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第24話 墓穴
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孤児院に入るとルミアスはこどもたちに、エルロールが持って来た菓子を勝手に配り始めた。
「ほら、くれてやるぞ。うれしいだろう」
「シルア様!勝手なことをなさらないでください!」
メリンダがすぐに注意したが、ルミアスは止めようとはしない。
「こんなに騒いでいるんだからいいだろう、ほら」
雑にぽんぽん放り投げるので、うまく受け取れる大きなこどもばかりが手にしていく。
「うぅ、ずるいよお」
小さなこどもたちが大合唱のように泣き始めると収拾がつかなくなってきた。
「だから止めてと言いましたのに。それを私に渡して」
こどもたちが既に抱え込んだ菓子をメリンダが回収していくが、抵抗するこどもも泣き始めて大変な騒ぎとなってしまった。
あまりの騒々しさに我慢できなくなったらしいルミアスが突然爆発する。
「う、うるさーいっ!泣くなガキどもっ」
その剣幕に、あれほど喚いていたこどもたちはぴたっと静かになった。と思ったら、さらに大きな声で今まで泣いていなかったこどもも一緒に泣き出してしまったのだ。
「うるさいうるさいうるさいっ!せっかく菓子を恵んでやろうとしたのに、なんてガキどもだ」
「まあ!シルア様、貴方そんな言い方酷いですわ」
メリンダの冷たい視線に、ルミアスは墓穴を掘ったことに気がつく。
「いや、違う、違うんだメリンダ」
「左様でございますか。何が違うのかは私にはわかりませんけれど。それから私のことを呼び捨てしてもよいなどと申したことは過去に遡っても一度もございませんわよね」
こどもたちも、怒りを放つメリンダに泣くのを忘れてしまっている。
「あ、あのメリンダ嬢、私も共におやつを集めるので、それから配り直しませんか」
膠着した状態に手を差し伸べたのはエルロールだった。
とても良いタイミング!
こどもたちもホッとした顔で、ルミアスからもらった菓子をおとなしくエルロールに返しに来た。そのひとりひとりの頭を、メリンダの真似をして「えらいぞ」と撫でてやると、皆がうれしそうに笑顔を見せる。
「みんなかわいいな」
何故か胸の奥から熱いものがこみ上げてきたエルロールは、そう独り言ちていた。
「ちょっと待っていてね、ちゃんと公平に分けてあげますから」
メリンダがこどもたちに言い聞かせると、ルミアスの前を通り過ぎてエルロールに籠を差し出した。
「エル様、一緒に分けてくださいますか?」
さっきまで自信満々でマウントを取りに来ていたルミアスを本人の自爆により蹴散らしたエルロールは、幸せな気持ちでメリンダと菓子を分け始めている。
往生際悪くまだ諦めていないルミアスは憮然としているが、その落差を離れて見ているテューダーは、大変に満足していた。
「ほら、くれてやるぞ。うれしいだろう」
「シルア様!勝手なことをなさらないでください!」
メリンダがすぐに注意したが、ルミアスは止めようとはしない。
「こんなに騒いでいるんだからいいだろう、ほら」
雑にぽんぽん放り投げるので、うまく受け取れる大きなこどもばかりが手にしていく。
「うぅ、ずるいよお」
小さなこどもたちが大合唱のように泣き始めると収拾がつかなくなってきた。
「だから止めてと言いましたのに。それを私に渡して」
こどもたちが既に抱え込んだ菓子をメリンダが回収していくが、抵抗するこどもも泣き始めて大変な騒ぎとなってしまった。
あまりの騒々しさに我慢できなくなったらしいルミアスが突然爆発する。
「う、うるさーいっ!泣くなガキどもっ」
その剣幕に、あれほど喚いていたこどもたちはぴたっと静かになった。と思ったら、さらに大きな声で今まで泣いていなかったこどもも一緒に泣き出してしまったのだ。
「うるさいうるさいうるさいっ!せっかく菓子を恵んでやろうとしたのに、なんてガキどもだ」
「まあ!シルア様、貴方そんな言い方酷いですわ」
メリンダの冷たい視線に、ルミアスは墓穴を掘ったことに気がつく。
「いや、違う、違うんだメリンダ」
「左様でございますか。何が違うのかは私にはわかりませんけれど。それから私のことを呼び捨てしてもよいなどと申したことは過去に遡っても一度もございませんわよね」
こどもたちも、怒りを放つメリンダに泣くのを忘れてしまっている。
「あ、あのメリンダ嬢、私も共におやつを集めるので、それから配り直しませんか」
膠着した状態に手を差し伸べたのはエルロールだった。
とても良いタイミング!
こどもたちもホッとした顔で、ルミアスからもらった菓子をおとなしくエルロールに返しに来た。そのひとりひとりの頭を、メリンダの真似をして「えらいぞ」と撫でてやると、皆がうれしそうに笑顔を見せる。
「みんなかわいいな」
何故か胸の奥から熱いものがこみ上げてきたエルロールは、そう独り言ちていた。
「ちょっと待っていてね、ちゃんと公平に分けてあげますから」
メリンダがこどもたちに言い聞かせると、ルミアスの前を通り過ぎてエルロールに籠を差し出した。
「エル様、一緒に分けてくださいますか?」
さっきまで自信満々でマウントを取りに来ていたルミアスを本人の自爆により蹴散らしたエルロールは、幸せな気持ちでメリンダと菓子を分け始めている。
往生際悪くまだ諦めていないルミアスは憮然としているが、その落差を離れて見ているテューダーは、大変に満足していた。
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