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14話 緊張
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俺は緊張していた。非常に緊張していた。こんなに緊張するのはいつぶりだろう。もしかしたら第一志望の高校の試験会場で、緊張のあまり突然の腹痛に襲われていた時以来の緊張度かもしれない。
とはいっても、高校受験の時とは違って不安よりも期待の方が圧倒的に勝っている心地良い緊張感だけどね。
あ、ちなみに結局第一志望の高校に合格することはできませんでした。そしてなんとか合格できた第二志望の高校で花音に出会い彼女に一目惚れし、三年間片思いを続けたものの結局はうまくいかず現在に至る。
そう考えると俺の人生って順風満帆に見えて意外と失敗や挫折も結構あったんだなと思う。まあ、客観的に見れば別に大した試練ではないと思うけど。
そんなことはどうでも良いか。それよりもなぜ俺が今、緊張しているのかという話だよね。
……それはね、これから彩華さんとデートをする予定だから。
もう今日で三回目のデートなのにどうして緊張しているのか。それは本日のデートの場所がなんと彩華さんの部屋だから。
……まさか彩華さんの自宅に上がる日が来るなんて。しかもこんなに早く。信じられないくらい嬉しいけど、でも同時にものすごく緊張する。
とはいっても、いつまでも彩華さんのマンションのエントランスでソワソワしている訳にもいかないので、俺は勇気を出して彩華さんの部屋番号を入力し、呼び出しボタンを押した。
『はーい♪』
「……こんにちは」
インターホン越しに聞こえてきた彩華さんの声は、いつもの楽しそうなものだった。それに比べ俺の声は、明らかに緊張が滲み出ている情けないものだった。
次の瞬間、マンションの正面玄関の自動ドアが開いた。俺は意味もなく慎重な足取りで、開かれた自動ドアを目指して歩き始めた。
彩華さんの部屋に到着して数時間後。俺は先ほどの緊張が嘘だったようにリラックスしていた。俺がリラックスできるようにと彩華さんがいろいろ配慮してくれたからだと思う。
彩華さんは俺のことをちゃんとお客さんとしてもてなしてくれたけど、同時に「いつもの部屋に来ている人が今日も遊びに来てくれた」といった感じで接してくれた。本人もいつもと全く変わらない自然体だったし。
だからあっという間に俺の緊張はどこかに飛んでいって、気が付いたら俺も「いつも遊びに来ている部屋に今日も来た」という感覚になっていた。
「そういえばさ、最近なんかあった?」
ソファーでくつろぎながらスマホをいじっていた彩華さんは、俺がお手洗いから戻ってきたのを確認してふとそんな言葉をかけてきた。
「えっ? なんで? 特別なことは何もないけど」
いや、数か月前まで片思いしていた相手に付きまとわれているのは特別なことと言えば特別なことなのか。
「そう? それならいいけど」
「なんでそう思ったの?」
「なんとなく、かな」
女の勘ってすげぇ! たぶん彩華さん、俺が花音のことでちょっと困っているのを感じ取ってるんだ。いや待ってよ。もしかしたら彩華さんの勘がすごいんじゃなくて俺が分かりやすいのかな?
そう言えばこの前彩華さんとお出かけした日、彩華さんが少し席を外した際に自分のスマホ確認したら花音からのメッセージが何件も届いていて微妙な顔してるのを彩華さんに見られたっけ。
「あー、でも最近、大学でちょっとだけ面倒なことに巻き込まれてるかもしれない。でも別にトラブルとかじゃないから安心して」
なるべく彩華さんが心配しないような言い方を選ぼうとしたら花音のことを「面倒なこと」と表現してしまった。さすがにちょっと申し訳ないな。
「うん、わかった。でも何かあったらいつでも相談してね。まあ、相談してくれたところであまりお役には立てない自信があるけど」
そう言って彩華さんはふふっと笑ってみせた。
そしてその笑顔を見た瞬間、俺はなんとも言えない安心感と幸福感に包まれ、やっぱり自分は彩華さんのことが好きだと改めて強く感じていた。
とはいっても、高校受験の時とは違って不安よりも期待の方が圧倒的に勝っている心地良い緊張感だけどね。
あ、ちなみに結局第一志望の高校に合格することはできませんでした。そしてなんとか合格できた第二志望の高校で花音に出会い彼女に一目惚れし、三年間片思いを続けたものの結局はうまくいかず現在に至る。
そう考えると俺の人生って順風満帆に見えて意外と失敗や挫折も結構あったんだなと思う。まあ、客観的に見れば別に大した試練ではないと思うけど。
そんなことはどうでも良いか。それよりもなぜ俺が今、緊張しているのかという話だよね。
……それはね、これから彩華さんとデートをする予定だから。
もう今日で三回目のデートなのにどうして緊張しているのか。それは本日のデートの場所がなんと彩華さんの部屋だから。
……まさか彩華さんの自宅に上がる日が来るなんて。しかもこんなに早く。信じられないくらい嬉しいけど、でも同時にものすごく緊張する。
とはいっても、いつまでも彩華さんのマンションのエントランスでソワソワしている訳にもいかないので、俺は勇気を出して彩華さんの部屋番号を入力し、呼び出しボタンを押した。
『はーい♪』
「……こんにちは」
インターホン越しに聞こえてきた彩華さんの声は、いつもの楽しそうなものだった。それに比べ俺の声は、明らかに緊張が滲み出ている情けないものだった。
次の瞬間、マンションの正面玄関の自動ドアが開いた。俺は意味もなく慎重な足取りで、開かれた自動ドアを目指して歩き始めた。
彩華さんの部屋に到着して数時間後。俺は先ほどの緊張が嘘だったようにリラックスしていた。俺がリラックスできるようにと彩華さんがいろいろ配慮してくれたからだと思う。
彩華さんは俺のことをちゃんとお客さんとしてもてなしてくれたけど、同時に「いつもの部屋に来ている人が今日も遊びに来てくれた」といった感じで接してくれた。本人もいつもと全く変わらない自然体だったし。
だからあっという間に俺の緊張はどこかに飛んでいって、気が付いたら俺も「いつも遊びに来ている部屋に今日も来た」という感覚になっていた。
「そういえばさ、最近なんかあった?」
ソファーでくつろぎながらスマホをいじっていた彩華さんは、俺がお手洗いから戻ってきたのを確認してふとそんな言葉をかけてきた。
「えっ? なんで? 特別なことは何もないけど」
いや、数か月前まで片思いしていた相手に付きまとわれているのは特別なことと言えば特別なことなのか。
「そう? それならいいけど」
「なんでそう思ったの?」
「なんとなく、かな」
女の勘ってすげぇ! たぶん彩華さん、俺が花音のことでちょっと困っているのを感じ取ってるんだ。いや待ってよ。もしかしたら彩華さんの勘がすごいんじゃなくて俺が分かりやすいのかな?
そう言えばこの前彩華さんとお出かけした日、彩華さんが少し席を外した際に自分のスマホ確認したら花音からのメッセージが何件も届いていて微妙な顔してるのを彩華さんに見られたっけ。
「あー、でも最近、大学でちょっとだけ面倒なことに巻き込まれてるかもしれない。でも別にトラブルとかじゃないから安心して」
なるべく彩華さんが心配しないような言い方を選ぼうとしたら花音のことを「面倒なこと」と表現してしまった。さすがにちょっと申し訳ないな。
「うん、わかった。でも何かあったらいつでも相談してね。まあ、相談してくれたところであまりお役には立てない自信があるけど」
そう言って彩華さんはふふっと笑ってみせた。
そしてその笑顔を見た瞬間、俺はなんとも言えない安心感と幸福感に包まれ、やっぱり自分は彩華さんのことが好きだと改めて強く感じていた。
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