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娘がエルシドで土地を買う契約を交わすと聞いたカーライル・エンダライン侯爵は、法務に明るい者を使者として遣わした。
「パルティア様、契約書の不備がないか私めが確認致しますのでご安心下さい」
アレクシオスやそれぞれの護衛、侍女侍従も付き添い、とても不正などできっこない圧力が売主にかかっていたが、念には念を入れて確認の上調印する。
「代金はこちらで」
パルティアが約束手形を切って渡す。
「では支払いをもって、あの土地はご令嬢の持ち物となります故ご承知おきください」
「思いついてから土地を手に入れるまで僅か六日!凄まじい行動力だなパルティア様は」
アレクシオスが呆れたような口調で褒めると、けろりとした顔でパルティアが答える。
「お認めいただいて光栄ですわ」
そう、アレクシオスではきっと、やってみたいと思いつくことがあってもなかなか動くことができないだろう。
慎重・・・と言えば聞こえは良いが。
「次は設計と大工工房を探さなくてはなりませんわ!」
パルティアは、地元エルシドの者にすべて任せると決めている。ここに金を落としてやることも大きな目的なので、自領から人を連れてくれば簡単だがそれをするつもりは毛頭なかったが。
親しい地元の娘たちに大工を紹介してもらうも、貴族向けの建物など経験がないと尻込みされ、しかたなく設計と現場監督だけは領地から呼び寄せ、地元大工に実際の工事を行わせるというやり方に落ち着いた。
家具も同じように意匠は別に、制作を現地工房にしたが、リネンなどの貴族グレードの高級品を扱える商会が見つからない。訊くとこちらで療養する貴族はすべてを持ち込んでくるため必要がなく、取り扱うところがないそうだ。
困り果てていたとき、アレクシオスが地元の商会を買い取り、公爵家出入りの商会に口を利いて卸売りをさせ、必要なものが流通するように手配を整えた。
アレクシオスがオーナーだが、実質的な商会長、使用人もすべてそのまま。
ただ資金が潤沢になり、看板が公爵ブランドになっただけだからとアレクシオスに言われた商会長以下使用人たちは最初まったく信用していなかった。
特に商会長は、資金繰りに失敗したすきを狙われたと感じて、今までと同じように自分が差配できるなどとは思っていない。
しかし品性を落とすことさえなければ、パルティアに必要なものの仕入れ以外好きに商売して良い、俸給は頑張った分反映させるときちんと契約書を交わしたことで、皆のアレクシオスを見る目が変わった。
「アレクシオス様!すごいわ、よく思いつかれましたわね」
パルティアに褒められて、照れくさそうに身をよじる。
「いや、私もただ出資する以外に何かやってみようと思うようになったんだ。パルティア様に負けてはいられないから」
繊細で優柔不断な優男だったアレクシオスは、パルティアを見習って自らの足で歩いていた。
これに喜んだのは、息子を溺愛するランバルディである。
良家の婿入り先を失って、カーライルに婿入りさせろと暗に圧力をかけたが、そんな親の意向に関係なくアレクシオスに良い影響を与えるパルティア・エンダラインという令嬢が、気になってしかたない。
「ロメス!」
執事を呼ぶと、エルシドに行くから支度をするように申しつけた。
「パルティア様、契約書の不備がないか私めが確認致しますのでご安心下さい」
アレクシオスやそれぞれの護衛、侍女侍従も付き添い、とても不正などできっこない圧力が売主にかかっていたが、念には念を入れて確認の上調印する。
「代金はこちらで」
パルティアが約束手形を切って渡す。
「では支払いをもって、あの土地はご令嬢の持ち物となります故ご承知おきください」
「思いついてから土地を手に入れるまで僅か六日!凄まじい行動力だなパルティア様は」
アレクシオスが呆れたような口調で褒めると、けろりとした顔でパルティアが答える。
「お認めいただいて光栄ですわ」
そう、アレクシオスではきっと、やってみたいと思いつくことがあってもなかなか動くことができないだろう。
慎重・・・と言えば聞こえは良いが。
「次は設計と大工工房を探さなくてはなりませんわ!」
パルティアは、地元エルシドの者にすべて任せると決めている。ここに金を落としてやることも大きな目的なので、自領から人を連れてくれば簡単だがそれをするつもりは毛頭なかったが。
親しい地元の娘たちに大工を紹介してもらうも、貴族向けの建物など経験がないと尻込みされ、しかたなく設計と現場監督だけは領地から呼び寄せ、地元大工に実際の工事を行わせるというやり方に落ち着いた。
家具も同じように意匠は別に、制作を現地工房にしたが、リネンなどの貴族グレードの高級品を扱える商会が見つからない。訊くとこちらで療養する貴族はすべてを持ち込んでくるため必要がなく、取り扱うところがないそうだ。
困り果てていたとき、アレクシオスが地元の商会を買い取り、公爵家出入りの商会に口を利いて卸売りをさせ、必要なものが流通するように手配を整えた。
アレクシオスがオーナーだが、実質的な商会長、使用人もすべてそのまま。
ただ資金が潤沢になり、看板が公爵ブランドになっただけだからとアレクシオスに言われた商会長以下使用人たちは最初まったく信用していなかった。
特に商会長は、資金繰りに失敗したすきを狙われたと感じて、今までと同じように自分が差配できるなどとは思っていない。
しかし品性を落とすことさえなければ、パルティアに必要なものの仕入れ以外好きに商売して良い、俸給は頑張った分反映させるときちんと契約書を交わしたことで、皆のアレクシオスを見る目が変わった。
「アレクシオス様!すごいわ、よく思いつかれましたわね」
パルティアに褒められて、照れくさそうに身をよじる。
「いや、私もただ出資する以外に何かやってみようと思うようになったんだ。パルティア様に負けてはいられないから」
繊細で優柔不断な優男だったアレクシオスは、パルティアを見習って自らの足で歩いていた。
これに喜んだのは、息子を溺愛するランバルディである。
良家の婿入り先を失って、カーライルに婿入りさせろと暗に圧力をかけたが、そんな親の意向に関係なくアレクシオスに良い影響を与えるパルティア・エンダラインという令嬢が、気になってしかたない。
「ロメス!」
執事を呼ぶと、エルシドに行くから支度をするように申しつけた。
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