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65話 ドレインの罠
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ローズリーの安全を確保したドレインは、何が何でも手柄をたてるためにエランディアの調査を開始した。
今までのような自らの張り込みではない。
自前で罠に掛けることにしたのだ。
ジメンクス伯爵家よりもっと魅力的な餌を、強欲で野心家のエランディアに与えるのである。
「別れさせ屋に会ってみたいんだが」
子飼いの情報屋ガナリーに頼み込む。
別れさせ屋とは、その名の通り、依頼主にとって不都合な恋を引き裂きたいという願いを叶える裏稼業である。
依頼した者はその別れが計画されたものと知られぬよう決して口を開くことはないが、国の調査官を務めるドレインはそれを生業にする者の噂を聞いたことがあった。
「何人か心当たりはありますがね」
「そうか。では一番腕利きの男に繋いでくれないか」
そうしてトロワーは、自分の信頼を回復するために結構な額を自腹で工面し、情報屋が一番だと勧める男トリュースと会うことになった。
「あなたが私をお呼びになったロワー様ですか?」
「ああ、よろしく頼む」
「トリュースと言います、よろしく」
破壊力抜群の美貌の金髪碧眼が、待ち合わせのカフェの個室に現れた。
ドレインはたいして変わらない偽名を名乗る、どうせ別れさせ屋も偽名だろう。
握手はせずに、ドレインの向かいの席に座って視線をかち合わせると、困ったように切り出した。
「ガナリー様の紹介ゆえ参りましたが、申し訳ないのですが、私は貴族様の話はお断りしているのです」
「貴族?」
「ええ、貴族様でいらっしゃいますよね」
「・・・・・まあ、伯爵家の末端ではあるが。しかし何故貴族は駄目なのか理由を聞いても?」
「それは勿論、平民如きが貴族様を騙して恋人と別れさせたなどと知れたら、手打ちにされても逆らえませんから。自分の身を守るためにでございます」
ドレインは怪訝な顔をした。
「平民?貴殿がか?」
これほどに貴族らしい容貌もそうはいない。
その顔立ちに見覚えもあった。
「ええ、家名を持たぬ平民です」
キッパリと言われて、ドレインの深掘りは道を閉ざされるのだった。
「とりあえず話を聞くだけでも聞いてもらえないだろうか、相手の女は平民だ」
必死に頼み込む。
ドレインがよく知るエランディアは見栄っ張りなので、これほどの美形なら、たとえトリュースに金がなくとも連れ歩きたいと思うはずだ。
「頼む、頼みます!」
勢いあるしつこさに負けたのか、トリュースは渋々というように小さく頷いてくれる。
「わかりました。引き受けると約束はできませんが。・・・・私への依頼とは?」
「では私は隣国メストン王国のソルガン侯爵とやらの子息になりすまし、そのエランディアというメイドを誑かしてアレン・ジメンクスから引き剥がすのですね」
仕事の説明を終えると、トリュースがアレンを呼び捨てた物言いが実に不遜だと、ドレインは気がついた。
「ロワー様はどちら側の方ですか?」
「どちら側とは?」
「ジメンクス家が平民女と手を切らせたいのか、平民女がアレンにおそれをなして別れたがっているのか」
合点がいったドレインは首を横に振る。
「どちらでもない。友人が二股とは知らずに女と付き合っていてね」
「ああ、それを見かねて?そうですか。そういう話ならお引き受けしましょう」
今までのような自らの張り込みではない。
自前で罠に掛けることにしたのだ。
ジメンクス伯爵家よりもっと魅力的な餌を、強欲で野心家のエランディアに与えるのである。
「別れさせ屋に会ってみたいんだが」
子飼いの情報屋ガナリーに頼み込む。
別れさせ屋とは、その名の通り、依頼主にとって不都合な恋を引き裂きたいという願いを叶える裏稼業である。
依頼した者はその別れが計画されたものと知られぬよう決して口を開くことはないが、国の調査官を務めるドレインはそれを生業にする者の噂を聞いたことがあった。
「何人か心当たりはありますがね」
「そうか。では一番腕利きの男に繋いでくれないか」
そうしてトロワーは、自分の信頼を回復するために結構な額を自腹で工面し、情報屋が一番だと勧める男トリュースと会うことになった。
「あなたが私をお呼びになったロワー様ですか?」
「ああ、よろしく頼む」
「トリュースと言います、よろしく」
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ドレインはたいして変わらない偽名を名乗る、どうせ別れさせ屋も偽名だろう。
握手はせずに、ドレインの向かいの席に座って視線をかち合わせると、困ったように切り出した。
「ガナリー様の紹介ゆえ参りましたが、申し訳ないのですが、私は貴族様の話はお断りしているのです」
「貴族?」
「ええ、貴族様でいらっしゃいますよね」
「・・・・・まあ、伯爵家の末端ではあるが。しかし何故貴族は駄目なのか理由を聞いても?」
「それは勿論、平民如きが貴族様を騙して恋人と別れさせたなどと知れたら、手打ちにされても逆らえませんから。自分の身を守るためにでございます」
ドレインは怪訝な顔をした。
「平民?貴殿がか?」
これほどに貴族らしい容貌もそうはいない。
その顔立ちに見覚えもあった。
「ええ、家名を持たぬ平民です」
キッパリと言われて、ドレインの深掘りは道を閉ざされるのだった。
「とりあえず話を聞くだけでも聞いてもらえないだろうか、相手の女は平民だ」
必死に頼み込む。
ドレインがよく知るエランディアは見栄っ張りなので、これほどの美形なら、たとえトリュースに金がなくとも連れ歩きたいと思うはずだ。
「頼む、頼みます!」
勢いあるしつこさに負けたのか、トリュースは渋々というように小さく頷いてくれる。
「わかりました。引き受けると約束はできませんが。・・・・私への依頼とは?」
「では私は隣国メストン王国のソルガン侯爵とやらの子息になりすまし、そのエランディアというメイドを誑かしてアレン・ジメンクスから引き剥がすのですね」
仕事の説明を終えると、トリュースがアレンを呼び捨てた物言いが実に不遜だと、ドレインは気がついた。
「ロワー様はどちら側の方ですか?」
「どちら側とは?」
「ジメンクス家が平民女と手を切らせたいのか、平民女がアレンにおそれをなして別れたがっているのか」
合点がいったドレインは首を横に振る。
「どちらでもない。友人が二股とは知らずに女と付き合っていてね」
「ああ、それを見かねて?そうですか。そういう話ならお引き受けしましょう」
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