【完結】御令嬢、あなたが私の本命です!

やまぐちこはる

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外伝 リリアンジェラ

可愛いらしい王女はニヤリと笑う18 ─リリアンジェラ─

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 エルロールはセラが流したリリアンジェラの噂を払拭する手立ても打った。
 第一王子派の貴族令嬢たちから、否定するのではなく、止むに止まれぬ事情で王族として注意したにも関わらず、悪意ある噂を流された王女が気の毒だと広めさせたのだ。
 そしてその後に、メンジャー令嬢の盗作という醜聞が明らかになれば、誰の目にもそれが繋がって理解されるだろう。
 エルロールは手練手管は得手ではないが、流石にメンジャー侯爵家に対して腹に据えかねていた。


「ねえテュー兄様、リリ様に何かお伝えしたいのだけど」
「と言われても、まだ話せることがないんだよ。でも必ずリリ様がスッキリする結末になるからとお伝えしてくれ」
「えー、ちょっとそれ違うのじゃないかしら?リリ様は自分の手でセラ嬢にしっぺ返ししたいのよ、誰かの手でスッキリさせてもらいたいわけじゃないのに」

 カテナに睨まれても、既にちょっとやられたからやり返すという段階ではないのだ。処罰を与えるため、すべての調査が終わるまではこちらの動きを知られてもダメ。

「ううむ。では私がリリ様に説明する。訪問のお約束をカテナに頼んでもいいか?」
「え?テュー兄様が?」
「ああ。直接話す」




 テューダーの来訪は、カテナによりすぐリリアンジェラに伝えられた。

「テューダーが?いいわ。明日と言いたいけど早く聞きたいから晩餐の前に寄ってと伝えて」

 時間をこじ開けた王女の元に、現れた兄王子の側近は少しピリピリしているようだ。
カテナはもう帰宅しており、リリアンジェラとイルスラが待ち受けている。


「カテナの頼みでメンジャー侯爵令嬢の身辺を調べたところ、法に触れる行いがあったことが判明しました」
「え?嘘?そっち?」
「はい。ゴルマス侯爵と私が調査に当たっており、現時点では証拠の隠滅を防ぐために秘されております故、ご理解ください」

 リリアンジェラはイルスラを見た。
その目は戸惑いを隠さない。

「法に触れたと言っても買収ですので、処罰されても罰金と数年の勤労奉仕くらいで済むと思われますが、侯爵令嬢としての普通の暮らしは望めなくなるでしょう」

 冷静に、淡々と話すテューダーは、リリアンジェラが良く知る、強気で来られるとすぐ降参するいつものテューダーとは違う顔をしていた。

「買収って誰を何のために?」

 イルスラが疑問を口にする。

「国が編纂する文集に自分の作文を載せるため。しかも、それには盗作疑惑があります」
「「まあ!」」

リリアンジェラの腹立ち紛れの仕返し計画は、瓢箪から大きな駒を吐き出したのだった。
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