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外伝 リリアンジェラ
可愛いらしい王女はニヤリと笑う14 ─リリアンジェラ─
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カテナはテューダーの元を訪れていた。
「ねえテュー兄様、メンジャー侯爵家のセラ嬢ってご存知?」
虎視眈々と第一王子エルロールを狙う令嬢であり、学院の同級生でもあったので、テューダー・ソグは勿論その名をよく知っている。
「ああ、彼女どうかしたのか?」
「・・・最近リリ様の噂、聞いたかしら?」
テューダーの口元がむにゅりと歪み、むにむにと動いている。
「どうだったかな」
笑いを堪えたその様子から、間違いなく知っているようだ。
「リリ様もちょっと失敗したと思っているんだから笑わないで!」
「笑ってないよ。ん?ということはあの噂はメンジャー令嬢がやっちまったのか?うわあ、それは恐れ知らずもいいところだな。しかしリリ様にしては詰めが甘かったんじゃないか?」
「御自分では仰らないけど、そう思っているのは間違いないわ」
「ふうん。それで私がメンジャー令嬢を知っていたらどうだと言うんだ?」
「何かね、仕返ししてやりたいらしくて」
「はあ?」
ふにゅっと笑う従兄弟を軽く睨む。
「そっかぁ。まあ、リリ様がやられっ放しを許すとは思えんが、あちらも結構執念深いから、どこかでどちらかが止めないと延々と続きかねないぞ」
「そうなんだけど。リリ様にやめろとは言えないじゃない。テュー兄様がリリ様にそう言ってくれる?」
「ばっ、バカ!そんなこと言えるわけないだろ」
「じゃあ一回だけ!リリ様のためにセラ嬢のとびっきりの何か調べてきて!完膚なきまでに凹ませられるようなやつを。テュー兄様は同じ学年だったのだから、誰か秘密を知っていそうな知り合いいるでしょ?」
口では絶対に敵わない女子ふたりの願いに、テューダーは簡単に負けた。
しかし人に知られないように隠しているのが秘密なのだから、ちょっと聞いたくらいで簡単にわかるわけがない!・・・と言いたくても言えないので、調べたフリはしようと一応同じクラスだった令嬢に声をかけてみた。
「「ソグ様、お久しぶりですわね」」
テューダーが呼び出したのは、比較的気安い間柄の元学友ニイナ・エブスとシュリ・ガラーンである。ふたりとも王宮で侍女見習いをしており、捕まえやすかった。
「ああ、忙しいところ時間を空けてくれて助かったよ」
「お話ってなんですの?」
「うん、メンジャー家のセラ嬢って知ってるだろう?」
「「ええ、もちろん」」
「何か、秘密とか知らないかな」
エイナとシュリは顔を見合わせた。
何か言いたそうな。
いきなり当たりを掴んだらしいと驚くテューダーだったが。
「「知らない」」
いや、その顔は絶対に何か知ってるだろとテューダーは確信した。
「教えてくれたら、そうだな。ソミー・リュンヌにスイーツを頼んでやる」
ソミー・リュンヌはエルロール王子専属のパティシエ。日々エルロールを喜ばせるためだけに様々なスイーツやドリンクを作り続けていて、その技術力の高さは有名だ。
「「うそ!」」
「本当だ。私からなら頼めるぞ」
ニイナとシュリも、それは疑っていない。王宮での侍女見習いで箔をつけ、ちょっと上の嫁ぎ先を探そうというふたりにとって、それを口にできる、たぶん一生に一度しかないチャンスだろう。
ニイナたちは互いの顔をチラチラと見ては首を振る。かと思うとまた視線を交わし、首を傾げて。
テューダーが焦れてきた頃、漸く頷きあって、ニイナが口を開いた。
「ねえテュー兄様、メンジャー侯爵家のセラ嬢ってご存知?」
虎視眈々と第一王子エルロールを狙う令嬢であり、学院の同級生でもあったので、テューダー・ソグは勿論その名をよく知っている。
「ああ、彼女どうかしたのか?」
「・・・最近リリ様の噂、聞いたかしら?」
テューダーの口元がむにゅりと歪み、むにむにと動いている。
「どうだったかな」
笑いを堪えたその様子から、間違いなく知っているようだ。
「リリ様もちょっと失敗したと思っているんだから笑わないで!」
「笑ってないよ。ん?ということはあの噂はメンジャー令嬢がやっちまったのか?うわあ、それは恐れ知らずもいいところだな。しかしリリ様にしては詰めが甘かったんじゃないか?」
「御自分では仰らないけど、そう思っているのは間違いないわ」
「ふうん。それで私がメンジャー令嬢を知っていたらどうだと言うんだ?」
「何かね、仕返ししてやりたいらしくて」
「はあ?」
ふにゅっと笑う従兄弟を軽く睨む。
「そっかぁ。まあ、リリ様がやられっ放しを許すとは思えんが、あちらも結構執念深いから、どこかでどちらかが止めないと延々と続きかねないぞ」
「そうなんだけど。リリ様にやめろとは言えないじゃない。テュー兄様がリリ様にそう言ってくれる?」
「ばっ、バカ!そんなこと言えるわけないだろ」
「じゃあ一回だけ!リリ様のためにセラ嬢のとびっきりの何か調べてきて!完膚なきまでに凹ませられるようなやつを。テュー兄様は同じ学年だったのだから、誰か秘密を知っていそうな知り合いいるでしょ?」
口では絶対に敵わない女子ふたりの願いに、テューダーは簡単に負けた。
しかし人に知られないように隠しているのが秘密なのだから、ちょっと聞いたくらいで簡単にわかるわけがない!・・・と言いたくても言えないので、調べたフリはしようと一応同じクラスだった令嬢に声をかけてみた。
「「ソグ様、お久しぶりですわね」」
テューダーが呼び出したのは、比較的気安い間柄の元学友ニイナ・エブスとシュリ・ガラーンである。ふたりとも王宮で侍女見習いをしており、捕まえやすかった。
「ああ、忙しいところ時間を空けてくれて助かったよ」
「お話ってなんですの?」
「うん、メンジャー家のセラ嬢って知ってるだろう?」
「「ええ、もちろん」」
「何か、秘密とか知らないかな」
エイナとシュリは顔を見合わせた。
何か言いたそうな。
いきなり当たりを掴んだらしいと驚くテューダーだったが。
「「知らない」」
いや、その顔は絶対に何か知ってるだろとテューダーは確信した。
「教えてくれたら、そうだな。ソミー・リュンヌにスイーツを頼んでやる」
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ニイナたちは互いの顔をチラチラと見ては首を振る。かと思うとまた視線を交わし、首を傾げて。
テューダーが焦れてきた頃、漸く頷きあって、ニイナが口を開いた。
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