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第5章 王女の学園生活
4 初めての実技授業
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「今日は少し話をした後、実技授業を行います。」
学園が始まって数日、アイリスの開口一番だった。
今までは座学を主にやっていたため、実技の授業は初めてとなる。
「実技の前に、武術と魔術を学ぶ意味について話をします。知っている方もいると思いますが、エスペルト王国には国全体を覆う魔物除けの結界があります。そのため国内でそこまで強大な魔物はいません。街と街を結ぶ街道も、魔物除けがあるため滅多に遭遇することはないでしょう。」
アイリスは一旦区切って全員を見渡した。
「例えば直接戦闘に参加しない文官であっても、戦闘時の後方支援に参加することもありますし、各地に出向くときがあります。例としてあげるならば、税の徴収で街や集落に出向く場合ですね。特に集落の場合は、街道から外れているため、魔物とも遭遇します。国内であれば少数で移動するため、文官であっても最低限の自衛ができなければなりません。」
「魔物がいる場所に集落があって大丈夫なのでしょうか?」
アイリスの言葉にスピカが質問した。
「集落に住む人々は、魔物がいるということが当たり前になっています。当然、襲ってきたときの対処法は心得ていますし、住民たちでオーガくらいまでであれば撃退できるでしょう。もっとも集落自体にも、魔物除けがあることがほとんどですけどね。」
なお魔物除け自体はいくつか種類があって、魔術具を用いる場合や植物を利用する場合、薬品をまく場合などがある。
「では、話はこれくらいにして実技と行きましょうか。皆さん、試験場に移動してください。」
アイリスの言葉に全員で返事して試験場に移動する。
因みに学園の制服は、防刃や耐衝撃に優れていて、とても丈夫なため着替える必要はない。
「全員集まりましたね。授業が始まってまだ数日のため、まだ戦いというものをしたことない人もいると思います。まずは、実力者同士の戦いを見てもらいます。見るということは知るということ。知ったうえでの修練の方がいい経験になりますからね。では、アドリアスさんとイリーナさん、代表として模擬戦をお願いします。」
アドリアスとイリーナはともに前に出る。
「武術を得意とするものと、魔術を得意とするもの。2人の戦いをよく見るように。では、はじめ!」
アイリスの合図で2人が同時に動き出した。
アドリアスは剣を抜いて走り出し、イリーナは魔術を構築する。イリーナは炎弾を複数生成して放った。
それに対してアドリアスは、剣に魔力を纏わせて炎弾を斬る。そのままの勢いでイリーナを斬ろうとするが、イリーナは地面に手を当てると、大地からいくつか岩石作り出して周囲に浮かせることで、即席の盾にする。
「「「すごい…」」」
カイ、ロア、ロナの3人の呟きが重なった。
「それはアドリアスもイリーナも実践経験があるからね。アドリアスはグランバルド帝国との防衛戦、イリーナもドラコロニア共和国との小競り合いで戦場に立ってるのよ。2人とも国内でも有数の実力者だわ。」
私の言葉に3人が驚いた表情をする。
「あなただって似たようなものでしょう?」
カトレアが私のことを呆れた目で見てくる。
「わたくしはただのお飾りよ。」
カトレアの言葉にそう返すとため息をつかれた。
「あなたは謙遜が過ぎるわよ。もう少し功績を表に出せば周りの反応も払拭できるでしょうよ。」
「そんなことしたら面倒なだけだわ。そう思わない?ブラッド。」
私の言葉に、突然話を振られたブラッドが驚いた表情をした。
「伝えておきなさい。どう動いてもいいけど周りは巻き込まないようにってね。」
ブラッドにだけ聞こえるように呟くと「ああ。」と聞こえた。
というのも、ブラッドの家であるノーティア公爵家は情報を司る家…王族と公爵家しか知らないことだが、王家の影としての暗部の役割も担っている。
私が学園に来てから所々で視線を感じるため、恐らくだがお父様の命を受けて、学園を監視しているはずだ。
(ローザリンデの話を聞く限り、お父様やレティシア様はそろそろ私のことを暗殺するかもしれない。だとすれば、王家の影であるノーティア家を使うだろうし…学園に通っている今は都合がいいはず。)
私は、友人やクラスメイトが巻き込まれないことを願うのだった。
そう話している間に、アドリアスとイリーナの戦いも大詰めを迎える。イリーナは岩石を自身の周りに待機させた状態で、雷撃と氷弾を放つ。アドリアスも剣で弾いて、そのままイリーナに接近した。
アドリアスが全力で剣を振り下ろすのに合わせて、イリーナも魔力による斬撃を放った。すると、とても大きな音と衝撃が周りに響いて2人が後方に下がり、それぞれ距離を取る。
「そこまで!」
アイリスの言葉に、アドリアスは剣を納めてイリーナも魔術を解除した。
「2人とも流石ですね。近接戦闘に有利な剣術と遠距離戦闘に有利な魔術。扱い方次第でたくさんの可能性があります。皆さんも先入観に囚われないようにしてください。では、実技の練習に入りましょうか。」
そこからは基礎的な練習を全員で行った。
それぞれが扱いたい武器の基本的な型の練習と、魔力の制御の訓練を行う。基礎の練習が終わった後は、それぞれの実力に合わせて、組手や魔術の練習、模擬戦などを行っていく。
こうして、初めての実技授業が終わった。
学園が始まって数日、アイリスの開口一番だった。
今までは座学を主にやっていたため、実技の授業は初めてとなる。
「実技の前に、武術と魔術を学ぶ意味について話をします。知っている方もいると思いますが、エスペルト王国には国全体を覆う魔物除けの結界があります。そのため国内でそこまで強大な魔物はいません。街と街を結ぶ街道も、魔物除けがあるため滅多に遭遇することはないでしょう。」
アイリスは一旦区切って全員を見渡した。
「例えば直接戦闘に参加しない文官であっても、戦闘時の後方支援に参加することもありますし、各地に出向くときがあります。例としてあげるならば、税の徴収で街や集落に出向く場合ですね。特に集落の場合は、街道から外れているため、魔物とも遭遇します。国内であれば少数で移動するため、文官であっても最低限の自衛ができなければなりません。」
「魔物がいる場所に集落があって大丈夫なのでしょうか?」
アイリスの言葉にスピカが質問した。
「集落に住む人々は、魔物がいるということが当たり前になっています。当然、襲ってきたときの対処法は心得ていますし、住民たちでオーガくらいまでであれば撃退できるでしょう。もっとも集落自体にも、魔物除けがあることがほとんどですけどね。」
なお魔物除け自体はいくつか種類があって、魔術具を用いる場合や植物を利用する場合、薬品をまく場合などがある。
「では、話はこれくらいにして実技と行きましょうか。皆さん、試験場に移動してください。」
アイリスの言葉に全員で返事して試験場に移動する。
因みに学園の制服は、防刃や耐衝撃に優れていて、とても丈夫なため着替える必要はない。
「全員集まりましたね。授業が始まってまだ数日のため、まだ戦いというものをしたことない人もいると思います。まずは、実力者同士の戦いを見てもらいます。見るということは知るということ。知ったうえでの修練の方がいい経験になりますからね。では、アドリアスさんとイリーナさん、代表として模擬戦をお願いします。」
アドリアスとイリーナはともに前に出る。
「武術を得意とするものと、魔術を得意とするもの。2人の戦いをよく見るように。では、はじめ!」
アイリスの合図で2人が同時に動き出した。
アドリアスは剣を抜いて走り出し、イリーナは魔術を構築する。イリーナは炎弾を複数生成して放った。
それに対してアドリアスは、剣に魔力を纏わせて炎弾を斬る。そのままの勢いでイリーナを斬ろうとするが、イリーナは地面に手を当てると、大地からいくつか岩石作り出して周囲に浮かせることで、即席の盾にする。
「「「すごい…」」」
カイ、ロア、ロナの3人の呟きが重なった。
「それはアドリアスもイリーナも実践経験があるからね。アドリアスはグランバルド帝国との防衛戦、イリーナもドラコロニア共和国との小競り合いで戦場に立ってるのよ。2人とも国内でも有数の実力者だわ。」
私の言葉に3人が驚いた表情をする。
「あなただって似たようなものでしょう?」
カトレアが私のことを呆れた目で見てくる。
「わたくしはただのお飾りよ。」
カトレアの言葉にそう返すとため息をつかれた。
「あなたは謙遜が過ぎるわよ。もう少し功績を表に出せば周りの反応も払拭できるでしょうよ。」
「そんなことしたら面倒なだけだわ。そう思わない?ブラッド。」
私の言葉に、突然話を振られたブラッドが驚いた表情をした。
「伝えておきなさい。どう動いてもいいけど周りは巻き込まないようにってね。」
ブラッドにだけ聞こえるように呟くと「ああ。」と聞こえた。
というのも、ブラッドの家であるノーティア公爵家は情報を司る家…王族と公爵家しか知らないことだが、王家の影としての暗部の役割も担っている。
私が学園に来てから所々で視線を感じるため、恐らくだがお父様の命を受けて、学園を監視しているはずだ。
(ローザリンデの話を聞く限り、お父様やレティシア様はそろそろ私のことを暗殺するかもしれない。だとすれば、王家の影であるノーティア家を使うだろうし…学園に通っている今は都合がいいはず。)
私は、友人やクラスメイトが巻き込まれないことを願うのだった。
そう話している間に、アドリアスとイリーナの戦いも大詰めを迎える。イリーナは岩石を自身の周りに待機させた状態で、雷撃と氷弾を放つ。アドリアスも剣で弾いて、そのままイリーナに接近した。
アドリアスが全力で剣を振り下ろすのに合わせて、イリーナも魔力による斬撃を放った。すると、とても大きな音と衝撃が周りに響いて2人が後方に下がり、それぞれ距離を取る。
「そこまで!」
アイリスの言葉に、アドリアスは剣を納めてイリーナも魔術を解除した。
「2人とも流石ですね。近接戦闘に有利な剣術と遠距離戦闘に有利な魔術。扱い方次第でたくさんの可能性があります。皆さんも先入観に囚われないようにしてください。では、実技の練習に入りましょうか。」
そこからは基礎的な練習を全員で行った。
それぞれが扱いたい武器の基本的な型の練習と、魔力の制御の訓練を行う。基礎の練習が終わった後は、それぞれの実力に合わせて、組手や魔術の練習、模擬戦などを行っていく。
こうして、初めての実技授業が終わった。
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