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第3章
第55話 実行犯は
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ソイスト侯爵家がユートリーを失った夜。
いや、失ったふりをした夜。
しめやかに通夜が行われた。
と言っても現状は公表されず、家族と屋敷の使用人のみが参列する異例なものであるが。
「皆、これからユートリーの通夜を執り行う。知っていると思うが、未だ死因がはっきりしない。棺を密閉したので大丈夫とは思っているが、感染させるものではないとまだ判明していないため、明日の葬儀も家族のみの密葬とする。数日中にお別れの会をいつ開くか公表する故、すべて終えるまで慌ただしい思いをさせるがよろしく頼む。それからリラはここにいるのが辛いと言うので別邸にて休ませている。暫く侯爵夫人の役を果たせぬが、あたたかく見守ってほしい」
マーカスの言葉に、侍女やメイドたちが涙をこぼす。嘘の葬儀で泣かせてすまないと思いながらちらりと視線をやると、ミイヤもハンカチを目尻に当てていた。
─ふん、わざとらしい。お別れの会までにおまえの化けの皮を剥いでやる─
通夜を終えると、ひとりまたひとりと部屋へ引き上げていく。
棺だけが祭壇に置かれ・・・ているようには見えるがもちろん監視はつけられている。
「やりましたね、ミイヤ様」
「しっ!誰かに聞かれたらどうするのよ」
「だーいじょうぶですよ、誰もいませんから。それよりミイヤ様、私はもう少ししたら屋敷を辞めますから」
「え?なぜよ」
「もう仕事終わりましたし、他にもやることがあるんですよ」
「すぐに辞めたら怪しまれるんじゃない?」
「そうならないよう根回ししていくから大丈夫です」
その根回しは既にトローザーから指示されており、ミイヤひとりでやったように工作し、万一トローザーやキャロラ、その一派との繋がりかわかるものを残しているようならすべて処分するというものである。
ミイヤが犯人である証拠の品は、自然かつ容易に家人が見つけられるように細工しなくてはならない。
「別に急がなくてもいいのに」
「ありがとうございます。でもそうもいかないんですよ」
─沈むとわかっている泥舟なんかとは、とっととおさらばしなくちゃね─
ミイヤに見られないよう暗がりに向かい、ぺろりと舌を出したのが、監視をしていた者にはっきりと見られているのだが。
「考えていたより時間がかかりましたけど、上手くいって良かったです。あ!さっきの話ですけど、今日田舎から親が危篤だと手紙が来たから辞めるって筋書きです。もうミイヤ様の仕事はしませんから、屋敷の中でも声かけないでくださいよ!」
そう言うとメイドのエプロンを腰に巻き付けながら、部屋から出て行った。
「そうか。すぐに出て行くつもりか」
ミイヤたちのやりとりを見てきたニイズが、眉間を指先で揉みながら話す。
「あの二人から目を離さずに。メイドが屋敷を出ようとしたら捕縛して密かに地下牢へ。逃げられるなよ」
「おまかせ下さい」
ニイズは部下にセルを追わせ、自分はミイヤの監視に戻っていった。
いや、失ったふりをした夜。
しめやかに通夜が行われた。
と言っても現状は公表されず、家族と屋敷の使用人のみが参列する異例なものであるが。
「皆、これからユートリーの通夜を執り行う。知っていると思うが、未だ死因がはっきりしない。棺を密閉したので大丈夫とは思っているが、感染させるものではないとまだ判明していないため、明日の葬儀も家族のみの密葬とする。数日中にお別れの会をいつ開くか公表する故、すべて終えるまで慌ただしい思いをさせるがよろしく頼む。それからリラはここにいるのが辛いと言うので別邸にて休ませている。暫く侯爵夫人の役を果たせぬが、あたたかく見守ってほしい」
マーカスの言葉に、侍女やメイドたちが涙をこぼす。嘘の葬儀で泣かせてすまないと思いながらちらりと視線をやると、ミイヤもハンカチを目尻に当てていた。
─ふん、わざとらしい。お別れの会までにおまえの化けの皮を剥いでやる─
通夜を終えると、ひとりまたひとりと部屋へ引き上げていく。
棺だけが祭壇に置かれ・・・ているようには見えるがもちろん監視はつけられている。
「やりましたね、ミイヤ様」
「しっ!誰かに聞かれたらどうするのよ」
「だーいじょうぶですよ、誰もいませんから。それよりミイヤ様、私はもう少ししたら屋敷を辞めますから」
「え?なぜよ」
「もう仕事終わりましたし、他にもやることがあるんですよ」
「すぐに辞めたら怪しまれるんじゃない?」
「そうならないよう根回ししていくから大丈夫です」
その根回しは既にトローザーから指示されており、ミイヤひとりでやったように工作し、万一トローザーやキャロラ、その一派との繋がりかわかるものを残しているようならすべて処分するというものである。
ミイヤが犯人である証拠の品は、自然かつ容易に家人が見つけられるように細工しなくてはならない。
「別に急がなくてもいいのに」
「ありがとうございます。でもそうもいかないんですよ」
─沈むとわかっている泥舟なんかとは、とっととおさらばしなくちゃね─
ミイヤに見られないよう暗がりに向かい、ぺろりと舌を出したのが、監視をしていた者にはっきりと見られているのだが。
「考えていたより時間がかかりましたけど、上手くいって良かったです。あ!さっきの話ですけど、今日田舎から親が危篤だと手紙が来たから辞めるって筋書きです。もうミイヤ様の仕事はしませんから、屋敷の中でも声かけないでくださいよ!」
そう言うとメイドのエプロンを腰に巻き付けながら、部屋から出て行った。
「そうか。すぐに出て行くつもりか」
ミイヤたちのやりとりを見てきたニイズが、眉間を指先で揉みながら話す。
「あの二人から目を離さずに。メイドが屋敷を出ようとしたら捕縛して密かに地下牢へ。逃げられるなよ」
「おまかせ下さい」
ニイズは部下にセルを追わせ、自分はミイヤの監視に戻っていった。
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