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第1章
第15話 鑑定結果
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「待たせたな」
「いや、そうでもないぞ。ん?大丈夫か?顔色がすぐれないようだが」
「ああ、いろいろとありすぎたよ。カール、これから父上のところに一緒に行ってくれ。その前に白か黒かだけは聞いておきたい」
薬物鑑定をしてくれたのは、アカデミーの学友カール・ロイナンである。スキップして卒業したあと、薬物や毒物を専門とした学者になってアカデミーで研究を続けている。
「うん、これは真っ黒だ。通称「残酷な毒」と言う奴でな」
「残酷?命を奪う以上に残酷なことなどなかろう?」
「ん。遅効性の神経毒でな」
「ちこうせい?ああ、トリーも犯人がゆっくり効くと言ったのを聞いたそうだが、そういうことか?」
「ああ。飲んですぐではなく、遅れて症状が出る」
「ということは、犯人がいつ飲ませたかわかりにくくなる?」
「ああ、そういうことだな」
「それで何が残酷なんだ?」
カールは嫌な顔をした。
「これは、生きたまま体の機能をどんどんと奪うんだ。声は出なくなり、指をほんの少し動かすことも瞬きもできなくなる。傍から見ると、まるで高みに昇ったように見えるが、かろうじて呼吸をしているから生きているとわかる。しかし、食事も取れずにその状態が続くので、数日で脈も呼吸も弱まり、この毒に害されたと誰かが気づいて解毒ができなければそのまま死んでしまうんだ」
サルジャンも不快な顔を浮かべた。
「残酷な毒と言われているのは、体がなんの反応もしなくても、意識は最後までしっかりとしていて、耳も聞こえているらしいから。死に近づいているのに、家族の嘆きも聞こえているのに、助けを呼ぶこともできないんだよ」
カールはぶるっと身を震わせた。
「そんな症状で死に至ると、なぜわかったんだ?」
「助かった者がごく僅かだがいるんだよ
。学者の身内でな、倒れたときに、当てずっぽうに片っ端から薬を飲ませて、偶然助かった者たちからこの毒の恐ろしさ、残酷さが知れた。毒に害された時、たまたま毒を専門にしている医師が診察すれば間に合うこともあるが、治療が遅ければ助からない」
そんな毒をユートリーに飲ませようとした者がこの屋敷にいると思うと、サルジャンは怒りで今すぐ斬りつけてしまいたくなったが。ナイジェルスを襲った犯人とぐるだとしたら、すべて一網打尽にするまでは堪えねばならない。
「カール、今の話を我が父にも頼みたい。そしてこの件が片付くまでは他言無用にしてほしい」
「もちろん。私とサルジャンの仲と言いたいが、今実験費用が足りなくて困っているところなんだ」
「もちろん、報酬は弾むぞ」
疑心暗鬼のサルジャンには、親しい仲だから信じろと言われるより、金を貰ったから口を閉じてやると言われる方がずっと信用できる気がした。
「じゃあ、ともに父の執務室に行ってくれ。途中で誰かに声をかけられても何も答えずに。私が対応するから」
「いや、そうでもないぞ。ん?大丈夫か?顔色がすぐれないようだが」
「ああ、いろいろとありすぎたよ。カール、これから父上のところに一緒に行ってくれ。その前に白か黒かだけは聞いておきたい」
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「ああ。飲んですぐではなく、遅れて症状が出る」
「ということは、犯人がいつ飲ませたかわかりにくくなる?」
「ああ、そういうことだな」
「それで何が残酷なんだ?」
カールは嫌な顔をした。
「これは、生きたまま体の機能をどんどんと奪うんだ。声は出なくなり、指をほんの少し動かすことも瞬きもできなくなる。傍から見ると、まるで高みに昇ったように見えるが、かろうじて呼吸をしているから生きているとわかる。しかし、食事も取れずにその状態が続くので、数日で脈も呼吸も弱まり、この毒に害されたと誰かが気づいて解毒ができなければそのまま死んでしまうんだ」
サルジャンも不快な顔を浮かべた。
「残酷な毒と言われているのは、体がなんの反応もしなくても、意識は最後までしっかりとしていて、耳も聞こえているらしいから。死に近づいているのに、家族の嘆きも聞こえているのに、助けを呼ぶこともできないんだよ」
カールはぶるっと身を震わせた。
「そんな症状で死に至ると、なぜわかったんだ?」
「助かった者がごく僅かだがいるんだよ
。学者の身内でな、倒れたときに、当てずっぽうに片っ端から薬を飲ませて、偶然助かった者たちからこの毒の恐ろしさ、残酷さが知れた。毒に害された時、たまたま毒を専門にしている医師が診察すれば間に合うこともあるが、治療が遅ければ助からない」
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「もちろん。私とサルジャンの仲と言いたいが、今実験費用が足りなくて困っているところなんだ」
「もちろん、報酬は弾むぞ」
疑心暗鬼のサルジャンには、親しい仲だから信じろと言われるより、金を貰ったから口を閉じてやると言われる方がずっと信用できる気がした。
「じゃあ、ともに父の執務室に行ってくれ。途中で誰かに声をかけられても何も答えずに。私が対応するから」
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