけ!?
突っかかろうとしたら、まあまあと手で制されたわ。
「君は彼にとっては、一応かなり親しい女友達じゃない? もし応えてくれなくても……何かしら返事はしてくれると思うよ?」
「…………そう、かしら」
「エディさんには、僕とかは会ってないけど。ケントさんは、他人を蔑ろにする人じゃないのは……エリーさんもよく知ってるんじゃないかな?」
「……うん」
自分より、他人を大事にするとこも……好きに、なったのよね。
その約束が、またひとつ出来て……嬉しいんだけど。
「……どう思われているんだろ」
あんな風に、気前良い感じで誘ったとは言え……ケントは本当に良いのか、最初は遠慮がちだった。
シェリーには、ポーションパンでめちゃくちゃ助けたって意味では恩人であるから……彼女は意気込んでいたけど。
あたしだって、そう思ったし……大勢で騒ぎたいのは本音ではある。
だけど、でも。
パン作り以外だと、意外にも控えめな態度が多いケントだから……ほんとは迷惑だったんじゃないかって。
あたしは……彼に恋してるから、余計に臆病になっているのだ。
「……そんなことないと思うけど」
「そうだよね?」
今、あたしは。
『シリウスの風』が滞在している宿屋の、女部屋に来ている。ただしそこには、シェリー以外にトラディスもいるわ。宿屋のルールとして、メンバーや許可された男性であればこっち部屋にも来れるの。
それはいいとして。
「……だって。ちょっと困ってた感じだったから」
「僕は居合わせていなかったけど……そんな気にしなくていいと思うよ?」
「うんうん。ケントさんらしいと思うけど」
「……そうかなあ?」
ちなみに、トラディスにはあたしがケントを好きなのは知られていた。あたしが自覚する前からわかってたみたい。ほんと……観察眼鋭い男だわ。
「自信満々がいつものエリーさんらしくないと思うよ? ちゃんと伝えた方がいいと思うけど」
「……早く言えたら。こんな……悩んでない」
「けど、トラディスさんの言う通りよ? ケントさん、ラティストさんほどじゃないけど……結構人気じゃない」
そう。シェリーが言った理由も実はある。
あたしも、自覚する前から感心はしてたけど。
創始の大精霊である……ラティストのような美貌には劣るが。
それなりに、整った顔立ちで常にお客には笑顔を忘れないケントは……裏では、女共に結構人気があるのだ。
ラティストの親衛隊も……一部はケントに乗り換えってるって噂があるくらいだし!!
あたしなんか、豪族でそこそこ顔良い程度じゃ……ケントに想いが受け止められるか自信がないのよぉ!!
「んー。けど、当たって砕けるもよくないけど」
悩んでいると、トラディスがぽんと手を叩いたわ。
「トラディス?」
「トラディスさん、何か思いついた?」
「いっそ、打ち上げの最後にエリーさんが告白しちゃえばいいんだよ」
「おお!」
「なんでよ!?」
なんで、そんな公開告白しなくちゃいけないわけ!?
突っかかろうとしたら、まあまあと手で制されたわ。
「君は彼にとっては、一応かなり親しい女友達じゃない? もし応えてくれなくても……何かしら返事はしてくれると思うよ?」
「…………そう、かしら」
「エディさんには、僕とかは会ってないけど。ケントさんは、他人を蔑ろにする人じゃないのは……エリーさんもよく知ってるんじゃないかな?」
「……うん」
自分より、他人を大事にするとこも……好きに、なったのよね。
31
あなたにおすすめの小説
魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る
ムーン
ファンタジー
完結しました!
魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。
無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。
そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。
能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。
滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。
悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。
悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。
狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。
やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。
剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
転生美女は元おばあちゃん!同じ世界の愛し子に転生した孫を守る為、エルフ姉妹ともふもふたちと冒険者になります!《『転生初日に~』スピンオフ》
ひより のどか
ファンタジー
目が覚めたら知らない世界に。しかもここはこの世界の神様達がいる天界らしい。そこで驚くべき話を聞かされる。
私は前の世界で孫を守って死に、この世界に転生したが、ある事情で長いこと眠っていたこと。
そして、可愛い孫も、なんと隣人までもがこの世界に転生し、今は地上で暮らしていること。
早く孫たちの元へ行きたいが、そうもいかない事情が⋯
私は孫を守るため、孫に会うまでに強くなることを決意する。
『待っていて私のかわいい子⋯必ず、強くなって会いに行くから』
そのために私は⋯
『地上に降りて冒険者になる!』
これは転生して若返ったおばあちゃんが、可愛い孫を今度こそ守るため、冒険者になって活躍するお話⋯
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
こちらは『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の可愛いくまの編みぐるみ、おばあちゃんこと凛さんの、天界にいる本体が主人公!
が、こちらだけでも楽しんでいただけるように頑張ります。『転生初日に~』共々、よろしくお願いいたします。
また、全くの別のお話『小さな小さな花うさぎさん達に誘われて』というお話も始めました。
こちらも、よろしくお願いします。
*8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
八ツ色物語〜失われたヴァイス属性魔法を駆使して平和を掴み取ってみせる!〜
君影 ルナ
ファンタジー
7色のいずれかの属性魔法を持って生まれてくることが常識である世界『ブント』で唯一属性を持たず生まれてきた主人公、深山 エンレイ。そんな彼女が引き取られたのは、この世界でも有数の白花家だった。
エンレイを引き取った主、ツユクサから「他の誰にもない属性魔法を持つ」と言われたエンレイは、周りに助けられながらも成長していく。
そしてその仲間と共に人間共通の敵、ガイストを殲滅し、その後の世界平和を目指して活躍することになる。
────
※あまりにも転生逆行要素が出てくるまでに時間がかかりそうなので、タグはその時に追加します。
※カクヨム、なろう、ノベプラにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる