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上昇の波に乗るエンダラインとは反対に、オートリアスとエイリズを勘当したベンベロー侯爵家、ライラを修道院に入れたシリドイラ侯爵家はランバルディから強い圧をかけられ続け、落ちぶれる一方であった。
両家とも高額な慰謝料を払い、領地の一部を手放す羽目になっただけではない。一時、地位を投げ売った純愛と持て囃された分、アレクシオスたちの小説が出て、世間の見方が変わったあとの掌返しが凄まじかったのだ。
ゾーナ・べンベロー侯爵は責任を取り、嫡男アルセイドに爵位を譲ると言ったが、はっきりと拒否された。
「こんな時にふざけるのはやめてもらいたい!何が責任取るだ、私に押し付けるだけではありませんか。誰もこんな醜聞まみれの爵位などいりませんよ。もとは父上たちがオートリアスやエイリズを甘やかしたせいではありませんか!私にはあれほど厳しかったというのに。
爵位を譲るなら、ご自身で立て直して清廉潔白なベンベローに戻してからにしてください」
自分でもわかっている。
しかし怒り狂った長男にここまではっきり言われ、ゾーナは酷く落ち込んだ。
社交界でも冷たくあしらわれている。
人の口に戸は立てられないもの。三男が次男を陥れてエンダライン家を我が物にしようとしたと。そして次男はうまうまと騙された挙げ句、婚約者を裏切り駆け落ちという体たらくは、いつしか盲の恋に落ちた愚か者とその地位を狙った強欲な兄弟と囁かれるようになった。
アルセイドは社交界を嫌い、屋敷に引きこもるようになった。
婚約者にも見切りをつけられたが、構う素振りも見せず、最近は食事も部屋に運ばせてまったく部屋から出てこない。
「なぜ、どこで間違えたのだろう」
どれほど考えてもアルセイドが言うほど下の二人を甘やかした記憶はない。
同じように育てたはずなのに、なぜこんなにも行く道が変わってしまったのかと、わからないままに頭を垂れ、後悔した。
先に捕縛されたエイリズを銀山にやり、オートリアスも同じところに送ってやった。
すると銀山の責任者からすぐ連絡がきた。
「オートリアスを他へやってくれ」
オートリアスがエイリズを殺めそうになったと。エイリズは重症を負いしばらく働けないが、それより皆がオートリアスに怯えてともに山に入るのを嫌がるから仕事にならないと言う。
ゾーナにもオートリアスの気持ちがわからないでもない。
エイリズが邪な企てをしなければ、今パルティアの隣にいたのはオートリアスだったのだから。
「しかし、それをやってはダメだ。仕方ないな」
オートリアスを深く、それにしては採掘量が少ない金山にやることにした。
元は活気のある山だったが、いつしか採れる量が少なくなり、最近は万一また以前のような鉱脈が見つからないかという僅かな期待で細々と掘るだけのところである。
エイリズの見舞いに行くわけでもなく、兄弟を引き離す手配をして満足する。
このふたりが掘った程度では払った慰謝料の何百万分の一にしかなりそうにないが、二度と顔を見ずに済むならそれで十分だと、ゾーナはいつの間にか我が子より我が身の保身だけが大事になっていた。
両家とも高額な慰謝料を払い、領地の一部を手放す羽目になっただけではない。一時、地位を投げ売った純愛と持て囃された分、アレクシオスたちの小説が出て、世間の見方が変わったあとの掌返しが凄まじかったのだ。
ゾーナ・べンベロー侯爵は責任を取り、嫡男アルセイドに爵位を譲ると言ったが、はっきりと拒否された。
「こんな時にふざけるのはやめてもらいたい!何が責任取るだ、私に押し付けるだけではありませんか。誰もこんな醜聞まみれの爵位などいりませんよ。もとは父上たちがオートリアスやエイリズを甘やかしたせいではありませんか!私にはあれほど厳しかったというのに。
爵位を譲るなら、ご自身で立て直して清廉潔白なベンベローに戻してからにしてください」
自分でもわかっている。
しかし怒り狂った長男にここまではっきり言われ、ゾーナは酷く落ち込んだ。
社交界でも冷たくあしらわれている。
人の口に戸は立てられないもの。三男が次男を陥れてエンダライン家を我が物にしようとしたと。そして次男はうまうまと騙された挙げ句、婚約者を裏切り駆け落ちという体たらくは、いつしか盲の恋に落ちた愚か者とその地位を狙った強欲な兄弟と囁かれるようになった。
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婚約者にも見切りをつけられたが、構う素振りも見せず、最近は食事も部屋に運ばせてまったく部屋から出てこない。
「なぜ、どこで間違えたのだろう」
どれほど考えてもアルセイドが言うほど下の二人を甘やかした記憶はない。
同じように育てたはずなのに、なぜこんなにも行く道が変わってしまったのかと、わからないままに頭を垂れ、後悔した。
先に捕縛されたエイリズを銀山にやり、オートリアスも同じところに送ってやった。
すると銀山の責任者からすぐ連絡がきた。
「オートリアスを他へやってくれ」
オートリアスがエイリズを殺めそうになったと。エイリズは重症を負いしばらく働けないが、それより皆がオートリアスに怯えてともに山に入るのを嫌がるから仕事にならないと言う。
ゾーナにもオートリアスの気持ちがわからないでもない。
エイリズが邪な企てをしなければ、今パルティアの隣にいたのはオートリアスだったのだから。
「しかし、それをやってはダメだ。仕方ないな」
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エイリズの見舞いに行くわけでもなく、兄弟を引き離す手配をして満足する。
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