【完結】御令嬢、あなたが私の本命です!

やまぐちこはる

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外伝

第59話 タガが外れた婚約者 ─王妃とテューダー─

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 エルロールの恋を一生懸命にお膳立てしてきたテューダーだが、侯爵令嬢になったメリンダとエルロールを引き合わせる楽しいイベントを最後の最後、王妃に攫われてしまい落ち込んでいた。

「もう、テューダー様ってば!いざというときにだらしないのだから。でもこれでエルロール殿下が王太子間違いなしですわ!ねえ、テューダー様も王太子側近になられるのですから、俸給も上がったりお付き合いされる方々もさらに上の方となりますわよね?」

 婚約者のアリスが見るからに浮かれて、いろいろと訊いてくるのが落ち込むテューダーには煩わしい。

「俸給は変わらない。それにエル殿下が偉くなるならと言って、私が偉くなるわけじゃない」
「ええ?そんなことないですわ!私、おともだちに自慢してるんですのよ、王太子様の側近が婚約者だって。皆様すごーく羨ましがって、こう言っては何ですが浅ましいほど私に媚を売ってくるようになりましたの」

 ふふっと笑うアリスを見て、テューダーは腹立だしくなった。

 ─浅ましいのは自慢している君ではないか!─

 一言言うと三倍は言い返されて、アリスに口で勝つことはできないと経験で知ったテューダーは、言葉を飲み込んだ。
しかし腹の中では、吐き出せなかった言葉がどす黒くトグロを巻いている。

 アリスにマウントさせるため、エルが王太子になるわけでも、自分がその側近になったわけでもない!自分の婚約者でなければ、なんの力もない子爵の娘にすぎないというのに、なぜこんなに偉そうに人を見下すのだ!

 エルロールが婚約して以来、アリスに会うとそんな自慢話は増加の一途、テューダーの怒りは限界を超えようとしていた。

 母の言葉が頭に浮かんだが、客観的な証拠がなければ婚約の解消は許さないと言われている。

 ─本当にもう無理だ・・・─

 ふと思いつく。
これだけ自慢話をするのだ。
下に見た令嬢たちにどのように接しているのだろうと、テューダーはアリスの友人たちに探りを入れることにした。

 調べるのは簡単だった。

 ある日突然に手のひらを返したアリスは、まるで自分が偉くなったようにまわりの令嬢たちを下に見て、暴言を吐くようになったのだから。
暴言だけではない。茶会で男爵令嬢や同格の子爵令嬢であっても気に入らないことがあれば扇子で令嬢たちの手を叩いたり、酷いときには茶をかけたりもしていた。

 自分がやったことではないが、ある意味自分のせいでもあると、テューダーはひとりひとりに丁寧に頭を下げ謝罪して歩く。
 被害に遭った令嬢たち数名に頼むと、皆快く公証人の元での供述調書に協力してくれたので、両親に差し出した。

「王太子側近の婚約者としては品行不良ということで、解消の話を進めてください」

 公証人が作成した書類は、6人の令嬢からの証言が纏められ、各令嬢と後見人である父親、男爵や子爵のサインもされていた。

「これはひどいな」
「ええ。今でこれですもの。これで結婚などしたら、自分自身が王太子の、いずれは国王の側近だと勘違いした言動をしかねませんわ」
「ああ。それは容認できることではない」
「証言された御家門は皆様信用できる方々ですし、間違いないでしょう。傷は浅いうちに」
「もちろん裏は取るが」

 夫妻の相談が進む中、テューダーが手を挙げた。
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