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第3話
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そんなわけで式から七日の結婚休暇、ただの一度も屋敷に戻らなかったトーソルドだが、金を取りに行くついでに、使用人たちにアニエラを追い出す指示を与えようと屋敷に戻ってみると、何やら印象ががらりと変わっている。
花が飾られ、だからといって甘すぎない爽やかな香りが家を満たしている。
女性の笑い声が聞こえて、声を追って見るとアニエラが庭で花を摘んでいた。
「フン」
トーソルドはアニエラと顔を合わせる必要はないと、踵を返して屋敷に戻り、マイルスを探して歩く。
「おい、ヤミー」
「まあトーソルド様、どうなさいました?」
メイドのひとりに声をかけると、にこりともせず、おかえりなさいませと言うわけでもなく、冷たい目でどうした?と訊ねられる。
「どうしたも、私の屋敷に戻って何が悪い」
「おほほ。悪いなど一言も申しておりませんわ。そんなことをわざわざ仰られるなんて、何か後ろ暗いことでもおありでございますの?」
メイドはおほほと言いつつも、相変わらずにこりともしない。
それどころか真っ向から歯を剥いている。
しかし一体なぜだ?
自身が反感を買うことをトーソルドは疑問に思ったが、答えはわからなかった。
屋敷の使用人たちは若くして家同士の約束を果たすため、好きでもない男に嫁いできたアニエラに同情的だ。
気さくに使用人たちに混ざり、庭師と花の手入れをしたり、厨房で料理長と焼菓子作る可愛らしいアニエラを、みんなあっという間に好きになった。
いやいや結婚したのはトーソルドだけではない。
約束したはずの茶会も演劇もすっぽかし続けて、いつしか連絡さえしなくなり、挙げ句の果てに他に恋人を作るような男と結婚させられた、やさしく可憐なアニエラが気の毒でならなかった。アニエラを蔑ろにする主は敵!と言うメイドも現れたほどなのだ。
「それで、トーソルド様はなぜこちらにいらしたのですか?貴方様は先ほど、ご自分の屋敷と申されましたが、この屋敷にはご自分の大切な結婚を放り出して愛人の元に転がり込み、何日も戻らぬような主はおりませんけど」
花が飾られ、だからといって甘すぎない爽やかな香りが家を満たしている。
女性の笑い声が聞こえて、声を追って見るとアニエラが庭で花を摘んでいた。
「フン」
トーソルドはアニエラと顔を合わせる必要はないと、踵を返して屋敷に戻り、マイルスを探して歩く。
「おい、ヤミー」
「まあトーソルド様、どうなさいました?」
メイドのひとりに声をかけると、にこりともせず、おかえりなさいませと言うわけでもなく、冷たい目でどうした?と訊ねられる。
「どうしたも、私の屋敷に戻って何が悪い」
「おほほ。悪いなど一言も申しておりませんわ。そんなことをわざわざ仰られるなんて、何か後ろ暗いことでもおありでございますの?」
メイドはおほほと言いつつも、相変わらずにこりともしない。
それどころか真っ向から歯を剥いている。
しかし一体なぜだ?
自身が反感を買うことをトーソルドは疑問に思ったが、答えはわからなかった。
屋敷の使用人たちは若くして家同士の約束を果たすため、好きでもない男に嫁いできたアニエラに同情的だ。
気さくに使用人たちに混ざり、庭師と花の手入れをしたり、厨房で料理長と焼菓子作る可愛らしいアニエラを、みんなあっという間に好きになった。
いやいや結婚したのはトーソルドだけではない。
約束したはずの茶会も演劇もすっぽかし続けて、いつしか連絡さえしなくなり、挙げ句の果てに他に恋人を作るような男と結婚させられた、やさしく可憐なアニエラが気の毒でならなかった。アニエラを蔑ろにする主は敵!と言うメイドも現れたほどなのだ。
「それで、トーソルド様はなぜこちらにいらしたのですか?貴方様は先ほど、ご自分の屋敷と申されましたが、この屋敷にはご自分の大切な結婚を放り出して愛人の元に転がり込み、何日も戻らぬような主はおりませんけど」
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