【完結】御令嬢、あなたが私の本命です!

やまぐちこはる

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外伝 リリアンジェラ

可愛いらしい王女はニヤリと笑う16 ─リリアンジェラ─

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 テューダーは、カテナやリリアンジェラに知られる前に、まずソージェ・ゴルマスのところへ向かった。
 ノックをして、ひょこっと顔を覗かせると。

「テューダーではないか、どうしたそんなところで」
「ソージェ様に見てほしいものがあるんです」

 ソージェの執務室に入ると、チュリンヌから預かった例の文集とノートをその机に広げる。

「ん?これは文集か」
「はい、この作文とこちらを読み比べてみてほしいんです」

 ソージェは何も訊ねずにモノクルをかけて読み始めた。まず文集を、そしてチュリンヌのノートを。
 途中から明らかに顔が顰められていく。

「おいテューダー、これは何だ?同じ作者の手直しにしては文集の作品はちぐはぐな印象が残る。急に下手になったような」

 はぁ、とため息をついたテューダーが両手をあげる。

「さすがですね。私はただ同じ文章だとしかわかりませんでしたよ。こちらのノートのを書いた人が文集に載った作品は盗作された物だと訴えていたそうなんです」
「うむ、そうか。・・・この出来なら納得できてしまうな。というか、教師は何故この作品を優秀だと選んだのだろうな」
「そんなに酷いんですか?」
「ああ、テューダーにはわからんか?」
「わからなかったから、ソージェ様にお持ちしたんですよ」

 テューダーの言葉はソージェのプライドを擽った。

「それで、盗作と訴えたその後は?」
「それが考えすぎだと教師にあしらわれたそうなんです。それってどういうことだと思います?」

 ソージェはわかりやすく不快な表情を浮かべ、断言した。

「こちらの者に買収されたのだろう」
「はぁ、やっぱりそうかぁ」
「テューダーもわかっていて訊いたのか」
「状況を聞いて、何となくそうかなって」
「これは由々しき事態だな。文集に作品を載せることが一部の者にとって、どれほど大切なことか」

 怒りを熱く語るソージェと、面倒くさいことになったと困り果てるテューダーの表情には、奇しくも似通った何かがあった。

「これは私が調べよう」
「本当に?助かります!」

  テューダーはできれば王女にもメンジャー令嬢にも関わりたくない。ソージェに任せることができるなら、ありがたやーというものである。丁寧に頭を下げ、礼を言った。

「ありがとうございます、よろしくお願いします」






 テューダーはエルロールの執務室に机を置いて、ともに執務に当たっている。独身で寝食を共にする側近たちは、主と同じフロアに部屋を持たされるものだが、テューダーもエルロールの部屋の並びに私室を与えられている。
 執務室に戻る途中、カテナに捕まえられた。


「テュー兄様、この前のお話どうなりました?」
「まだ調査中だ。ひとの秘密がそんなに簡単にわかったら、苦労はしないんだよ」

 そう言ってデコピンし、とっとと逃げ出す。
 今中途半端な調査で漏らすわけにはいかないのだ。ソージェが証拠を固めてきたら、ただの噂ではなく買収事件として立件され、それに関わりのある学院教師数名とメンジャー令嬢・・・は間違いなく処罰を受けることになる。
 メンジャー侯爵や夫人が関わっていたとしたら、その罰はより重くなるだろう。
 どちらにしても良い気分ではないが、意図せず動き出してしまったから、エルロールには報告しなくては、と。

「エル、ちょっと報告しておきたいことがあるんだ」
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