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【最終章】異世界改革
作戦
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宰相アゼルとの偶然の遭遇に、エミリは思わず目を輝かせた。
いいことではないと分かっている。
それでも、権力者とのコネがあるだけで物事が一気に動きやすくなるのは世界共通だ。
異世界だって例外ではないだろう。
エミリもこれまでに何度か、その権力のおこぼれにありついたことがある。
海外で暮らしているとなおさらだ。
いざという時、知り合いが多いに越したことはない。
エルヴィンをドラーグで迎えに行く手もある。
だが、それより今目の前にいるこの老人……いや、宰相を使う方が断然早い。
王都で何が起こっているのかわからない以上、ゆっくり王子の到着を待つ余裕はない。
「アゼルさん、お城の中に入れてもらえませんか?」
「おう、そうだな。じじい、城に入れろ」
エネルが当然のように言い放つ。
初対面でしかも魔族。アゼルの顔は怒りでぷるぷる震え、みるみる赤くなった。
「わしを誰だと思っておる!!それに、わしはもう城になど戻らん!」
「宰相ともあろう人が、この異変から目を背けて逃げるなんて……ありえませんよ?」
エミリは軽蔑するような目つきで、自分より少し背の高いアゼルを見上げた。
「そ、そんなこと言っておれるか! あの霧を……赤黒い霧を吸い込んだ者が、次々とおかしくなっていったのだ!今、城に入ればお前らも魔物になるぞ!」
「魔物……?」
アゼルは震える声で続けた。
「わしは見たのだ……霧に引きずり込まれた者らが、得体の知れぬ怪物へ変貌していくのを。あれは……あれは魔物だ」
「人間が魔物になるなんて、今まで聞いたことないぞ?」
エネルが眉をひそめる。
もし城内に入れば、エミリたちも同じ運命を辿る可能性があるということだ。
「じゃあ……エネルの風魔法で霧を——」
「城内じゃ魔族の魔法は使えん」
「……あっ」
そういえば、とエミリは青ざめた。
エルヴィンが言っていた。
魔族対策で、城には魔法封じが張ってあると。魔族なんて襲ってこないのに念入りに作ったその封じが、今まさに人命救助の足を引っ張っている。
「なんとか……解除できません? このままだと、この国ほんとに終わりますよ?」
少し脅すような声音で食い下がるエミリ。
アゼルは肩をすくめ、震え声で返す。
「む、無理だ……! 魔法封じは王家と宰相が揃わねば解除できんのだ!」
「じゃあ、エルヴィンさんを待つしか解除の方法ないってことか……」
エミリは下を向き、ぶつぶつと考え込む。
「確認なんですけど、霧って……空気中の下の方に漂ってました? それとも全面的に?」
「全体ではない。胸より下の高さに、どろりと……ただよっておった」
エミリの目がかすかにひらめく光を帯びた。
「なるほど……なら、方法はあるかもですね」
エミリがそう言った瞬間、アゼルはぎょっとして声を裏返した。
「な、何があるだと? 解除などできん——」
「解除は今のところ必要ありません」
エミリはさらりと切り返し、指をぴっと立てる。
「そう! その名も——ドローン作戦!」
「どろ……なんだ?」
エミリは指を空に向けて、得意げに説明する。
「私の世界にある空を飛ぶ機械です。
危険地帯でも上から安全に状況を観察できて、地雷とか爆弾が埋まってる場所の調査にも使われるんですよ!」
エネルは眉をひそめる。
「空を飛ぶ……機械?魔道具みたいなものか?」
「そう!とにかく大事なのは、危険な場所は上から確認するのが一番安全ってこと!」
「……機械の話は全くわからんが、その理屈はわかる」
エネルはぽんと手を叩いた。
霧が胸の高さまでしかないなら、上を使えばいい——エミリはそう続けようとしたところで、
エネルが横からすっと入った。
「魔力を遮ってるのは魔法自体で、魔族の身体能力までは封じてないはずだよな?なら霧に触れずに上を移動する……ってわけか」
その理解力にエミリは満足げに頷き返す。
エネルは上空を指さしながら、にやりと笑う。
「内部に入ったら、とにかく高所に登る。霧を吸わずに様子を探る……俺の跳躍なら十分いける」
「でしょ! まずは城内で情報収集です!」
「お主たち、無謀すぎるぞ!!」
アゼルが必死に制止するが、二人にはまったく聞いていない。
エミリはにっこりとアゼルへ向き直る。
「というわけで……お城の入口までの案内、お願いしますね? 宰相さん」
「お、お前たち……正気か……?」
エミリは胸を張り、迷いなく答える。
「だって……誰かがやらなきゃ、でしょ?」
アゼルは完全に言葉を失い、ぽかんと口を開けて固まった。
エネルは肩をほぐしながら軽く腕を回す。
「よし、行くぞ」
「はい!」
いいことではないと分かっている。
それでも、権力者とのコネがあるだけで物事が一気に動きやすくなるのは世界共通だ。
異世界だって例外ではないだろう。
エミリもこれまでに何度か、その権力のおこぼれにありついたことがある。
海外で暮らしているとなおさらだ。
いざという時、知り合いが多いに越したことはない。
エルヴィンをドラーグで迎えに行く手もある。
だが、それより今目の前にいるこの老人……いや、宰相を使う方が断然早い。
王都で何が起こっているのかわからない以上、ゆっくり王子の到着を待つ余裕はない。
「アゼルさん、お城の中に入れてもらえませんか?」
「おう、そうだな。じじい、城に入れろ」
エネルが当然のように言い放つ。
初対面でしかも魔族。アゼルの顔は怒りでぷるぷる震え、みるみる赤くなった。
「わしを誰だと思っておる!!それに、わしはもう城になど戻らん!」
「宰相ともあろう人が、この異変から目を背けて逃げるなんて……ありえませんよ?」
エミリは軽蔑するような目つきで、自分より少し背の高いアゼルを見上げた。
「そ、そんなこと言っておれるか! あの霧を……赤黒い霧を吸い込んだ者が、次々とおかしくなっていったのだ!今、城に入ればお前らも魔物になるぞ!」
「魔物……?」
アゼルは震える声で続けた。
「わしは見たのだ……霧に引きずり込まれた者らが、得体の知れぬ怪物へ変貌していくのを。あれは……あれは魔物だ」
「人間が魔物になるなんて、今まで聞いたことないぞ?」
エネルが眉をひそめる。
もし城内に入れば、エミリたちも同じ運命を辿る可能性があるということだ。
「じゃあ……エネルの風魔法で霧を——」
「城内じゃ魔族の魔法は使えん」
「……あっ」
そういえば、とエミリは青ざめた。
エルヴィンが言っていた。
魔族対策で、城には魔法封じが張ってあると。魔族なんて襲ってこないのに念入りに作ったその封じが、今まさに人命救助の足を引っ張っている。
「なんとか……解除できません? このままだと、この国ほんとに終わりますよ?」
少し脅すような声音で食い下がるエミリ。
アゼルは肩をすくめ、震え声で返す。
「む、無理だ……! 魔法封じは王家と宰相が揃わねば解除できんのだ!」
「じゃあ、エルヴィンさんを待つしか解除の方法ないってことか……」
エミリは下を向き、ぶつぶつと考え込む。
「確認なんですけど、霧って……空気中の下の方に漂ってました? それとも全面的に?」
「全体ではない。胸より下の高さに、どろりと……ただよっておった」
エミリの目がかすかにひらめく光を帯びた。
「なるほど……なら、方法はあるかもですね」
エミリがそう言った瞬間、アゼルはぎょっとして声を裏返した。
「な、何があるだと? 解除などできん——」
「解除は今のところ必要ありません」
エミリはさらりと切り返し、指をぴっと立てる。
「そう! その名も——ドローン作戦!」
「どろ……なんだ?」
エミリは指を空に向けて、得意げに説明する。
「私の世界にある空を飛ぶ機械です。
危険地帯でも上から安全に状況を観察できて、地雷とか爆弾が埋まってる場所の調査にも使われるんですよ!」
エネルは眉をひそめる。
「空を飛ぶ……機械?魔道具みたいなものか?」
「そう!とにかく大事なのは、危険な場所は上から確認するのが一番安全ってこと!」
「……機械の話は全くわからんが、その理屈はわかる」
エネルはぽんと手を叩いた。
霧が胸の高さまでしかないなら、上を使えばいい——エミリはそう続けようとしたところで、
エネルが横からすっと入った。
「魔力を遮ってるのは魔法自体で、魔族の身体能力までは封じてないはずだよな?なら霧に触れずに上を移動する……ってわけか」
その理解力にエミリは満足げに頷き返す。
エネルは上空を指さしながら、にやりと笑う。
「内部に入ったら、とにかく高所に登る。霧を吸わずに様子を探る……俺の跳躍なら十分いける」
「でしょ! まずは城内で情報収集です!」
「お主たち、無謀すぎるぞ!!」
アゼルが必死に制止するが、二人にはまったく聞いていない。
エミリはにっこりとアゼルへ向き直る。
「というわけで……お城の入口までの案内、お願いしますね? 宰相さん」
「お、お前たち……正気か……?」
エミリは胸を張り、迷いなく答える。
「だって……誰かがやらなきゃ、でしょ?」
アゼルは完全に言葉を失い、ぽかんと口を開けて固まった。
エネルは肩をほぐしながら軽く腕を回す。
「よし、行くぞ」
「はい!」
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