三年間片思いしていた同級生に振られたら、年上の綺麗なお姉さんにロックオンされた話

羽瀬川ルフレ

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彩華ルート

32話 揉む

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 幸せな時間はあっという間に過ぎていく。気が付いたら俺は就職活動に本腰を入れなければならない学年になっていた。

 大学入学から続けてきたイル・マーレでのバイトも一旦やめて、俺は就職活動に専念することにした。

 一時期はイル・マーレに就職して、いつか自分の店を持つことを目指すという将来も真剣に検討したんだけど……。

 自分自身がシェフとしてやっていけるほどその道に向いているかどうか確信が持てなかったことと、できるだけ早い段階で高収入を得たいという理由で結局俺は普通に就職活動をする道を選んだ。

 店長はものすごく残念がっていたけど、それでも快く送り出してくれただけでなく「気が変わったらいつでも戻っておいで」とまで言ってくれた。

 彩華さんも俺の就職活動を全面的にサポートしてくれていて、エントリーシートの添削をしてくれたり、面接対策を一緒に考えてくれたり、他にもいろんなアドバイスをしてくれたりしている。

 両親や姉も俺の就活を応援してくれていて、プレッシャーにならないようにただ俺を見守っているけど、それと同時に「何があったらいつでも相談して」と言ってくれている。

 本当に恵まれた環境で、みんなには感謝してもしきれない。あとは俺が結果を出すだけ。それだけなんだけど……。

「大丈夫だよ! 私も何十社も落ちてるから。そろそろ女神になれるんじゃないかってくらい毎日祈られてたから!」
「……ありがとう」
「本当に大丈夫だから。まだ第一志望も第二志望も残ってるんでしょう? だから元気出して! ……まあ、とはいっても、そう簡単には切り替えられないよね」

 でも就職活動はそう甘くはなかった。数えきれないほどのお祈りメールと、その度に削られていくメンタル。

 つい先ほども第三志望だった会社からお祈りメールを受け取ってしまった俺は、分かりやすく落ち込んでいた。

 よく考えたら当たり前かもしれない。たとえば定番の「学生時代に一番力を入れていたことは?」という質問。聞かれたらイル・マーレでのバイト経験を盛りに盛りまくって答えているけど、正直に言うと学生時代一番力を入れていたことは「恋愛」だからね。

 だから正直、就職活動も視野に入れたちゃんとした大学生活をしてきたかというと、全くしてこなかったんだよね。そんなやつが就活で苦戦するのは当たり前。間違いなく自業自得だ。それは分かっている。分かってはいるけど……。

 それでも落とされると落ち込んでしまうのは仕方がない。人間だからね。エントリーシートで落とされるのはまだ良いけど、面接に進んでからのお祈りは特にきつい。それが志望度が高かった企業なら尚更。

 でも、ずっと隣で励ましてくれる彩華さんのために、ここは気持ちを切り替えなきゃな。彼女の言う通り、まだ第一志望と第二志望の選考は残っている訳だし。

「いや、落ち込んでてもしょうがないからね。次、頑張るよ」
「えらい! じゃあさ、気分転換にドライブにでも行く? ……あっ、それともあれの方がいいかな?」
「あれって?」
「ほら、よく言うじゃん。男の子が落ち込んでる時の一番効果的な励まし方」
「……?」
「おっぱい揉む?」

 悪戯っぽい顔の彩華さんは、そう言いながらわざとらしく自分の胸を両手で寄せてみせた。

 そんなことを言われたら、俺の答えはもちろん決まっている。

「揉む。そしてドライブも行く!」
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